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XaaSとは、クラウドサービス全般のこと

「XaaS」は「ザース」と読みます。ひとことで言ってしまえば「インターネットを通じてクラウドによって提供されるサービス全般」です。たとえば、インフラを提供する「Iaas(イアース)」、OSやデータベースなどプラットフォームを提供する「PaaS(パース)」、情報共有のアプリケーションソフトウェアなどを提供する「SaaS(サース)」などが含まれます。これらをすべて包括した概念がXaaSで「EaaS (Everything as a Servise)」も同じ意味です。

基本的な、IaaS/PaaS/SaaSならびにデスクトップ仮想化サービスのDaaSについては、2016年の記事になりますが、以下の記事で解説しています。

 

■IaaS/SaaS/PaaS/DaaS、それぞれのちがいを詳しく説明。

IaaS/SaaS/PaaS/DaaS、それぞれのちがいを詳しく説明。

クラウドの普及と活用範囲の拡大により、この「aaS」つまり「アズ・ア・サービス(as a Service)」、日本語に翻訳すれば「~としてのサービス」は多様化しました。

 

 

XaaSのXにはA~Zまである

 

「XaaS」の「X」は未知の値を示します。したがって、冒頭のXにはA~Zまでのアルファベットが入ると考えられます。現在、よく知られている用語としては「I」「P」「S」のほか、「D」の「DaaS(Desktop as a Service)」がありますが、以下のサイトでは、実際にA~Zまでのサービスがあることを検証しています。とても興味深い記事です。

参考:
“X”aaS(as a Service)とは?「AからZまですべて存在する説」を検証してみた

さすがにSAP Hybrisが提供する「YaaS(hYbris as a Service)」は、頭文字ではありません。無理やりアズ・ア・サービスとして名付けてみた、という印象が否めません。このように一般的な概念ではなく、ある特定の企業が自社ソリューションの特長を強調するキャッチフレーズとして「aaS」という用語を使うことがあります。

たとえば「AaaS(Authentication as a Service)」はGemalto、「CaaS(Container as a Service」はVerizon Businessほか、日本の企業では「KaaS(Knowledge as a Service)」は日立製作所が推進しているコンセプトで、一部は一般化しつつあります。また、「OaaS」にいたっては、NTTの提唱する「Operation as a Service」とNOKIAの「Optimization as a Service」があります。どちらの企業の業務に携わっているかによって、概念が違うことに注意しなければなりません。

 

 

モバイル開発にはMBaaS

 

さらに驚くべきことに、XaaSの「X」には2語や3語の場合もあります。

モバイル開発者には、「MBaaS(mBaaS、エムバース:Mobile backend as a Service)」を耳にすることが多いかもしれません。これはモバイルに特化したBackend as a Service(BaaS)のことです。スマートフォン向けによく使われるウェブアプリ機能を提供し、アプリ開発時のサーバー構築や運用を担い、開発工程の短縮化とコスト削減を行います。セキュリティ面の堅牢性も特長のひとつです。最新の用語というわけではなく、2012年の中頃から使われ始めていました。

MBaaSで提供されるサービスには、ユーザー情報の管理、ユーザー間のプッシュ通信やメールの機能、GPSなど位置情報やビーコンと連携した機能、SNSとの連携機能などがあります。このような機能をゼロから開発する必要がないため、アプリ開発の負荷を低減できます。会員管理など高度な機能を既存アプリに付加したいときに便利なサービスです。

代表的なMBaaSには、「ニフティクラウド mobile backend」があります。スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエスト ポータルアプリ」、オムロンの「環境センサー」、オートバックスセブンや京王電鉄のアプリなどに導入されています。また、Unityによるゲーム開発においても、管理コスト低減などのメリットがあります。

 

 

言ったもの勝ちのXaaS、「共通言語」が大切

 

このように「XaaS」には、次々と新しい概念が登場しています。ある意味、言ったもの勝ちです。しかし、それだけに共通言語として使う必要があります。

一例を挙げると「EaaS」であれば、インターネットを通じてあらゆる機能を提供するEverything as a Serviceとともに、Exploit Pack as a Serviceというサイバーテロに関する用語としても使われています。

Exploit Pack as a Serviceはセキュリティ用語です。「Exploit」は、ソフトウェアやハードウェアの脆弱性を利用して悪意のあるスクリプトやプログラムを指します。このエクスプロイトコードをホスティングすることにより、簡単にサイバー攻撃をできるようにすることがExploit Pack as a Service で、SaaSの一種といえます。

したがって、たとえば開発の打ち合わせでセキュリティについて議論しているときの「EaaS」をEverything as a Serviceと勘違いしていると、大きな誤解を生じることになります。

 

 

IT業界には、このような短縮語や造語がよく使われます。短縮語を使って解説を省略することにより会話のスピードを上げることができますが、どのような場面で使われているのか、文脈の理解が大切です。特に新入社員は、XaaSはもちろん業界独特の短縮語を理解しておくことが基本といえます。最初は外国語を聞いているように思えるかもしれませんが、分からない用語、紛らわしい用語については確認するように心がけるとよいでしょう。

 

 

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