Revitの自動寸法の設定手順|寸法の変更や独自の寸法単位の作成手順を解説
Revitでは自動寸法の設定が可能です。手動の寸法の配置にかかる時間を大幅に短縮し、正確性のある数値を迅速に生成できるため、効率的に作業を進められるようになるでしょう。しかし、Revitの自動寸法の設定方法が分からないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
本記事ではRevitで自動寸法を設定する手順を解説します。寸法の変更や独自の寸法単位の作成手順もみていくため、ぜひ参考にしてください。
この記事を読むと、以下のことが分かります。
1.Revitで自動寸法を設定する手順
2.Revitで寸法を変更する手順
3.Revitで独自の寸法単位を作成する手順
Revitで自動寸法を設定する手順(*1)
Revitでは作り手の意図をデザインに反映しやすくさせるために役立つ自動寸法の作成が可能です。既定では自動寸法は表示されないため、自身で設定しなければなりません。自動寸法を設定する手順は次のとおりです。
1.ダイアログボックス「表示/グラフィックスの上書きにあるタブ「注釈カテゴリ」をクリック
2.「自動スケッチ寸法」を選択
自動寸法の設定完了後、ツール「寸法」の使用により寸法の変更や独自寸法の作成が可能です。寸法の変更と独自の寸法単位の作成手順を詳しくみていきましょう。
寸法の変更(*2)
寸法の数値の調整により、参照するオブジェクトや要素などのサイズが変更されます。加えて、調整した値に応じて要素が適切な位置に移動します。寸法の数値を変更する手順は次のとおりです。
1.寸法の数値を調整したい要素を選択
2.ビューに表示されている数値を選択※
3.編集ボックスが表示されるため、新しい数値を入力
4.「Enter」をクリック
5.数値の変更後、入力した寸法の要件を満たすために要素が移動
手順2において、寸法のロック解除が必要なケースもあります。寸法がロックされている状態の場合、数値横にロックコントロールのマークが出現します。寸法がロックされていると数値の変更ができないため、ロックコントロールをクリックし、ロックの解除を行いましょう。
独自の寸法単位の作成(*3)
既定ではプロジェクトの作成に着手すると、寸法スタイルに対し特定の単位と精度の割り当てが行われます。独自の寸法単位の設定により、既定の寸法設定よりも優先されるようになります。独自の寸法単位の作成手順をみていきましょう。
1.パネル「寸法」のドロップダウンにあるツール「寸法」の中から適切なボタンを選択※
2.ダイアログボックス「タイプ プロパティ」にある「複製」を選択
3.独自の寸法スタイルの名称を入力
4.「OK」を選択
5.「文字」の「単位書式」で値のボタンを選択
6.ダイアログボックス「単位と丸め」にある「プロジェクト設定を使用」をオフに切り替える
7.「単位」にある単位から適切なものを選択
8.「丸め」に適切な単位を選択※
9.必適切な数値を「単位記号」を選択し、「OK」を2回クリック
Revitでは単位を「共通」や「構造」、「電気」などの専門分野でグループ化しています。専門分野の選択により、独自の単位タイプを設定できます。例えば、長さの表示形式には1’5や1/2などのタイプがあるため、適切な寸法単位を選びましょう。
寸法をロックする(*4)
寸法のロックを設定することで数値の変更操作を行えないようにし、対象となる要素の移動を制限可能です。寸法のロックはロックコントロールにて行います。ロックコントロールにある次の2つの項目を入力もしくはクリックすると、ロックの設定が可能です。
・確定寸法
・寸法の設定により、拘束を受ける要素
ロック設定後、寸法の数値をクリックしても修正できません。修正するためには、ロックの解除が必要です。
Revitの自動寸法に関するよく発生する問題と回避方法
Revitで寸法の数値の入力など自動寸法に関する操作を行うと、次のような問題が発生するケースがあります。
・オブジェクトへの参照が解除されてしまう
・自動的により多くの壁の参照が検出される
ここでは、問題の詳細と回避方法をみていきましょう。
コピーした寸法をレベル間で貼り付けると、Revitのオブジェクトへの参照が解除されてしまう(*5)
Revitにおいて建物の階層から別の階層にコピーした寸法を貼り付けると、オブジェクトへの寸法参照が失われてしまうといった問題が発生するケースがあります。寸法線の破損や折れといった不具合が発生したという報告も少なくありません。問題が発生する原因としては、コピーしたい寸法がホストオブジェクトを持たない場合、コピーおよび貼り付けの操作間で寸法の参照の認識が失敗してしまいます。
問題を発生させないためには、ホストオブジェクトが存在しないようにしましょう。ホストオブジェクトとは他のモデル要素に基本構造を提供するオブジェクトです。例えば、ドアや窓のホストは壁、照明器具のホストは天井を指します。また、破断寸法線の削除を行い、必要に応じて初期段階から再作成する方法で問題を回避できます。
寸法を入力すると、自動的により多くの壁の参照が検出される(*6)
マウスのカーソルを用いて寸法の数値の入力を行うと、壁の参照が検出されてしまう問題が発生しました。また、躯体面または壁の面の基本設定の操作によって、より多くの壁の参照が検出されているケースもあります。検出された複数の壁の参照から適切なものを選択するためには次の手順で操作を行いましょう。
1.壁の上部にカーソルを置く
2.キーボードにある「Tabキー」を押す
3.もう一度「Tabキー」を押す
4.適切な壁の参照に変更
5.左クリックし、参照を選択
Revitにおける自動寸法を活用した事例(*7)
株式会社ハイビッグ建築図面工房は寸法線の作画を自動化した自動作画アプリを開発しました。自動作画アプリでは柱や壁などの寸法線を表示する部材の選択と、コマンド「図面寸法」のクリックにより、ビューに寸法線および数値が入力されます。従来、手作業で描いていた膨大な寸法線の作図を自動化することで、作業の効率性が向上しました。
自動化により、正確に表示されない寸法線も出現します。しかし、簡単な修正のみで適切な位置に配置できるため経験の浅い人でも対応できるようになり、より多くの人と分業できる仕組みが構築されました。同社の寸法線の自動作画アプリの開発は働き方改革へとつながりました。
まとめ
Revitでは自動寸法の機能を活用し、作業の効率化を図れます。既定では自動寸法は設定されていないため、プロジェクト開始後に任意で操作する必要があります。自動寸法の設定完了後はツール「寸法」の使用により寸法の数値変更や独自の寸法単位の作成などの操作が可能です。
自動寸法の活用事例として株式会社ハイビック建築図面工房の自動作画アプリの開発を挙げました。アプリの開発により、寸法線の数値入力および自動作画が可能になり、技術者のみではなく経験の浅い人でも作画の業務に携われるようになります。作業効率の向上に加え、働き方改革へとつながる活用事例といえます。
自動寸法の機能を活用し、煩雑な作業の効率化を図りましょう。
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*2
「Autodesk Revit LT 2024|寸法値を変更する」
https://help.autodesk.com/view/RVTLT/2024/JPN/?guid=GUID-575DC14F-5571-4BB5-ACF3-991A8F49758F
*3
「Autodesk Revit LT 2024|カスタムの寸法単位を作成する」
https://help.autodesk.com/view/RVTLT/2024/JPN/?guid=GUID-7AC1BE0B-F2E9-4C18-B6CE-432A412FBA07
*4
「Autodesk Revit LT 2024|確定寸法のロックについて」
https://help.autodesk.com/view/RVTLT/2024/JPN/?guid=GUID-BD91C1BE-4FBC-41F0-AC82-5C60A545EAC6
*5
「Autodesk|レベル間で寸法をコピーして貼り付けると、Revitのオブジェクトへの参照が解除される」
*6
「Autodesk|Revitで寸法記入すると、自動的により多くの壁の参照が検出されます」
*7
「Autodesk|BIMお客様活用事例-株式会社ハイビッグ建築図面工房」https://www.autodesk.co.jp/support/technical/article/caas/tsarticles/ts/4Osriof1rBmCOSrM1tSZvc.html