Android PとAndroid 8.1を比較!ポップなデザインとエンタープライズ向けの機能強化
先日、GoogleがAndroidの新バージョンである「Android P」を発表しました。バージョンでいうと、8.1から9へのメジャーアップデートとなります。今回の記事ではAndro Android PとAndroid 8.1を比較します。
変更点のポイントは2つ
今回のバージョンアップでは、デザインと機能の面での変更が最も注目する点と言えるでしょう。デザインでは「マテリアルデザイン」を、よりポップで視認性の良いものに変更しています。見た目で一番わかりやすい点ですので、最も目立つ変更となっています。
機能面においては細かなチューンナップは色々となされていますが、やはり最も注目する部分は「エンタープライズ利用」への強化と考えられます。
スマホやPCに採用されたデザインの歴史
スキューモーフィズムデザイン(初期のiPhone)
初期のiPhoneで採用されたデザインは「スキューモーフィズムデザイン」と呼ばれています。現実世界にある物体のイメージを立体的にアイコンにしたものです。一目で何を示すのかわかりやすい反面、装飾過剰になりがちで画面表示にリソースを消費してしまうという欠点がありました。
フラットデザイン
スキューモーフィズムの反省から、フラットでシンプルなデザインを採用したのが「フラットデザイン」と呼ばれれるものです。facebookのログイン画面などがこうした思想に基づいて設計されたものであり、無駄なリソースを使わず、それぞれのデザインに時間とエネルギーを使わなくて済むので、多くのコンテンツをスピーディに作成できるという利点があります。
Windowsで採用されたメトロデザイン
Windows8では「メトロUI(モダンUI)」と呼ばれるデザインが採用されました。これはタッチパネルでの操作性に対応したデザインを意図したもので、流れとしてはフラットデザインから派生したものです。Windows7から大きく変更されたUIに戸惑った方も多いと思いますが、残念ながらUIとして決して洗練された出来とは言えなかったようです。
Googleが提唱するマテリアルデザイン
マテリアルデザインについては、細かな仕様が公開されています。単純なアイコンや画面の設計という段階に止まらず、「操作性」についての基準が明確になっている点がこれまでのデザインに比べてよりユーザーインターフェースを深く考察した点と言えます。
前述した過去のデザインを踏襲しながら、よりわかりやすいUIを目指しているのが特徴です。マテリアルデザインはフラットデザインのシンプルさをベースに、スキューモーフィズムのわかりやすさを実現しようというものです。影をつけたり、それぞれの要素については上下関係を明確にすることなどによって、3D空間を意識させることが求められています。
また、ユーザーが操作した時のモーションについても細かい規定がなされており、画面をタップしたりスワイプした時にイメージ通りの反応をするように設計されました。そのため、現実世界ので物質の扱いを想定した直感的な操作が可能で、ユーザーが初めて扱う際にも混乱する心配がありません。
Android Pでより進化したマテリアルデザインの採用
以前から、Android OSでもマテリアルデザインが採用されていましたが、前のバージョンである8.1ではやや中途半端な外見に止まっていました。シンプルなデザインではあったものの、若干わかりやすさに欠けていたことと、あまりにシンプルさを追求した結果、デザインとしての魅力が乏しかったのが欠点でした。
今回の更新では、シンプルではあるものの、かなりポップなデザインにシフトすることで、ユーザーがより親しみを持って操作できるようになりました。ミニマムなデザインは、あまりに装飾を排除しすぎると冷たさを感じる無機質なものになりがちであり、愛着を持って日常的に利用するスマホなどにはあまり向いてないのかもしれません。しかし、今回のデザインではアイコンも丸みを帯びたものになり、これまでよりも見やすさや親しみやすさが向上しました。
エンタープライズ向けツールとしての機能を実装
もう一つの大きな特徴としては、エンタープライズ向けとして機能を強化したことです。業務用プロファイルユーザーインタフェースを実装し、オンとオフを切り替えることで業務用アプリと私用アプリを切り離して利用することができるようになりました。この機能は管理者がコントロール可能で、業務用プロファイルの状況をチェックすることもできます。
現時点ではどの端末メーカーがサポートするか不明ですが、この機能が実装されることによって、業務用に配布されるモバイル端末としての利用を加速させるきっかけになるかもしれません。以前から日常的な業務用ツールとしてスマホが利用されていますが、明確に個人ユースとビシネスユースを切り分ける機能はありませんでした。これをOSレベルで提供することで、エンタープライズ向けのツールとして一歩先へ踏み出したのが、今回の変更の中でも注目すべき点ではないでしょうか。
Android Pは8.1と比べて、デザインと機能面でより進化したものとなりました。今回の大きな変更点はまだスタートしたばかりですが、今後のリリースでもこの流れを踏襲した方向へ進んで行くことはほぼ確実であると思われます。一般ユーザーに親しみやすいデザインを採用し、PCやモバイル端末などデバイスが変わっても統一した操作性を実現するマテリアルデザインと、エンタープライズ向けの機能強化によるビジネスユースへの訴求力アップが大きな特徴です。Googleが進める戦略が最もわかりやすい形で著されたのが、今回の新OSと言えるのではないでしょうか。
▼キャパの公式Twitter・FacebookではITに関する情報を随時更新しています!