<BricsCAD製品解説シリーズ>BricsCAD Proとは?機能・価格・導入メリットを完全ガイド
1. はじめに:BricsCAD Proの注目ポイント

・CADソフトウェア – 2D&3D CAD – Bricsys®
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CADソフトの世界では、高度な設計機能を持ちながらコスト面でも優れた選択肢が増えてきています。特に大手企業のみならず、中小規模の設計事務所やメーカーなど、幅広い現場で「既存の仕組みを維持しつつも作業効率を高めたい」というニーズが高まっているのです。
このような背景の中で注目されるのが「BricsCAD Pro」です。BricsCAD Proは2D図面作成と3Dモデリングの両方をひとつのソフトウェアで扱えるうえ、AutoCADと操作方法が類似しているため、移行のハードルを下げられる点が大きな特徴といえます。
本記事では、BricsCAD Proの機能や価格、実際の導入メリット・デメリット、さらにAutoCAD比較の視点も交えて解説します。特に機械設計技術者、あるいは製品設計に携わる方が、BricsCAD Proの導入を検討する際に役立つ情報をまとめています。
まずは大まかな特徴や注目ポイントを押さえておきましょう。BricsCAD Proがどのように作業効率を高められるのか、またコストパフォーマンスを重視する場合にどのようなメリットがあるのか、本記事を通じて理解を深めていただけます。
2. BricsCAD Proの基本情報
BricsCAD Proはベルギー発祥のBricsys社(現在はHexagonグループの一員)が開発・提供しているCADソフトウェアです。2D設計と3Dモデリングの両方を行える汎用性に加え、AutoCADとの互換性を高水準で実現している点が注目されます。特に「BricsCAD Pro 機能」の豊富さや、既存のdwgファイルをそのまま流用できる便利さ、そしてコスト構造が魅力といえるでしょう。
メーカー勤務の機械設計技術者をはじめ、建築、設備、土木などさまざまな分野でも利用されています。実際に導入している企業の声を聞くと、複数のライセンスを一挙に調達しても他社製CADより価格を抑えられる場合があることや、操作性の面でも習得しやすいことから、チーム全体の移行ストレスが少ないようです。
ここではBricsCAD Proとはそもそも何なのか、そして主要機能にはどのようなものがあるのかを見ていきます。あわせて利用されるユーザー層や適用分野を知ることで、導入後の作業イメージをより具体的に描けるようになるでしょう。
BricsCAD Proがどのように進化してきたのかも興味深いポイントです。多くのバージョンアップを繰り返すことで、AutoCADと変わらないほどの操作性に加え、独自のAI機能やLISPなどの高度なカスタマイズ機能を搭載し、よりスムーズな設計作業をサポートしています。
2.1. BricsCAD Proとは何か?
BricsCAD Proは、世界的に利用されているCADソフトの一つで、「BricsCAD」シリーズの中核を担うエディションとして位置づけられています。2Dと3Dの両方に対応しているため、機械部品の詳細図面から建築の3Dモデルまで多様な作図をこなせるのが大きな特徴です。
特に、BricsCAD ProはAutoCAD互換性の高さが強調されています。dwg形式への完全対応とコマンド体系の類似性により、AutoCADユーザーが大きな学習コストをかけずに移行しやすい仕組みが整っているのです。
また「BricsCAD Pro LISP」やスクリプトによるカスタマイズにも対応しているので、機械設計技術者が独自に作り上げたCAD環境をそのまま再現しやすいのもポイントです。AutoCADの習慣を踏襲しながら、新しい機能を導入できる柔軟性がBricsCAD Proの基本的な考え方として根付いています。
大手CADに比べると知名度はやや控えめですが、海外ユーザーの導入実績や事例は豊富にあり、日本国内でも徐々に認知度が高まっている状況です。
2.2. BricsCAD Proの主要機能
BricsCAD Proの強みは2D作図と3Dモデリングの融合です。2Dの図面上で設計していた対象をワンクリックで3D化できるなど、同一ソフト上で作業を連続的に行えるメリットは大きいでしょう。さらにAutoCADと同じコマンドを使えるため、操作性の面でも移行をスムーズに進められます。
またBricsCAD Proの機能の中核を担うのがカスタマイズ機能です。LISPだけでなく、VBAや.NETにも対応しており、ユーザー独自の作業フローを自動化できます。長年AutoCADで蓄積してきたマクロやスクリプト資産を移行可能にすることで、企業全体の作業現場を大きく変えずに新しい環境へ乗り換えられることが強みです。
加えて2Dのための製図ツール、3Dモデリング機能、さらにはBIMオプションへの拡張性などBricsCAD Proの業界対応を見据えたラインナップも見逃せません。ジャンルを問わず、機械、建築、設備など多彩な業務に応じた機能拡張も狙えるのです。
ファイル互換性の高さも大切な要素です。BricsCAD Proの対応ファイルとして、dwgやdxfといった業界標準の形式に加え、BIMワークフロー向けのIFCファイルなども扱うことができ、多様なCAD環境と連携を図りやすい点が魅力といえます。
2.3. BricsCAD Proのユーザー層と適用分野
BricsCAD Proは、AutoCAD互換性が高くかつ価格を抑えられる定番の中価格帯以上のCADソフトとして、幅広いユーザー層に支持されています。特に機械設計技術者の方々にとっては、3Dモデルの構築やLISPによる自動処理が大いに役立つでしょう。
さらに建築分野でも2Dだけでなく3Dを扱いたいユーザーが多いため、導入メリットを感じているケースが増えています。BricsCAD Pro BIMライセンスへのアップグレードによって建築情報モデル(BIM)を扱うことも可能となり、長期的にみても柔軟な展開ができる環境といえます。
また、自動車部品メーカーなどの製造業でもBricsCAD Pro Mechanicalエディションを組み合わせることで、製品開発や検証に強化された3Dツールを活用できます。このように、BricsCAD Proは単なる2D図面作成だけではなく、多様な設計ニーズに応じて段階的に機能を拡張できる奥行きがあります。
中小規模の事業者だけでなく、大企業でも試験導入される例が増えています。とりわけBricsCAD Pro 買い切りBricsCAD Pro サブスクリプションBricsCAD Pro メンテナンス契約などライセンス形態が豊富な点から、企業ごとの方針に合わせた契約を取りやすいのが魅力です。
3. BricsCAD Proの詳細機能解説
BricsCAD Proでは、ユーザーが日常的に使いやすいよう、多様な機能が連携して作動する設計がなされています。特に2Dと3Dの統合機能やカスタマイズ性、そしてAutoCADユーザーを意識した互換性の面で多くの工夫が見られます。
ここではBricsCAD Proの使い方をよりイメージしやすくするために、3つの主要ポイント、すなわち2D設計と3Dモデリングの統合、LISPとカスタマイズ機能、AutoCADとの互換性について詳しく解説していきます。
細かい機能の違いやユニークなポイントを知れば、実際の業務フローに適用した際のイメージがつかみやすくなります。また、既存の設備や業界特有の規格を扱う場合にも柔軟な対応が可能かどうかを判断できるようになるでしょう。
次の小見出しでは、これらのポイントを順を追って確認します。設計者が知っておくと役立つ操作のヒントも併せて取り上げていきます。
3.1. 2D設計と3Dモデリングの統合
BricsCAD Proが提供する大きな特徴として、「2D図面と3Dモデルを同じインターフェースで管理できる」点が挙げられます。一般的に、先に2D図面を作成し、その後で3Dパーツやアセンブリへの移行を別ソフトで行う場合が多いですが、BricsCAD Proならひとつのツール上でシームレスに作業が行えます。
例えば、機械設計の現場で平面図と各種寸法を素早く仕上げたいとき、BricsCAD Proの2D製図機能が役立ちます。その後、協力会社やほかの部門から「立体構造のシミュレーションが見たい」と依頼があった場合、3Dモデリング機能で同一データをそのまま3Dへ変換し、余計なファイル変換やデータ再作成といった手間を省けるのです。
この一元化によってBricsCAD Pro 2D 3Dを連続的に扱うメリットは非常に大きいです。スピーディーな形状確認と修正が可能となり、製品の試作段階や検証段階での時間短縮にも貢献します。また、拡張機能によっては点群データやスキャンデータを取り込むことも可能で、より正確なモデリングを行う応用手段が得られます。
操作自体はAutoCADに近い感覚で使えるため、3D作業に不慣れなエンジニアでも比較的スムーズに学習を進めやすいです。このように、2Dと3Dを一貫して管理できる点が、BricsCAD Proの利便性を高める大きな要素となっています。
3.2. LISPとカスタマイズ機能
BricsCAD ProはLISPやVisual Basic、そして.NETを使ったカスタマイズをサポートしています。これは「BricsCAD Pro カスタマイズ」に強い期待を寄せるユーザーにとって大きな魅力でしょう。長年の実務で蓄積されたAutoCAD向けのカスタムツールやスクリプトなどをそのまま活かしやすい設計方針だからです。
プログラミングやスクリプトにより、設計作業の一部を自動化することができます。例えば繰り返し配置が必要なパーツを自動生成する、あるいは特定条件下で一括寸法表示を行うなど、現場特有のニーズに合わせて作業効率を格段に上げることができるでしょう。
こうしたカスタマイズ機能は企業にとっても大きな意味を持ちます。たとえ他のCADソフトに比べて若干知名度が低いとしても、実行できる機能に遜色がなければ十分に検討する価値があります。しかもBricsCAD Pro LISP対応は学習コストの低減にも繋がるため、チーム全体が従来から使ってきたカスタムルーチンをほぼそのまま引き継いでいる点が導入の敷居を下げる要因となっています。
実際には、利用開始後にさらに必要なツールを自社内で開発して機能追加する例も少なくありません。結果的にBricsCAD Proの使い方が組織独自の業務フローと強く結びついていくことで、長期的な設計効率の向上とコスト削減が見込めます。
3.3. AutoCADとの互換性
BricsCAD Proが注目される理由のひとつに、AutoCADファイルとの高い互換性が挙げられます。BricsCAD Pro データ移行のしやすさは、実際に導入を検討する企業にとって非常に重要なポイントです。dwg形式の図面をほぼそのまま開き、編集し、保存まで行えるため、既存の資産を無駄にすることなく移行が行えます。
操作体系もAutoCADに近いため、BricsCAD Pro UIやBricsCAD Pro 操作性に関しても大きく異なる部分は少なく、機械設計でも頻繁に使用するコンストレイントや寸法コマンドなども類似した手順で扱えます。基本コマンドさえAutoCADに通じていれば、BricsCAD Proでも迷いなく使える場面が多いでしょう。
さらにAutoLISPやツールパレットといったカスタム機能のスムーズな移行は、多くの企業が抱えるソフトウェア変革時の負担を軽減します。レイアウトに含まれる線種や寸法スタイル、ブロックの扱いなども問題なく読み込めるので、過去の設計資料を細かく修正する手間を極力避けられるのです。
ただし、AutoCAD最大手のAutodesk製ツール群とのクラウド連携などはBricsCAD側にまだ成熟しきっていない部分が残るため、そこは利用目的に合わせて注意が必要です。それでも図面互換性という核となる部分は十分にカバーされているため、新規導入でAutoCADの縛りに悩む企業ほどBricsCAD Proの検討を強く推奨できます。
4. AutoCADとの比較
BricsCAD ProはCAD市場のなかでもAutoCADとの比較検討が頻繁に行われるソフトウェアです。どちらもdwg形式がメインとなるため、ファイルの取り回しや操作性が似通っているのが大きな特徴です。ここでは価格面、操作性、データ互換性という3点に焦点を当てて見てみましょう。
「AutoCAD 比較」というポイントだけで判断するのではなく、自社内でどの程度のカスタマイズが必要か、何人規模で使うか、今後BIM機能への切り替えがあるかなど、複合的に考えると判断ミスを避けやすくなります。
以下の小見出しで、価格とライセンス形態、操作性、互換性の3つをさらに深く解説します。自分の業務環境に合わせて、どちらに優位性があるのかを把握することが重要です。
BricsCAD Proは特に導入コストを大きく抑えられる一方で、Autodeskが保有する周辺ソフト連携には及ばない部分もあります。このバランスをどうとるかが検討のポイントになるでしょう。
4.1. 価格とライセンス形態の違い
AutoCADは基本的にサブスクリプション方式一本で提供されており、年間コストがかかる仕組みになっています。それに対し、BricsCAD ProはBricsCAD Pro 買い切り、BricsCAD Pro サブスクリプション、BricsCAD Pro ネットワークライセンスなど、多彩なライセンス形態が用意されているのが特徴です。
サブスクリプション形式を選択して年単位で更新する方法もあり、あまり頻繁にソフトを使わない現場やプロジェクト単位で使用するケースに向いています。この柔軟さによって、企業規模やプロジェクト状況にあったコスト管理ができます。
大手メーカーなどでは複数ライセンスをまとめて導入することもしばしばですが、AutoCADのサブスクリプションを人数分そろえると非常に高額になってしまいやすいです。その点で、BricsCAD Proは初期投資額と維持費の両方を抑えやすく、組織としての予算計画を立てやすいという長所があります。
| 製品エディション | ライセンス形態 | 主要価格(日本国内) |
| BricsCAD Pro | サブスクリプション(1年) | 60,000 円(税抜き) |
| サブスクリプション(3年) | 162,000円(税抜き) | |
| 永久ライセンス(買い切り) | 143,000 円(税抜き) |
<参考>・CADソフトウェア – 2D/3D CAD – Bricsys®
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4.2. 操作性とユーザーインターフェース
AutoCADユーザーにとって、UIやコマンド体系が大きく変わると作業効率が低下し、学習期間が必要になります。しかしBricsCAD Proは「BricsCAD Pro UI」および各種コマンド類がAutoCADに近い設計となっており、現場で使う機能の多くを似たフローで行えると評価されています。
実際、画面レイアウトやツールバーの配置、ショートカットキーの使い方なども違和感が少ないため、移行初期でも操作自体にストレスを感じにくいといわれています。これはBricsCAD Pro 学習コストを大きく削減する上でとても重要な要素でしょう。
もちろん細部には独自の調整や仕様もありますから、まったく同じというわけではありません。例えば「Quadカーソル」という独特の操作支援機能を使うときは多少の慣れが必要です。しかし総合的にはAutoCAD利用経験者であれば短期間で慣れやすいと考えられます。
一方で、完全にAutoCADと同じUIにはならない部分もあるため、外部プラグインとの連携やAutodesk独自サービスへのアクセスなどは考慮が必要です。それでも日常業務の操作性という点では大きな問題なく移行できるケースがほとんどです。
4.3. ファイル形式とデータ互換性
AutoCADはdwg形式の本家ともいえる存在で、世界中で広く使われているため競合CADソフトは互換性を求められます。BricsCAD Proの場合、BricsCAD Pro 対応ファイルとしてdwgやdxfをフルサポートしながら、レイアウトやブロック、寸法スタイルといった細かい要素まで破損なく再現できるように最適化されています。
過去に作成したAutoCADの図面資産を流用し、同じように拡張子dwgで保存して共有できるので、協力会社や他部門とのデータやりとりもスムーズです。こうしたBricsCAD Pro データ移行の円滑さは、ソフト切り替えに対する抵抗感を大幅に減らす要因となるでしょう。
ただしAutoCAD特有のカスタマイズ、たとえば専用のAPIを使った独自開発ツールや、高度な3Dパラメトリック機能などを細部まで完全に再現するには追加の調整が必要になる場合があります。またAutodesk製のクラウド連動機能(BIM 360やFusion 360)などは直接は使えないため、社内でそこまでの連携を必要とするなら評価が必要です。
それでも多くの一般的な図面作成と共有に関してはほぼ問題なく利用できるため、企業が過去に蓄積した図面データを無駄なく活用できる点は大きなメリットだといえるでしょう。
5. BricsCAD Proの導入メリットとデメリット

BricsCAD Proの導入によって、多くの企業がコスト削減や作業効率アップを実感しています。しかし、すべてのケースで完璧な選択肢になるわけではありません。ここでは導入のメリットとデメリットを整理し、検討材料を明確にしましょう。
まずは機械設計者や建築設計者などがどのような点でBricsCAD Proを評価しているのかを確認します。そのうえで、逆に導入に対して慎重にならざるを得ない要因についても触れます。
メリット・デメリットの両面を把握することで、自社や自分の業務に合致するかどうかをより正確に見極められます。
5.1. 導入のメリット
1つ目のメリットはBricsCAD Proの導入コストが抑えられる点です。AutoCADと比較すると、買い切りライセンスやサブスクリプションプランを選択できるため、予算計画に合わせた導入が可能となります。特に長期利用の視点から見ると、サブスクリプション費用や保守費用を抑えやすいのが利点です。
2つ目はAutoCADとの高い互換性です。dwg形式における図面レイアウトやブロック、寸法情報などが正しく読み書きできることで、既存データをそのまま使えるのが大きな価値となっています。さらに「BricsCAD Pro カスタマイズ」機能も充実しているため、既存のLISPルーチンや独自マクロを移行しやすいのも強みでしょう。
3つ目に挙げられるのはBricsCAD Proの2D、3Dをシームレスに扱える点です。2Dから3Dへ、3Dモデルから再び2Dの図面生成へと、ソフトを切り替えずに進行できるので、設計工程の高速化とミスの低減に寄与します。
最後に、ユーザーインターフェースの面でBricsCAD Pro の操作性がAutoCADに近いため、導入初期の学習コストを抑えやすいというメリットも挙げられます。これによってチーム全体が短期間でブラッシュアップしながら運用に移行できる点も重要な要素です。
5.2. 検討すべきデメリット
とはいえ、BricsCAD Proにも注意点があります。まず、Autodesk独自のクラウドプラットフォームとの連携がないため、AutoCADユーザーが使っているクラウドストレージやコラボレーション機能をそのまま引き継ぐことはできません。これが業務フローに大きく組み込まれている場合には検討が必要でしょう。
さらに、国内でのユーザー数がAutoCADほど多くないためBricsCAD Proのチュートリアルや学習教材、各種プラグインの日本語資料がまだ十分に充実しきっていない側面もあります。もちろん少しずつ増加傾向にはありますが、トラブルシュートが必要な場合には英語情報を探す機会が多いかもしれません。
また専門特化したカスタムプラグインの比較では、Autodesk製ツールのほうが幅広い選択肢があるケースもあります。特にBIM分野でのデータ連動や、大規模シミュレーション機能などが業務上必須の場合は、BricsCAD Pro導入前に機能面でのチェックが欠かせません。
それでも、基本的な2D〜3D設計や汎用的なプラグイン実装は十分にこなせます。要は企業規模や設計範囲、そしてチームの優先事項がどこにあるかを明確にしたうえで、導入メリットとトレードオフを計りにかけることが重要です。
6. ユーザーレビュー
実際のユーザーがどのような目的でBricsCAD Proを採用し、どんな成果を上げているのかを知ると、ご自身の業務との親和性をより具体的にイメージできるでしょう。
中にはBricsCAD Pro の使い方を工夫することで設計時間を大幅に短縮したり、AutoCADのライセンス更新費用を見直すきっかけになったりと、プラスの変化を生み出した企業も多くあります。
また、ユーザーによるリアルな評価は、今後BricsCAD Proを導入する際の留意点を理解するうえでも重要です。次の小見出しで、具体的な導入事例とレビューを見ていきましょう。
6.1. ユーザーの声と評価
ユーザーからは「AutoCADからの移行が思ったより簡単だった」という声や、「LISPの移行がスムーズにできて作業の連続性を保てた」などの感想がよく聞かれます。一方で「BricsCAD Pro チュートリアル」や日本語のサポート情報がもう少し充実してほしいとの意見も少なくありません。
それでも、Web上で展開されているフォーラムやユーザーコミュニティは徐々に発展している様子です。必要なときに海外事例を参考にしながら進められるエンジニアや、多少の英語での問い合わせが可能な企業にとっては大きな壁にはならないとのことです。また、「BricsCAD Pro サポート」体制については、代理店や国内の販売パートナーが増えてきたことも手伝い、問い合わせ対応が改善されつつあるという意見も見られます。
導入検討時にはこうした「実際の体験談」を参考にすると、より具体的なメリットや潜在的なリスクをイメージしやすくなるでしょう。特に社内でAutoCAD利用者が多い場合は、移行への抵抗感や疑問点が出やすいため、ユーザーの声をもとに導入後の運用体制をイメージしておくことが重要です。
結局のところ、多くのユーザーが口を揃えて魅力と語るのは「コストパフォーマンス」と「AutoCADとの互換性」の二点に集約されるようです。
7. 価格情報と購入オプション
ここではBricsCAD Proの価格にまつわる具体的な情報や、購入時に検討すべきオプションについて解説します。CADソフトは維持費がかさみやすい設備投資のひとつですから、この部分は予算管理や経営判断にも大きく影響を与えるでしょう。
BricsCAD Proは固定費を抑えたい企業や、プロジェクト単位での導入を検討する個人事業主など、さまざまなユーザー層に合ったオプションが用意されています。ここで挙げるポイントを参考に、導入後じっくり使い続けるのか、あるいは短期的に導入するのか、事前に方針を決めるとスムーズです。
さらにライセンス形態だけでなく、サポートやアップグレードに関する費用計画も要チェックです。最新バージョンの機能をどのタイミングで取り込むか、メンテナンス契約をどう組むかは今後の運用を左右します。
7.1. ライセンス形態と価格
BricsCAD Proの価格帯はAutoCADに比べるとかなり抑えめとされます。買い切りタイプの場合は初期にある程度まとまった金額が必要ですが、それ以降はソフト自体の利用コストを大きくセーブできるメリットがあります。
またBricsCAD Proのサブスクリプション方式を選ぶと、定額で常に最新バージョンを利用でき、サポートやアップデートが付帯する場合が多いです。短期的なプロジェクトや期間限定のチーム編成が多い職場なら、柔軟にライセンスを追加・解約できるので便利です。
企業規模が大きい場合、ネットワークライセンスを取得するのもひとつの手です。BricsCAD Pro ネットワークライセンスを導入すれば、同時に使える数だけライセンスを用意しておき、未使用のタイミングで別の社員がそのライセンスを利用できるようになり、無駄なライセンス数を減らせます。
いずれにしても、導入時点で必要となる初期費用だけでなく、メンテナンス契約の更新料や人員増加に合わせてライセンスを追加する場合のコストなど、長期的なスパンで試算することが重要です。
7.2. 購入前に確認すべきポイント
- 1つ目はBricsCAD Proのサポートの体制や対応言語です。代理店やリセラーが提供するサポート窓口がどの程度整備されているか、急なトラブル時に日本語対応が得られるかどうかは、運用上の安心感に直結します。
- 2つ目は、追加モジュールや拡張ライセンスの利用計画です。BricsCADにはBIMやMechanicalなど専門性の高いエディションがあり、必要に応じてアップグレードや追加購入が可能です。今後、業務範囲が拡大する可能性があるなら、エディション強化の方針も含めて検討したほうがいいでしょう。
- 3つ目は、既存のCAD運用環境との相性です。社内でAutoCADを中心にプラグインを構築している場合、どこまで移行できるか、データ混在は可能かなど、設計フローをできるだけ継続できるかを事前に調査すると失敗を防ぎやすくなります。
- 4つ目として、買い切りかサブスクリプションか、といった支払い方法のメリット・デメリットを比較し、将来的なライセンス台数拡張の可否やメンテナンスコストも含めて試算しましょう。これらを事前に押さえることで、後々の運用トラブルを回避できるはずです。
8. まとめ:なぜBricsCAD Proが選ばれるのか
以上、BricsCAD Proの注目ポイントから主要機能、AutoCAD比較、導入メリット・デメリット、そして実際の導入事例や価格情報までを整理してきました。特にポイントとなるのは、「Autodesk製品とほぼ同等の操作性・ファイル互換性を保ちつつ、ライセンスコストを抑えられる」という点です。
機械設計の現場であっても、複雑な2D〜3D作図、さらにLISPを使ったカスタマイズなど多彩な面で活用できるため、現行の作業フローを崩すことなく作業効率を上げられる可能性が高いといえます。また、AutoCADに慣れた技術者が多い職場であっても移行しやすいため、社内の混乱を最小限にとどめつつ、新しいCAD環境へステップアップすることが期待できます。
一方で、アドオンやチュートリアルの情報量、Autodesk系クラウドサービスとの連携など、いくつかの制約や注意点もあります。しかし、国内代理店の増加やコミュニティ拡充が進みつつある状況を考慮すれば、今後さらに選択肢としての価値が増す可能性も大いにありそうです。
最終的には、自社の設計作業の性質や予算、これから拡張する業務領域などを総合的に見極めて判断することが重要です。BricsCAD Proを活用することで、コストパフォーマンスと十分なCAD機能を両立しながら設計力の底上げを図れるでしょう。
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<参考文献>
・CADソフトウェア – 2D/3D CAD – Bricsys®
https://www.bricsys.com/ja-jp?srsltid=AfmBOorFg5OsuBJOYd9cM9hWVLm94vw4iz2718e4WMqNNhdZTXZUG4fZ





