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3DCADの重要機能「パラメトリック機能」とは?歴史と共に解説!

3DCAD技術の進化における重要機能「パラメトリック機能」とはどういうものでしょうか?この記事では、他の手法との違い、歴史、パラメトリック機能でできることを解説していきます!

この記事でわかること

・「パラメトリック機能」とは

・ダイナミックモデリングとの違い

・パラメトリック機能の歴史

・パラメトリック機能でできること

「パラメトリック機能」とは

「パラメトリック機能」とは、3Dモデリングの機能の一つで、形状を作る際に「パラーメーター」をもとに寸法を定義していく機能のことです。※1
「パラメーター=parameter」とは「媒介変数」を意味します。※2
例えば、ある長さを決める際に「Aさんの肩幅」を基準にして決めてみることにします。このスペースはAさん5人分の幅、廊下はAさん2人分の幅、のようにして長さを決めました。
その後、Bさんも同じようにスペースを作りたいとなりましたが、BさんはAさんより肩幅が2/3ほどしかありません。そのため、それぞれのスペースの寸法を2/3ずつ小さくしました。
この場合は、AさんとBさんの肩幅がパラメーターとなっており、肩幅をもとにしたパラメトリックデザインが行われていることになります。

3DCADを使う際に肩幅の話は出てきませんが、このように寸法にパラメーターを設定することで、同じパラメーターを設定した他の寸法と連動させることができます。

ダイナミックモデリングとの違い

パラメトリック機能を用いて行う3Dモデリングと対になるものとして、「ダイナミックモデリング」があります。
「ダイナミックモデリング」とは、形状を作る際にその寸法一つ一つを直接定義してモデリングする方法です。


パラメトリックとダイナミックの差が出る部分として、設計を変更するときの挙動の違いが挙げられます。

ダイナミックモデリングで作った形状を変更する際には、各寸法を一つ一つ修正していく必要があります。
それに対してパラメトリック機能を用いて行う3Dモデリングで作った形状を変更する際には、一カ所の寸法を変更することで同じパラメーターで紐づいた他の箇所も連動して変更させることができます。 ※1

パラメトリック機能の歴史

パラメトリック機能を搭載した3DCADは、1988年PTC社が発売した「Pro/ENGINEER」が業界初とされています。※3

PTC社(Parametric Technology Corporation)は、1985年に設立された会社で現在も「Creo」というモデリングソフトを販売しています。

そこから各社の3Dモデリング・CADソフトにパラメトリック機能が搭載されていくようになりました。

パラメトリック機能でできること1 設計更新

ここからはAutodesk社の資料※1をもとにパラメトリック機能でできることを紹介していきます。

まず最も中枢的な機能として、設計更新・変更が容易に行えるということが挙げられます。

先ほども説明したとおり、パラメトリック機能を用いて作った形状は、パラメーターと紐づけられて寸法が決まっているため、一つの修正が連鎖して全体や他の箇所の修正を同時に行うことができます。

「ちょっとここを修正しようと思ったら、他の100か所も手動で修正しなくてはならない」なんてことがなくなります。

パラメトリック機能でできること2 設計意図を組み込む

パラメトリック機能で形状を作成する際には、ある個所の寸法を決める際の設計意図が明確である必要があります。

例えば部品の位置を定義する際に、「どこから」「なににもとづいて」決まる寸法なのか明確にすることがポイントとなります。

これは一見面倒に感じるかもしれませんが、設計意図をダイレクトに設計に組み込むことができる、そして設計を変更する際にその意図がちゃんと引き継がれるというメリットとなります。

パラメトリック機能でできること3 特注部品の調整

特注部品を作る際に、パラメトリック機能を用いない場合は、「特注」の名の通り一つ一つの寸法を再定義する必要があります。

しかし、パラメトリック機能を用いて、「新たに決める寸法」と「それがきめれば自動で決めることができる寸法」のロジックを用意しておけば、特注部品の作成・調整の作業を短縮することができます。

パラメトリック機能でできること4 プロセスの自動化

パラメトリック機能を用いると、形状を作る際の共通の設計要素、たとえばボルト周りや面取りなどのモデリングを自動化することができます。

パラメトリック機能は、設計意図に基づいてパラメーターとその関係式によってけいじょうの寸法を定義します。そのため、その設計意図も再利用させることで、単純な工程であればロジックを定義でき、設計・モデリングのプロセスを自動化することができます。

まとめ

今回は、3DCAD技術の進化における重要機能「パラメトリック機能」について解説しました。

・「パラメトリック機能」とは、3Dモデリングの機能の一つで、形状を作る際に「パラーメーター」をもとに寸法を定義していく機能のことです。寸法にパラメーターを設定することで、同じパラメーターを設定した他の寸法と連動させることができます。

・「パラメトリック機能」を用いると、形状の寸法を一つ一つ定義する「ダイナミックモデリング」に対して、形状を変更する際に一カ所の寸法を変更することで同じパラメーターで紐づいた他の箇所も連動して変更させることができます。 

・パラメトリック機能を搭載した3DCADは、1988年にPTC社より業界で初めて発売されました。

・パラメトリック機能を用いることで、複数の箇所の設計更新を同時に連動させて行うこと、設計形状に設計意図を明確に組み込むこと、特注部品の作成・調整作業を短縮すること、共通の単純設計要素のモデル化を自動化することなどができるようになります。

パラメトリック機能は、3DCADの導入と同じく最初は根気のいるものかもしれません。しかし、導入によって長期的に得られる作業効率性はすばらしいものとなっています。

ぜひパラメトリック機能の活用ないし、パラメトリックデザインを検討してみてください!

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参考

※1 AUTODESK社資料「エンジニアがパラメトリックモデリングを取り入れる理由」 https://damassets.autodesk.net/content/dam/autodesk/docs/pdfs/ja/campaigns/ebook-why-engineers-design-with-parametric-3d/fy21-dm-pdmc-why-engineers-design-parametric-3D-ebook-ja.pdf

※2 英辞郎 on the web 「parameter」 https://eow.alc.co.jp/search?q=parameter

※3 PTC社 会社概要 https://www.ptc.com/-/media/Files/PDFs/About/20210806_J11117_PTC_Fast_Facts_ja_2020.pdf

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