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これから始めるBIM導入|CADとの違いとおすすめソフト5選(2025年版)

はじめに

建築業界では、デジタル技術の導入が進んでいます。その中でも、BIM(Building Information Modeling)は建築プロジェクトの効率化と精度向上を実現する重要な手段として位置付けられています。BIMは、3Dモデリングを基盤にした情報管理の手法で、設計から施工、維持管理に至るまで、プロジェクト全体のライフサイクルを通じて情報を一元化します。この流れは、中小建築事務所にとっても無視できない潮流となりつつあります。BIMは、従来のCAD(Computer-Aided Design)とは異なり、建物の全ての情報を統合的に管理することで、設計変更がプロジェクト全体にリアルタイムで反映されるなど、業務の効率化を強力にサポートします。しかし、BIMの導入には一定のコストと学習曲線が伴うため、導入計画を慎重に進めることが重要です。本記事では、BIMとCADの違いをわかりやすく解説し、中小建築事務所がBIMを導入する際のポイントやおすすめのBIMソフトを紹介していきます。

BIMとは?CADとの根本的な違い

BIMとCADは、建築設計の分野で重要なツールですが、それぞれに異なる役割と機能があります。BIMは、建物の情報を三次元モデルとして統合管理する手法で、プロジェクト全体の効率を向上させる利点があります。これに対して、CADは主に二次元の設計図を作成するためのツールで、詳細な設計作業に特化しています。

BIMとCADの最大の違いは、一貫した情報(Information)管理を行うための仕組みを提供することで、設計から施工、管理などで関わる多くの関係者が参照できる共通のデータ基盤を提供することです。その結果、設計段階から情報の一貫性が保たれ、ミスを未然に防ぐことができるため、建築業界ではその必要性が増しています。

BIMとCADの機能比較

項目BIMCAD
情報の管理一元管理(3Dモデルに全情報を統合)個別に管理(2D図面ベース)
モデルの更新性変更がリアルタイムで全体に反映される手動での反映が必要
関係者間の共有共通のデータ基盤で円滑に情報共有ファイルベースで共有、整合性に注意が必要
設計以外への応用施工計画・コスト管理・維持管理に活用可能基本的には設計図の作成に特化
対応形式3D+属性情報(例:材質、コスト、スケジュール)主に2D(または簡易的な3D)

以下では、BIMとCADの具体的な違いについて詳しく解説します。

BIMの基本理念とCADとの比較

BIMの基本理念は、単なる設計図の作成を超えて、建物のライフサイクル全体にわたる情報を一元管理することにあります。これにより、設計変更がリアルタイムでプロジェクト全体に反映され、関係者全員が最新情報を基に業務を進めることができます。CADでは、建物の形状や寸法を表現することが主目的であり、設計図は別々に管理されるため、情報の整合性を保つには手動での管理が必要です。BIMは、設計から施工、管理までの全プロセスを一貫してデジタル化することで、プロジェクトの効率化とコスト削減を図ります。BIMモデルには材料やコスト、スケジュールなどの属性情報が含まれており、これがBIMとCADの最大の違いです。

BIM導入による建築業界の変革

BIMの導入は、建築業界に大きな変革をもたらしています。従来、設計図は各フェーズごとに個別に作成・管理されていましたが、BIMでは一つの3Dモデルを基にプロジェクト全体の計画が進められます。これにより、図面間の不整合や手作業によるミスを大幅に削減できます。また、BIMモデルには多くの情報が含まれているため、材料の発注や施工計画をより正確に行うことが可能です。こうした利点により、BIMは効率的なプロジェクト管理を実現し、業界全体での品質向上を促進しています。さらに、BIMは国際的にも標準化が進んでおり、グローバルなプロジェクトでの競争力を高めるツールとしても注目されています。

2025年版おすすめBIMソフト一覧

BIMソフト選びは、建築プロジェクトの効率化において重要な要素です。2025年現在、多くのBIMソフトが市場に登場し、それぞれに独自の特徴を持っています。ここでは、特に注目される4つのBIMソフトを紹介します。これらのツールは、建築設計から施工、管理まで幅広いプロセスをサポートするために設計されています。それぞれのソフトが持つ機能を理解し、プロジェクトの規模やニーズに応じて最適なものを見つけることが重要です。

Autodesk Revit:業界標準の多機能BIMソフト

引用:Autodesk Revit:https://www.autodesk.com/jp/products/revit/overview

Autodesk Revitは、BIMソフトウェアの中でも最も知名度が高く、建築、構造、MEP設計(機械、電気、配管)の全分野を統合的にサポートする業界標準のBIMソフトウェアです。パラメトリックモデリング機能により、設計変更がリアルタイムでモデル全体に反映され、効率的なプロジェクト管理を実現します。Revitのもう一つの強みは、Autodesk製品(例:AutoCAD、Navisworks)との連携性が高く、大規模プロジェクトでもスムーズなデータ共有が可能な点です。

Revitは、高層ビルや商業施設などの大規模で複雑なプロジェクトに適しており、多くの関係者が同じモデルを共有することで、設計ミスの削減やスケジュールの短縮が期待できます。また、教育機関でも広く採用されており、初心者から経験者までスキルを磨きやすい環境が整っています。

その結果、Revitは、BIMを導入して設計・施工の効率化とクオリティ向上を目指す企業にとって、信頼できる選択肢となっています。

ArchiCAD:デザイン志向の柔軟なBIMソフト

引用:Graphisoft:https://graphisoft.com/jp/solutions/products/archicad

ArchiCADは、意匠設計に特化したBIMソフトウェアで、直感的な操作性と高い表現力を備えています。デザイン重視の設計者にとって扱いやすく、建築のコンセプト段階から詳細設計まで一貫して対応可能です。また、「オープンBIM」を採用しており、異なるBIMソフト間でのデータ共有がスムーズに行える点も大きな特長です。

中小規模の建築プロジェクトやデザイン性を重視するプロジェクトに特に適しており、柔軟なツールセットが創造性をサポートします。加えて、Macにも対応しているため、幅広い環境で利用できる利便性も魅力です。その結果、ArchiCADは、設計の自由度を追求しながら効率的にプロジェクトを進めたい建築家やデザイナーにとって理想的なツールとなっています。

GLOOBE:日本仕様に特化したBIMソフト

引用:福井コンピュータアーキテクト:https://archi.fukuicompu.co.jp/products/gloobe/index.html

GLOOBEは、日本の建築設計の現場で非常に重宝されるBIMソフトウェアです。その最大の特徴は、日本市場に特化している点にあります。福井コンピュータアーキテクトによって開発されたこのソフトは、日本の建築基準法に対応しており、国内で頻繁に使用される建材データが標準で用意されています。そのため、国内プロジェクトにおける設計作業が格段に効率化されます。

また、GLOOBEは直感的な操作性を持ち、初心者でもスムーズに使いこなせるよう設計されています。さらに、従来の2D CADデータを簡単に取り込んでBIMモデルへ変換できるため、既存のワークフローを壊さずに導入できる点も大きなメリットです。特に住宅設計や中小規模の建築プロジェクトにおいて、その利便性が発揮されるでしょう。

GLOOBEは、日本国内の設計業務に特化した機能を備えており、特に住宅設計や中小規模の建築プロジェクトで優れたパフォーマンスを発揮します。また、国内の建築基準や仕様に対応しているため、効率的なプロジェクト進行を可能にします。その一方で、国際的なプロジェクトや特殊な大規模構造設計には、他のBIMソフトと併用することでさらに幅広いニーズに対応することが可能です。

Vectorworks:設計の自由度を追求した柔軟なBIMソフト

引用:Vectorworks Japan:https://www.aanda.co.jp/

Vectorworksは、その柔軟性とデザイン性の高さから、建築家やデザイナーに愛されているBIMソフトウェアです。特に、意匠設計やインテリアデザインの分野で抜群の表現力を発揮し、設計の自由度を追求したいクリエイターにとって理想的なツールと言えるでしょう。直感的な操作性を持つこのソフトは、デザインのアイデアを素早く形にできる環境を提供します。

Vectorworksのもう一つの大きな特長は、BIM機能と2D作図機能を一体化している点です。これにより、プロジェクトの初期段階から詳細設計まで、一貫した設計フローを実現できます。また、MacとWindowsの両方に対応しているため、使用する環境を選ばないのも魅力です。さらに、ランドスケープデザインや照明設計といった専門分野にも対応しており、用途の広さは群を抜いています。

ただし、Vectorworksは意匠設計や中小規模プロジェクトに適している一方で、大規模プロジェクトや構造設計においては他のBIMソフトに劣る部分があります。それでも、デザイン性を重視したプロジェクトやアーティスティックな表現が求められる場面では、その実力を存分に発揮できるBIMソフトと言えるでしょう。

主要BIMソフト比較(2025年版)

ソフト名特長適したプロジェクト対応OS備考
Revit多機能、構造・MEPにも強い大規模プロジェクトWindowsAutoCADとの連携が強み
ArchiCAD意匠設計向け、操作が直感的中小〜中規模Mac/WindowsオープンBIM対応
GLOOBE日本仕様に特化、建築基準法対応住宅・国内プロジェクトWindows日本の中小事務所向け
Vectorworks表現力豊か、柔軟なデザイン対応意匠・インテリアMac/Windows2D/BIMの一体化が強み

BIMソフト選択のポイント

BIMソフトを選ぶ際には、自社のプロジェクトの特性やニーズをしっかりと把握することが重要です。BIMソフトは多機能であり、それぞれのソフトが異なる強みを持っています。正しい選択をするためには、プロジェクトの規模、業種特有のニーズ、コスト、ROI(投資対効果)、及びソフトの学習曲線やサポート体制を総合的に評価する必要があります。以下では、特に考慮すべき選択のポイントについて詳しく解説します。

プロジェクトの規模とニーズに合ったソフト選び

BIMソフトを選ぶ際にまず考慮すべきは、プロジェクトの規模と具体的なニーズです。大規模プロジェクトでは、Revitのような多機能ソフトが適していますが、中小規模のプロジェクトでは、ArchiCADやVectorworksがより適している場合があります。また、プロジェクトが求める機能、例えば、構造設計に特化した機能やインテリアデザインに特化した機能が必要かどうかを確認することも重要です。

コストとROI

BIMソフトの導入には一定のコストがかかるため、コストとROIを慎重に評価することが必要です。初期費用だけでなく、ライセンスの更新費用やトレーニングのコストも考慮し、長期的にどれだけの利益を生むかを見極めることが重要です。例えば、Revitは高機能である分、コストも高めですが、多機能性を活用することで、設計ミスの削減や効率化により、長期的なコスト削減が期待できます。建築事務所にとっては、こうしたROIの観点での判断が、競争力の維持につながります。

学習曲線とサポート体制

導入後のフォロー体制も、BIMソフトを選ぶ際の重要な要素です。BIMソフトの機能は非常に多岐にわたり、操作を習得するためには時間と労力が必要です。したがって、初心者でも学びやすいソフトかどうか、メーカーや第三者機関によるサポートやトレーニングプログラムが充実しているかを確認することが大切です。たとえば、AutodeskはRevitのトレーニングプログラムを提供しており、公式サイトや専門学校での教育機会が豊富です。これにより、スムーズな導入と稼働が可能となり、組織全体の生産性向上に寄与します。

BIM導入時の判断ポイントまとめ

評価項目内容のチェックポイント
プロジェクト規模小規模か大規模か、意匠重視か構造・設備重視か
機能要件3Dモデリング、レンダリング、構造解析、コスト算出などの必要性
コストライセンス費用、初期投資、トレーニングコスト
ROI投資に対してどれくらいの業務効率化やミス削減が見込めるか
学習とサポート操作習得の難易度、チュートリアルやサポート体制の充実度

BIM導入における課題と解決策

BIMの導入にはさまざまな課題が伴いますが、適切な計画と対策を講じることでこれらの課題を克服することが可能です。建築事務所が直面する主な課題としては、導入初期のコストや技術者の確保、既存の業務プロセスへの適応などが挙げられます。以下では、これらの課題とその解決策を具体的に探ります。

導入初期のハードルと克服方法

BIM導入初期の最大のハードルは、初期コストと既存システムへの統合です。高額なライセンス費用やハードウェアのアップグレード、スタッフの教育費用が一度に発生するため、資金計画を綿密に立てることが重要です。これに対しては、BIM導入のコストを一部カバーする助成金や補助金の活用がおすすめです。また、導入は段階的に進めることで、最初の投資を最小限に抑えることも可能です。例えば、まずは小規模プロジェクトでBIMを試験的に運用し、得られた経験を基に徐々に適用範囲を拡大するアプローチが有効です。

社内教育とスキルアップの重要性

BIMソフトの運用には、専門知識とスキルが必要です。そのため、社内教育と技術者のスキルアップは導入成功の鍵となります。継続的な教育プログラムを設け、スタッフがBIMの基本から応用までを学べる環境を提供しましょう。オンラインコースや専門学校との提携を活用することで、効率的にスキルを習得できます。また、外部のBIMコンサルタントを招き、現場での具体的な活用法を学ぶことも効果的です。これにより、社内のBIM導入に対する理解が深まり、実務に応じた柔軟な対応が可能になります。

BIMの未来:2025年以降の展望

BIMの技術は進化を続けており、2025年以降もさらなる発展が期待されています。特に、クラウド技術やAIの統合によるBIMの進化は、設計や施工のプロセスに革命をもたらすでしょう。これらの技術は、設計データの共有をリアルタイムで可能にし、プロジェクトの透明性を高めると同時に、施行計画の精度をさらに向上させる力を持っています。BIMの未来における可能性について詳しく見ていきましょう。

クラウドとAIの統合によるBIMの進化

クラウド技術の役割は、BIMデータの管理や共有の効率化に大きく貢献しています。プロジェクトに関わるすべての関係者が、リアルタイムで最新の設計情報にアクセスできるようになることで、プロセスの透明性が向上し、意思決定が迅速かつ正確に行われるようになります。さらに、AIを統合することで設計の自動化や施工シミュレーションの高度化が進み、施工エラーの削減やコストの最適化が実現されます。これにより、建築プロジェクトの全体的な効率が飛躍的に向上し、かつ実現可能性の高いデザインが可能になります。

持続可能な建築への貢献

BIMの進化は、持続可能な建築の実現にも大きな貢献をしています。BIMを活用することで、建物のライフサイクル全体を通じたエネルギー効率の向上や資源の最適利用が可能になります。また、環境への影響を最小限に抑えるための設計や、廃棄物の削減に寄与する施工計画の策定も容易になります。デジタルツイン技術の導入により、実際の建物性能をリアルタイムでモニタリングし、運用とメンテナンスの最適化を図ることも可能です。これにより、持続可能で環境に優しい建築が促進され、業界全体のサステナビリティが向上します。

まとめ

BIMは、設計から施工、維持管理に至るまで、建築プロジェクトの効率化に欠かせないツールとして、その重要性を増しています。特に中小建築事務所においては、BIMを活用することで業務の効率化を図り、コスト削減を実現することが可能です。まずは、自社のプロジェクトに適したBIMソフトを選択し、段階的な導入を進めることが成功への第一歩となるでしょう。また、スタッフの教育やスキルアップを通じて、BIMの利点を最大限に活用できる体制を整えることが重要です。BIMの導入は一度に完結するものではなく、常に技術の進化に対応し続けることが求められます。これにより、競争力を維持しつつ、建築業界での新しいビジネスチャンスを掴むことができるでしょう。

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参考情報

・Autodesk Revit

https://www.autodesk.com/jp/products/revit/overview

・Graphisoft Archicad

https://graphisoft.com/jp/solutions/products/archicad

・福井コンピュータアーキテクト GLOOBE

https://archi.fukuicompu.co.jp/products/gloobe/index.html

・Vectorworks Japan

https://www.aanda.co.jp/

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