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3D CADの活用にはフロントローディングが必要な理由

CADシステムは、今や世界中の製造・設計業務において必要不可欠とされているテクノロジーの一種です。近年は3D CADの進化が進んだことで、より効果的なCAD運用が実現していますが、それを支えているのがフロントローディングと呼ばれる運用プロセスの実装です。

今回は、3D CADに関する運用課題や、フロントローディングとの併用が有効である理由について、ご紹介します。

目次:

①3D CADを活用するメリット

②3D CAD運用の課題

③フロントローディングとは

④フロントローディング導入のメリット

⑤フロントローディングを実装するためのポイント

3D CADを活用するメリット

3D CADは、手書きの図面設計をコンピュータに落とし込んだ2D CADとは異なり、立体的な図面を視覚的に描くことのできる便利な技術です。どのような活用メリットがあるのか、主な要素を確認しておきましょう。

幅広い業務の効率化につながる

3D CADは、設計製造業務全般に適用可能な、汎用性の高い技術です。あらゆるメーカーや設計事務所、建設業界で活躍している最新技術で、多くのプロジェクトに適用されてきました。

二次元の図面を使うよりも遥かに情報共有が行いやすく、専門知識に知見のない関係者にも感覚的に理解を促しやすいため、設計だけでなく、営業領域においても活躍する技術です。

図面作成の時間も短く抑えられ、情報共有にも時間を必要としないので、業務全般の効率化に貢献します。

品質向上につながる

3D CADは複雑な設計が必要な製品にも適用でき、手書きや二次元では対応ができなかった複雑なプロジェクトも実現できるため、高度なクオリティに達することができます。

より耐震性に優れた建造物を作りたい、人間のような複雑な作業を遂行できるロボットを開発したいなど、多様化するニーズに応えられるものづくりをするためには、3D CADは不可欠な技術です。

XRなど新しい視覚技術活用を促進できる

3D CADの運用は、仮想空間上のオブジェクト活用を推進する上でも役に立ちます。容易に3Dオブジェクトを生成でき、複雑なデータをモデルに適用できるため、ARやVRなどのソリューション開発、ひいてはデジタルツインやメタバースのような、一歩進んだ仮想技術の運用にも確実につながってくる技術です。

3D CAD運用の課題

3D CADは確かに便利な技術ではあるものの、運用に当たってはいくつかの障壁を乗り越えなければいけません。

全社的な導入が必要

まず、3D CADの長所でもある情報共有の効率化を実現するためには、全社的なシステムの導入が必要です。どれだけ3D CAD設計を高度に行える技術があっても、CAD運用ができる部署が限定的であったり、その内容を読み取れる人材がいなければ、最大限のパフォーマンスを発揮できません。

習得・運用に時間を必要とする

また、3D CADの運用にはある程度時間を要するという点もネックです。ツールを導入するだけであれば比較的短期間で済ませられますが、習得して運用できるようになるには研修や新たな人材確保が必要となるので、すぐに実装というわけにはいきません。

連携が煩雑になる場合がある

3D CADのような新しい技術を導入する場合、従来型の業務プロセスに組み込む形で運用すると、データの変換作業などが従来以上に必要となり、余計業務が煩雑になってしまう可能性があります。3D CAD運用を効率よく進めるためには、3D CADを前提とした新しいワークフローも求められるでしょう。

フロントローディングとは

3D CADをはじめとする、新しい設計技術を効率よく活用するために各企業で採用されつつあるのが、フロントローディングと呼ばれるワークフローです。これは、上流工程にある設計業務に多くのリソースを割くことで、下流にある製造や組み立て業務を効率化し、生産効率と品質を高めようという仕組みです。

3D CADは事前設計に大半の時間を割いた方が効果的に運用できるということから、フロントローディングとの相性に優れているとされています。

フロントローディング導入のメリット

フロントローディングの導入は、組織に多様な恩恵をもたらしてくれます。導入効果について確認しましょう。

工数短縮によるコストの削減につながる

まず、フロントローディングは設計・製造業務の工数短縮化に繋がります。従来のワークフローは、何度も修正や手戻りが発生することが前提とされており、多くの時間が各ステップで発生していました。

フロントローディングは、設計段階において従来よりも多くの時間をかけ、丁寧に図面作成を行うので、下流工程での修正負担を最小限に抑えます。抜本的な見直しが必要なエラーなどのリスクを抑え、従来よりも少ない日数で業務の遂行を促します。

部門間連携をさらに強化できる

フロントローディングの実装は、プロジェクト関係者の多くが3D CAD運用が可能な環境にあることを前提としているため、部門間連携をさらに高い水準へ改善することができます。ただ漠然とツールを導入するのではなく、フロントローディングの実現という目的に則ったシステム運用を促せるので、短期間で質の高い環境整備につながります。

フロントローディングを実装するためのポイント

フロントローディングはメリットの多いワークフローと言えますが、ただ枠組みを直接当てはめるだけではうまく機能しません。フロントローディング実装に向けたポイントについて、ご紹介します。

人員配置の転換が必要

まず、フロントローディングを実践するためには人員配置の転換が不可欠です。従来のワークフローの多くは、各工程へ均等に人員が配置されているのが一般的でした。

これは各工程で等しい負担が発生することを前提としているためですが、フロントローディングの場合、上流の設計業務に多くのリソースを必要とするため、上流への配置転換を進めなければなりません。

全社的なIT教育を推進する

フロントローディングは、最新のITツールを効率よく運用するためのワークフローです。自社のIT教育が十分ではない、3D CAD運用が満足に行えない環境という場合、全社的なIT教育の推進からスタートする必要があるでしょう。

プロジェクトの始めこそ部門内のスモールスタートで問題ありませんが、いずれは全社員がITに一定の見識を持つ、DX人材となることが理想です。

管理システムの導入を検討する

フロントローディングのような新しいワークフローを導入する場合、従来とは異なるマネジメントが求められます。ワークフローの導入に合わせて新しい管理システムの導入も実施し、効率よく進捗を管理できる体制を整備できるのが理想です。

まとめ

ITの活用は製造業や建設業においても進んでおり、3D CADはその中核を担う技術として注目を集めています。3D CAD運用の価値を最大限高めてくれるフロントローディングは、合わせて運用を進めたいワークフローです。

導入に伴う課題をクリアできるよう、早い段階から検討を進めておくことが重要です。

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