Microsoftの「Anaheim」による新たなブラウザ戦争の可能性は?


以前から、Microsoftが「Anaheim(アナハイム)」と呼ばれるコードネームの新ブラウザを開発中だというリーク情報が報じられていました。そして、Microsoftは12月6日に「Chromium(クロミウム)」ベースの新ブラウザを開発中であることを正式に発表しました。
今までMicrosoft独自開発であるレンダリングエンジン「EdgeHTML」を用いていた「Microsoft Edge」ブラウザは、「Chromium」ベースのレンダリングエンジン「Blink」を用いることになり、大きな転換期を迎えます。

この記事では以下の3つのことがわかります。
①「Microsoft Edge」の「Chromium」採用で起こる変化
②新たなブラウザ戦争の可能性
③進化するブラウザの機能

これらのポイントを詳しく解説していきます。

 

「Microsoft Edge」の「Chromium」採用で起こる変化

 

Windowsの標準ブラウザ「Microsoft Edge」はレンダリングエンジンが「Chromium」ベースに変更されます。「Chromium」はオープンソースのブラウザプロジェクトで、様々なWebブラウザが「Chromium」をベースにして制作されています。代表的な例としては「Google Chrome」「Opera」「Sleipnir」「Blisk」「Kinza」等があり、そこに「Microsoft Edge」が加わることになります。
「Chromium」ベースのブラウザの特徴としては、ウェブページの表示速度が速く、拡張機能が豊富であることが挙げられます。オープンソースのプロジェクトなので、日々開発が進み更新が早いことも大きな利点です。
「Microsoft Edge」は独自開発のレンダリングエンジン「EdgeHTML」を採用していたため、レンダリングエンジンの標準化が一つ進むことになります。この変化で起こるメリットとデメリットについて考えていきます。

 

レンダリングエンジンの標準化によるメリット

 

レンダリングエンジンが標準化すると、ウェブ開発者にとっては対応する必要のあるブラウザが一つ減るため、開発負担が軽減します。ただ、「Microsoft Edge」の変更自体は、そもそもシェアが低いせいもあり大きな影響はないでしょう。
最近では、対応ブラウザを「Google Chrome」のみとするウェブサイトも増えています。「Microsoft Edge」が「Chromium」を採用するとなれば、さらにその動きが加速すると思われます。ウェブ開発において、対応ブラウザを一つに絞れば、開発工数を大きく減らせます。さらに、他のブラウザの表示を考慮する必要がない分、サイトデザインの向上も期待できます。

 

レンダリングエンジンの標準化によるデメリット

 

レンダリングエンジンの標準化には、デメリットもあります。例えば、以前ブラウザで圧倒的なシェアを誇っていたのは「Internet Explorer」でした。「Internet Explorer」全盛の時代に制作されたウェブサイトの中には、「Google Chrome」で表示が崩れたり、機能が使えなかったりするページがあります。将来、もしも「Chromium」以外のレンダリングエンジンが標準化すると、現在制作されているウェブサイトが表示できなくなるかもしれません。
さらに、レンダリングエンジンの標準化は、独占による弊害も引き起こします。例えば現在、Googleに対して「Chrome」でしか動かないウェブサービスを作ることで、「Chrome」のシェアを意図的に伸ばしていると非難する声があります。様々なブラウザやレンダリングエンジンを許容する方が、Webの健全性を維持できるという意見です。複数の選択肢がある多様性を損なうことで競争原理がなくなると、ブラウザの進化が滞る可能性もあります。

 

新たなブラウザ戦争の可能性

 

ブラウザシェアの市場を争奪する争いを「ブラウザ戦争」と呼ぶことがあります。例えば、1990年代には「Internet Explorer」と「Netscape Navigator」による激しいブラウザの競争がありました。また、「Internet Explorer」のシェアが落ちた2010年代には「Mozilla Firefox」「Opera」「Safari」「Google Chrome」を加えて、ブラウザ標準化の争いが起きました。前者を「第一次ブラウザ戦争」、後者を「第二次ブラウザ戦争」と呼ぶことがあります。
現在は、「Google Chrome」が2018年11月の世界シェアで72.38%と、圧倒的な人気を誇っています。シェア率はさらに増加傾向で、ウェブブラウザの標準化が進んでいる状態です。
ところが、ウェブブラウザの寡占は新たな問題を引き起こす可能性があります。「Internet Explorer」で起こった、開発の停滞や機能の陳腐化が今後「Google Chrome」で起こるかもしれません。さらに、GoogleはChromeにより一般的なログ情報を集めています。ユーザーの中には情報を集められることについて不信感を感じる方もいるでしょう。
この寡占化に対して、危機感を持った人々が新たなブラウザを支持する可能性はあります。ただ、現在のところ大きな動きは見られず、Google以外の陣営は苦しい状況が続いています。「Google Chrome」に劣化が見られない限り、新たなブラウザ戦争が起こる可能性は薄いでしょう。

 

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進化するブラウザの機能

 

ブラウザの独自機能が進化していけば、将来的にブラウザのシェア争いを大きく変える可能性もあります。特に興味深い機能としては次のようなものがあります。
・広告の非表示化
・寄付機能の導入
・個人情報送信の排除
・VR対応
それぞれの機能について詳しく見ていきます。

 

広告の非表示化

 

現在、様々なウェブページに広告が表示されています。ウェブサイト制作者には利益をもたらしますが、ユーザーにとっては邪魔な存在と言えます。これらの広告をブロックする新たなブラウザが登場しています。
例えば「Brave」というブラウザは標準で広告をブロックする機能を備えています。広告を非表示にすることで通信料を削減し、ページ表示の高速化を実現しています。他にも「Google Chrome」が基準に満たない広告のブロック機能を導入するなど、広告排除の動きが徐々に広まりつつあります。

 

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寄付機能の導入

 

広告の非表示化に伴う問題が、ウェブサイト制作者の収益減少です。この問題を解決するために「Brave」はユーザーが寄付できるペイメント機能を備えています。訪問数や滞在時間が設定した基準を超えると、対象サイトに寄付が行われる仕組みです。
ただ、現在は登録者数が少なく、寄付できる通貨もいくつかの仮想通貨に限られています。そもそも寄付制度が浸透するかという疑問もあり、今後の改善が期待されます。

 

個人情報通信の排除

 

ドイツのSRWare社が開発した「SRWare Iron」は個人情報通信を排除したウェブブラウザです。ユーザーを識別するためのIDが作成されず、プライバシーを優先した設計となっています。さらに、サジェスト、エラー報告、トラッキング、アップデート等の機能を削除しており、データ保護の観点でも安心できます。
「Google Chrome」でも設定を変更することにより個人情報通信を排除できますが、アップデートなど強制的に動いてしまう機能もあります。「SRWare Iron」はプライバシーを懸念するユーザー層に一定の支持を得ています。

 

VR対応

 

Mozillaは2018年9月18日にVRヘッドセットに対応したブラウザ「Firefox Reality」をリリースしました。VRヘッドセットを装着している状態ではキーボード入力が難しく、新たな入力方法の再考が課題となっていました。「Firefox Reality」は音声制御により、この問題を解決し、テキスト入力を可能にしています。
将来的にVRと呼ばれる仮想現実が社会に普及すると見られており、VR対応したブラウザの需要も伸びると予想されます。「Firefox Reality」はリリース後間もないせいもあり、表示や使い勝手の面で不満も見られますが、新しい取り組みとして評価されるべきでしょう。

 

まとめ

 

個人的には、現在の「Google Chrome」の一強といえる現状は、Webにおいて好ましくないと考えています。様々なブラウザの選択肢がある方が、より個人の使い方や考え方に即した機能が生まれていく気がします。
今のところ、「Google Chrome」に対抗するブラウザは見られませんが、Microsoftが「Microsoft Edge」でChromiumベースのレンダリングエンジンを採用することにより、シェア争いに変化が起きる可能性もあります。
今後のインターネット常識が変われば、今までにない革新的なブラウザが出現するかもしれません。将来的に、新たなブラウザ戦争が起きることを期待しています。

 

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