業種特化のツールセットを備えた「AutoCAD Plus」の魅力とは
Autodesk社が提供するCADソフトのAutoCADは、以前よりハイエンドな製品として、世界中の企業で活躍してきました。2021年、新たに「AutoCAD Plus」と呼ばれるプランが登場したことで、業種特化のツールセットを利用できるようになっています。
この記事では、そんな業種ごとに最適化されたツールセットを備えるAutoCAD Plusの概要や、ツールセットの効果について、解説します。
目次:
- AutoCADとは
- AutoCAD Plusの概要
- 業種特化のツールセットについて
- ツールセット活用のメリット
- ツールセット以外に注目したい最新AutoCADの魅力
AutoCADとは
AutoCADは、Autodesk社が提供する2D・3D対応のCADソフトです。AutoCADの登場は40年以上も前に遡りますが、定期的なアップデートを重ね、現代においても最高品質のCAD製品として高い評価を集めています。
AutoCADはAutodesk社の製品群の一つということもあり、ほかのAutodesk製品との連携にも優れているのが特徴です。RevitのようなBIMソフトと組み合わせることで、効率的な設計業務を推進することができます。
AutoCAD Plusの概要
2021年、新たにAutoCAD製品として発表されたシリーズが、AutoCAD Plusです。AutoCAD Plusは通常のAutoCADの廉価版であるAutoCAD LT廃止とともに登場した製品で、いわゆるAutoCADのアップグレード版として登場しました。
AutoCAD Plusの第一の特徴は、その価格です。AutoCAD PlusはAutoCADの上位互換という位置付けでありながら、従来のAutoCADと同じ価格で利用することができます*1。また、従来のAutoCAD LTが廃止された代わりに、AutoCAD LTと同じ価格で通常版のAutoCADが利用できるようになったのも大きな変化です。つまり、これまでAutoCADを利用し続けてきたユーザーは、実質AutoCAD Plusへ無料アップグレードが可能となりました。
業種特化のツールセットについて
これまでのAutoCADになかった特徴として、AutoCAD Plusでは新たに業種特化のツールセットが使えるようになった点が挙げられます。CADソフトはさまざまな業界で活躍していますが、業界ごとに異なる機能が必要になるケースも珍しくありません。
AutoCAD Plusは、そんな業種別のニーズに細かく対応すべく、計7つのツールを別個に用意しています。各種ツールは、
- AutoCAD Architect
- AutoCAD Mechanical
- AutoCAD Electorical
- AutoCAD Map 3D
- AutoCAD Raster Design
- AutoCAD Plant 3D
- AutoCAD MEP
というカテゴリで分けられており、用途に応じて自由にツールセットを活用可能です。例えばAutoCAD Architectは建築向けのツールセットで、建築図面のための二次元製図機能などが搭載されています。AutoCAD Mechanicalは機械関連のプロダクトデザインに活用でき、建築図面向けとは異なるツールが実装されているのが特徴です。
他にもAutoCAD Electoricalは電気設備、AutoCAD Map 3Dは土木、AutoCAD Plant 3Dはプラント設計と、あらゆるCAD業務にこれ一台で対応できる汎用性の高さを備えます。
ツールセット活用のメリット
AutoCAD Plusのツールセットを活用する最大のメリットは、凡庸なCADソフトを使用するよりも業種ごとの細かなニーズに対応しているため、業務効率化に大きく貢献する点です。
従来の通常版のAutoCADと比較しても、業種別のツールセットを使ったほうがはるかに高い導入効果を発揮することがわかっており、最大で95%も作業時間が短縮されるなどの効果が期待できます*2。
例えばAutoCAD Architectを建築設計業務に採用した場合、平面図の作成時間は従来に比べ50%の削減が、立面図の作成に至っては75%の削減が可能ということです*3。
また、単なる作業効率の向上だけでなく、作業に伴うエラー率の低下にも貢献するのがツールセットの強みです。AutoCAD Mechanicalを業務に実装した場合、製作図の作成にかかる時間が大幅に短縮されるのはもちろん、標準化された機能と標準仕様の部品利用を促し、エラー率の低下に繋がります*4。
ツールセット以外に注目したいAutoCAD Plusの魅力
このように、AutoCAD Plusは業種別ツールセットをフル活用できる点が高く評価されていますが、それ以外においても正統な進化を遂げていることに注目したいところです。
AutoCADは2Dと3Dの両方に対応するCADソフトであるのはもちろん、設計フローが高度に自動化・効率化されている点は見逃せません。AutoCAD LT時代に比べ、最大で7.1倍の速さで設計を完了させられる利便性はもちろん、データ抽出の自動化を実施し、手作業に比べて最大93%の時間短縮も可能ということです*5。
また、OSに依存しないマルチプラットフォーム仕様となっているため、関係者同士の情報共有や協業においても支障をきたしません。ほかのAutodesk製品との互換性にも優れ、あらゆる関係者がコラボレーションしやすい環境づくりに役立ちます。
AutoCADはポピュラーなCADソフトということもあり、API連携機能を使ったサードパーティアプリの利用が柔軟に行える点も見逃せません。痒い所に手が届く、自社に必要だったニッチな需要にも、応えてもらえる可能性が高いCAD製品です。
まとめ
この記事では、AutoCAD Plusが有する業種特化のツールセットや、AutoCADのポテンシャルについて解説しました。業種別ツールセットは高い利便性を有しており、多くの業界で確かな導入効果を発揮することが期待されます。
AutoCAD本体もアップグレードを繰り返し、ハイエンドなパフォーマンスを発揮する製品として活躍しています。CAD製品の導入や乗り換えを検討している場合、有力な候補となってくれるでしょう。
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参考:
*1 BUILT「生まれ変わった「AutoCAD」、価格据え置きで“7つの業種別ツールセット”が利用可能に」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2105/10/news045.html
*2 Autodesk「AUTOCAD の業種別ツールセットで作業をスピードアップ」
https://www.autodesk.co.jp/campaigns/autocad-productivity
*3 上に同じ
*4 上に同じ
*5 BUILT「生まれ変わった「AutoCAD」、価格据え置きで“7つの業種別ツールセット”が利用可能に」p.2
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2105/10/news045.html