鹿島建設におけるRevitなどBIMの推進状況を解説!


ゼネコン大手の鹿島建設では、あるできごとをきっかけにRevitなどのBIMの導入、BIMを活用したデジタル設計プロセスを一気におしすすめました。最近ではスーパーフロントローディングとして着工開始時にはデジタル上では工事が完了している状態を作ることを目指し、BIMやCIM、ICTを使いながら設計プロセスの大変革に取り組んでいます。この記事では鹿島建設のBIM導入の背景や現在の推進状況などについてご紹介します。

BIM推進のきっかけは施工ミス

鹿島建設がBIMを導入するきっかけとなったのは建築中マンションの施工ミスです。

三菱地所が分譲予定だった「ザ・パークハウスグラン南青山高樹町」では、構造躯体に必要な配管や配線を通すために約6,000箇所設けられた孔(スリーブ)のうち、設計図と一致していない場所が、全体の約12.5%にのぼる751箇所にあることがわかりました。

この問題が発覚したのは2013年12月で、三菱地所への引き渡しは2014年の3月に予定していました。しかも、全86戸の大部分が契約済みだったため、消費者からの意向などを踏まえて総合的に検討し、売買契約を合意解約して建て替えることとなったのです。

この不具合が発生した原因は、施工図の躯体図と設備配管系統図の不整合が原因とされました。その後不具合については対策され、新しい建物を同じ場所に建て直して3年後の2017年8月に改めて竣工されています。(*1)

鹿島建設が目指すBIM・CIM推進ビジョン

建築にはたくさんの図面が必要で、それぞれの構造ごとに設計担当が異なることも一般的です。そのため、各々の担当範囲の境界面では不整合が起こりやすくなります。だからといってその状態が放置できるわけではありません。

今回の高級マンションにおける設計ミスは、すでにマンションが消費者にまでわたっていたこともあり大きく報道されました。鹿島建設では二度とあってはならない、非常に重い問題と受け止められたのです。

2016年には全事業にBIMを導入

問題が発覚したのち、鹿島建設では2015年には国内建築工事の約80%、2016年には全現場へ適用と非常にスピード感のある対応でBIMの導入を進めました。BIMを活用して設計を行えば、構造全体でシミュレーションを行うことが可能です。BIMデータがあれば、担当者が複数いてもデータ上で確認をとって適切に対策ができます。

鹿島建設の中期経営計画(2018-2020)にある以下の記述からも、BIMを戦略的に用いている様子がわかります。(*2)

・適用現場の拡大と高度利用の促進
・施工データ・ノウハウの集積と一元管理化における現場管理の高度化
・建物の企画から管理・維持までのワンストップソリューション提供に向けたBIM活用

BIMとして特にポイントになるのは以下ふたつの施策です。

スーパーフロントローディング

フロントローディングとは、CADの導入期から言われ始めた言葉で、今までの設計プロセスにCADなどのデジタルツールを導入することで、設計を前倒しすることです。パソコン内でデータを作っていれば、そこで干渉チェックや各種シミュレーションなどを併用することができます。「試作レス」といった目標を掲げている企業も多く見られました。

これに対し、鹿島建設が目指すスーパーフロントローディングでは「着工する時点で、デジタル上ではすべての工事が完了している状態」が目標です。BIMを活用したフロントローディングの深化により、着工時までに設計における不具合を全て対策し、デジタル上では、仮想的に工事が竣工できている状態を徹底させるとしています。(*3)

ただし着工時仮装竣工といっても、実現するにはあらかじめ施工に必要な情報をBIMデータに盛り込み、必要なシミュレーションや検討をこなさなければなりません。RevitなどのBIMを導入して、各部位ごとにデジタル設計ができるようになっても単純に情報を盛り込むだけでは、設計者側の負担が増えすぎてしまいます。

鹿島建設では、これらの課題に対応するため、BIMを適切に使いこなせる人材育成として、BIM管理者研修やBIM技能の認定制度を策定する予定です。

また、竣工まで見通してデジタル設計を行うのであれば、ICTツールの導入などさらなるデジタルツールを用いた工夫が必要となってくるでしょう。

鹿島スマート生産ビジョン

この試作は建設就業者不足への対応と働き方改革の施策として「作業の半分はロボットと、管理の半分は遠隔で、すべてのプロセスをデジタルに」をコアコンセプトに掲げて実施されています。(*4)

これはAIやRPAなどの活用と考え方が共通している部分ですが、現在建設現場で人間が行っている作業のうち、人間でしかできないところは人間が行い、機械的に進められる部分はロボットに担当させるという考え方です。資材運搬など作業難易度が低い場所や危険な場所ではロボットが作業するようになっていくことが想定されます。

また、その建築現場にいかなくても作業進捗や技術課題を共有したり、各協力会社の労務管理を共有し負荷の調整を測ったりするシステムの導入も行われています。

これらの試作を実現するために、個別のシステムをそれぞれ稼働させるのでは情報の不整合の問題が発生する可能性があります。

そこでこのように膨大な情報を形状情報とともに管理するためにはBIMが欠かせません。積算業務ひとつをとっても、形状が明確化されているBIMデータを用いればより直観的に作業が進められます。

また、管理ロボットを駆動させるにあたりBIMデータでシミュレーションしたりBIMデータを用いて行動軌跡をプログラムしたりする施策は今後多いに考えられます。

鹿島建設と連携する企業のBIM推進状況

鹿島建設では、BIM・CIMの技術を基軸に建設事業と開発事業はもちろん、国内外の関連会社と連携して建築物の設計や施工、維持管理などライフサイクルの付加価値向上を目指しています。具体的にどのような連携が行われているかご紹介します。

BIMサービスプロバイダーの子会社を設立

鹿島建設では、2017年に子会社として株式会社グローバルBIMを設立しました。日本初のBIMサービスプロバイダーとして注目されていて、顧客要求などに応じRevitとARCHICADの2つのBIMソフトを活用しながらBIM関連の情報処理や運用コンサルティングなどを行なっています。(*5)

BIMオブジェクトの共通プラットフォームを整備

鹿島建設は、丸紅が開発したBIMオブジェクトプラットフォームとして「Arch-LOG」の実証実験に参加しています。(*6)

このプラットフォームはAutodeskのRevit、GRAPHISOFTのArchiCAD、TrimbleのSketch Upに対応していて、5,000点以上のBIMデータから必要な建材を作成しているBIMデータに盛り込むことができます。必要な属性やレンダリング情報はセットされているため、配置するだけで簡単に設計データが作成できます。

海外拠点でもBIMの推進が進んでいる

シンガポールではBIMの標準化が進んでいて、5,000平方メートル以上の建築物を建てる場合は、建築確認申請にBIMデータの提出が義務づけられています。

鹿島建設の現地法人であるカジマ・オーバーシーズ・アジアでは、Revit、Navisworks、ShowcaseなどAutodeskのソフトウェアなどを活用しながらBIM施工図やデジタルモックアップの作成を行っています。

一例として劇場やスタジオ、オフィスが入る「メディア・コンプレックス」ビルでは、売買契約上取り決められていた施工モデルと竣工モデル、BIM実施計画に加え、自主的に施工図作成と干渉チェックBIMで行いました。(*7)

まとめ

鹿島建設では過去の問題を苦い教訓として、RevitやARCHICADなどのBIMを用いてスーパーフロントローディングなどBIMの推進に取り組んでいます。協力会社や現地法人などでともBIMデータを活用が進んでいます。

参考URL
*1 https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK17035_X10C14A3000000/

*2 https://www.kajima.co.jp/csr/report/index-j.html

*3 https://www.kajima.co.jp/csr/report/2019/pdf/ir_p20-23.pdf

*4 https://www.kajima.co.jp/news/digest/may_2019/feature/05/index.html

*5 https://www.kajima.co.jp/news/press/201704/13m1-j.htm

*6 https://www.arch-log.com/

*7 https://xtech.nikkei.com/kn/atcl/knpcolumn/14/546679/031800022/

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