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メタバース内でNFT化された土地の売買が爆発的に盛り上がっている件について

 2021年末のことですが、仮想空間内でのデジタルデータでしかない「土地」が、わずか1週間程度の間に、総額100億円で取引されたという事で大きな話題となりました。
この話、ちょっと聞いただけでは正直「大丈夫かな?」と言う印象を受けてしまいます。リアルの土地ですら、バブルで高騰すると危ないのに、今回の話題は実態を一切持たないデジタル上の土地です。
 今回の記事では、この話題を少し掘り下げてみていきましょう。*注1

この記事でわかること
 ・NFTとは何か
 ・盛り上がるメタバースの世界について
 ・メタバースに資金が集まる理由とは

そもそもNFTとは何か?

NFTの特徴

 まずは、登場する用語から確認していきましょう。
 NTFは「Non-Fungible Token」の頭文字を取ったもので、代替不可能なデジタルデータのことを表します。

 そもそも、デジタル化された情報がなぜ便利なのかというと、簡単に全く同じもののコピーを作成することが可能だというのが一つの理由となっています。
 そのため、過去のデータを使い回ししながら、新たなデータを作成することができるため、紙媒体で扱うよりもはるかに生産性の向上に役立ちます。

 しかしその一方で、オリジナルを特定することが困難となるのが、デジタル化の課題でもあります。
 音楽業界でCDが登場した初期に、違法にでコピーされた音源にどうやって対抗するか、色々と苦労をしていたのがその典型的な事例です。コピープロテクトCDなどが登場しましたが、結果的にCDのセールスを落としてしまう一因となってしまいました。

 今回話題になっているNFTは、仮想通貨で用いられている「ブロックチェーン技術」を利用することで、デジタルデータであってもオリジナルであることを保証できるのが大きな特徴です。
 さらに、そのデータの所有権が誰にあるかも同時に担保することが可能となっています。そのため、たとえデジタルデータであっても、他のデータと明確な選別ができるようになっています。

 そもそもリアルの世界であっても、オリジナルと複製を区別するのは難しいものです。
「ギャラリーフェイク」という漫画をご存知でしょうか?美術品の世界を舞台として活躍する主人公が、贋作を見抜く卓越した能力を持っていることから、さまざまなストーリーが展開されていく漫画です。
 美術史や当時の風俗、科学的な分析など、ありとあらゆる手法を駆使して、贋作とオリジナルを区別する。まさしく、プロフェッショナルが活躍する世界であり、素人には全くわからない高度な知識と深い経験が必要です。

 それがNFTを使う事によって、誰もが容易にオリジナリティを保証できると言うのです。しかもデジタルデータであるのに!
 この点がNFTの最も優れている特徴であり、注目されている点です。この技術があれば、デジタルアートにすぐに活用することができるでしょう。さらに、そのオリジナルデータを今誰が保有し、誰と誰の間で売買がなされたかまで追跡することが可能となります。

 NFTの特徴をうまく利用すると、作者に対して2次的な売買が成立した時点で報酬を支払うという仕組みを作ることもできます。
 通常、アート作品の売買に関して作者に入る報酬は、最初に「作者が作品を売却する」時点だけです。そのあと、どれだけ高値で流通しても作者には一切の報酬は支払われません。その常識すらNFTは覆してしまうことが可能です。

 NFTの仕組みをうまく、リアルな対象にも紐づけることができれば、現実世界でも簡単にオリジナリティの証明をすることが可能となります。
 そうなれば、もはや専門家の鑑識眼は不要であり、誰もが安心してさまざまな対象を売買できる世界が登場します。
 NFTは、このような素晴らしい可能性を秘めた新しい技術です。*注2

仮想通貨とNFTとの違い

 ここで、NFTと同じくブロックチェーン技術を利用している「仮想通貨」との違いについてみておきましょう。
 仮想通貨は、NFTと対比するならFungibleなデータです。代替が可能なデータと言えます。
 例えば、私が所有している1ビットコインと、他の誰かが所有している1ビットコインは交換することができます。両方とも同じ価値を持ち、交換前と交換後で一切の区別はありません。

 仮想通貨に関しては、このように「オリジナリティ」を区別することはできませんし、仮想通貨の性質から言っても区別することに意味はありません。「誰がどれだけの単位の仮想通貨を保有しているか」だけが明確にわかれば良いのです。
 逆にNFTは「オリジナリティ=唯一無二性」があることが大きな特徴であり、偽造や複製は不可能となっています。

NFTは何に利用できるのか

 NFTの利用範囲は非常に多岐にわたります。
 すでに利用が始まっている分野としては、アート関連がその代表でしょう。デジタル化された絵画や音楽など、作者が自分の作品をコピーや偽造を恐れずに売買することができます。
 もちろん、デジタルコンテンツを求めている人にとっても、オリジナリティを主張することができるため、安心して購入することができます。

 他にも、この記事のテーマとなっている「デジタル空間内の土地」や「ゲーム内で利用するアイテム」など、いくらでも応用例は考えられます。
 前述した通り、デジタルデータに限らずリアルな対象にもうまく紐づけることさえできれば、NFTは強力な「唯一無二性」の証明として活用されるでしょう。

盛り上がるメタバースの世界

 一昔前であればRPGなどのゲームをする目的は、ラスボスを倒してエンディングに到達することでした。
 しかし、世界中で多くの人が参加しているオンラインゲームにおいて、このようなゴールはもはや意味がなくなっているようです。
 ゲームの中では特定のゴールは存在せず、まるで現実世界のように、友達を作り、買い物をし、レジャーを楽しむ。そんな「日常生活」をデジタル空間で送るのが当たり前になって来ました。

 もし、本当に日常生活と同じような価値観がオンライン上に持ち込めるのであれば、そこでやり取りされるデジタルデータにも、需給バランスによって価値が生じてきます。
 ゲーム内アイテムからアバターに着せる服や靴など、当然デジタル空間内での「土地」もその対象となるでしょう。
 例えば、多くのユーザーが行き交う「場所」であればニーズも高く、需給バランスによっては価値が上昇してくるはずです。

 NFTではありませんが、仮想通貨の価格がこれだけ高騰しているのも、需給バランスをコントロールしていることが一つの要因です。
 ビットコインがその代表例ですが、「通貨」としての価値はもちろん、過剰な数量が市場に供給されないよう、全体の発行数量に制限を加える仕組みを採用しています。仮想通貨によっては、流通しすぎないよう一部を「燃やす」こともあるぐらいです。
 メタバース内での土地についても、サービスの提供者がうまく供給をコントロールすることで、価値を維持することができるでしょう。

facebookはメタバースを次の有望市場として参加

 SNSという新たなサービスを世界中に拡大することに成功したfacebook社は、社名を「メタプラットフォームズ」へ変更することを発表しています。社名を変えるほどの決意で、これからの有望市場であるメタバースへ、本格的に参入することを示しています。*注3

 日本で仮想通貨の取引所を運営するコインチェックも、メタバースの一つであるThe Sandbox内で土地の販売を開始しました。ベースとなる仮想通貨(イーサリアム)の価格によって変動しますが、総額は4億8800万円〜7億円相当になっており、NTF化された土地の価格が上昇し、需要が急増しているとコインチェックがコメントしています。*注4

メタバースに資金が集まる理由

 ここからは未来予想の話になります。当然、当たり外れはあるものですが、それなりに信頼性の高い話です。
 世界中の投資家は新たな可能性を求めて、将来価値が上がりそうな投資先を常に探っています。オランダのチューリップ、バブル期の土地や株、仮想通貨などもこうしたターゲットとして多くの資金が流入し、時には弾けたりを繰り返してきました。

 当然、リスクとリターンはトレードオフの関係にありますので、ある程度のリスクを見込んだ上でリターンの可能性を求めて投資先を選択していきます。とはいうものの、なんの信頼性もない危険な案件はもはや投資とは呼べず、ギャンブルの類となってしまうため、なんらかの方法で信頼性が担保される必要があります。

 デジタルデータにしかすぎないメタバース内でのアイテムは、複製や改ざんが可能という点で、これまでは投資対象としては心許ない存在でした。
 それがブロックチェーン技術を利用したNFTの登場によって信頼性が担保され、投資対象としての資格を十分に持ち合わせることができるようになりました。
 これが、今メタバース内の土地に資金が流入している背景となっています。

 しかし、今後も活発な取引が行われ十分な流通性が保証されない限り、将来的な価値の上昇は見込めません。信頼性だけでなく、リターンが期待できないと投資対象としては魅力がありません。
 果たして、メタバースには今後それだけの経済的な拡大が見込めるのでしょうか。

 それに対する回答の一つが、「新しい形のSNSとして多くの人が利用する可能性が高い」というものです。
 facebook登場前は、SNSがこれほど世界中の人が日常的に利用するサービスになるとは予想できませんでした。情報はマスメディアが発信するものであり、一般ユーザーはその受け手としての役割しかない、それがSNS登場以前の状況です。

 しかし今やfacebookだけでなくLINE・twitter・インスタグラムなど、目的や利用者層に応じた多種多様なSNSが登場し、世界中の人がなんらかの形で日常的に使う必要不可欠なサービスとなっています。
 メタバースは、このようなSNSがさらに進化した形として期待されており、よりリッチなコンテンツを持つ未来の交流場所になる可能性を秘めています。

 もしあなたが、タイムマシンに乗って誕生したばかりのfacebookに投資するチャンスがあったとしたら?私なら、ありったけの資金を投入して、今ごろは大金持ちとしての人生を目一杯満喫していることでしょう。
 今まさに、そのようなチャンスが目の前にきているのかもしれません。あなたは、未来のfacebookやインスタグラムのようなサービスの誕生に、立ち会っているところかもしれないのです。

 これがfacebook、現在のメタプラットフォームズが社をあげてメタバースに参入しようとしている大きな理由です。
 世界的なコロナの影響もあり、デジタル空間内でのコミュニケーションや商業的なイベントの開催も活発化しています。
 新たな経済圏として無限の可能性を秘めている。それがメタバースに資金が集まる最大の理由なのです。*注5

【まとめ】
 メタバース内の土地が高額で取引されている。このニュースを最初に目にした時には、「流石にバブルではないか?」と感じたのが正直なところです。
 しかしよくよく調べてみると、将来的な可能性を大いに秘めている上に、信頼性も担保されていることがわかりました。
 考えてみると、株の取引ですら現在は証券を直接手にすることはなく、デジタルデータのやり取りで完了しています。投資対象の価値と取引の信頼性が保証されるのであれば、理屈としては同等でしょう。
 メタバース内の土地を含めたアイテムの購入は、個人でも簡単にできます。それぞれのプラットフォームに参加し、必要な仮想通貨のウォレットを準備できれば、後は資金を投入して購入するだけです。
 これを機に、メタバース内に自分の土地を購入してみてはいかがでしょう?。残念ながらそこに住むことはできませんが。

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■参考文献
注1
Gigazine 「100億円超えの「メタバースの土地」がわずか1週間で取引されている」
https://gigazine.net/news/20211203-metaverse-land/
DappRadar ”Gold Rush in the Metaverse, Land Selling for Millions ? Top 10 NFT Sales”
https://dappradar.com/blog/gold-rush-in-the-metaverse-land-selling-for-millions-top-10-nft-sales
GMOコイン 「メタバースの土地NFT、週間取引高が1億ドル突破」
https://coin.z.com/jp/corp/information/market-news/detail.html?46a75fd8936e5f87cdbc683f40cd3a05b1f0d200
注2 
MONEY ONLINE 「今話題の偽造不可な証明書「NFT」とは?特徴について分かりやすく解説」
https://madoguchi.jp-g.co.jp/article/investment/2021-8-26/
注3
coindesk 「??メタバースに投資する方法」
https://www.coindeskjapan.com/135516/
Media Argo 「メタバース(仮想空間)とは?意味と仮想通貨・NFTとの関連性を徹底解説」
https://www.fisco.co.jp/media/crypto/metaverse-about/
「The Sandbox/SAND(ザ・サンドボックス)とは?始め方や稼ぎ方を徹底解説」
https://www.fisco.co.jp/media/crypto/sandbox-about/
REUTERS 「焦点:アートも土地もデジタル化、仮想空間で暗号資産が増殖」
https://jp.reuters.com/article/metaverse-assets-idJPKBN2C70O7
注4
IT Media NEWS 「コインチェック、メタバースの土地「LAND」を販売 総額5億円超」
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2112/15/news093.html
注5
MONEY PLUS 「メタバースで100兆円規模の巨大経済圏が誕生する?注目される理由と関連企業10選」
https://media.moneyforward.com/articles/6919

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