Civil 3DのJツールとは何?設定の方法や使い方を解説
JツールとはCivil 3Dで国内のプロジェクトの開発を行う際に欠かせない設定項目です。
この記事では設計基準の概要をはじめ世界の設計基準、Jツールの具体的な定義、設定方法などについてご紹介します。
設計基準とは
設計基準は、製品設計を行う際に一定の品質を維持するために欠かせません。
設計仕様を取り決めておくと、業務の合理化や効率化、費用の削減が図れます。
例えば、土木工事では、電子納品の運用ガイドラインやCAD製図基準、測量、地質・土質調査に関する運用ガイドラインに従い、発注者と受注者間の情報交換・共有が円滑に行われます。
また、施工期間中の発注者と受注者間の情報交換・共有については、情報共有システムの利用が原則です。
受注者はシステムに蓄積された工事帳票や図面・台帳等のデータをオンラインで納品します。
これにより、発注者は行政文書として適切に保管管理することができます。12*3
日本の土木工事では、設計基準に基づいた3DデータやBIMモデルを使用して、現況の地形や線形、縦断、横断図を作成します。
Autodesk Civil 3Dを用いると、これらの設計データを効率的に扱うことができ、標高や等高線、サーフェスの入力や変換が容易に行えます。
データ連携のためには、オープンなXMLフォーマットであるLandXMLや数値標高モデル(DEM)などのデータが利用されます。
建築や土木のプロジェクトに関する設計基準
設計基準は地域や国によって異なり、多くの国際的な基準が存在します。
ここでは、Civil 3Dで使われることも多い海外の設計基準について紹介します。
AASHTO
AASHTO(American Association of State Highway and Transportation Officials)は、全米州高速道路運輸協会が作成する交通にかかわる規格や仕様です。
AASHTOの基準は、航空、高速道路、公共交通機関、鉄道、水路の設計に広く採用されています。
USACE
USACE(United States Army Corps of Engineers)は、アメリカ陸軍工兵隊が策定する基準で、ダムや河川工事などのインフラプロジェクトに適用されます。
FAA
FAA(Federal Aviation Administration)は、アメリカの航空機関で、空港設計や航空路の基準を定めています。
UK DMRB
UK DMRB(Design Manual for Roads and Bridges)は、イギリスの道路や橋梁の設計基準です。交通の安全性や効率性を高めるための詳細なガイドラインが含まれています。
Eurocode
Eurocodeは、ヨーロッパ各国で統一された建設基準で、建築物や土木構造物の設計に使用されます。
JツールとはAutodesk Civil 3D 20xx 日本仕様プログラムのこと
Jツールは、Autodesk公認のCilvil3D向けアドインです。
Autodesk Civil 3Dにおいて、日本の設計基準に特化した設定が反映されたツールセットです。
2024年7月時点での最新バージョンは、Autodesk Civil 3D 2024 日本仕様プログラムです。
Jツールは1年ごとに更新されるのに加えて適宜アップデートされることがあります。
最新の情報は、Autodeskの Civil3Dの関連ページを確認しましょう。*4
Jツールは、テンプレートや設計基準、プログラム、サブアセンブリを含んでいて、国土交通省や北海道開発局、NEXCO向けのプロジェクトを開発する際に求められる基準が適用されます。
Jツールを適用すると国内の規格や法令に準拠した設計図面が作成できるため、一つひとつ設計基準を確認してプロパティを変更する手間が削減できます。
Jツールを使用することで、Civil 3Dの以下機能が国内基準で利用可能です。
- 表作成
- ツール
- ボーリング
- 道路中心線形データ
- 数値地図Reader
- i-Construction
- J-LandXML 読み込み
- 線形計算書
なお、各基準は、国土交通省のサイト56およびAutodeskのCIM / i-Constructionトレーニング教材*7で確認が可能です。
Civil 3DでJツールを利用しない場合の問題
Jツールを利用しない場合、日本の設計基準に合わせた手動修正が必要となり、作業時間が増える問題があります。
また、断面図の投影法が異なるため、日本人の考える設計図面とは異なるものが作成されることがあります。
Jツールの設定内容
Jツールの設定内容について、詳しく解説します。
テンプレート
Jツールには、日本の設計基準に基づいた各種テンプレートが含まれています。
これらのテンプレートは、道路、河川、下水道などの設計図面に対応して、平面図(旗揚げ)、縦断図(帯枠/旗揚げ)、画層、線種、フォント、レイアウトなどが設定されています。
注記・ラベル
Jツールを使用すると、図面内の注記やラベルがすべて日本語で表示されます。
これにより、国内の作業者にとって理解しやすい内容となり、コミュニケーションの効率が向上します。
注記やラベルには、標準的な表現やフォーマットが使用されており、日本の設計基準に従った情報が提供されます。
規制や法令
Jツールには、国土交通省などの公的機関が定める規制や法令に基づいた設定が含まれています。
これにより、設計図面が日本の法令に準拠したものとなり、法令違反を防ぐことができます。
例えば、国土交通省の指針に基づく測量データの取り込みと解析が簡単に行えるようになっています。
また、設計プロセスにおいて必要な各種チェック機能も備わっており、法令遵守をサポートします。
Jツールのこれらの設定により、日本の設計基準に基づいた高品質な図面作成が可能となり、プロジェクト全体の効率と精度が向上します。
Civil 3DにJツールを適用させる方法
Civil 3DにJツールを適用させる方法は、以下のとおりです。
ブラウザでAutodesk App Storeにアクセス
製品ストアからAutoCAD Civil 3D選択し、日本仕様を検索
Autodesk AutoCAD Civil 3D 202x 日本仕様プログラムを選択
Autodesk IDでサインインを行い、日本仕様プログラムのインストーラーをダウンロード
Civil 3Dの設定メニューからJツールを適用し、日本の設計基準に基づいた設定を有効にする
なお、Jツールがダウンロードできるのは、Autodesk Subscriptionを契約しているアカウントのみです。
また、Jツールを含むCivil 3Dの日本仕様プログラムは、Civil 3D日本語版に対してのみ導入可能です。
英語版など、言語の異なるCivil 3Dには導入できません。
Jツールを使ってプロジェクトを作成する方法
Jツールは、モデル空間で作業する際は、プロジェクトの新規作成時にあらかじめ適用しておく必要があります。
また、レイアウト空間で作業する場合もビューフレーム作成時に選択を行います。
プロジェクト開始時にJツールのテンプレートを選択し、各種設定を行います。
これにより、設計図面が日本の基準に沿った形式で自動的に生成されます。
まとめ
Civil 3Dを国内プロジェクト向けで利用する際には、Jツールの導入が不可欠です。
Jツールは、日本国内の設計基準や規格に準拠した設計図面を効率的に作成できます。
法令順守、作業効率の向上、高品質な成果物の提供が可能となり、手動での修正作業を減らすことができます。
建築・土木業向け BIM/CIMの導入方法から活用までがトータルで理解できる ホワイトペーパー配布中!
❶BIM/CIMの概要と重要性
❷BIM/CIM導入までの流れ
❸BIM/CIM導入でよくある失敗と課題
❹BIM活用を進めるためのポイント
についてまとめたホワイトペーパーを配布中
参考URL
*1 https://www.cals-ed.go.jp/cri_guideline/
*2 https://www.mlit.go.jp/gobuild/gobuild_tk2_000017.html
*3 https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001733667.pdf
*5 https://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000037.html
*6 https://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/spec_cons_new.html