BIM運用を効率化!Inventorの3DモデルをRevitファミリファイルへ変換する方法
3Dモデリングは多くの業界で活躍している技術ですが、中でもBIMは次世代のCAD技術として、注目が集まっています。Autodesk社は優秀な3D CAD、及びBIMソフトを提供している会社で、国内外で豊富な導入実績を誇りますが、同社の強みの一つが兄弟ソフトの連携が容易である点です。
今回は、Autodesk社のInventorを使って3Dモデリングを行っているユーザーが、Revit向けにファイルを変換したい際に覚えておくべき手法やポイントについて、ご紹介します。
①InventorとRevitの違い
②RFAへの変換で可能になること
③InventorからRFAファイルを作成する方法
④Inventorでファイル変換を実施する際のポイント
InventorとRevitの違い
まずは、そもそもInventorとRevitにどのような違いがあるかについて確認しておきましょう。どちらも優秀な3Dモデリングソフトであることに違いはありませんが、その使い方にはいくつかの違いがあります。
Inventorの特徴
Inventorは、主に製造業における3Dモデリングの生産性を向上してくれるツールとして活躍しているサービスです。製品設計から製品開発工程全体を支援するプロフェッショナルレベルのツールを掲げており、ハイエンドなプロダクトデザインの実現などに活躍しています。単なる3Dモデリングツールにとどまらず、高度なシミュレーション機能を活用した低コストで質の高い製品開発を実現したり、クラウドベースの設計レビュー機能でコラボレーションを支援したりと、業務の生産性向上へ大いに貢献してくれます。
また、FUSION360などその他のAutodesk社の3Dソフトと連携することで、さらに高度な設計案の策定など、新しいクリエイティビティの開拓も促してくれます。
Revitの特徴
一方のRevitですが、こちらは多分野に対応する汎用性の高いBIMソフトとして、幅広い業界から定評のあるソフトです。単なる3Dモデリングにとどまらず、BIMモデルを構築することによって、建設業界から製造業に至るまで、高度なシミュレーションや図面の作成に貢献できます。
通常の3Dモデルでは実現ができないような、精度の高い3D図面を作成し、広く情報共有を行える環境を構築できるため、コミュニケーションの促進による業務効率化を実現します。幅広い業界で活躍できることもあり、部署内だけでなく、部門横断型のコラボレーションにも役立ちます。
Revitは広範な活躍が最大の強みであるため、Inventorのような高い専門性を獲得するには、ツールセットの導入などが求められます。しかし幅広い運用可能性を持っていることや、導入企業が多く、情報共有を行いやすい点についてはInventorを凌駕しているため、2つのソフトを横断的に利用できる環境づくりがベターと言えるでしょう。
RFAへの変換で可能になること
Revitで利用されているファミリファイルはRFAと呼ばれ、これはInventorで作成したデータを変換して利用することもできます。InventorからRFAを作成することで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。
BIMモデルを効率的に運用できる
一つ目のメリットは、効率的なBIMモデルの運用が可能になる点です。通常の3Dモデルとは異なり、BIMモデルは利便性を重視したシンプルなデータに仕上がります。Inventorのファイル形式に含まれる、BIMコンテンツに不要な製造ジオメトリをRFAへの変換で削除することにより、BIM運用を効率化できます。
Revitユーザーへの共有を円滑に行える
二つ目のメリットは、Revitユーザーへの情報共有を円滑に行えることです。InventorのユーザーはRevitユーザーに比べて数は少なくなってしまうため、作成したデータをそのまま共有すると、Revitユーザーは使いづらいと感じてしまう場合があります。
InventorとRevitを併用する環境だと、Revit担当者はRFAに変換しなければならない手間が発生するため、業務に支障をきたしてしまいます。そこであらかじめRFAにInventorのユーザーが変換しておくことで、下流での作業を効率化し、差し戻しなどのリスクも小さくすることができます。
InventorからRFAを作成する方法
ここでは、Inventor上でRFAを作成する方法についてご紹介します*1。
不必要なコンポーネントなどを排除する
まずはRFAに変換したいファイルを開き、不要なコンポーネントを削除しましょう。シュリンクラップ ツールを使用することで、不要なコンポーネントやフィーチャを削除し、パーツの簡略化を行います。
MEPコネクタを作成する
続いて、BIM環境内に用意されたツールを活用し、MEPコネクタを作成します。MEPはMechanical、Electrical、Plumbingの略称で、製品を建築システムに接続できるよう設定を行います。
製品の配置位置を指定し、エクスポートする
UCSツールを使用することで、製品が正しく表示されるよう配置位置を指定できます。[ビルディング コンポーネントを作成]ツールを使用することで、メタデータの指定と方向の選択、そしてOmniclass のタイトルと番号を選択します。
最後に[ビルディング コンポーネントを エクスポート]を使用して、RFA ファイルとして保存すれば、作業は完了です。
Inventorでファイル変換を実施する際のポイント
Inventorのファイル変換の機能を押さえておけば、より高度な3Dモデル活用を実現できます。以下の二つも合わせて確認しておきましょう。
複数の形式に変換ができる
Inventorは複数の形式のファイルを展開できるだけでなく、豊富なファイル形式への変換にも対応しています。JT ファイルやCATIA V5 ファイル、Pro/ENGINEER ファイルなどの形式に対応しているため、あらかじめ確認しておくと良いでしょう*2。
環境に合わせて最適のファイル形式を選ぶ
ファイル形式の多様な対応力を活用することで、自身の環境に合わせた業務効率化を推進できます。現在使用しているツール環境を確認し、どの形式がベストな選択肢なのか、確認の上で統一しておくと良いでしょう。
おわりに
今回は、Inventorを使ってRevit向けのRFAへ変換する方法をご紹介しました。BIM運用の利便性を向上させるためには、オペレーターの小さなスキルの積み重ねが大きく左右します。Autodeskはツールに応じてさまざまな機能を提供しているため、それぞれを使いこなせるようになると良いでしょう。
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*1 Autodesk「Inventor から Revit ファミリ ファイル(RFA)へのワークフロー」
https://knowledge.autodesk.com/ja/support/inventor/learn-explore/caas/CloudHelp/cloudhelp/2019/JPN/Inventor-Help/files/GUID-D20CD536-0577-4253-BE0E-F07508BE1E81-htm.html
*2 Autodesk「データを他の形式にエクスポートする」
https://knowledge.autodesk.com/ja/support/inventor-products/learn-explore/caas/CloudHelp/cloudhelp/2015/JPN/Inventor-Help/files/GUID-A693B9CD-63FA-4E98-92AD-FDA3E17BA298-htm.html