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MSC Apex×CADで設計と解析を一体化!業務効率を劇的に高める方法

1. はじめに:設計と解析の一体化が必要な理由

製造業では今、製品の多様化と短納期化が加速しています。こうした背景の中で重要になるのが、設計と解析をいかに効率よく進めるかという点です。
従来は、CAD(設計)とCAE(解析)を別々の工程として扱うのが一般的でした。しかしこの方法では、データ変換や部門間のやり取りに時間がかかり、情報の行き違いや手戻りが発生しやすいという課題があります。

その結果、不要な試作やエラー修正が増え、開発工数やコストが膨らんでしまうことも珍しくありません。設計者と解析担当者がスムーズに連携し、変更内容を即座に反映できる仕組みが求められています。

そこで注目されているのが、MSC Apex のような統合CAEプラットフォームです。CADデータを直接扱え、設計と解析を同じ環境で行えるため、試作回数の削減や設計品質の向上が期待できます。

本記事では、MSC ApexとCADを組み合わせて実現する設計と解析の一体化について、その仕組みやメリット、導入のポイントをわかりやすく解説します。これからの「設計者CAE時代」を見据え、ぜひ知っておきたい内容です。

2. MSC Apexとは?次世代の統合CAEプラットフォーム

引用:https://hexagon.com/ja/products/product-groups/computer-aided-engineering-software/msc-apex

MSC Apexは、従来の難解で複雑な操作が必要なCAEソフトとは一線を画す、使いやすさと高性能を兼ね備えた次世代の統合CAEプラットフォームです。
設計段階のCADモデルをそのまま取り込み、直接モデリングやメッシュ生成が可能なため、解析準備にかかる時間を大幅に短縮できます。

これまで解析は専門部署が担うことが多く、設計者は解析結果を待つしかありませんでした。MSC Apexを使えば、設計者自身が簡易的な解析を実施しながら形状を検討でき、設計と解析の間に生じるタイムロスや情報の食い違いを減らせます。

さらに、多様なCADフォーマットを直接読み込み可能なため、データ変換に伴う手間やエラーも最小限に抑えられます。モジュール構成も柔軟で、Apex StructuresやApex Transformなど、自社の業務に適した機能だけを導入することができ、段階的なアップグレードにも対応しています。これにより、設計から解析までの一体化がスムーズに実現し、試作回数やコスト削減にもつながります。

2.1. 直感的な操作性と高度な機能

MSC Apexの大きな特長のひとつが直感的な操作性です。
CADモデルを外部ソフトで編集する必要はなく、不要な穴やフィレットをMSC Apex内で素早く削除できます。こうしたダイレクトモデリング機能により、設計段階でのアイデア検証や、解析前の形状調整が短時間で行えます。

さらに、解析に欠かせないトポロジ修正やメッシュ自動生成も容易で、境界条件の設定手順もわかりやすくガイドされます。材料特性や荷重条件も、視覚的にわかりやすいインターフェースで入力できるため、解析の経験が浅い担当者でも操作を習得しやすいのが魅力です。

こうした使いやすさと高機能を兼ね備えたMSC Apexは、設計者と解析担当者の橋渡し役となるだけでなく、新人エンジニアの教育ツールとしても有効です。

2.2. CADとの高い親和性

MSC Apexは、Parasolid、STEP、IGESといった標準的なCADフォーマットはもちろん、主要CADソフトのネイティブデータも直接読み込むことができます。これにより、従来必要だったフォーマット変換作業をほぼ不要にし、データの欠落や形状崩れといった変換時のトラブルを防ぎます。

さらに、読み込んだCADモデルをそのままダイレクトモデリングで修正できるため、設計変更が発生しても即座に解析作業に移れます。メッシュ再作成や材料特性の再設定も多くの部分で自動化されており、繰り返しの修正作業を効率化します。

この高いCAD親和性は、設計と解析を並行して進める「設計者CAE」を推進するうえで非常に大きな武器となります。設計・解析間の情報連携を強化し、開発全体のリードタイム短縮にも直結します。

3. CADと解析の従来の流れとその課題

従来の開発現場では、まずCADツールを使って製品の形状モデルを作成し、その後解析ツールにデータを渡してCAE解析を行うという手順が一般的でした。
しかし、この方法では解析に進む前に中間ファイル形式への変換が必要となり、その過程で形状が崩れたり、寸法や属性情報が欠落したりすることがあります。これらの変換トラブルは、後工程の手戻りや作業遅延の原因となります。

さらに、解析を行うためには、モデルからフィレットや小さな穴など解析に不要な要素を削除するトポロジ修正が欠かせません。従来の手法では、この修正作業を解析担当者が行い、修正後のデータを再び設計部門に戻す必要がありました。設計変更が頻繁に発生する場合、このデータのやり取りが何度も繰り返され、膨大な時間と労力がかかります。

また、多くの企業では設計と解析が別部署で行われており、両者のコミュニケーションが十分に取れないケースも少なくありません。解析条件の設定が設計意図と食い違い、再度やり直しになることもあります。こうした情報の齟齬や作業の二度手間は、プロジェクト全体の効率を大きく下げ、納期の遅延やコスト増につながります。

このように、CADと解析を別々に運用する従来のやり方は、データ変換エラーの発生、頻発する手戻り、部門間連携の難しさといった課題を抱えています。これらの問題を解消し、設計と解析をシームレスに結びつけることが、開発現場における生産性向上の大きなカギとなるのです。

4. MSC Apex×CAD連携の具体的なメリット

引用:https://simcompanion.jp.hexagon.com/jpcustomers/s/article/MSC-Apex

MSC ApexとCADを連携させる最大の魅力は、設計と解析をシームレスに進められることです。
CADデータをそのまま読み込み、ダイレクトモデリングで修正し、同じ環境でメッシュ作成や解析条件の設定まで行えるため、これまで分断されていた工程をワンストップで処理できます。その結果、作業時間の短縮だけでなく、部門間の情報伝達やデータのやり取りに伴うロスも大幅に減らせます。

さらに、設計変更が発生しても、CADデータを改めてエクスポートする必要がなく、MSC Apex上で直接修正可能です。これにより、変更のたびに発生していたデータ再変換や設定のやり直しがほぼ不要になり、解析業務全体のスピードが飛躍的に向上します。

4.1. データ変換の手間削減

従来、CADデータをCAE解析に利用するには、STEPやIGESといった中間フォーマットへの変換が必要でした。しかし、この変換作業には形状の崩れやジオメトリ欠落といったトラブルがつきものです。変換後の修正に多くの工数を費やすケースも少なくありません。

MSC Apexは、主要CADフォーマットを直接読み込み可能なため、中間ファイルの作成や変換作業を大幅に省略できます。また、モデルのクリーンアップ機能を備えており、不要な形状や不完全な面を自動的に補正することが可能です。

この結果、データの整合性を高く保ちながら解析作業にすぐ移れるため、開発スピードの向上と変換ミスによるやり直しコストの削減が同時に実現できます。特に設計変更が頻発する製造現場では、この効果が顕著に表れます。

4.2. 解析前処理の高速化

CAE解析において、モデルを解析可能な状態に整える前処理作業は非常に重要です。
MSC Apexでは、ダイレクトモデリング機能により、解析に不要な穴やフィレットをインタラクティブに削除でき、必要な形状だけを素早く残せます。この直感的な操作により、トポロジ修正を含む前処理が大幅に短縮されます。

さらに、メッシュ自動生成機能が強化されており、要素サイズの調整や局所的な細分化も容易です。従来は時間を要していたメッシュの細かい調整がスムーズになり、設計案ごとのシミュレーション実行が効率的に行えます。

特に大規模アセンブリや複雑形状では、前処理作業の短縮効果は非常に大きく、開発全体のボトルネック解消にもつながります。

4.3. 設計と解析の同時進行の実現

MSC Apex×CAD連携の最大の利点は、設計と解析を同時に進められるワークフローを構築できる点です。
従来は試作を行って物理的な評価をしてから設計に反映していましたが、MSC Apexではデジタル環境で設計・解析・評価を短いサイクルで繰り返すことが可能です。

材料特性や境界条件の変更も簡単に行えるため、設計者が思いついたアイデアを即座に数値解析で検証できます。解析前処理のためにCAD部門へ何度もデータを戻す必要がなくなり、コミュニケーションロスが減少します。

この同時進行プロセスは、製品品質の向上だけでなく、開発期間の短縮とコスト削減を同時に実現します。特に自動車や航空機など高精度が求められる分野では、このアプローチが競争力強化の大きな要因となります。

5. 連携の基本フローと実践方法

MSC ApexとCADを効果的に連携させるためには、作業の流れを明確にし、各工程でのポイントを押さえることが重要です。基本的な流れは、モデルの準備 → メッシュ化と条件設定 → 解析と評価という3ステップで構成されます。
このプロセスを活用すれば、従来は複数のソフトや部門をまたいで行っていた工程をほぼワンストップで完結でき、全体の作業時間を大幅に短縮できます。特に大規模アセンブリの場合でも、Apex Structuresを使えば部品ごとに効率よく条件を割り当てられるため、複雑な解析でもスムーズに進められます。

5.1. CADモデルの読み込みとクリーンアップ

一般的に、CADソフトで作成されたモデルには、解析には不要な小さな穴やネジ山、装飾的な形状などが含まれています。これらの余計なフィーチャを残したままでは、メッシュ生成に時間がかかったり、解析の精度が低下したりする原因になります。

MSC Apexは、主要なCADデータを直接読み込めるため、中間変換を行わずに作業を開始できます。読み込み後は、まず自動チェック機能で幾何エラーや欠落した面を検出・補正します。その後、ダイレクトモデリングツールを使い、解析に不要な部分を素早く削除、あるいは単純な形状に置き換えます。

このクリーンアップ作業は、解析精度やメッシュ品質に直結するため非常に重要です。余分な形状を省くことで計算負荷を軽減でき、解析時間も短縮されます。ただし、製品によっては細部形状が性能に関わる場合もあるため、どの要素を省略し、どれを残すかを事前に判断することが欠かせません。

5.2. メッシュ作成と材料特性の設定

モデルのクリーンアップが終わったら、次はメッシュの作成に進みます。MSC Apexは高性能なメッシュ自動生成機能を備えており、全体の要素サイズを調整するだけでなく、特定箇所を細分化するローカル設定も簡単に行えます。これにより、解析精度と計算時間のバランスを最適化できます。

続いて材料特性や境界条件の設定を行います。操作画面から、どの部分を固定するか、どこに荷重をかけるかを視覚的に指定できるため、設計意図を反映しやすくなっています。さらに、ヤング率やポアソン比、密度などの物性値を正確に入力することで、解析結果の信頼性が高まります。

航空機部品の軽量化や自動車部品の強度評価など、高度な設計検証ではこの材料設定が設計方針そのものに影響します。MSC Apexは複数材料を扱うアセンブリにも対応しているため、実際の構造に近い条件で解析を行うことができます。設定が不十分だと誤った結果を導く危険があるため、関係者で情報を共有しながら慎重に進めることが重要です。

5.3. 解析実行と結果の確認

メッシュと材料設定が完了したら、いよいよ解析を実行します。MSC Apexは統合CAEプラットフォームとして、線形静解析、固有値解析、振動解析など多様な解析手法をサポートしています。解析を開始すると、計算結果が3Dビュー上に可視化され、応力分布、変位量、振動モードなどを直感的に確認できます。

得られた結果を基に、設計が要求性能を満たしているかを評価します。必要に応じて、形状や材料特性、境界条件を変更し、再度解析を実行します。このフィードバックサイクルを短時間で繰り返せる点が、MSC Apexの大きな強みです。

また、修正した形状情報はCADモデルにも反映させられるため、設計と解析のデータを常に同期した状態で維持できます。これにより、社内の設計部門・解析部門・製造部門が同じ情報を共有でき、製品開発の一貫性と効率が向上します。

6. 導入のポイントと注意点

MSC ApexとCAD連携を最大限に活用するためには、導入前の準備が非常に重要です。ここをおろそかにすると、せっかくのツールも本来の性能を発揮できず、効果が限定的になってしまいます。
特に押さえるべきなのは、ハードウェアやソフトウェアの適正環境を整えること、そして社内の運用体制や教育を事前に固めることです。この2つの準備が整えば、導入初期からスムーズに稼働し、現場での定着も早まります。

6.1. ハードウェアとソフトウェアの要件

MSC Apexは、高度なグラフィック処理と大規模な数値計算を同時に行うため、安定して動作させるには相応のハードウェア性能が必要です。公式では最低16GB以上のメモリが条件ですが、実務で快適に扱うためには32GB以上のメモリとOpenGL対応の高性能GPUが推奨されています。特に大規模なモデルを扱う場合や、解析を頻繁に繰り返す場合は、さらに余裕を持ったスペックを用意すると安心です。

CPU性能も重要ですが、CADやCAEの表示・処理速度はGPUやメモリ容量の影響を大きく受けます。そのため、グラフィックス性能に余裕のあるワークステーションを選定することが望ましいでしょう。

ソフトウェア面では、使用するCADソフトとのバージョン整合性やライセンス形態を事前に確認することが不可欠です。アップデートのタイミングが異なると、データ互換性に支障をきたす可能性があります。MSC Apex側では、解析対象や業務分野に応じて、Apex Structuresなどの適切なモジュールを選び、将来的な拡張を見据えてApex Transformなどの追加も計画しておくと良いでしょう。

さらに、オンプレミス環境で処理しきれないほどの大規模解析が想定される場合は、クラウド解析サービスの利用も選択肢になります。クラウドを併用すれば、大規模モデルでも社内PCの負荷を軽減し、解析時間の短縮につながります。

6.2. 社内ワークフローの整備とトレーニング

ハードウェアやソフトウェアの準備が整っても、社内の運用体制や教育が不十分だと導入効果は限定的になります。MSC Apex×CAD連携のメリットを最大化するためには、まず設計部門と解析部門の役割分担を明確化し、ワークフロー全体を可視化することが重要です。

導入初期は、全社展開よりも少数のプロジェクトで試験的に運用する方式が効果的です。小規模でのテスト運用により、実際の作業フローや改善点を洗い出し、その成果を社内に共有することで、他部門へのスムーズな展開が可能になります。例えば、「作業時間を何%短縮できたか」「手戻り件数がどれだけ減ったか」など、定量的な成果を示すと説得力が高まります。

教育面では、公式トレーニングやベンダーサポートを活用し、実際の業務データを使った演習を行うことが有効です。単なる機能説明ではなく、日常業務に直結する操作方法を学べる環境を整えることで、定着スピードが格段に上がります。また、新人や異動者向けに簡易マニュアルや社内チュートリアル動画を用意しておくと、長期的な運用にも有効です。

ワークフローと教育体制が整えば、設計・解析の同時進行が自然に定着し、開発効率の向上やコスト削減効果が長期的に持続します。これにより、MSC Apex導入は単なるツール刷新ではなく、組織全体の業務改善のきっかけとなります。

8. まとめ:MSC Apex×CADで変革を実現

MSC ApexとCADを組み合わせたワークフローは、これまで分断されがちだった設計と解析の工程をシームレスにつなぎます。従来のようにデータ変換や部門間のやり取りに多くの時間を費やす必要がなくなり、設計変更にも迅速に対応できるようになります。その結果、試作回数の削減、コストダウン、そして市場投入までの期間短縮といった具体的な効果が期待できます。

特に、MSC Apexのダイレクトモデリングや多様なCADフォーマット対応、高速なメッシュ生成といった機能は、現場の開発スピードを大きく押し上げます。設計者自身が解析を行い、その結果を即座に設計に反映できる環境は、これまでの「設計→解析→設計」という直線的な流れを、より柔軟で反復的なプロセスへと変えます。これは、製品の品質向上と開発効率化を同時に実現する、大きな強みです。

もちろん、こうした効果を最大限引き出すには、適切なハードウェア環境の準備や社内ワークフローの整備、そして担当者のスキル習得が欠かせません。導入前のトライアルや段階的な展開を通じて、現場が新しいプロセスに慣れ、活用方法を自分たちの業務に落とし込むことが重要です。

今後のものづくりは、スピードと柔軟性、そして精度がますます求められます。MSC Apex×CADの連携は、そのすべてを高いレベルで実現し、開発現場に新しい競争力をもたらすでしょう。設計と解析が一体となることで、企業はより高品質な製品をより早く市場へ届けることが可能になります。今こそ、設計・解析の統合プロセスを導入し、次の時代のものづくりへ踏み出すタイミングです。

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<参考文献>

MSC Software | Hexagon

https://hexagon.com/ja/company/divisions/manufacturing-intelligence/msc-software

MSC Apex 仮想製品開発のための統合CAE環境 | Hexagon

https://hexagon.com/ja/products/product-groups/computer-aided-engineering-software/msc-apex

[MSC Apex]MSC Apex の Windows11 対応について

https://simcompanion.jp.hexagon.com/jpcustomers/s/article/Apex-20240503-Apex-2024-1-Windows11

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