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脱“3K”!国土交通省のBIM/CIM施策原則化で建築業界に働き方改革

この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。
①国土交通省が打ち出しているBIM/CIMの原則化について
②建設業につきまとうイメージについて
③国土交通省が考える“新3K”について

建設業界は働き方改革の一環で、BIM/CIM施策があります。そして国土交通省は、2025年までにBIM/CIM施策の原則化を考えているのです。

建設業では大規模な工事が多く、関わる人が多いほど、作業が複雑化したり無駄が増えたりしがちです。BIM/CIMの取り組みを導入すれば、作業が効率化できて働きやすくなります。

「建設業に興味があるけれど、なかなか一歩が踏み出せない」という方に向けて、建設業界がいかに変わろうとしているかをご紹介します。

国土交通省が目指すCIM施策の原則化とは?

BIM/CIMで建築業界を働きやすくする

建築業界の中で、BIM(ビム)やCIM(シム)という言葉があるのをご存知でしょうか?これらの言葉は、3次元データを活用・連携することで、もっと効率的に作業を進めようとする取り組みです。(※1)

建設業というと、職人さんや関係者が紙の図面を見ながら話し合っているイメージがありませんか?実は紙の図面から完成図を細部までシミュレーションできるのは、知識や経験が豊富な一部の人だけなんです。

つまり紙という2次元データだけでは、全員が完成図をイメージできません。作業を進めていくうちに重大甚大なミスが発覚したり、壁と壁がぶつかってしまう“干渉”が起きてしまったりというトラブルが起きやすいのです。

建設業でトラブルが起きると、工期が厳しくなって長時間残業や休日出勤が増えます。そこで登場するのがBIM/CIMの概念で、3次元データを活用することで設計ミスや干渉を防止して、働きやすい環境にしようとしているのです。

BIMはBuilding Information Modelingといって、アメリカで生まれた言葉です。車産業にヒントを得て生まれた考えで、デジタルデータを活用して生産性を上げる取り組みを指します。

そしてCIMはConstruction Information Modeling/Managementといって、国土交通省が推進している取り組みです。Constructionは「建築」という意味ですが、道路や橋といった土木産業を強く意識しています。

BIMやCIMはこちらの記事でも解説していますので、ぜひご参照ください。

CIMとは?建築業界の市場規模と3Dモデリングについて

2025年までにCIM施策の原則化を目指す

国土交通省はBIM/CIMを推進しているところですが、ロードマップでは2020年から原則導入することを決めています。2020年から開始して、5年後の2025年には完全に原則化できるように考えており、2018年から実施件数の目標値も決めて取り組んでいる所です。(※2)

今建築業界で使われているITといえば、CADがあります。3次元データを作れる3D CADを使っている企業も多く存在します。しかしBIM/CIMで活用する3次元データは、CADとは一線を画します。

3D CADは2次元データから3次元データを作るため、使う部材に変更があれば2次元データから作り直さなくてはいけません。しかしBIM/CIMの場合はいきなり3次元データから作成するので、2次元データが必要ありません。

BIM/CIMに対応したソフトウェアの1つに、Civil(シビル) 3Dがあります。こちらの記事で詳しく解説しているので、興味がある方はぜひご覧ください。

建築の3次元データが作れるCivil 3Dとは?無料体験や機能・価格について

汚い?キツイ?外側から見た建設業界のイメージ

大事な産業なのに重視されていない

個人住宅やビルに限らず、土地の再開発や公共事業を請け負う建設業界は国内でも大きな産業です。東京オリンピックや被災地の復興などを行うのも、建設業界となります。

建設業は国内でも大きな産業で、2017年~2018年では15兆7,432億円と130業界の中では21位をマークしています。(※3)

しかし非建設業の人からするとその認識は薄いのが現状です。「世の中でなくならないと思う業種は?」という質問に対し、建設業従事者の回答では建設業が4位でしたが、非建設業従事者の回答では10位となっていました。(※4)

“3K”のイメージが強い

上記のアンケート内で「建設業界のイメージに近いものは?」という結果を見ると、以下の結果になりました。

1位:きつい
2位:危ない
3位:力持ち

「かなりハードな体力仕事で休みが少なそう」「死亡事故が多い」などネガティブなイメージが先行しています。

日本には、労働環境の悪さを指す言葉として「3K」があります。きつい・危険・きたないの頭文字を取った言葉で、建設業以外にも介護や清掃、看護業界なども3Kといわれるケースがあるようです。

もちろん良い言葉ではありません。今建設業で働いている人が他の人から「3Kなんでしょう?」といわれると、嫌な気持ちになるものです。

このようなイメージが大きいせいか、建設業に就職する若者は減少傾向にあります。人材不足のせいで長時間残業や休日出勤を余儀なくされるパターンもあり、人材不足の解消が課題となっています。

その人材不足を解消させる方法の1つとして、BIM/CIMの取り組みが始まっているのです。

国際的なものづくりに関われる!

建設業を目指す多くの人は、「何百年も続くものづくりがしてみたい」「歴史に名を残すような建設に関わりたい」という大きな夢を持っているのではないでしょうか。

実際に建設業に関わる人の多くは、「ものづくりが好き」「建物が完成した時の達成感がたまらない」と仕事に誇りを持っています。

ビルや道路、橋は、一度建設したら何十年も人々に利用されます。関わった建物の様子を見に行ったり、実際に利用されている風景を見たりする喜びは建設業従事者ならではの楽しみです。

CIM原則化で建築業界は“新3K”を目指している

国が目指す土木業界の将来像とは

建設や土木業界は、よく知らない人から見ると「きつい・危険・きたない」という3Kのイメージがつきまといます。しかし国土交通省はその3Kを覆し、“新3K”として明るいものにしようと取り組んでいます。

新3Kとは、以下の3つを表しています。(※5)

・給与が良い
・休暇が取れる
・希望が持てる

どれも明るいもので、社会人が当たり前に求める条件ばかりです。BIM/CIMの導入で働き方改革が行われれば、今問題になっている長時間残業や休日出勤もなくなり、働きやすい環境になるでしょう。

給与については、建設業界の平均年収は739万円と130業界中20位です。(※6)日本全体の平均年収で見ると高所得の部類に入りますが、日本の建設業には元請けや下請けという構図があり、下請けの職人はなかなか待遇が改善されません。

しかしBIM/CIMで建設業界の待遇が改善されれば、技能や経験に見合った給与になるでしょう。

BIM/CIMで変わる建設作業

BIM/CIMの導入で、具体的にどのプロセスで変化が起こるのかというと、測量や地質調査・施工管理などすべての工程で変化が起こります。

まず測量ですが、今まで人が行っていた作業はドローンが取って替わります。空中飛行できるドローンなら、足場が悪いところの計測も人が危険にさらされません。BIM/CIMなので3次元データで計測することで、早く、そして短時間で作業が終わります。(※7)

そしてドローンで正確に測量したデータを基に、BIM/CIMの3Dモデルを作成します。精巧な3Dデータがあれば地質調査が効率的になり、どの位置に建物を建設すればいいか的確に判断できるのです。

設計モデルもBIM/CIMは3次元データのみで行うので、2次元データよりもあらゆる角度からモデルをチェックできます。すると部材の干渉チェックや設計ミスに気づきやすくなるので、手戻りによる工数の増加を防ぎ、赤字や想定外の作業発生を防止できるのです。

設計の段階で綿密なシミュレーションができれば、用意する部材にも無駄がなくなります。カットする長さも狂いなく算出できれば、切り直しなどの手間が省けるでしょう。

そして完成した後は、ロボットや機械が点検を行い、3次元データを自動で取ってきます。異常があればその部分のデータを精査すればわかるので、維持管理にも無駄がなくなります。

建築業界の未来は明るい!

国土交通省がBIM/CIM施策を原則化することで、建築業界がもっと働きやすくなります。IT化の流れが強くなれば、デジタルデータに抵抗がない若い世代のスキルも必要とされます。

「ものづくりに興味がある」「建築業に関わりたいけれど、イメージがよくない…」と思っている方は、ぜひ建築業界へ飛び込んでみませんか?

※1:http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/bimcimsummary.html
P.7 各検討項目のロードマップ案(2/4) 適用事業の拡大
※2:http://www.mlit.go.jp/common/001286930.pdf
P.4 B 資料4 2019.04.23 IM/CIM運用拡大に向けた全体ロードマップ(案)
※3:https://gyokai-search.com/5-kibo.html
※4:https://jshokunin.org/report/survey_2018.html
※5:http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/bimcim1stGuide_R0109___hidaritojiryomen_0909.pdfP.4 BIM/CIM がもたらす明るい未来
※6:https://gyokai-search.com/5-kibo.html
https://gyokai-search.com/5-nensyu.html
※7:http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/bimcim1stGuide_R0109___hidaritojiryomen_0909.pdf
P.7 将来の建設生産・管理システム

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