RevitからBIMデータをPDF変換する方法は?メリットを解説
Autodeskの優れたBIMソフトであるRevitは、国内外を問わずBIM運用のスタンダードとして広く普及しているツールです。ただ、RevitはCADソフトなどに比べるとその普及率はまだ十分ではなく、BIMデータを円滑に共有ができないケースも少なくありません。
そんな時に役立つのが、RevitからBIMデータをPDFに変換し、運用するアプローチです。この記事では、そんなRevitからBIMデータをPDFに変換する方法や、変換のメリットについて、解説します。
目次:
- BIMデータ運用の課題
- BIMデータをPDFに変換するメリット
- RevitからBIMデータをPDF変換する方法
- 外部ツールを使ってBIMデータをPDF化する方法
BIMデータ運用の課題
3Dモデルに詳細な数値情報などを内包できるBIMデータは、設計図面の作成業務を効率化したり、関係者間の情報共有を円滑にしたりと、多くの運用メリットが期待できます。今後、3Dモデル活用におけるスタンダードとなりうるBIMデータですが、運用に当たっては注意しておきたい課題もあります。
最も大きな課題は、BIMデータを運用できるBIMソフトの普及が進んでいない点です。いくらBIMが便利な技術であっても、BIMを扱える環境が現場に整っていないと、BIMのポテンシャルを最大限発揮することはできません。従来のCADソフトでは扱えないケースも多く、運用環境の整備が喫緊の課題です。
また、BIMソフトの普及が進んでいない理由としては、BIMソフトが高価であると言う問題もあります。BIMソフトにはいくつかの種類がありますが、いずれの製品も数万円から数十万円の維持費がかかるだけでなく、それを人数分揃えないといけない、という問題です。
大企業ではBIM環境が整備される一方、中小企業では今ひとつ普及しない背景にあるのは、このようなコストの問題が懸念されているからと言えるでしょう。
BIMデータをPDFに変換するメリット
このようなBIMデータ運用の課題解決につながるアプローチの一つとして、データをPDFに変換して運用するという方法があります。PDFに変換することで、以下のようなメリットが期待できます。
BIMソフトがなくともデータを閲覧できる
BIMデータをPDFに変換する最大のメリットは、BIMソフトがなくともBIMデータを閲覧できることです。実のところ、BIMソフトがなくともBIMデータを展開する方法はビューアーを導入するなどして解決が可能ですが、その場合もソフトをダウンロードするなどの手間が発生するため、非常に面倒です。
一方、PDFであれば特別な展開ソフトが必要ありません。BIMデータをPDFに変換してしまうことで、迅速な情報共有を可能にします。
OSに依存することなく展開できる
PDFデータは、MacやWindowsといったOSを問わず運用できる点も評価されています。馴染みのないファイル形式の場合、共有相手が自分とは異なるOSであった場合、データの展開がうまくいかない場合もあります。
一方、PDF形式はOSに依存しないため、普段使用している手持ちのビューアで簡単に展開が可能です。
3Dモデルに詳しくない人でも扱いやすい
3Dモデルに慣れていない人の場合、データの閲覧や展開に手間取ってしまい、必要な情報をすぐに得られないというケースも珍しくありません。BIMデータをPDFに変換すると、本来のBIMデータ形式よりは編集や閲覧能力が制限されるものの、データの概要を捉える上では十分です。
PDFであれば日常的に使用しているファイル形式であるため、3Dモデルに慣れていない人も書類や紙の図面感覚で利用ができるでしょう。
RevitからBIMデータをPDF変換する方法
これまで、Revitを使ってBIMデータをPDF変換する場合、書き出し機能がなかったために、少し周りくどい方法を選ぶ必要がありました。しかしRevitの2022年モデル以降、公式機能としてPDFへの書き出しが可能になったので、PDF変換のハードルは一段と低くなっています*1。
PDFファイルへの変換の方法は、至ってシンプルです。まずはファイルタブを開き、エクスポートを選択します。するとPDFへのエクスポートを選ぶことができるので、これをクリックしましょう*2。
するとエクスポートするビュー、あるいはウィンドウを選択する画面が表示されるので、指示に従ってクリック操作を行います。最後にPDFを保存する場所を選択すれば、PDF変換の準備は完了です。エクスポートをクリックすると、指定した保存先にBIMデータのPDFファイルが保存されています。
外部ツールを使ってBIMデータをPDF化する方法
BIMデータのPDF変換は、外部ツールを使って実行することも可能です。その際に使用するのが、スマートスケープ社の提供する「建設業向け3D PDF製品シリーズ」です。
同製品は、RevitやCivil 3Dなど、Autodesk社の手掛けるBIMソフトで作成したBIMモデルを、PDFに変換して運用するのをサポートする機能を備えています。3Dモデルを内包したPDFファイル、通称「3D PDF」としてデータを変換し、Acrobat ReaderなどのPDFビューアで確認ができます*3。
DWGファイル全般のPDF変換に対応しているため、Revit以外のBIMソフトを運用していて、まとめて同じソフトでPDFに変換したいと考えている場合、おすすめのサービスです。
まとめ
この記事では、BIMモデルをPDFデータに変換することのメリットや、具体的にRevitを使ってPDF変換を行う方法について、解説しました。PDFに変換することで、BIMデータの情報共有能力が大幅に改善するため、ケースバイケースで積極的に活用したいところです。
Revitには最近PDFへの書き出し機能が標準で搭載され、外部ツールでもPDF変換をサポートするものが登場しています。これらの機能への理解を深め、BIMモデル運用を推進しましょう。
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参考:
*1 Autodesk「RevitのPDF書き出し/印刷オプション」
https://www.autodesk.co.jp/support/technical/article/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/Revit-PDF-export-print-options.html
*2 Autodesk「Export a PDF File」
https://help.autodesk.com/view/RVT/2022/ENU/?guid=GUID-773AD069-024B-425E-8B9A-05D5246BDD16
*3 BUILT「Autodesk Revitで作成したBIMモデルをPDFに変換、点群対応などで2年以内に契約数3倍を目指す」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1811/26/news057.html