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国土交通省が展開する3DプロジェクトPLATEAU(プラトー)の目的と展望

3Dモデルの運用は、民間や行政を問わず進められており、お互いに連携できる環境を整備することで、よりその効果を高められます。国土交通省では、そんな3D運用をさらに推進すべく、新しい3Dプロジェクトが始まりました。PLATEAU(プラトー)と名付けられたこのプロジェクトの目的や、今後の展望について、ご紹介します。

①PLATEAUについて
②PLATEAU登場の背景
③PLATEAUで実現すること
④PLATEAUのこれから

PLATEAUについて

PLATEAUは国土交通省が主導する、3D都市モデルの整備と活用、そしてオープンデータ化を目指すプロジェクトです。都市活動を支えるプラットフォームとして3Dモデルに注目し、都市データを一般に公開することで、都市データの更なる活用を促進します。

従来の二次元的な地図情報に3Dの都市モデルを付与するだけでなく、建物の構造や名称、築年数、その用途などの情報も加えることで、具体性の高いデータ化によって、インフラ整備や都市開発を次世代のレベルにまで引き上げることができます。

2020年度には東京23区を初め、全国およそ50都市で3D都市モデルを活用したユースケース開発やハッカソンが実施されました。すでに実践的な運用へと移行しつつあり、プロジェクトを通じて得られた知見と活用手法を集積し、オープンデータ化が進められています*1。

PLATEAU登場の背景

民間企業や各自治体では、それぞれ独自の3D都市モデル活用が進んでいますが、そんな中でもPLATEAUのような共通プラットフォームが登場したのには、どのような目的があるのでしょうか。PLATEAUが発足した背景についてご紹介します。

3Dモデル運用における官民連携の遅れ

一つ目の背景には、3Dモデル運用における官民の連携に遅れが見られる点です。国土交通省では積極的なデジタルトランスフォーメーション(DX)やBIMモデル活用の推進プロジェクトを展開してきましたが、投資余力のある大企業では活用が見られる一方、中小企業では今ひとつ進まないという企業間のギャップも広がりつつあります。

そんな中で立ち上がったのが、オープンなプラットフォームであるPLATEAUです。誰もが利用できる高度な3Dモデルが公開されたことで、企業の規模を問わず3Dモデル活用を高いレベルで進めることができるだけでなく、行政と民間が協力してプロジェクトを進められる推進力を獲得することが可能となります。

都市活用の更なる可能性への期待

二つ目に、日本における都市活用の更なる可能性への期待です。日本は都市部における人口の一極集中が進み、人口密度が各都市で高まりを見せる一方、新型コロナの影響や公害、地価の高騰から、地方へと人口が分散していく動きも見られます。

このような問題を解消する上では、都市をコンピューターによって高度に管理するスマートシティ化の実現が大いに注目を集めていますが、PLATEAUもまた高度な都市活用を推進する枠組みです。ディテールまで細かくモデリングされた質の高いデータをあらゆるユーザーに公開することで、都市開発を高いレベルで推進していけるようになります。

防災対策

日本は地震や津波、台風といった災害が発生しやすい災害大国でもあるため、これらへの対策を万全なものにすることも永遠の課題です。近年は新型感染症という新たな脅威に対応するためのプロジェクト進行も求められるようになり、あらゆる災害に対応できる建築基準を満たすことはさらに難しくなりました。

高度な3Dモデルを容易に扱えるようになれば、このような防災対策を徹底したプロジェクトの遂行も容易になるでしょう。

PLATEAUで実現すること

国土交通省はPLATEAUを通じた提供価値として、ビジュアライズ、シミュレーション、インタラクティブという3つのキーワードを掲げています*2。順に見ていきましょう。

ビジュアライズ(視覚性)

ビジュアライズは、都市空間を立体的かつ視覚的に認識できるようになった状態を指します。従来は二次元の図面から完成図を想像しなければなりませんでしたが、3Dモデルがこれに置き換わることで、より説得力のある情報共有が行えるようになります。

特に建築は専門外である関係者への情報共有において、3Dモデルは効果を発揮します。感覚的な理解を促せるので、必要以上にテキスト情報にこだわる必要がなくなり、説明の具体性を高められます。

シミュレーション(再現性)

シミュレーションは、実際の建築物をデジタル空間へ今まで以上に再現できるようになったことを指します。BIMモデルのように、従来の3Dモデルとは異なる情報量の多いモデリング技術を活用できることで、幅広い用途に向けた汎用性と、精密なシミュレーションを実現可能です。

まるで現実空間に建設物を建てたかの様な再現性を持ってシミュレーションを実施し、正確な検証結果を得られます。シミュレーションの高度化によって、複雑な建設プロジェクトへの着手を容易にしたり、工期を短縮することが可能です。

インタラクティブ(双方向性)

現実空間とデジタル空間におけるギャップを小さく抑えることで、インタラクティブなプロジェクトの推進、及び都市開発が実現します。デジタル空間での検証結果や予測結果を速やかに実際の建物に適用し、点検が必要な箇所や、混雑の回避のための動線作りを促せます。デジタル世界と現実世界が相互に存在する、デジタルツインの環境構築へPLATEAUは大いに貢献し、日本の都市を世界有数のスマートシティへと導いてくれることが期待されます。

PLATEAUのこれから

PLATEAUは防災対策やインフラ整備といった、公共空間の開発や改善に活用されることはもちろん、民間企業のサービス開発の基盤としても活用されることが期待されています。また、街を作って終わりというだけでなく、PLATEAUを通じて開発されたプロジェクトは、今後の維持管理においても高度にデジタル化された体制で点検などが行われ、高い水準で竣工当初の状態を維持できることが期待されます。

3Dモデルはその作成やプロジェクトごとのすり合わせに大きな時間と負担を必要としてきましたが、PLATEAUの登場によって、そのコストは大いに削減されるでしょう。

終わりに

国土交通省は、これまでにBIM運用ガイドラインや補助金といった、ルール作りや運用支援の面で建設のDXを推進してきたのが特徴的でした。しかしPLATEAUは実際にユーザーが利用することのできる、オープンなプラットフォームを目指して進められているプロジェクトで、具体的な成果を通じて国内のDXが今後進められていくことが期待できます。

今後PLATEAUの認知度が向上し、さまざまなプロジェクトに適用される事例が増えていけば、更なる官民の連携が進むことでしょう。

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*1 国土交通省「PLATEAU」
https://www.mlit.go.jp/plateau/about/
*2 *1に同じ

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