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5Gスタートで大林組らが遠隔施工に成功!無人で重機が動く時代へ

この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。
1.大林組がKDDIやNECと共同で行った遠隔施工の概要
2.重機の遠隔施工で期待できるメリット
3.5Gで期待される遠隔操作による自動運転の実証事例

スーパーゼネコンの大林組は、2020年2月に5Gを活用した遠隔施工実験を行い成果を出しました。この実験はKDDIやNECと共同で行われ、油圧ショベルやブルドーザといった重機の無人操作に成功しています。

大林組が他社と共同で5Gによる遠隔施工実験に成功

2020年に大林組が行った遠隔施工実験についてみていきましょう。

5Gで拓く新しい建設工事の世界

大林組はKDDI株式会社と日本電気株式会社(NEC)の3社共同で5Gの遠隔施工実験を行い、成功しました。※1

遠隔施工実験では、3台の建設機械の遠隔操作と自動運転を行っています。遠隔操作ですから現場に作業員はおらず、離れた地点から機械を操作します。建設機械には4Kの高画質カメラが取り付けられているので、作業員はその画像を見ながらリアルタイムで操作できるのです。

大林組らはこの遠隔施工実験で無人重機を使った道路工事を実現しました。

5Gを活用して行った4つの操作

遠隔施工で行った作業は、主に以下の4つです。※1

1.土砂の掘削や運搬、敷ならし
油圧ショベルやクローラキャリア、ブルドーザといった3台の機械に2Kカメラや全方位カメラを設置。5G回線でカメラ映像と遠隔操作の信号データをやりとり。

2.振動ローラを遠隔操作で敷ならし
土砂を転圧して敷ならす振動ローラを遠隔施工。機械はもちろん無人で、自動運転システムを搭載した振動ローラを自動運転システムで操作します。

3.リアルタイムのデータ転送技術で施工管理
油圧ショベルやクローラキャリア、ブルドーザ、振動ローラGNSS(Global Navigation Satellite System)で取得したデータを遠隔施工管理室に伝送。大林組の持つ「マシンガイダンス」で遠隔施工を行うと同時に、施工結果もリアルタイムで取得しました。

4.土砂量や造成結果を5G回線でデータ転送
3Dレーザースキャナで土砂量や造成結果のデータを取得し、5G回線で遠隔施工管理室へリアルタイム伝送。このデータを使うことで、工事が出来上がった部分(出来形)を把握します。

遠隔施工実験で大林組が行ったこと

今回の大林組、KDDI、NECが共同で行った遠隔施工実験で、大林組は以下のことを行いました。※1

・油圧ショベルなど建築機械のシステム開発
・自動運転システム
・リアルタイムで遠隔施工管理室へデータ転送できる3Dスキャナの開発と試験

大林組といえば建築業界の中でいわずと知れた会社であり、六本木ヒルズや東京スカイツリーなど国内の有名建築物も手掛けているスーパーゼネコンです。そんな大林組は国内の大手プロジェクトを手掛けるほかにも、以下のような次世代テクノロジーの開発を行っています。※2

・汎用遠隔操縦装置(サロゲート)
・マシンコントロール
・ドローン測量
・無人調査ロボット

5Gで遠隔施工が注目される理由

すでに国内でも導入が進む「5G」こと第5世代移動通信システムでは、さまざまな通信技術の進化が期待されています。その1つとして注目されているのが、大林組が行ったような遠隔施工なのです。

・5Gの「超低遅延」がすごい
実は今までにもWi-Fiを使った遠隔操作実験は行われていました。しかし遠隔操作では、リアルタイムでのスムーズなデータ転送が欠かせません。特に繊細な作業や危険が伴う作業ではデータ転送が遅延するとミスにつながり、作業の品質に大きく影響します。

そのためこれまでのWi-Fiを使った遠隔操作は遅延を見越した操作が必要で、“現地さながらの操作感”とはいきませんでした。しかし5Gなら超低速遅延によって、高画質な4K画像も遅延が少なくなります。

高画質の画像がリアルタイムで受信できれば、作業員はまるでその場にいるように遠隔操作ができるのです。

・「現場に出ないエンジニア」が誕生する
今、建築業界では人材不足という深刻な問題を抱えています。これまでのマンパワーに頼った方法ではなく、建築業界にもITによる効率化が求められているのです。

5Gによる遠隔操作が可能になれば、たとえば作業員は東京にいながら、大阪の建築作業を行うこともできます。作業員も効率的に作業できるようになり、人手不足解消に貢献するというわけです。

また、建築現場で遠隔操作が普及すれば災害地でも大いに力を発揮します。人が入れないほど危険なエリアでも、無人の重機を遠隔操作することで作業員の安全が確保できますね。

既に建築機器の遠隔施工はさまざまな企業が取り組んでいましたが、5Gの普及によってさらに注目度が高まっているのです。

5Gのトレンドは「遠隔操作」と「自動運転」になるか?

1970年代に「1G」から始まった通信規格は進化を続け、2020年には5Gとなりました。4Gでのトレンドはスマートフォンでしたが、5Gでは一体何がトレンドになるのでしょうか。

5Gの特徴をおさらい

5Gのサービス提供が始まる前から、「5Gはこれまでの通信規格とは違う」と注目されていました。5Gは、一体どんな特徴があるのでしょうか。

5Gの大きな特徴は、高速大容量、超低遅延、多数同時接続の3つがあります。4Gでは最大で1Gbpsだった通信速度が5Gでは最大20Gbpsとなり、4Gでは1/100秒程度の誤差があったのが5Gでは1/1000秒以下になります。また、同時接続端末数は10倍の100万デバイスにまで増えるのです。※3

中でも「超低遅延」に注目する業界は多く、大林組のような建築以外にも医療や自動車業界で活用が進んでいます。建築機械の操作や自動運転、遠隔医療では一瞬の狂いが大きなミスを招きます。そのような繊細かつ重大な操作も、5Gの普及によって遠隔操作が可能になると期待が高まっているのです。

総務省が開発実験を進めていた

実は今回大林組が行った5Gによる遠隔施工実験は、総務省の開発実証試験の一環として行われていました。総務省は新たな市場を開拓するため、5Gの実現に向けた開発実証の提案を募集して取り組みを進めていたのです。※4

総務省主導の5G開発実証では、大林組らが行った建築機器の遠隔操作以外にも、遠隔操作による自動運転に取り組んだ企業もあります。

・KDDIは5Gを活用した複数台の遠隔監視型自動運転の実験を実施
大林組との遠隔施工実験では5Gインフラの構築などを担当したKDDIですが、別の実証実験では遠隔監視型の自動運転の実験を実施しました。※5

愛知県一宮市で行われたKDDIの自動運転実験は、4Gと5Gそれぞれに接続された自動運転2台の「同時走行」に成功しています。遠隔操作室で操作しているのはなんと1人で、同時に、そして安全に2台の車を遠隔操作したのです。

遠隔操作室ではドライバーがハンドルやアクセルと使い、4Kによる高画質な画像を見ながら操作しました。2018年までは時速20キロまでしか許可が出ていませんでしたが、5G回線の導入によって時速30キロまで許可がおり、片側一車線の公道で無人の車が走行したのです。

このKDDIの5G自動運転は、将来的に高齢運転者の増加などに対応できるのではと期待が高まっています。

・ソフトバンクは被災地の放置車両撤去実験を実施
ソフトバンクは、北九州学術研究都市にて5Gを活用した自動運転の取り組みを行いました。災害発生時の放置車両撤去を目的とした実証実験を行い、5G回線の有効性を証明しています。※6

5Gの超低遅延でKDDIと同じく4K画像をリアルタイムで受信できるようになり、全面動画や左右のサイドミラー動画を元に遠隔操作による自動運転を行ったのです。

この5G活用による実証実験が進めば、将来的には放置車両を遠隔操作で撤去できるようになります。結果として被災地での救援ルート確保につながると期待されているのです。

このように5Gのサービスが始まったことで、建築業界や自動車業界では本格的な導入実験が進んでいます。数年後には、無人の重機が建設地の整備を進め、運転席が無人の自動車が当たり前に走行するような街に生まれ変わっているかもしれません。

参照
※1 https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20200214_1.html
※2 https://www.obayashi.co.jp/solution_technology/leading_edge.html
※3 https://biz.kddi.com/beconnected/feature/190605.html
※4 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban14_02000423.html
※5 https://iot.kddi.com/cases/car5g/
※6 https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200420_02/

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