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5G対応iPhoneの発表直前にもう一度復習 Apple iPhoneの脱獄とは?

Appleは9月15日に、オンラインイベントを開催する予定であることがわかりました。
今回は、5Gに対応した新型iPhoneの発表が期待されています。
新型コロナの影響で世界経済の停滞が懸念される中、未来のモバイル環境を予感させる楽しみなニュースの一つです。
このタイミングで、iPhoneにつけられた制約を解除する「脱獄(JailBreak)」についてもう一度復習しておきましょう。*注1

この記事でわかること ・iPhoneの「脱獄」とは ・「脱獄」のメリットとデメリット ・「脱獄」は法令違反になるのか?

iPhoneの「脱獄」とは何か

iPhoneを自由にカスタマイズできるようにする「脱獄」について、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
iPhoneはAndroidに比べて、クローズドなシステムが採用されており、ユーザーが自由にカスタマイズできる余地が少ないという性質があります。
そのため、システムやアプリに詳しいユーザーの場合、Androidに比べて使いにくいと感じている方もいるようです。*注2

もともとAppleという会社は、Macintoshというパーソナルコンピューターの製造においても、WindowsPCなどと比べてカスタマイズ性の低い、クローズドなシステムを提供してきました。
ユーザーが自由にできない分、安定した動作を確保しメーカー側が完全にコントロールできる環境にすることで、最高のユーザー体験を実現しようという姿勢の現れだと考えられています。
このことにより、Appleの審査を通っていないアプリなど、勝手にインストールすることができないなど、ユーザーのセキュリティを守ることが可能となってます。

システムやセキュリティにそれほど詳しくない一般のユーザーであれば、そのままでも十分にiPhone標準の機能を利用できますし、Appleの審査をクリアした豊富なアプリをApp Storeから入手することができるため、それほど問題はないでしょう。

しかし、細かなチューンナップをしたり、まだApp Storeに出てないような最新のアプリを使いたいという上級者にとっては不満な部分でもあります。
このようなニーズに応えるため、Appleでは推奨していないものの、「脱獄」という手段を使ってiOSを改造し、自由にカスタマイズできる方法が存在します。

Appleは推奨してないので、「脱獄」は自己責任

実際「脱獄」について、Appleは規約で禁止しています。
そのため「脱獄」をしたiPhoneは、当然ながらAppleの保証は受けられなくなりますので、全ては自己責任となります。
「脱獄」をした後、なんらからのトラブルがあっても、全て自分で解決しなければなりません。
このことを踏まえ、今回の記事の中では、具体的な「脱獄」の方法については記述しません。
Appleの規約違反になることや、もしトラブルがあった場合についても本サイトで責任を持つことはできませんので、あくまで「脱獄」によってどんなことが可能になるか、にとどめておきたいと思います。

「脱獄」のメリットとデメリット

「脱獄」を行うことによる、メリットとデメリットをご紹介しましょう。

◯メリット
iPhoneにおいて、Appleの制限を超え自由にカスタマイズしたり、好きなアプリを利用できるようになります。
具体的にどのようなカスタマイズが可能かを列挙してみましょう。

【カスタマイズの一例】
・カメラのシャッター音を消せる
・システムフォントを変更することができる
・ホーム画面や壁紙などを自由にカスタマイズできる
・Androidをインストールして、Android端末として使える
・マルチタスクの一括終了ができる
・Apple非公認のアプリをインストールできる
・SIMロックを解除してSIMフリー端末として利用できるようになる
・広告表示のブロックができる
・ロック解除のアクションを変更できる
・フォルダに入るアプリの数の上限を解除できる など

ここに挙げた以外にも、多くの改造・カスタマイズができます。
iOSではなくAndroidとして使えるなんて、ちょっと信じられないことまでできてしまいます。
これだけの自由度が手に入るとなると、ちょっと試してみたくなりますが、あくまで自己責任ですので、注意が必要です。*注3

◯デメリット
Appleの定めた規約を守らない以上、当然のことながらデメリットもあります。
「脱獄」にチャレンジする方は、次のような点に注意してください。

・Appleのサポートが受けられない
・キャリアのサポートが受けられない
・セキュリティ面での不安
・起動しなくなることがある
・バッテリー消費が早くなる可能性がある
・動作が遅くなる可能性がある など

結果的に、メーカーからもキャリアからもサポートが受けられなくなりますので、何かトラブルがあった場合は、全て自分で対処しなければなりません。
当然、復旧しないこともありますし、修理できたとしても費用が余分にかかったりする可能性があります。
ある程度知識と経験を持っていて、トラブル対応できる自信がある方以外には、「脱獄」はお勧めできません。

また、Appleの場合、かなり厳しいチェックを通過したアプリだけをApp Storeで提供していますので、通常の利用であればセキュリティについてある程度安心して使うことができます。
しかし「脱獄」を使うと、iOS自体に変更を加えたり、Appleの審査を受けていないアプリをインストールできることなどから、セキュリティに深刻な問題が生じる可能性があります。

最近のスマホには、サイトへのアクセス情報や住所録・スケジュール・クレジットカードや電子マネーの情報など、個人情報を含め重要なデータが多く保管されています。
Appleの審査を受けていない悪意のあるアプリが、これらの情報を収集していないとは限りません。

メリットだけをみると魅力的にも思えますが、深刻な被害を被るの可能性は否定できません。
Appleのクローズドシステムは、セキュリティ対策などそれなりの理由があって、伝統的に採用されてきました。
もし、スマホに対して自由度が必要なのであれば、初めからiPhoneではなくAndroidを選択することをお勧めします。

「脱獄」は法令違反になるのか?

「脱獄」を実施した場合、Appleの規約に違反し、補償が受けられなくなるところまでであれば「自己責任」の範囲です。
そのことを納得した上でリスクを享受するのであれば、特に問題はありません。
しかし、これがもし法令違反ということになった場合、問題の種類が異なってきます。
では、「脱獄」は何らかの法令に、違反または抵触するのでしょうか。

米国では著作権法違反にあたるということで、Appleが司法当局に提訴したことがあります。
それに対して2010年に、違法には相当しないとの判断が出されました。
これにより、現時点において「脱獄」の行為自体は、法令上セーフということになります。
日本国内では同様の司法判断がまだ出ていませんので、適法・違法の判断は難しいところです。*注4

日本国内の事例で見ると、「脱獄」済みのiPhoneを販売したと言うケースで、商標権違反が適用され、摘発された事件があります。

「脱獄」自体、自分で利用する目的であれば違法とはならないものの、その「脱獄」したiPhoneを他人に販売した場合、法律違反になるという判断です。
この事例では、2017年に千葉地裁で執行猶予付き有罪の判決が出されています。
iPhoneに改造を加えることで、Appleの持つ商標権を侵害したという点が問題とされました。*注5

最近では、iOS 11以降のiPhone全てに適用可能な「脱獄」ツールが登場したことが、話題になりました。
これは最新のiOS 13.5もカバーされており、現在稼働中のiPhoneならばほぼ間違いなく「脱獄」ができることになります。
しかし、これまでこの記事で指摘してきた通り、「脱獄」にはセキュリティ面など多くのリスクがあり、積極的にお勧めできる方法ではありません。

iPhoneも、バージョンアップするたびに機能は充実しており、わざわざ「脱獄」しなくてもできることが増えています。
もし、自分が持っているiPhoneに不満があるであれば、最新のものを購入するか、Android端末に変えるのが一番無難な解決方法だと言えます。
また今後、Appleの対策によって「脱獄」ツールが使っているシステムが修正され、突然「脱獄」の効果が無効になる可能性もあります。
このことを考えると、「脱獄」ツールを使用したとしても、安定して利用できる補償はありません。
あくまでも他に代替の手段がなく、ある程度システムやアプリに詳しい方が、自分の責任で実施する場合に限られると考えてください。

【まとめ】
Appleのクローズドで閉鎖的なアプローチは、「ウォールド・ガーデン」と呼ばれています。
「壁に囲まれた庭」という意味ですが、それをユーザーは「牢獄」とみなしました。
そのことにより、自由にカスタマイズ可能となるツールを利用することを「脱獄」と呼ぶようになりました。
Appleは創業以来、秘密主義で自社規格を優先しながら、拡張性やカスタマイズ性が低いプロダクトを製造してきた経緯があります。
そのことによって、パーソナルコンピューター市場ではWindows系にシェアを奪われ、一時は倒産の危機に直面したこともあります。

しかし、当時とは事情が異なり、現在のiPhoneはハードにしろソフトにしろ、それほど専門的な知識を持っていない、一般ユーザーが多く利用しています。
こだわったカスタマイズをしたいのではなく、むしろ安心して安定した端末を便利に使いたいと言うユーザーが主流となっています。
Appleのクローズドな姿勢は十分にユーザに受け入れられるものとなっています。
今回「脱獄」について改めて復習してみましたが、もし実行される方はあくまで自己責任であることをご理解ください。*注6

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■参考文献
注1
日本経済新聞 「Apple、15日に特別イベント 5G対応iPhone発表か」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63611450Z00C20A9000000/
注2
Tegara株式会社 「オープンな世界に対抗したクローズドな世界…スティーブ・ジョブズの遺したもの。」
https://www.tegara.com/newsletter/2011/12/vol.30-top.html
注3
ITmedia 「1分30秒で解説するiOSの「脱獄」とは?」
https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1608/31/news105.html
minto.tech 「iPhone「脱獄」とは?メリットデメリットと脱獄の方法」
http://minto.tech/iphone-datugoku/
ヒカカク! 「【利用前に】違法ではない?!iPhoneの「脱獄」とは何なのか?脱獄方法を一挙ご紹介!」
https://hikakaku.com/blog/%E9%81%95%E6%B3%95%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%84%EF%BC%9F%EF%BC%81iphone%E3%81%AE%E3%80%8C%E8%84%B1%E7%8D%84%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9F%E8%84%B1/
スマホロイド.com 「iPhoneの脱獄とは?脱獄すると一体何ができるの?」
https://xn--eckyb8bwdo5g.com/iphone-datugoku-691
All About iPhone 「jailbreak(ジェイルブレイク)/脱獄とは』
https://www.apollomaniacs.com/ipod/howto_jailbreak.htm
注4
cnet 「iPhoneの脱獄は著作権侵害に当たる」–アップルが主張
https://japan.cnet.com/article/20388255/
IT mdedia News 1分30秒で解説するiOSの「脱獄」とは?
https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1608/31/news105.html
注5
千葉日報 「無職男に猶予判決 千葉地裁「職業的で利欲的」 脱獄アイフォーン事件」
https://www.chibanippo.co.jp/news/national/409211
注6 Tech Crunch 「すべてのiPhoneで有効な脱獄ツールが新たに登場」
https://jp.techcrunch.com/2020/05/24/2020-05-23-hackers-iphone-new-jailbreak/


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