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acc 価格はいくら?Autodesk Construction Cloudの導入コストと注意点

1. はじめに

近年の建設業界では、プロジェクトの大規模化や海外企業との競争激化により、情報の一元管理や効率的なデータ活用がますます重要になっています。中でも、図面や施工に関する情報をクラウド上で管理・共有できるソリューションは、コストを抑えながら品質を高める手段として注目を集めています。

その中核となるのが、Autodesk社が提供する「Autodesk Construction Cloud(ACC)」です。ACCは、設計・施工・引き渡しなど、建設プロジェクトのあらゆる工程をクラウドでつなぐ統合プラットフォームで、多くの企業で導入が進んでいます。

本記事では、ACCの価格体系や導入コストの仕組み、導入時に注意すべきポイント、さらにはコスト以上の効果を得るための活用のヒントまでを、わかりやすく解説します。なるべく専門用語をかみ砕いて説明しつつ、建設業界でクラウド導入を検討しているIT担当者の方にとって、社内での意思決定や予算確保に役立つ情報を提供します。

2. Autodesk Construction Cloudとは?

引用:https://construction.autodesk.co.jp/

Autodesk Construction Cloud(以下、ACC)は、建設プロジェクトで発生する多種多様なデータを一元的に管理し、設計・施工・引き渡し・維持管理といったプロジェクト全体の流れを円滑につなぐための、クラウド型統合プラットフォームです。これまで紙ベースやバラバラのソフトウェアで分散管理されていた図面、施工手順書、コスト管理表などの情報をクラウド上に集約することで、情報を探す手間や二重入力といった非効率を減らせるという大きなメリットがあります。

ACCの特長は、複数の機能モジュールが連携し、施工現場での管理や設計業務の効率化をサポートできる点にあります。プロジェクトごとに参加企業や担当者が異なっても、同じクラウド基盤を通じてコミュニケーションできるため、業務連携の質が向上したという報告も数多く寄せられています。

さらに、近年主流となりつつあるBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)との親和性が高いこともACCの強みです。たとえば、AutoCADやRevitといった他のAutodesk製品ともスムーズに連携できるよう設計されており、建設DX(デジタル・トランスフォーメーション)の実現を目指す企業にとって、非常に実用性の高いソリューションとなっています。

2.1. ACCの基本概要と主要機能

ACCには複数のモジュールがあり、企業やプロジェクトのニーズに応じて必要なものだけを柔軟に選択できるようになっています。中でも代表的な機能は以下のとおりです。

■Autodesk Docs
図面やドキュメントをクラウド上で管理するための基盤機能で、常に最新版の情報をチーム全員が共有できる環境を構築できます。変更履歴の記録や閲覧権限の設定など、ドキュメント管理に欠かせない機能が揃っています。

■Autodesk Build
施工現場向けに設計されたモジュールで、進捗管理・品質管理・不具合報告などの作業を一元化できます。スマートフォンやタブレットでも利用しやすく、現場とオフィス間の情報共有がリアルタイムで行える点が評価されています。

■Autodesk Takeoff
図面からの数量拾い(積算)をサポートするツールで、2D図面と3Dモデルの両方に対応可能です。拾い出し作業の精度と効率を高めることで、見積もりや予算立案の負担軽減に役立ちます。

■BIM Collaborate Pro
設計者・施工者など複数の関係者が同じBIMモデルを使ってリアルタイムで共同作業を行えます。編集履歴や変更点の管理機能が備わっており、設計変更のトレーサビリティを確保するのに有効です。

これらのモジュールはすべてACCのクラウド基盤上でシームレスに連携しており、プロジェクト全体の流れを可視化し、情報の断絶を防ぐための仕組みが整っています。大規模なゼネコンはもちろん、中小規模の設計事務所や施工業者でも、必要最小限の機能から導入できる柔軟性も大きな特長です。

ACCは、現場の作業効率を向上させるだけでなく、ミスや手戻りの防止、施工品質やコスト管理の改善にも貢献する、建設業向けの実践的なデジタルツールといえるでしょう。

2.2. ACCが解決する建設業界の課題

建設業界では長年にわたり、紙ベースの資料やExcelファイルなどによる属人的な情報管理が主流でした。プロジェクトごとに参加する企業や部署が異なる中で、こうした方法では情報が分断されやすく、ミスや手戻りが発生するという課題がありました。

ACCはこれらの問題を解決する手段として、情報を一つのクラウド基盤に集約する仕組みを提供しています。必要なデータや図面を素早く探せるようになり、情報共有のタイムロスやヒューマンエラーの発生を大幅に抑えることができます。

とくに設計変更や施工指示の修正が頻繁に発生する現場においては、ACCの導入によって重複作業の削減やコミュニケーションの効率化が図れます。また、工程やコストの管理をリアルタイムで可視化できるため、計画と実際のズレを早期に発見し、軌道修正につなげやすくなります。

さらに、ベテラン技術者の知識や施工ノウハウのデジタル蓄積という観点でもACCは有効です。図面や資料、報告書などが体系的に保管されることで、これまで属人化していた情報の再利用が容易になり、若手技術者の育成やナレッジ共有にも役立ちます。

こうした理由から、ACCは単なる業務支援ツールではなく、建設現場全体の生産性と安全性を底上げする基盤として、多くの企業で導入が進んでいるのです。

3. ACCの価格体系

Autodesk Construction Cloud(ACC)は、基本的にサブスクリプション(定額制)モデルで提供されており、ユーザーが必要な期間だけライセンスを契約して利用できる仕組みになっています。そのため、初期費用を大きくかけずに導入しやすい点が、多くの企業にとって魅力となっています。

ただし、各モジュールによって搭載されている機能やライセンス提供の形式が異なるため、実際の費用は企業の規模や導入範囲によって大きく変わります。また、Autodeskの公式サイト上に標準価格が記載されていることもありますが、実際には販売パートナーを通じて見積もりを取得するケースが一般的です。

これは、企業によってプロジェクトの規模・業務内容・使用するモジュール構成が異なるため、一律の価格では導入コストを正確に反映できないためです。そこでこの章では、ACCの基本的なサブスクリプションモデルの考え方や料金構造、代表的なモジュールの価格目安、さらに費用に影響を与える主な要素について詳しく解説していきます。

3.1. 基本的なサブスクリプションモデルと料金構造

ACCでは、ユーザー単位またはプロジェクト単位でのライセンス契約が基本となっており、必要に応じてモジュールを追加していく形式です。たとえば、「Autodesk Docs」だけを導入する場合は、ユーザー数に応じた月額または年額のライセンス費用が発生します。

一方で、「Autodesk Build」や「BIM Collaborate Pro」のような高機能モジュールでは、追加機能やストレージ容量などが含まれる分、料金も高めに設定されている傾向があります。また、企業によっては年間契約を選択することで、長期的なコスト削減や価格の安定化を図っているケースも少なくありません。

販売パートナーによっては、契約内容に応じた独自の割引や特典、技術サポートが付帯することもあるため、単純に料金表だけを見るのではなく、必要な機能とサポート体制を見極めた上での見積もり取得が重要です。

なお、ACCのサブスクリプションは契約期間が終了すると、基本的に機能や保存されたデータへのアクセスが制限されるか停止となるため、継続利用を前提とした導入計画と予算管理が不可欠です。運用コストは一定の頻度で発生するため、社内の予算承認や支出計画も事前に整えておくことが望ましいでしょう。

3.2. モジュール別の価格詳細と変動要因

ACCを構成する代表的なモジュールには、「Autodesk Docs」「Autodesk Build」「Autodesk Takeoff」「BIM Collaborate Pro」などがあります。各モジュールは提供される機能の内容や用途に応じて価格帯が異なり、企業の利用規模や導入目的によって総コストに大きな差が出ることがあります。

たとえば、「Autodesk Docs」は基本的な図面・文書管理機能を提供するエントリーモジュールで、他のモジュール(例:Autodesk BuildやBIM Collaborate Pro)にも標準で含まれる基盤機能です。現在のAutodeskの公式情報では、「Docs」は単体での販売は行われていないとされていますが、販売パートナーによっては独立した見積もりが提示される場合もあるため、導入を検討する際は事前に確認することが推奨されます。

「Autodesk Build」は、施工現場での進捗・品質・安全管理を包括的に支援するため、「Docs」よりも多機能で高価格帯に設定される傾向があります。また、「Autodesk Takeoff」は2D・3D両対応の数量拾いツールで、積算業務の省力化に特化しており、その機能性に見合った料金が設定されています。

さらに、「BIM Collaborate Pro」のように複数の拠点や関係者がクラウド上で同時にBIMモデルを編集・管理できる高機能モジュールでは、より大規模な運用を前提とした料金構成となっており、数十ライセンス以上が必要となる場合もあります。

また、日本国内と海外では為替レートの影響や、販売パートナーごとの価格設定方針により、同じモジュールでも実際の費用に差が出ることがある点にも留意が必要です。可能であれば複数の販売パートナーから見積もりを取得し、条件や価格を比較検討するのが賢明です。

■モジュール別参考価格表(2025年7月10日現在)
実際の価格は契約内容や地域・販売パートナーによって変動するため、あくまで目安としてご利用ください。

モジュール名年間参考価格主な内容・特徴
Autodesk Docs図面・文書管理。すべてのACC製品の基盤モジュールとして提供
Autodesk Build$1,625(約23万円)施工管理、品質、安全、RFIs、日報などを統合管理
Autodesk Takeoff$1,250(約18万円)2D/3D図面からの数量拾い。積算業務を効率化
BIM Collaborate Pro約15万円BIMモデルを用いたコラボレーション、設計レビュー、干渉チェックなど

※日本円換算は1ドル=約145円で計算。
※各モジュールは1ユーザー/年契約を前提としています。月額契約は割高になる傾向があります。
※「Autodesk Docs」は単体購入不可。
※Autodesk Build、Autodesk Takeoff、BIM Collaborate Proには「Autodesk Docs」も含まれています。
引用:https://construction.autodesk.com/pricing/
引用:https://www.autodesk.com/jp/products/bim-collaborate/overview

3.3. 価格設定に影響を与える要素

ACCの価格に影響を与える主な要素には、以下のようなものがあります:

  • 利用するユーザー数:管理者・閲覧者などの権限レベルも価格に影響
  • 契約期間:短期より長期契約のほうが割引率が高くなることが多い
  • 選択するモジュール構成:複数モジュールの組み合わせにより総額が変動
  • 地域差:販売代理店の価格設定ポリシーやサポート体制によって異なる

さらに、他のAutodesk製品(AutoCAD、Revitなど)とのバンドル契約によって、全体の費用が抑えられるケースもあります。たとえば、ACCの一部モジュールがBIM Collaborate Proに含まれているような場合、重複契約を避けてコストを最適化することが可能です。

もう一つ見落としがちなコスト要素は、ストレージの使用量とセキュリティ要件です。3Dモデルや現場写真・動画といった重いデータを多く保管する場合、ストレージ容量の追加やバックアップ・セキュリティ強化によって追加コストが発生する場合があります。

導入時期によってはキャンペーンや限定割引が実施されることもあるため、販売パートナーが主催するセミナーやイベント、キャンペーン情報に常に目を向けておくことが重要です。コストを最適化するには、製品の特性だけでなく、契約交渉や社内の運用設計も含めた全体戦略が求められるのです。

4. ACC導入にかかるコスト

Autodesk Construction Cloud(ACC)を導入する際には、月額や年額のライセンス料金に加えて、初期導入時のコストや運用中に発生するさまざまな費用も考慮しなければなりません。ソフトウェアの費用だけを見て契約してしまうと、後から予想外の出費が発生し、社内の承認や運用に支障をきたす恐れもあります。

いくら優れたソリューションでも、社内に十分浸透しなければ本来の効果を発揮できず、結果的に「高いだけのツールだった」と評価されてしまう可能性もあります。特に、ITに不慣れな現場メンバーが多い場合や、新しいシステムの導入に抵抗がある企業文化では、トレーニングや運用設計の準備が重要な成功要因になります。

この章では、ACC導入時に必要となる初期コストの内容と内訳、そして導入後の継続的な運用にかかる費用や管理のポイントについて詳しく見ていきます。これらのコストを正しく把握し、あらかじめ社内での予算化と調整を行うことで、無理のない導入と持続的な活用が実現しやすくなります。

4.1. 初期導入コストの内訳

ACCを初めて導入する際、多くの企業が見落としがちなコスト要素がいくつかあります。なかでも大きなものの一つがコンサルティング費用です。これは、どのモジュールを選ぶべきか、既存業務とどう組み合わせるかを整理し、導入計画を具体化するためのサポート費用にあたります。専門家の支援を受けることで、自社に合った最適な構成が見えてきます。

次に必要となるのがトレーニング費用です。ACCには多くの機能がありますが、それを現場で十分に使いこなすためには、プロジェクトマネージャー・現場スタッフ・管理部門など、関係者ごとに適した教育を行う必要があります。研修やマニュアル整備、社内講習会などを外部に依頼するケースも多く、その分の費用も見込んでおくと安心です。

また、既存データの移行作業にかかるコストも無視できません。紙図面のスキャンやファイル形式の変換、フォルダ構成の整理など、クラウド環境への移行に向けた事前準備には一定の工数がかかります。特に過去プロジェクトの資料が多い企業では、情報の取捨選択や移行ルールの設定に専門的な知見が必要となることもあります。

さらに、外部システムとの連携を考える企業では、カスタムAPIの開発やインテグレーション費用が発生する場合もあります。これは他の業務システム(例:原価管理、工数管理など)と連携させたい場合に必要な対応です。これらの導入費用は、全体として見れば大きな投資になる可能性もあるため、最初は一部プロジェクトでのパイロット導入を行い、段階的に本格展開する方法も検討するとよいでしょう。

必要なすべての機能を一度に導入しようとするのではなく、まずは効果が実感しやすい部分から優先して導入し、運用実績をもとに拡張していくことで、社内の理解や追加予算の確保もしやすくなります。

4.2. 運用コストとその管理

ACCを導入した後には、月額または年額のサブスクリプション料金が継続的に発生します。これに加えて、保守サポートや教育体制の維持、データ管理などにもランニングコストが必要になります。これらの費用を無駄なく抑えるには、「実際に使っている機能やライセンス数が適正か」を定期的に見直す運用体制が欠かせません。

たとえば、繁忙期にはライセンスを一時的に増やし、閑散期には削減するといった、柔軟なライセンス運用ができるよう、販売パートナーと連携しておくことが重要です。モジュールによってはライセンスの一時停止やユーザー入れ替えが可能な場合もあるため、契約前に運用ルールを確認しておくとスムーズです。

また、導入後の継続的な教育・スキルアップにもコストがかかります。ACCはアップデートが頻繁に行われ、新機能が追加されることも多いため、社内の利用者が最新の機能を使いこなせるよう、定期的な研修やeラーニングを取り入れると効果的です。もし学習の機会が少ないと、せっかくの高機能なツールも十分に活用されず、逆に手間ばかり増えてしまう恐れがあります。

さらに、クラウドに保存されたデータが増えすぎると、ストレージの容量超過による追加料金や、情報整理の手間が発生することもあります。このため、長期間使用しないデータをアーカイブするルールを設けたり、削除や圧縮を定期的に行ったりといった運用設計が求められます。

こうした日々の運用管理を通じて、不要なコストを削減しながら、最大限の機能と効果を引き出す体制を整えることが、ACCを長く使い続けるための鍵となります。サブスクリプションモデルならではの「常に最適化する意識」を持つことが、コスト対効果の最大化につながるのです。

5. ACC導入における注意点と成功のポイント

引用:https://construction.autodesk.co.jp/products/

Autodesk Construction Cloud(ACC)を導入して最大限の効果を得るには、価格や機能だけに注目するのではなく、導入から運用までを見据えた計画的なアプローチが重要です。特に初めてクラウド型の統合プラットフォームを導入する企業では、システムの習熟や社内の意識づけに想定以上の時間と労力が必要となるケースが少なくありません。

「導入すれば勝手に効率化が進む」という誤解は避けるべきです。実際には、社内の関係者全体で目的を共有し、継続的な教育と仕組み作りを整えることで初めて、ACCの導入効果が十分に発揮されます。運用ミスや誤解による混乱を防ぎ、現場がスムーズに活用できる環境を整えることが成功への第一歩となります。

この章では、導入前に検討しておきたい計画の立て方や、導入後に求められる継続的なサポート体制、さらに注意しておきたい潜在的なリスクとその回避策について整理し、ACCを効果的に導入・定着させるための実践的なポイントを解説していきます。

5.1. 導入前の検討事項と計画

ACCの導入をスムーズに進めるためには、まず「何を達成したいのか」を明確にし、その目的を社内で共有することが欠かせません。たとえば、「図面管理の効率化」「施工状況の見える化」「コスト管理の精度向上」など、導入目的を具体的に設定しておくことで、成果を評価しやすくなります。

あわせて、自社の現状の業務フローや課題を徹底的に洗い出し、ACCのどの機能で何が改善できるかを紐づけておくと、導入後の混乱を避けやすくなります。この段階で関係部署の意見を反映しておくことは、後の合意形成やスムーズな運用に大きく影響します。

導入のタイミングやプロジェクト選定も重要な検討事項です。いきなり大規模なプロジェクトで全面的に導入するのではなく、まずは中小規模のプロジェクトでパイロット運用を行い、効果や課題を見極めた上で拡大していく方法が現実的です。段階的にスケールアップすることで、リスクを最小限に抑えつつ、社内の理解や評価も得やすくなります。

また、導入時にはすべてのモジュールを一度に契約するのではなく、必要最低限の機能から導入を始め、状況に応じて追加していくという柔軟な運用方針が有効です。初期コストを抑えつつ、現場での定着度合いを見ながら拡張していけるため、効率的で無理のない展開が可能になります。

5.2. 導入後の運用と継続的な教育

ACCの導入が完了しても、それを継続的に活用し、現場に根付かせるための運用と教育体制が整っていなければ、その効果は限定的になってしまいます。とくにITに慣れていない現場スタッフにとって、新しいツールの使用には抵抗や戸惑いがつきものです。

そのため、導入直後から定期的な研修や勉強会を開催し、操作方法や活用事例を共有する機会を設けることが大切です。ユーザーのスキルや役割に応じたマニュアルやガイドを用意しておけば、トラブルや質問にも迅速に対応でき、安心感にもつながります。

また、運用開始後は、現場の声やフィードバックを積極的に集め、課題や改善点を明確にすることが欠かせません。これにより、機能の使い方を再確認したり、ワークフローを調整したりすることで、さらに使いやすい環境へと進化させることが可能になります。

さらに、AutodeskはACCに対して頻繁に機能追加やアップデートを行っているため、新機能への対応や最新情報の共有も重要な運用要素となります。社内でアップデート情報を管理し、必要な教育や展開方法を整える体制を持つことで、ツールを最大限に活用できるようになります。

加えて、組織全体での運用ルールを明確化することも見逃せません。たとえば、フォルダ構成やデータの命名規則、アクセス権限の管理など、運用ルールが曖昧だと現場ごとにバラバラな使い方となり、結果的に非効率を招く原因になります。ACCを円滑に運用するには、こうした基本的なルールの整備と徹底が重要です。

5.3. 潜在的なリスクとその対策

ACCは非常に優れたプラットフォームですが、導入・運用にはいくつかのリスクが伴うため、事前にその対策を検討しておくことが大切です。特に懸念されるのが、クラウドサービス特有のセキュリティリスクや可用性に関する不安です。

たとえば、インターネット接続の不具合により一時的に利用できなくなったり、外部からの不正アクセスによる情報漏えいのリスクなどが挙げられます。これらに対しては、Autodeskが公表しているセキュリティポリシーや運用体制を事前に確認し、責任分界点を明確にすることが基本となります。

また、社内の情報セキュリティ方針に沿ったアクセス権限管理の設計も重要です。誰がどの情報にアクセスできるかを定義し、重要データには二段階認証を導入するなど、具体的な運用ルールを設けることでリスクを低減できます。

そのほか、サブスクリプションの契約更新忘れやライセンス管理の不備により、業務に支障が出るケースも想定されます。これらを防ぐには、契約状況の見える化と、定期的なライセンス棚卸しを実施することが有効です。

さらに、ACCの便利さが社内で浸透するにつれて、想定より多くのユーザーが利用を希望し、結果的にコストが膨らんでしまうという状況も考えられます。このようなケースに備えて、あらかじめ利用人数の上限や予算枠を設定し、定期的な見直しを行うといった運用ルールの整備も推奨されます。

このように、ACCの導入と運用には、技術的な対策とあわせて組織的な体制づくりが重要です。リスクに備えた体制を整えておけば、突発的なトラブルにも柔軟に対応でき、安心してシステムを活用し続けることができるでしょう。

6. まとめ

ここまで、Autodesk Construction Cloud(ACC)の価格体系や導入コスト、そして導入を成功させるための注意点や運用のポイントについて、具体的にご紹介してきました。

ACCは、図面管理や施工管理、情報共有をクラウド上で一元化できる非常に実用的なプラットフォームであり、建設プロジェクトの品質向上・効率化・コスト最適化に大きく貢献するツールです。

導入にあたっては、「どの機能を使うか」「どれくらいのユーザー数が必要か」「どのくらいの予算を確保するか」といった要素を丁寧に検討し、自社に合ったプランと導入方法を選ぶことが重要です。そして、価格や機能の比較だけでなく、社内の体制整備や継続的な活用の仕組み作りもあわせて行うことで、ACCの本来の力を引き出すことができます。

クラウド導入は、一度で完璧を目指すのではなく、スモールスタートで効果を確認しながら段階的に広げていくアプローチが現実的です。ACCはその柔軟性を備えているため、プロジェクトや組織の成長に合わせて無理なく拡張できるのも大きな魅力といえるでしょう。

建設業界におけるデジタル活用は、今や業務効率化だけでなく、企業の競争力や働き方改革の実現にも深く関わるテーマです。ACCはその変革を支える有力な選択肢のひとつとして、多くの企業にとって導入を検討する価値のあるソリューションといえます。

本記事を参考に、ACC導入に向けた第一歩を踏み出してみてください。建設業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を現実のものとするために、ACCは強力なパートナーとなるはずです。社内での合意形成や計画立案に向けた判断材料として、この記事の情報が少しでもお役に立てば幸いです。

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<参考文献>

施工管理ソフトウェア | Autodesk Construction Cloud

https://construction.autodesk.co.jp/

建設ソフトウェア | Autodesk Construction Cloud

https://construction.autodesk.co.jp/products/

Autodesk Construction Cloud Pricing | Autodesk Construction Cloud

https://construction.autodesk.com/pricing/

Autodesk BIM Collaborate Pro | 価格と購入

https://www.autodesk.com/jp/products/bim-collaborate/overview

AutoCAD ライセンスとサブスクリプションに関する FAQ | Autodesk

https://www.autodesk.com/jp/solutions/autocad-subscription-faq

よくある質問(FAQ) | Autodesk Construction Cloud の FAQ

https://construction.autodesk.co.jp/acc-faq/

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