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元Googleのサミー・ベンジオがAppleのAI研究部門に入社した意味とは

中でもGoogleとAppleの影響力は凄まじく、日本でも馴染み深い両社ですが、先日、とある人物をめぐる動向が話題を呼びました。

今回は元Google社員であるAI研究者のサミー・ベンジオ氏が、Appleへ入社をした背景について迫ります。

目次:
①サミー・ベンジオのGoogle退社が注目された理由
②サミー・ベンジオがApple入社を選んだ背景とは
③サミー・ベンジオのApple入社で期待される今後の展開

サミー・ベンジオのGoogle退社が注目された理由

2021年4月6日、米Googleで人口知能(AI)の研究チームを率いていた著名科学者であるサミー・ベンジオ氏は、退職の意向を明らかにしました*1。

AI研究に携わってきたサミー・ベンジオ

ベンジオ氏はGoogleに約14年間在籍し、同社のAI研究チームであるGoogle Brainを創設したメンバーの一人でもあります。Googleが有しているAIの影響力は非常に大きく、画像分析や自然言語翻訳など、私たちにも馴染みのあるAI機能の基礎にもなっている技術です。

長年GoogleのAI研究を支えてきた重鎮であるベンジオ氏ですが、今回の退職の理由について「刺激的な新しい機会」を求めての行動だったとしています。退社後はそのままAppleへ入社しており、同社のAI研究チームに合流するということです。

同僚の解雇に抗議という見解も

ベンジオ氏が退職を決めた理由として、もう一つ囁かれているのがGoogleに対する抗議の意向です。Googleでは2020年12月、2021年2月に彼の同僚であるティムニット・ゲブル氏とマーガレット・ミッチェル氏が解雇されており、その理由について社内外から疑問の声が投げかけられていました*2。

Google側の解雇の理由として、ゲブル氏は研究論文を取り下げなかったとして、ミッチェル氏は電子ファイルを持ち出したとして、それぞれ解雇されています。

ゲブル氏は従業員の多様性を尊重する取り組みや、自社製品に対する批判が会社側の反感を買い、不当な解雇が行われたと主張し、ミッチェル氏はゲブル氏の不当解雇について発言しようとしたため、解雇されたと話しています。

結果、これまでに少なくとも2人の研究者がゲブル氏とミッチェル氏の解雇に抗議して同社を去っており、ベンジオ氏も同様の理由でGoogleを退職したと考えられています。

サミー・ベンジオがApple入社を選んだ背景とは

こういった一連の解雇騒動の影響を受け、ベンジオ氏が新たな職場として選んだのがAppleです。

Google内部での不満を募らせていたこともあるかもしれませんが、彼がAppleを選んだ理由について考えてみましょう。

Googleに劣らないAI研究のリソースが期待できる

一つは、Appleの莫大な予算や人的資本を惜しみなく活用できることが理由に考えられます。Appleの時価総額は、アメリカはもちろん世界中をみても彼らに並ぶ企業はそうありません。

ハイテク製品を製造・販売しているだけでなく、独自の規格で様々な技術の開発にも力を入れています。もちろんAIについても非常に多様な研究が実施されており、音声アシスタントの「Siri」などはAppleのAI研究の質の高さを裏付けるサービスです。

iPhoneに搭載されている顔認識機能である「Face ID」も唯一無二の精度を誇り、ソフトとハードの両立を自社でここまで完結させている企業は、他にありません。

それだけに膨大なリソースを確保して業務を遂行している以上、ベンジオ氏ほどの人物であれば、自由に予算と人を活用できる立場が約束されるはずです。

多様性への配慮が行き届いている

今回のGoogleの一件は、同社の煩雑な従業員の扱いに対する反発から始まった騒動です。一方でAppleはSDGsやユーザーのプライバシーに対する高い志を持った企業活動を推進しており、多様性への配慮が行き届いた会社としても知名度があります。

このことを踏まえると、多様性をめぐる問題でベンジオ氏がGoogleからAppleへの鞍替えを進めたのは、Googleに対する当てつけであるとも考えられます。

実際に、ベンジオ氏がどの程度Appleにコミットするのかについては不明です。しかし少なくとも、Appleの社会的責任感の強さが有数のAI研究者を引き込めた要因であることは、想像に難くありません。

サミー・ベンジオのApple入社で期待される今後の展開

サミー・ベンジオ氏がAppleへの入社を決めたことで、今後どのような展開が考えられるのでしょうか。

Googleの組織改善

最も期待されるのは、今回の退職騒動を受けてのGoogle内部の改善です。例え従業員と会社の意向で反りが合わなかったとはいえ、突然の解雇処分というのはあまりにも重すぎる処分でした。

また、解雇処分に意義を唱えようとした人物も解雇になったということであれば、当然同社における社員の人権問題に関わってくることとなるため、真相究明に向けた精査が必要になります。

企業の社会的責任はますます巨大化しており、GAFAと呼ばれる世界最大の企業群には組織の健全性についても世界最高クラスであることが求められます。このような事案が今後も続くようであれば、Googleからはますます優秀な人材が離れ、新たに入社を希望する人物も減少してしまいます。

退職騒動を受けて、どのように企業の体質が改善されていくのかについて、注目が集まるところです。

AppleのさらなるAI開発促進

一方で、現代を代表するAI研究者の一人を招き入れることに成功したAppleでは、さらなるAI開発の促進が期待できます。

事実上、GoogleのAI研究の最先端がそのままAppleへと流れ込んだことになるため、そのノウハウの共有も迅速に行われるでしょう。

すでに世界トップクラスのAI技術を持つAppleですが、さらなる飛躍を遂げるかもしれません。

また、多様な人材を受け入れる先進性も再評価され、新しい人材の獲得や、さらなる株価の上昇などにも期待が集まるところです。

おわりに

AppleとGoogleのAI技術は世界最高峰ですが、これらの技術を支えているのは優秀な研究者たちです。

ベンジオ氏の退職や、その原因とされているGoogleのAI研究者の解雇騒動は、企業の社会的責任能力の高さが技術開発のレベルに直結しかねないことを示唆することになるかもしれません。

今後の両組織の開発動向についても、注目が集まります。

 

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参考:
*1 ロイター「米グーグルの著名AI科学者が退職へ、同僚の解雇に抗議との見方」
https://jp.reuters.com/article/alphabet-google-research-bengio-idJPKBN2BU0EW
*2 上に同じ

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