1. TOP
  2. ブログ
  3. 日本での展開に期待!Googleが提供するMVNOサービスFi

日本での展開に期待!Googleが提供するMVNOサービスFi

今、4番目のキャリアとして名乗りを上げた楽天が注目されています。300万人が1年目無料サービスを受けられるということで一時受付がパンク状態になるという報道もあり、4月の提供開始が待たれています。ところで、あのGoogleもMVNOサービスをワールドワイドに展開していることをご存知でしょうか。今回の記事ではGoogleの「Fi」というMVNOサービスについてまとめてみました。

この記事でわかること
・Google Fiの特徴
・Google Fiは海外出張者向けに便利なサービス
・MVNOとはどんなサービスか

MVNOってどんなサービス?

今話題の楽天モバイルですが、元々は「MVNOサービス」を提供していた事業者です。ここでのMVNOとは「Mobile Virtual Network Operator」のことで、「仮想移動体通信事業者」と訳されます。日本国内において、自前で中継基地などを保有し通信サービスを提供している事業者は、NTTドコモ・au・ソフトバンクモバイルの3社しかありません。MVNOはこの3大事業者から通信回線を借りて、通信サービスを提供している事業者のことを言います。

MVNOは、自社でインフラを整備する必要がないことや、多くの事業者が店舗を持たずに事業ができる事などから、固定費がそれほどかからないため、格安でサービスを提供できることが大きな特徴です。2001年にPHSのMVNOからスタートし、監督官庁である総務省による制度の整備が進んだことで、現在は多くの事業者がサービスを提供しています。*注1

楽天モバイルも元々はMVNO事業者

楽天モバイルも、これまではNTTドコモとauから回線を借りてサービスを提供するMVNO事業者でした。国内のモバイル通信環境は、3大事業者による顧客の囲い込みが強く作用し、端末購入時のSIMロックや2年縛りなどの契約によってユーザー側にとって決して有利とは言えない状況でした。しかし、MVNO事業者の参入が実現したことで選択の幅が大きく広がりました。*注2

ワールドワイドに展開するGoogleのFi

さて、記事のテーマであるGoogleが提供するMVNOサービス「Fi」について、その特徴をみていきましょう。元々はGoogleが実験的にスタートしたプロジェクトで、アメリカ国内の一部地域でMVNOとしてサービスを提供する「Project Fi」が始まりでした。当初、招待制・地域限定・Googleが提供する端末のみだったものが徐々に進化していき、現在では世界200の国や地域に展開する大規模なサービスとなりました。*注3

Google Fiの特徴

アメリカ国内での使用に関して
・3大キャリア(T-Mobile、Sprint、US Cellular)の回線にシームレスに接続
・月額20ドルで米国内かけ放題、米国外は1分20セントの従量制
・契約期間の縛りなし
・対応機種はiPhone5S?など
という特徴があります。*注4

アメリカの場合、Verizon Wireless・AT&T・T-Mobile・Sprintが4大キャリアとして携帯電話サービスを提供しています。契約回線数などで見ると、VerizonとAT&Tが2強でT-Mobile、Sprintがややシェアが低いという特徴があります。広大な国土を持つアメリカの場合、3大キャリアがほぼ国内全域をカバーしている日本と異なり、キャリアによっては郊外で弱いなどの特性があります。そのため、例えばSprintだと契約金額は安いものの都市圏以外では接続しにくいなどの違いが出てしまいます。*注5

このような事情があるため、アメリカ国内での利用者にとっては「国内どこでも使える回線を自動で選択し、ストレスなく通話やネットへの接続ができる」サービスというのは、一定の需要があると思われます。日本でのMVNOのように、「安い」という部分だけが注目されているのとは少し事情が異なることに注意が必要です。

Wi-Fiホットスポットを自動で選択してシームレスに接続

もう一つ面白い特徴として、アメリカ国内のWi-Fiホットスポットを自動で選択して、シームレスに接続するという便利な機能があります。ただし、これはFiに対応したPixel3などの端末を利用しているときに限られますので、残念ながらiPhoneシリーズは対象外です。アメリカ国内にある200万カ所のWI-Fiホットスポットと3大キャリアから、利用者が意識せずとも最適な通信環境を自動で選択し接続できるというのは、とても良いメリットとなります。

しかし、せっかく4G回線で快適に動画を視聴しているのに、地域で解放されているフリーWi-Fiに引っかかってしまい、再生が止まるなんて経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。この時、Wi-Fi接続を手動でOFFにしたことを忘れてしまい、あとで4Gのパケット使用量が大変な事になった。。。そんな失敗が無いよう、最適な回線を自動で選択し、コストと利便性をインテリジェンスに両立させるなんて、さすがGoogleといったところでしょうか。*注6

Google Fiは海外出張者向けにも便利なサービス

これまで見てきた特徴は、あくまでも「アメリカ国内に居住する人」にとって便利という内容でした。私たち日本人には関係なさそうに思えますが、Google Fiはワールドワイドに展開しており世界200カ所でサービスを提供していますので、海外へよく出張する方にとっては十分検討に値します。以下ではこの部分にフォーカスしてみましょう。

データ通信は世界中どこでも一律料金体系

料金体系はシンプルで月額70ドルの「アンリミテッド」と、月額20ドルの「フレキシブル」の2種類しかありません。アンリミテッドにするとデータ通信は使い放題、フレキシブルだとデータ通信は1GBあたり10ドルの従量制になりますが、最大でも60ドルまでしか課
金はありません。通話はどちらのプランでも1分あたり20セントの従量制です。*注7

数日程度の短期出張の場合であれば、日本国内のキャリアが提供しているローミングサービスを利用する方が手軽です。新しく契約をする必要もなく、現在使用している端末をそのまま持っていけるのは大きなメリットです。しかし、どこか一ヶ所に中長期の出張をする場合、現地のキャリアやMVNO事業者の提供するサービスを利用することで、安定した通信環境を確保し、かつコストメリットも両立させることができる可能性が高いでしょう。

Google Fiと契約するにはアメリカ国内に住所が必要

Google Fiの場合は、契約時にSIMを受け取るためアメリカ国内に住所が必要となります。残念ながら日本国内から出ずに契約することができません。ただし、あくまで「郵便物を受け取るための住所」であって、「居住(日本でいう住民票の所在地)」という意味ではないため、滞在先のホテルでも受け取りは可能です。ですから、アメリカ国内のホテルに一定期間(10日間程度)滞在する機会があれば契約できます。

こうしたことからGoogle Fiを使うのに最も適しているのは、「世界各地を頻繁に、かつ一定期間ごとに出張を繰り返す」ような方と言えるかもしれません。世界各地を巡るのに、全て国内キャリアのローミングサービスを利用していてはコストがバカになりませんし、かといって毎回現地のキャリアと契約を繰り返すのも手間がかかりすぎます。Google Fiのように一度契約しておけば、世界中どこに行ってもシームレスに快適な通信環境が手に入るサービスであれば、このような人たちにとっては最適なサービスでしょう。

また1契約につき4個まで、追加のSIMが無料で受け取れますので、スマホ以外にもタブレットなど複数の端末で利用することができます。ちなみに、アメリカ国内で契約する際にも日本のクレジットカードが使用できます。社会保障番号なども不要ですから、旅行者でも問題なくサービスを受けることができます。

中国でも海外の各種サービスを使うことが可能

中国は海外のSNSなどのインターネットサービスを遮断しているため、Google検索やFacebookを使うことが基本的にはできません。そのため、日本国内にいる時と比べてやや不便を感じる経験をした方も多いのではないでしょうか。ところがGoogle Fiを使えば、このような海外の主要なインターネットサービスも何の問題もなく使うことができます。海外にいることを意識せず、自国内と同じ環境で作業ができるのは素晴らしいメリットだと思います。*注5

【まとめ】
いかがでしたか?Googleがワールドワイドにサービスを展開する「Google Fi」の魅力は十分に伝わったでしょうか。現在のところ、世界各国に頻繁に出張するような特定の方だけしかGoogle Fiのメリットはなさそうです。しかし、もし日本国内で契約・利用できるようになれば、多くの方にとって魅力的なサービスになるかもしれません。世界のどこにいても快適な通信環境を実現するというGoogleのプロジェクトが、この先どのように進化・発展していくのか注目していきたいと思います。

■参考文献

注1 IT Media Mobile MVNOの正体は「ちょっと特殊な携帯電話会社」
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1509/18/news160.html

注2 engadget日本版 5分でわかる「楽天モバイル」まとめ。iPhoneは使えるのか
https://japanese.engadget.com/jp-2020-03-03-5-iphone.html

注3 Google Official Blog “Say hi to Fi: A new way to say hello”
https://googleblog.blogspot.com/2015/04/project-fi.html
TC “Google’s Project Fi Invites To Reach Everyone By Mid-Summer”
https://techcrunch.com/2015/05/22/googles-project-fi-invites-to-reach-everyone-by-mid-summer/
Google Fi “Stay covered in 200+ destinations”
https://fi.google.com/about/international-rates/

注4 Google Fi “Meet Google Fi, a different kind of phone plan”
https://fi.google.com/about/

注5 CAPA 「日本導入が待たれるGoogle MVNOは格安SIM市場を塗り替えるか」
https://www.capa.co.jp/archives/29245

注6 Google Fi “Get better coverage at home and abroad”
https://fi.google.com/about/coverage/

注7 Google Fi “Stay covered in 200+ destinations”
https://fi.google.com/about/international-rates/


▼キャパの公式Twitter・FacebookではITに関する情報を随時更新しています!

    ホワイトペーパーフォームバナー

    【DL可能な資料タイトル】

    • ・プログラムによる建築/土木設計のQCD(品質/コスト/期間)向上
    • ・BIM/CIMの導入から活用までの手引書
    • ・大手ゼネコンBIM活用事例と建設業界のDXについて
    • ・デジタルツイン白書
    • ・建設業/製造業におけるデジタルツインの実現性と施設管理への応用

    詳細はこちら>>>

    PAGE TOP