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製造業を進化させる「インダストリー4.0」とは?

この記事を読むと、以下の3つのことがわかります

1.インダストリー4.0の概要について

2.ドイツでインダストリーが生まれた背景

3.日本の製造業でインダストリー4.0を活用するポイント

「インダストリー4.0とは何?」

「もっとモノづくりを効率化したい」

とお悩みの方へ。IoTやAIなど、次々と新しい技術が生まれています。それらの技術は様々な業界で活用が進んでおり、製造業も例外ではありません。

「インダストリー4.0」はドイツで生まれたプロジェクトの名前で、ITを使いモノづくりを進化させる取り組みです。日本もインダストリー4.0を意識したモノづくりが実現できれば、もっと働きやすい環境になるでしょう。

この記事では、インダストリー4.0の概要や生まれた背景、日本の製造業で活用するポイントを解説します。

製造業で注目されるインダストリー4.0とは?

インダストリーとは直訳すると「産業」のことです。インダストリー4.0は日本語では「第4次産業」と呼ばれ、ITをはじめ最新技術を駆使して産業を発展させるプロジェクトを指します。

もともとインダストリー4.0は2012年からドイツが国を主導として進めたものです。製造大国であるドイツが国を挙げて取り組んだことで世界に波及し、日本の製造業でも意識されるようになりました。

日本では、インダストリー4.0の基盤は「スマート工場を中心としたエコシステムの構築」としています。(※1)

モノがインターネットにつながるIoTやAIといった新しい技術を十分に活用することで、製造プロセスが円滑になる・オーダーメードのモノづくりを行う「マス・カスタマイゼーション」の実現が期待されているのです。

インダストリープロジェクトの歴史

インダストリー「4.0」とあるように、産業革命には1~3として以下のような歴史があります。(※2)

インダストリー1.0(18世紀):水力や蒸気機関を使った機械製造設備の導入期。蒸気船や蒸気機関車が開発され、生産量が8倍に増大する

インダストリー2.0(19世紀):石油と電力を使った大量生産が始まる。カナダの食肉処理場手法をヒントに自動車生産でライン製造が導入され、自動車の製造が効率化される。

インダストリー3.0(1970年代):ITの活用が始まり、PLCやコンピュータによる部分的な自動化が始まる。ロボットなど、生産工程全体を自動化するベースが作られる。

インダストリー4.0:インダストリー3.0をベースとして、IoTやAIといった技術を産業に応用する動きが始まる。

水力や蒸気、電気といった文明の進化に比例して、製造業をはじめとした産業も発達してきました。インダストリー4.0では、ITがさらに進化したことにより今までにない発展を目指しているのです。

実現に必要な技術

インダストリー4.0ではインダストリー3.0と違い、実現には以下のような最新の技術が必要です。

IoT

インダストリー4.0の核ともいえる技術が「IoT」です。モノがインターネットとつながるIoTは、製造業にも大きな影響を与えます。例えば工場のマシンにIPアドレスやセンサーを割り当てることで、様々な情報を収集できます。集めた情報を分析することで、部品交換などを自動で検知することも可能です。

クラウドコンピューティング

サーバーやストレージ、ネットワークをインターネット(クラウド)経由で調達できるクラウドコンピューティングも、インダストリー4.0に欠かせません。クラウド上であらゆるデータを一元管理できるこの技術で、ITサービスの価格が抑えられ、多くの企業で導入しやすくなります。

AI

IoTで集まった膨大なデータは、AIや機械学習で分析させます。AIがデータを分析すると「機械がどんなタイミングで壊れるか?」などを予測でき、先回りで対策ができます。AIなら、製造業でコストとなりがちな単純作業を任せることも可能です。

デジタルツイン

製造業をはじめ、建築業など様々な業界で注目されているのがデジタルツインという技術です。デジタル上で工場の3Dモデルを作り、IoTなどで現実の工場のデータをリアルタイムで反映することで、まるで双子(ツイン)のように連動して変化します。シミュレーションが容易になり、生産性アップが期待できます。

IoTとの違い

インダストリー4.0は工場や製造にかかわる人やモノ、情報システムといったすべてを接続する「スマートファクトリー」の実現をメインとしたプロジェクト名です。

一方でIoT(Internet of Things)はモノがインターネットにつながる技術のことです。インダストリー4.0の話題ではIoTもよく耳にしますが、これら2つは意味が異なります。

IoTという技術は、インダストリー4.0に欠かせない技術です。しかし前述したようにインダストリー4.0の実現には様々な技術が必要であり、IoTはその中の1つにすぎません。

ドイツでインダストリー4.0が生まれた背景

製造大国ドイツでは、高圧洗浄機で有名なケルヒャーや自動車部品で有名なBosch(ボッシュ)、車産業ではフォルクスワーゲンやBMWなど日本でも有名な企業が多くあります。

ドイツの大手システムソリューションである「シーメンス」はインダストリー4.0の中心的企業ですが、インダストリー4.0が生まれた背景は日本では考えつかないような意外な理由がありました。

「無理せず中国やアメリカに勝ちたい!」から生まれた

モノづくりが主要産業となっているドイツですが、この20年あたりで最もGDPを伸ばしているのがアメリカです。そして中国の伸びも著しく、ドイツでは2010年あたりから「アメリカや中国にモノづくりで負けたくない!」という風潮が高まりました。

このあたりから、ドイツでは「いかに製造業にデジタルを導入し、モノづくりの力を伸ばすか」が重視されます。そこで生まれたプロジェクトが、インダストリー4.0なのです。

しかしドイツでは、日本のように残業が当たりまえではありません。就業時間が来るとすぐ帰る人がほとんどで、17時に仕事を終えてその後は子どもと一緒にスポーツする…といったライフスタイルの人がほとんどです。

ドイツでは、上記のようなライフワークバランスをキープしたまま中国やアメリカにモノづくりで勝ちたいと思っています。だからこそ、インダストリー4.0というモノづくりを効率化する動きが生まれたのです。(※3)

インダストリー4.0は日本の働き方改革に必要

日本なら「モノづくりで他国に勝ちたい!」と思った時、それに比例して残業が増えるシーンが珍しくありません。ある意味“楽して勝ちたい”とも思えるドイツのような考えは、日本では言いにくい雰囲気があるものです。

しかし働き方改革が叫ばれる今、日本はドイツのような姿勢を見習うべきではないでしょうか。日本では苦労する(=残業)ことが美徳とされがちですが、そうとも限りません。

ワークライフバランスを大事にするドイツでは、夕方に業務メールを送ってもすぐ返信は来ないでしょう。しかし前述したような世界的に有名なメーカーがいくつもあり、モノづくりとしての成果は世界的に高いといえます。

日本の製造業はどう進化していくべきか

日本の製造業でインダストリー4.0を実現するためには、以下の2点がポイントです。

現物を見ながら情報をすり合わせる

3Dモデルという技術を製造業で活用する

順番に解説します。

現物をみながら情報をすり合わせていく

設計や製造でデジタルを取り入れる場合、まず3Dモデルによってデジタル上でモノを作り、そのデータを現場と共有して設計モデルの完成をすり合わせていく方法が有効です。(※4)

日本の製造業では、実物を見て、対話しながらものづくりを行うという強みがあります。建設業では“職人気質”の雰囲気が強く、現場で経験を積んだ職人さんが、状況を見ながら柔軟なモノづくりを行ってきました。

現場ありきの手法だからこそ、作業が後手に回ったり手戻りがあったりといった問題点はあります。しかし、実物を見ながらモノづくりを行う点は他国にはない魅力でもあり、インダストリー4.0を取り入れたとしてもこの魅力を活かすべきです。

3Dモデルを浸透させてデジタルツインの活用を進める

前述したデジタルのすり合わせを行うために基盤となるものが、3Dモデルです。建築業など他の業種でも3Dモデリングを活用した作業の効率化が進んでおり、DXという面でも活用が求められています。

インダストリー4.0を推進するドイツでは、設計段階で3Dモデリングやデジタルツインなどの技術を使い徹底したフロントローディングを行う点が特徴です。その分後工程は徹底的に自動化されており、突発的な仕様変更には柔軟に対応できません。

一方で現場ありき日本の製造業では、突発的な対応も得意です。しかし初期工程が弱いため、3Dモデリングやデジタルツインを活用すれば、より作業の効率化が期待できます。

つまり現場力+最新技術を組み合わせることで、日本の製造業はさらに強くなるのではないでしょうか。勤勉で高品質なモノづくりを行う日本の製造業は、インダストリー4.0の力でさらに進化できるはずです。

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参照サイト
※1 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd135210.html
※2 https://blogs.itmedia.co.jp/itsolutionjuku/2019/01/404.html
※3 https://iotnews.jp/archives/53664
※4 https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2009/01/news008_3.html

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