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積算はBIMでも可能!BIMを活用する2つの積算方法を詳しく解説

建物の維持や管理に不可欠な積算は、専用の積算ソフトを使って行うのが一般的です。しかし、最近はBIMと積算が連携し、BIM自体に積算機能が盛り込まれているシステムもあります。この記事ではBIMと積算がどのように連携されているのかをはじめ、BIMで積算を行う際のメリット・デメリットについてご紹介します。

積算は建物の維持管理に不可欠

(*1)
積算は作ろうとしている建物の要件や図面などから必要となる工事や材料、種類などを求め、それぞれにかかる工事の費用を算出することです。建物を作る場合は、数か月から数年と長期にわたるため、後から費用が不足していたということがあってはなりません。そのため事前に費用を見積っておく必要があります。

ある工事の積算を行う場合は、各工事を積算する根拠となる基準が変更になったり、仕入れる材料費が変更になったりと参照すべき情報が多く非常に複雑です。(*2)これらの負荷を分散するために、場合によっては積算業務を専門に請け負う企業に委託をする場合もあります。

また、建物は実際に建てる前の積算も重要ですが、メンテナンスにかかる費用の積算も重要です。建築保全にかかわる業務にも細かい基準があり、適切な点検時期を把握し対応しなければなりません。(*3)

BIMでの積算は2種類ある

(*4)
積算というと前述のような複雑な事情から積算ソフトを使うのが一般的です。しかし最近ではBIMに積算機能を盛り込み直接算出できるソフトウェアも開発されてきています。

BIMデータの情報を積算ソフトに出力して積算する場合

5)(6)
まず、BIMと積算ソフトが別のシステムになっている場合における基本的な手順を紹介します。

手順

・BIMにて形状を作成
・中間ファイル(IFC形式)へデータ変換
・積算ソフトにて中間ファイルを読み込み
・配置チェックを行い必要に応じて修正
・計算実行
・数量補正

メリット

使用しているCADやBIMによらず積算基準にのっとった数量算出ができます。(*7)積算ソフトは簡易積算ができるものから建築・土木・造園・屋根・板金などそれぞれの専門分野ごとに多くのソフトウエアがあります。

見積りの条件としてExcelやPDF、CSVなどのデータが読み込み可能で、BIMから情報を取得する面積、体積、長さ、個数などの構造部分については、図面やIFCデータを参照します。ソフトウェアに数量積算基準が組み込まれているため、精度よく材料の数量や工程の工事費、メンテナンス費などが算出可能です。

デメリット

使おうとしている積算ソフトがBIMから生成されるIFCデータの読み込みに対応しているかどうか確認が必要です。巾木や廻縁など見積りに必要な条件が本当に読み込めるかどうか事前にベンチマークしておく必要があるでしょう。

また、IFCのデータには対象となる設計情報すべてが含まれているため、データ変換や、データの読み込みに時間がかかります。

さらに積算ソフトに読み込んだ場合に、微細な形状や複雑な構造などが適切に読み込まれない場合があるかもしれません。想定している情報が全て伝わっているのか一つひとつ確認する「拾い」を行う必要があります。(*8)場合によっては再度IFCデータの出力をやりなおしたり積算ソフト上で情報の手直しが必要になったりする場合があるため、積算精度が高められても工数削減に大きくは貢献できない可能性があります。

IFCは建築業界で一般的な中間ファイル形式

(*9)
IFCはIndustry Foundation Classesの略で、建築業界で主に使われる中間ファイルのデータ形式です。

CADやBIMなどのソフトウェアは開発元独自の方法でデータを生成しています。そのため、異なるシステム同士でデータを連携したい場合には、中間ファイルと呼ばれる汎用的なデータ形式に変換しなければなりません。

また、ドア、壁、窓など建物の構造物は図面でみると単なる長方形であることが多いです。設計者が見ればそれぞれが意味のある構造物だと理解できますが、システムにおいては「この形状はドアである」という属性も一緒に付与しなければうまく処理できません。各々の構造物の目的が伝わらなければデータ連携を受け取ったあとのシステム上で非常に不都合です。

そのため、IFCではBIMで作った形状の寸法や体積情報のほか、構造物として必要となる以下の情報などが連携可能です。(*10)

・建築物:プロジェクト(物件)名称、敷地、建物、階、要素
・構造物:壁、床スラブ、柱、梁、屋根、階段、ゾーン
・レイヤー
・プロパティ:材質、色、断面、防火範囲
・接続

BIMで直接積算する場合

BIMと直接建築数量積算・見積書作成システムを連携ている場合、BIMのデータを中間ファイルに変換せずそのまま積算が可能です。例えば、Autodesk RevitにはNCS/HEΛIOΣ(通称:ヘリオス)というシステムが対応しています。

手順

あらかじめBIMに積算ができるソフトをアドインさせておきます。(*11)
部材作成仕上げ、工事科目細目等の振り分け
データ連携できない部分の部材作成・配置
配置チェック
数量補正

メリット

柱や壁、基礎などの構造物だけでなく、仕上げにかかわる床スラブや巾木、廻縁などもBIMから直接積算ソフトにデータが読み込めるため、中間ファイルへのデータ変換にかかる時間をすべて削減できます。また、情報の抜けがないかを確認する時間や、情報の欠落を補完する時間などを最小限に抑えられます。

積算担当者は構造躯体リスト作成や図面からの情報抽出に多くの時間を使っていますが、これらの転写時間が削減できます。

これらのことから設計担当者、積算担当者それぞれの設計業務の働き方改革に役立ちます。また、設計の初期から部材の概算数量を把握するのに活用すれば、フロントローディングにつなげる可能性が広がります。(*12)

デメリット

データの質がそのまま積算の質に影響してしまいます。BIMモデルから積算する場合は、BIMのデータから数量を算出しているため、場合によっては積算基準に即した数量で算出されない場合があるかもしれません。(*13)

BIMで形状を作ること自体は簡単ですが、データの作成者が建物の構造や積算についてある程度の知識がないと積算に必要な機能形状や属性条件などが付与できません。BIMデータの構造や条件に不備があれば、正しく積算できない可能性があります。

また、BIMの導入や維持管理にはある程度の予算が必要です。自社のみがBIM積算できるようになっていても、設計事務所などに委託をしている場合にはBIMだけで積算を行うのが難しくなります。そのためBIMでの積算を設計業務に取り入れる場合には、自社に関わるデータ連携の状況を十分検証しなければなりません。

導入直後には設計者や積算担当者の操作スキル習得の時間が必要となるため、一次的に業務効率が低下することが想定されます。そのため教育プログラムを準備したり、業務負荷が高過ぎる時期には導入しないなど、ソフトランディングできる仕組みづくりも重要です。

まとめ

積算は法律や基準に基づき建物を建てるための見積りや、建築後の維持管理にかかる費用を算出する重要な工程です。積算には部品表や図面などさまざまな情報が必要となるため、それぞれのデータを読み込む専用の積算ソフトで計算をすることが多いです。しかし、BIMを活用してダイレクトに積算が行える仕組みも整ってきています。それぞれにメリットデメリットがありますので、導入を検討する際には参考にしてください。

参考資料
*1 https://www.enishi-cm.co.jp/recruit/work.html
*2 https://www.mlit.go.jp/tec/sekisan/index.html
*3 http://www.mlit.go.jp/common/001253516.pdf
*4 https://www.cadjapan.com/special/bim-navi/start/integration.html
*5 https://ryushou.com/integration/
*6 https://www.kibi.co.jp/product_detail04.html
*7 https://www.cadjapan.com/special/bim-navi/start/integration.html
*8 http://www.archi-pc.co.jp/works07.html
*9 https://www.building-smart.or.jp/ifc/whatsifc/
*10 https://www.cadjapan.com/special/bim-navi/know/glossary/ifc.html
*11 https://apps.autodesk.com/RVT/ja/Detail/Index?id=4060378058904548078
*12 https://www.cadjapan.com/special/bim-navi/start/integration.html
*13 https://www.cadjapan.com/special/bim-navi/start/integration.html

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