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Star-CCM+でできること5選|製品開発に活かせる解析例を紹介

1. はじめに

1.1 Star-CCM+とは?製品開発で求められる“見えない現象”の可視化

製品開発の現場では、近年ますます「目に見えない現象を数値的に捉え、シミュレーションによって検証する力」が求められています。特に自動車や航空機など、空気抵抗や熱管理が性能に直結する分野では、従来の試作・実験を繰り返す方法から、設計初期の段階でシミュレーションを活用するスタイルへとシフトが進んでいます。

そうした中で注目されているのが、Siemens社が提供するSimcenterシリーズのひとつ「Star-CCM+」です。これは数値流体力学(CFD: Computational Fluid Dynamics)の手法を用い、空気や水などの流れだけでなく、熱、化学反応、さらには複雑な物理現象をコンピュータ上で再現・解析できる強力なツールです。

Star-CCM+は、単なる流体解析にとどまらず、メッシュ作成から物理モデリング、そしてマルチフィジックス解析までを一貫して行えることが特徴です。これにより、製品設計の初期段階から精度の高い検証が可能となり、不具合の早期発見や社内での合意形成にも役立ちます。

また、風洞実験や実機試験の代替手段として活用することで、試作回数の削減やコストダウンが実現できます。さらに、設計の最適化や製品の信頼性向上、環境負荷の低減といった課題にも貢献しています。

Star-CCM+は、より高性能で競争力のある製品を、より短期間で生み出すための「見えない現象を見える化する技術」として注目されています。

1.2 本記事の内容と読みどころ

本記事では、Star-CCM+の基本から活用事例までを、技術初心者の方でも理解しやすい言葉でやさしく解説します。

はじめに「Star-CCM+とは何か?」という基本を押さえたうえで、CFD解析の概要やStar-CCM+の特徴を紹介します。続いて、「Star-CCM+で実際にどんな解析ができるのか?」という疑問に応えるべく、代表的な活用シーンを5つ取り上げます。

具体的には以下のような解析例をご紹介します:

  • 空力解析(自動車や航空機のCd値最適化)
  • 熱解析(電子機器やEVの放熱設計)
  • 混相流解析(燃料スプレーや気液分離など)
  • 回転機械の解析(ポンプやタービンの効率評価)
  • パラメトリック解析と設計最適化(条件を変えての自動化検討)

さらに後半では、Star-CCM+の導入によって得られるメリット──試作回数の削減や、物理現象の可視化による社内合意のスムーズ化、環境対応の支援など──にも触れていきます。

記事全体を通して、Star-CCM+の可能性を具体的にイメージしていただける構成となっています。ぜひ最後までお読みいただき、自社でのCFD活用や開発効率化のヒントとしてご活用ください。

2. Star-CCM+とは?

引用:https://plm.sw.siemens.com/ja-JP/simcenter/fluids-thermal-simulation/star-ccm/

2.1 CFDとは何か?

CFD解析とは、「数値流体力学(Computational Fluid Dynamics)」の略であり、空気や水といった流体の挙動をコンピュータ上でシミュレーションするための技術です。例えば、風が車体をどう流れるか、ヒートシンクがどのように熱を逃がすかといった現象を、数式モデルと計算によって視覚的に再現します。

特に、乱流による複雑な渦の発生や、熱の伝わり方、化学反応など、実際の現象を正確に測定・観察するのが難しいケースでも、CFDを使えば理論的にその振る舞いを予測できます。このような数値解析は、近年の設計・開発業務において極めて重要な役割を担っています。

従来は、風洞実験や実物を用いた物理的な試験を繰り返し行うことで、製品性能の検証や改良が進められていました。しかし、こうした方法は多大なコストと時間を要するため、仮想空間での評価が可能なCFD解析が代替手段として広く浸透しています。コンピュータ上で精度の高い「仮想実験」を繰り返せることで、試作回数を減らし、開発スピードの向上にもつながります。

さらに、CFDによって得られた結果は、温度や圧力、流速などを可視化できるため、関係者間での認識を統一しやすくなり、社内の意思決定プロセスを加速させる効果もあります。

CFDは自動車産業での空気抵抗の低減や燃費改善、航空機における揚力や抗力の最適化といった領域に欠かせない存在となっており、加えて、建築、機械、電気・電子など、さまざまな業界でも応用が進んでいます。たとえば、高層ビル周辺の風環境評価やポンプ内部の流量解析など、実験では把握が難しい領域でも有効に活用されています。

このように、CFD解析はもはや「流れを解析するツール」という枠にとどまらず、熱、構造、さらには電磁場や化学反応なども組み合わせて再現できる「マルチフィジックス解析」へと進化し続けており、今後の製品開発に欠かせない基盤技術となっています。

2.2 Star-CCM+の主要機能と特徴

Star-CCM+は、Siemens社が開発するSimcenterシリーズの一つであり、CFD解析に加えて、幅広い物理現象のシミュレーションを可能にするマルチフィジックス対応ソフトウェアです。その最大の特徴は、製品開発に必要な解析作業をワンパッケージで完結できる統合型ツールである点にあります。

まず、メッシュ生成機能においては、CADデータから複雑な形状を読み込み、自動的に形状に適したメッシュを割り当てる機能が備わっており、ユーザーは時間をかけずに高品質な計算モデルを作成できます。幾何形状の変更が頻繁に起きる開発現場でも、再メッシュ作業を効率よく行えるため、大幅な時間短縮が見込めます。

次に、物理モデリングに関しては、流体解析だけでなく、熱解析、混相流解析、さらには構造や音響など、さまざまな物理現象を1つのプラットフォームで扱えるのが大きな強みです。たとえば、風の流れと材料の温度上昇を同時に評価したり、液体と気体が混ざる挙動を再現したりと、現実の製品環境をより忠実に再現できます。

また、Star-CCM+はパラメトリック解析や設計最適化機能を内蔵しており、条件を変えながら複数の設計案を一括で評価することが可能です。解析を繰り返し自動で実行し、最も良い性能を引き出せる条件を導き出すなど、開発の初期段階から最適解を探る手段として有効です。

操作面でも柔軟性があり、初心者には直感的に使えるGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)が用意されている一方で、上級ユーザーにはスクリプトによる自動化やバッチ処理もサポートされています。これにより、習熟度や用途に応じた使い方ができる点も評価されています。

さらに、Star-CCM+では異なる解析領域の連携もスムーズに行えるため、たとえば電気自動車のバッテリーパックに対して、冷却性能と空気流の解析を同時に行うことが可能です。複合的な製品設計においても、システム全体の挙動を再現できるため、より現実的な設計検討が実現します。

こうした多機能性と柔軟性を備えたStar-CCM+は、開発現場における課題解決を支援する頼もしい解析ツールとして、数多くの分野で導入が進んでいます。

3. Star-CCM+でできること5選

3.1 空力解析:車体・航空機の設計改善

最初に紹介するのは、Star-CCM+が得意とする空力解析です。これは、車両や航空機などの外部形状に対して、空気の流れ方を詳細にシミュレーションするもので、形状によって生じる空気抵抗や揚力の変化を数値的に評価できます。

自動車業界では、車体のCd値(空気抵抗係数)を下げることが燃費や走行安定性に直結するため、ボンネットの傾斜角やサイドミラーの形状、アンダーボディの処理などを微調整する場面でStar-CCM+が活用されます。こうした検討を試作段階で繰り返すのではなく、仮想環境で素早く評価できることで、開発スピードとコスト効率を大きく向上できます。

航空機分野においても、主翼や尾翼周辺の流れを再現することで揚力の増大や抗力の低減が図られ、飛行効率の改善に寄与します。従来は風洞実験に依存していたこうした検証も、CFDで多くの条件を柔軟に試せるようになったことで、設計の自由度と精度が飛躍的に向上しています。

また、Star-CCM+の高度なメッシュ生成機能により、複雑な曲面を持つ車体や機体の形状でも、精密かつ安定した解析を行うことができます。流速の微細な変化や渦の発生箇所といった、実験では捉えにくい領域まで視覚的に把握できるため、設計に必要な洞察を得ることが可能です。

このような空力解析は、自動車や航空機だけでなく、鉄道車両や建築物の風環境対策にも応用されており、都市設計や都市防災の分野においても実績を上げています。

3.2 熱解析:電子機器やEVの放熱設計

次に取り上げるのは、Star-CCM+が強みを発揮する熱解析です。現代の電子機器や電気自動車(EV)は高性能化・小型化が進む一方で、発熱量が増加しており、効率的な放熱設計が製品寿命や信頼性に直結しています。

たとえば、電子機器内部の基板やICチップから発生する熱は、適切に冷却されなければ故障リスクが高まり、製品の安定動作を損ねかねません。Star-CCM+では、熱の伝導・対流・放射といったさまざまな伝熱要素を考慮し、筐体内部の温度分布や冷却風の流れを精密にシミュレーションすることが可能です。

設計初期の段階で、ファンの位置やヒートシンクの形状、通気孔の配置を検討できるため、実機試作を繰り返すことなく効率的な熱マネジメントが実現します。必要最小限の冷却装置で済ませる設計にもつながり、コスト削減にも貢献します。

また、EVのバッテリーパックやインバーターなどの電子ユニットにおいても、熱解析の重要性は増しています。過熱による劣化や暴走を防ぐためには、冷却材の流路やケース構造を最適化する必要がありますが、Star-CCM+を用いれば複雑な温度変化や空気流れを事前に予測し、設計に反映することが可能です。

このように、熱解析は故障率の低減や安全性向上、そして長期的な信頼性確保に欠かせないプロセスであり、Star-CCM+はその要となるツールとして多くの業界で導入されています。

3.3 混相流解析:燃料スプレーや気液分離の設計

三つ目に紹介するのは、Star-CCM+の高度な機能である混相流解析です。混相流とは、気体と液体、あるいは固体粒子が混在して流れる現象を指し、燃料の噴霧、気泡の挙動、気液分離、粉体の移動など、実際の製品設計でしばしば直面する複雑な流れです。

たとえば、燃料スプレーでは、ノズルから噴射される液滴の粒径や分布、霧化の広がり方が燃焼効率に大きく影響します。Star-CCM+は、VOF(Volume of Fluid)法やLagrangian粒子追跡法といった手法を用いて、液体と気体の相互作用や液滴の運動を精密にシミュレーションすることができます。

これにより、スプレーノズルの形状を変更した際の挙動変化や、異なる流量条件での液滴の到達範囲などを事前に評価でき、試作の回数を減らしながら最適設計を目指せます。

また、気液分離装置の設計や、医療機器での気泡発生リスクの評価、食品や化学プロセスでの泡の制御など、多様な産業分野で応用が進んでいます。従来であれば、こうした複雑な流れを正確に観察・定量化するには実験設備が必要でしたが、Star-CCM+なら仮想環境で再現可能です。

このように、混相流解析は製品の性能だけでなく、安全性や品質にも深く関わる領域であり、Star-CCM+の解析精度と柔軟性が真価を発揮する分野の一つです。

3.4 回転機械の解析:ポンプ・ファン・タービンの効率評価

四つ目の注目ポイントは、ポンプやファン、タービンといった回転機械の性能解析です。これらの機器は、羽根車の回転によって流体を移動させたり圧力を加えたりする仕組みであり、その効率や信頼性は設計の細部に大きく依存します。

Star-CCM+を使えば、羽根の形状や配置が流れに与える影響、流速の変化による圧力損失、さらにはキャビテーション(液体が部分的に気化する現象)の発生傾向などを詳細に解析できます。キャビテーションはポンプやタービンの劣化や振動の原因となるため、その予測と対策は極めて重要です。

また、回転機械の解析には、流体の挙動だけでなく振動や騒音の評価も含まれることがあります。Star-CCM+では、これらの要素を一体的に扱うことができるため、たとえば家庭用家電での静音化設計や、産業用送風機のエネルギー効率改善といった目標に対して、高い再現性をもって検討を行えます。

通常、このような回転機械の性能検証には、多くの実験パターンと時間が必要ですが、シミュレーションを併用することで大幅な効率化が可能になります。複数の設計案を迅速に比較できることで、少ない試作回数でも完成度の高い製品に到達しやすくなるのです。

この分野では、国内外のポンプメーカーやターボ機器メーカーがStar-CCM+を積極的に導入しており、開発期間の短縮や製品信頼性の向上に役立てています。

3.5 パラメトリック解析と設計最適化:反復作業の自動化

最後にご紹介するのは、Star-CCM+の自動化機能を活用したパラメトリック解析と設計最適化の領域です。製品設計においては、形状や材料、動作条件などのパラメーターを少しずつ変えながら、最も性能の良い条件を見つけ出す作業が欠かせません。しかし、この試行錯誤を手作業で繰り返すのは非常に手間がかかります。

そこで役立つのが、Star-CCM+の設計探索機能です。あらかじめ設定した複数のパラメーターをもとに、プログラムが自動でシミュレーションを繰り返し、最も好ましい結果を導き出してくれます。複数の設計条件を一括で処理できるため、短時間で最適案を見つけることが可能になります。

このアプローチにより、空力性能・熱対策・流量安定性など、さまざまな設計指標を同時に評価し、バランスの取れた最終形状を効率よく導き出せるのです。また、異なる用途向けに複数案を用意したいときにも、パラメトリック解析は有効な手段となります。

特に設計初期段階において多くのアイデアを素早く試せることで、革新的な製品開発を加速させると同時に、設計品質を高めることができます。限られた期間と人員で多くの検討を行わなければならない開発現場において、こうした自動化・最適化技術は非常に大きな武器になります。

Star-CCM+のこうした設計最適化機能は、単なる解析ツールという枠を超え、製品企画から量産に至るまでのプロセス全体を強力にサポートするソリューションとして、今後ますます注目されることでしょう。

4. Star-CCM+を活用するメリット

Star-CCM+は、単なるCFDソフトではありません。製品開発のあらゆるプロセスに寄与する“統合型エンジニアリングツール”として、多くの業界でその効果が実証されています。

ここでは、Star-CCM+を導入・活用することによって得られる代表的なメリットを4つに整理してご紹介します。
試作や実験コストの削減、設計初期段階での問題検出、社内コミュニケーションの円滑化、さらには製品の信頼性や環境性能の向上といった点で、どのように役立つのかを具体的に見ていきましょう。

4.1 試作コスト・実験回数の削減

従来の製品開発では、アイデアを形にしてから物理的に試作し、実験を通じて性能や安全性を検証するという流れが一般的でした。しかし、風洞実験や構造強度のテストなどは、専用設備や材料、作業工数を大きく必要とするため、時間もコストも膨大になりがちです。

Star-CCM+を活用すれば、こうした物理的な試験の前段階で、仮想的にさまざまな条件下のシミュレーションを行い、設計案の良否をあらかじめ見極めることができます。その結果、開発段階での判断材料が増え、不必要な試作を避けられるため、コストとリードタイムの大幅な削減が可能となります。

たとえば、車両の空力設計や電子機器の熱対策など、もともと試作コストがかかりやすい分野では、数値解析を中心に据えることで、設計初期の検討から実機評価に至るまでの全体効率が飛躍的に向上します。

また、実験用にフルサイズの試作品を何度も製作する必要がなくなるため、材料費や人件費の削減効果も大きく、同じ予算内でより多くの設計バリエーションを試すことも可能になります。これにより、市場投入までのスピードアップも期待できます。

4.2 設計初期段階での問題検出

製品開発においては、設計初期の段階で不具合や潜在的なリスクをどれだけ早く見つけられるかが、後工程の効率や最終的な品質に大きく影響します。初期の設計ミスが量産フェーズに入ってから発覚した場合、その影響は非常に大きく、修正にかかる時間もコストも跳ね上がってしまいます。

Star-CCM+は、設計初期のモデルや構想段階でも高精度な解析が可能であり、流体の停滞、熱の集中、圧力の偏りなど、将来的なトラブル要因を早期に可視化できます。たとえば、冷却不足による過熱、空気流の乱れによる振動・騒音、部品間の干渉などを仮想空間上で検出できれば、トラブルの芽を設計段階で摘み取ることができます。

こうした問題検出は、製品の信頼性向上だけでなく、設計変更や手戻りの回数を減らすことで開発スケジュール全体の短縮にもつながります。また、早い段階で課題を把握できることで、複数部門との調整や対策検討も余裕をもって行えるため、プロジェクト全体の推進力にも寄与します。

複雑化・高機能化が進む製品開発において、Star-CCM+のような高度な解析ツールがもたらす“早期発見・早期対処”のメリットは、今後ますます重要になるでしょう。

4.3 物理現象の可視化と社内合意形成

開発プロジェクトを円滑に進めるうえで欠かせないのが、関係者間での共通理解と合意形成です。特に複雑な設計変更や新しい技術の導入を提案する際には、「なぜその設計が必要か」「なぜ従来案では不十分なのか」を誰もが納得できる形で示す必要があります。

Star-CCM+には、流線表示、等温線、圧力分布、渦の可視化など、シミュレーション結果を直感的に把握できる豊富なビジュアライゼーション機能が備わっています。これにより、エンジニアだけでなく、営業、企画、製造、経営層といった非技術系の関係者にも「現象の起きている理由」や「改善案の妥当性」を視覚的に伝えることができます。

たとえば、「この位置に渦が生じて圧力損失が大きい」「この部品が過熱している」といった課題をアニメーションやカラー図で示すことで、言葉では伝えづらい技術的課題もスムーズに共有できます。これにより、設計変更への理解を得やすくなり、関係者の納得のもとで迅速な意思決定を行うことが可能になります。

さらに、複数部門間での情報共有がスムーズになれば、開発のボトルネックが減少し、チーム全体の連携力も高まります。Star-CCM+の可視化機能は、単なる設計支援だけでなく、“組織全体での問題解決”をサポートする力を持っているのです。

4.4 製品寿命の信頼性向上と環境対応

製品が市場に出たあと、長期間にわたり安定して機能するかどうかは、設計段階での信頼性評価によって大きく左右されます。Star-CCM+では、実際の使用環境を想定したシミュレーションを行うことで、熱・流体・圧力などの物理的負荷が製品のどこにどのようにかかるのかを事前に把握し、耐久性や寿命に影響を与える要因を可視化できます。

たとえば、高温環境での連続運転によってどの部品に熱集中が生じるか、冷却性能が時間とともにどう変化するかといった長期的な視点での評価が可能になり、設計改善や材料選定に活かせます。その結果、早期故障のリスクを軽減し、製品の信頼性向上を実現できます。

加えて、Star-CCM+のシミュレーションを活用すれば、省エネルギー設計や排出ガス削減など、環境性能の最適化にも貢献できます。たとえば、空力効率を高めることで走行時のエネルギー消費を抑えたり、冷却設計を最適化することで不要な電力使用を削減することが可能です。

このような取り組みは、環境規制への対応や企業のサステナビリティ目標への貢献にもつながり、製品そのものの競争力向上だけでなく、企業価値の向上にも直結します。

数値解析によって製品の耐久性と環境性能の両立を図れることは、今後の製品開発において極めて大きなアドバンテージとなるでしょう。

5. まとめ|Star-CCM+で製品開発に革新を

本記事では、CFD解析ソフト「Star-CCM+」の基本から応用までを取り上げ、製品開発の現場で実際に活用されている代表的な解析例を5つご紹介しました。

空力解析によるCd値の最適化や、熱解析による放熱設計の高度化、混相流解析による複雑な流体現象の再現、回転機械の性能評価、さらには設計最適化を支えるパラメトリック解析といった事例を通じて、Star-CCM+が単なる流体解析ツールにとどまらず、多面的に開発プロセスを支える強力なプラットフォームであることがご理解いただけたのではないでしょうか。

とくに、設計初期段階での問題検出や、社内外での合意形成をスムーズに進めるための「物理現象の可視化」といった機能は、開発のスピードと品質を両立させる上で大きな力になります。また、風洞実験や実機試作の回数を減らせる点や、複数の設計案を効率よく比較・最適化できる自動化機能も、コスト削減と生産性向上の両面で優れた効果を発揮します。

さらに、熱・流体・構造といった物理現象を複合的に解析できるマルチフィジックス対応や、持続可能な開発に貢献する環境性能評価など、Star-CCM+は今後の製品開発における中核的なツールとして、ますますその重要性を増していくでしょう。

製品のライフサイクルが短く、開発競争が激化する現代において、Star-CCM+を導入することは、単なる技術選定ではなく“開発体制そのものを進化させる選択”と言えます。シミュレーションによって得られる知見は、試作や実験では得にくい設計のヒントをもたらし、エンジニアの判断を支える大きな武器になります。

今後、CFDやマルチフィジックス解析の活用を検討されている方は、まず自社の課題や開発プロセスを整理し、そのうえでStar-CCM+のどの機能がどのフェーズに役立つかを明確にしていくと、より効果的な導入が可能になるでしょう。

製品開発の未来を切り拓く一歩として、Star-CCM+の活用をぜひ前向きにご検討ください。

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<参考文献>

Simcenter STAR-CCM+ | Siemens Software

https://plm.sw.siemens.com/ja-JP/simcenter/fluids-thermal-simulation/star-ccm/

Simcenter STAR-CCM+ multiphysics simulation | Siemens Software(英語)

https://resources.sw.siemens.com/en-US/fact-sheet-simcenter-star-ccm-multiphysics-simulation-can-accurately-model-the-physics/

External vehicle aerodynamics | Fact sheet | Siemens Software(英語)

https://resources.sw.siemens.com/en-US/fact-sheet-unlock-faster-ev-development-with-accurate-external-aerodynamics-simulations/

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