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独自の取り組みも見られた日本におけるBIMの進化とこれから

BIM運用は今や世界的な取り組みとなっていますが、日本でもBIMの必要性とその有用性については大いに注目されています。10年以上にわたって国内での普及が進められてきましたが、どのような進化を遂げ、どんな未来が求められているのでしょうか。

今回は、日本におけるBIM運用の歴史と、これから解消すべき課題について、ご紹介します。

①日本におけるBIM運用の始まり
②CIMの登場と現在のBIM
③BIM運用の現状
④日本におけるBIM運用にこれから求められるもの

日本におけるBIM運用の始まり

日本で本格的なBIM導入が始まったのは、2009年に遡ります。BIMは2007年にアメリカで策定されたガイドラインに基づいて輸入が始まっていましたがその2年後にあたる2009年に、そのポテンシャルに多くの企業が注目をはじめます。同年に次々とメディアへの露出や関連書籍が販売されたことから、日本国内における「BIM元年」として知られるようになりました*1。

2010年に官公庁が主導するプロジェクトにおいて、BIMの導入を開始することを国土交通省が発表し、国を挙げてのBIM運用がスタートしています2。2014年には官庁営繕事業におけるBIM運用に関するガイドラインの策定も行われ、本格的なBIM運用のスタンダード獲得に向けた動きが始まりました3。

CIMの登場と現在のBIMとの関係

BIMと同じ文脈で頻繁に紹介されるのが、Construction Information Modeling、通称CIMの存在です。CIMは主に土木建設におけるBIM運用の技術を指す言葉で、実は日本国内で独自に発展を遂げた分野です。

CIM登場の背景

そもそもCIMという言葉が生まれたのは、日本が土木インフラの開発や維持管理において多くの問題を抱える事態となっていたためです。高度経済成長から数十年が経過した現在、土木建築の需要は当時ほどの大きさや勢いをもはや有しておらず、既存のインフラをいかにして効率よく使い続けられるようにするか、というところに多くの注目が集まります。

しかし山奥や地方に建設された道路やトンネル、河川などの維持は、多くの負担がかかるのにもかかわらず、相応のリターンを得ることが難しいものです。成長期に建造した多くのプロジェクトが老朽化の段階に入っており、財政状況の逼迫とは相反するように災害リスクの高まりや補修と点検の必要性が高まっているため、効率よくこれらを管理するニーズが生まれてきました。

そこで提案されたのがCIMと呼ばれる概念で、BIMの技術を土木開発分野でも積極的に運用しようというアイデアです。高まる災害リスクや崩落リスクなどに備え、ハイテクを駆使して高度な維持管理体制と、複雑で強度に優れる建物を効率よく建てていこうという動きが加速しています。

グローバル化に伴いBIM/CIMへ統合

CIM運用の取り組みは完全に日本の土木業界に普及しているわけではありませんが、CIMを導入した企業においては多くの成果が得られており、今後の更なる活躍にも期待がもたれています。

また、日本の高いレベルの建設技術は海外においても大いに注目を集めており、BIMはもちろん、CIMをどのように日本の企業が活用するのかという点も、参考にされています。日本の建設業界も、高い技術力と効率の良いプロジェクトの遂行を強みとして打ち出せるレベルに到達しており、BIMについても「BIM/CIM」と呼称を変更することで、更なる海外展開に動き始めています。

一度はBIMと異なる概念として広まったCIMですが、多くの呼称が乱立してクライアントの混乱を招かぬようBIM/CIMとされており、将来的には本来の姿であった「BIM」に一本化する可能性もあるでしょう。

BIM運用の現状

日本では独自の発展を遂げようともしていたBIMですが、現在はどれくらいの普及率で運用されているのでしょうか。国土交通省の調査結果を見てみると、まだ十分な導入が進んでいないということがわかります。

徐々に導入が進むものの、まだまだ不十分

国土交通省が2021年1月に発表した資料によれば、どういう形であれBIMを業務に導入していると答えた企業は46.2%となっているのに対し、導入していないと回答した企業は53.4%と、導入していない企業の方がやや多いということがわかっています。最も積極的に導入している業種は総合設計事務所で、設計業務における効率化の効果が大きいことから、高い普及率につながっています*4。

一方で専門設計事務所におけるBIM普及率は他の業種と比べて低く、67.4%の企業が導入していないと回答しています。中でも設備設計事務所における導入率は27.5%と、3割に満たない企業しかBIMを導入していません。今後は業種を問わない総合的なBIMの普及が求められるでしょう*5。

中小企業での導入の遅れも課題に

全体で見れば5割弱の導入に留まっているBIMですが、組織の規模に応じても導入の程度に差があります。傾向として100人以上の従業員を抱える大規模な組織では5割以上、特に5千人以上の組織ともなれば、導入の割合は87%を超えています *6。

一方で100人に満たない中小規模の組織においては導入規模が著しく低下し、2割から3割程度にとどまります。中小企業も大企業から委託を受けて業務を遂行する機会は多いため、大企業ではBIM運用が進んでおり、中小企業ではBIM導入が進んでいないとなると、業務上に支障をきたす可能性も増えてきます。

組織の規模に限らず、包括的なBIM導入が進んでいくことがこれから求められていくようになるでしょう。

日本におけるBIM運用でこれから求められるもの

まだまだ普及の余地が大きい日本のBIM活用ですが、更なる進化を遂げるためにはより多くの企業で導入されることが求められます。日本でBIM導入を進めるためには、どんな課題を乗り越える必要があるのでしょうか。

BIMに関する知見の周知

一つは、BIMに関する知見をより幅広い関係者に向けて周知することです。BIM導入が進まない理由として、そもそもBIMがどんな利益をもたらしてくれるのかがわからない、BIMの使い方がわからない、今あるソフトで十分事足りている、といったものが挙げられます。

BIM導入を進めた企業の多くで、すでに導入前と比べて大きな効率化やコスト削減などの効果を実感できています。こういった具体例が登場し、発信されることで、BIM導入を加速していくことができるでしょう。

デジタル活用のノウハウ提供

ただBIMの知識を広めるだけでなく、実際にどうやって使うのかについてのスキルを提供しなければ、実践的な活用は見込めません。ベンダーによる導入企業向けのサポートの拡大や、コンサルタントによる徹底した技術供与、あるいは導入企業における研修のための時間確保など、BIM運用に前向きになれる環境づくりが大切です。

おわりに

日本にBIMが輸入されてから15年近い月日が経ちましたが、まだまだBIM導入の余地は大きく、取り組める施策は残っています。BIM運用は大企業での導入が目立つ一方、中小企業でも適切な導入プロセスを踏むことで、確かな成果が確認されています。まずはBIMに触れる機会を増やすことで、運用のイメージを固めていくことが求められるでしょう。

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*1 日経XTech「BIM元年!日本の導入事例がJIAで炸裂」
https://xtech.nikkei.com/kn/article/it/column/20090220/530544/
*2 国土交通省「報道発表資料:官庁営繕事業におけるBIM導入プロジェクトの開始について」
https://www.mlit.go.jp/report/press/eizen04_hh_000003.html
*3 国土交通省「官庁営繕事業におけるBIMの活用」
https://www.mlit.go.jp/gobuild/gobuild_tk6_000094.html
*4 国土交通省「建築分野におけるBIMの活用・普及 状況の実態調査 確定値」p.9~p.10
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001395118.pdf
*5 上に同じ
*6 上に同じ p.11

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