「iPhoneの顔認証」が話題になるほど、スマートフォンに新たなイノベーションは起きていない。
iPhone8には、新たな認証方式である「顔認証」が導入されるのではないかと、大手メディア各社が報じています。
ベゼルレスデザインになって、更に画面が広がるとともに、ボタンもなくして、より洗練されたデザインになるのでしょう。
現実味増すiPhone 8の「顔認証」導入 特許資料で見えた新事実
AppleInsiderはアップルが米国特許商標庁に「顔認証によるモバイル端末のロックとロック解除」と題した特許申請を出願したことを突き止めた。「この機能は端末のフロントカメラがユーザーの顔を認識し、持ち主の顔であると判別した場合にロックを解除する。一定期間、操作が行われない場合や、カメラがユーザーを認識できない場合は端末がロックされる。また、ロック解除に際しては、暗証番号やタッチIDによる認証は不要になる」という。
アップルの今回の特許申請は、2012年に同社が申請し、2015年に特許認定を受けた技術の継承版であることが記されている。つまり、この技術はアップルが長い時間をかけて微調整を重ねてきたものなのだ。
アップルは今年2月に顔認証ログイン技術を手がけるイスラエルのスタートアップ企業Realfaceを買収しており、このテクノロジーにさらに磨きをかけようとしている。
でも……。
いやね、もちろんいいんですよ。顔認証。
新技術だし。興味もあります。
仮に実装されれば、iPhone8は手に取っただけでアンロックされて、もはや「指紋認証?なにそれおいしいの?」状態になることは間違いないでしょう。
暗いところではどうすんの?
とか
マスクしてたらアンロック無理じゃん
とか
写真でアンロックされちゃうじゃない(現行機種で実装されているサムスンのGaraxy S8は、写真でアンロックされてしまうそうです。合掌。http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1704/03/news051.html)
とか、顔認証にまつわるいろいろな話があって、話題としてもいいと思います。
でもね、最新鋭のスマートフォンの話題が「顔認証」って、アンタ。
どうなんでしょう。
正直に言うと、「アンロックの方式」なんて、指紋認証が出てきた時点でもうお腹いっぱい。これ以上スマートにする必要性もあまりない。
それなのにAppleは、顔認証の技術を持つベンチャーを買収してまで、この技術を実装しようとしています。
いえ、回りくどい言い方はやめましょう。
「Apple、ネタ不足なんですね。」
これが素直な感想です。
ここ数年、スマートフォンは完全にコモディティ化しています。
買い替え需要はありますが、あとは、低価格、高機能化の競争。昔日本がアメリカの自動車市場を攻めたときと同じ構図です。
サムスンやファーウェイが、価格の高いiPhoneを駆逐していく将来も、そう遠くはないかもしれません。
そして、その頃にはおそらく市場の拡大はかなり鈍化しているのではないかと思われます。
つまり、「iPhoneの顔認証」が話題になるほど、スマートフォンに新たなイノベーションは起きていない。
と言い切ることができます。
さて、こんな話をすると、「スマートフォンの次は何か?」という話に触れざるを得ません。
そして、それは「小型化」に鍵があります。
つまり、スマートフォンがイノベイティブであったのは、実は「小型化」に依るものです。
実際、スティーブ・ジョブスは、実は一貫してコンピュータの小型化、パーソナル化によって、イノベーションを主導してきたことは多くの方がご存知でしょう。
しかしそれが行き詰まった。もう高機能化は不可能です。というより、人が使いこなせない。
すると何が起きるか。
「もっと低性能」で「もっと低価格」で、「もっと簡単に使える」コンピュータの時代になるでしょう。
それは、人の器官に埋め込んで使うものかもしれませんし、ウェアラブルデバイスかもしれません。
ただ、パソコンやiphoneの延長線上にあるものではない、ということは確実ではないかと思います。
(写真:Concept 2 Model D)