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デンソーの事例に学ぶ、製造業DXに必要な取り組みとは?

製造業は大きな需要がある一方で、市場競争の激化に伴い、既存の枠組みを刷新し更なる生産性向上や働き方改革が求められています。いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)が製造業において喫緊の課題となっている中、自動車部品メーカー大手のデンソーは、抜本的なDX改革を敢行し、次世代のメーカー企業としての地位を固めつつあります。

今回は、そんなデンソーの事例を参考にしながら、製造業に求められているDXのアプローチについて、ご紹介します。

目次:

  1. なぜ製造業はDXが必要なのか
  2. デンソーが提唱する製造業に必要な3つのキーワード
  3. デンソーが新たに設立した「デジタルイノベーション室」の役割

なぜ製造業はDXが必要なのか

そもそも、なぜ製造業はDXが必要とされているのでしょうか。主な理由としては、以下の3つが背景として挙げられます。

深刻な競争力の低下

1つ目の理由は、国内製造業の相対的な競争力の低下です。製造業を支えるシステムの多くはアメリカ製のプラットフォームに依存しており、国内製品でその全てを賄うことは極めて困難です。

デンソーのデジタルイノベーション室 室長を務める成迫 剛志氏は、「GAFAをはじめとする巨大テック企業が構築したプラットフォームによりコンテンツやソフトウェアを牛耳られた結果、ハードの「コモディティ化」が発生してしまい、競争力を失うことになった。」としています*1。失われた国際競争力を回復するためには、積極的な先端技術の導入、そして新技術やフレームワークの積極的な創出を進めなければなりません。

グローバル市場の拡大

競争力の相対的な低下が見られたのには、グローバル市場の拡大が進んだことも理由の一つに挙げられます。

コストパフォーマンスに優れ、優れた人的リソースを抱える東南アジア諸国は外貨の獲得によって経済発展を遂げ、日本や中国に劣らない経済力を蓄えつつあります。購買力と生産力のある国が次々と台頭する中、日本国内の市場は冷え込み、復活の兆しも見えていません。日本の製造業が生き延びるためには、購買力と需要のあるグローバル市場へ参入し、国際的に求められる品質とサービスを提供できるよう変革が求められます。

新型コロナウイルスの感染拡大

新型コロナの感染拡大によって、工場の操業停止やリモートワークが求められるようになったのも大きな変化です。オフライン業務は必要最低限に抑え、感染拡大と生産力向上の両立を促す上では、DXによる最新技術の導入が欠かせません。

デンソーが提唱する、次世代の製造業に必要な3つのキーワード

デンソーではDXの実践にあたり、次世代の製造業には3つのキーワードが求められるとしています*2。

DX

1つ目のキーワードは、DXそのものです。デンソーではDXを以下の3つのデジタル活用によって実現すべきと提案しています。

守りのデジタル化

1つは、守りのデジタル化、いわゆるデジタイゼーションです。既存事業をデジタルに置き換え、作業労働をRPAなどで自動化するものです。余計な業務を効率化し、現場負担の削減に努めます。

攻めのデジタル化

2つ目は、攻めのデジタル化です。デジタライゼーションによって自社ビジネスモデルに変革をもたらし、新しい価値の創造に取り組みます。

デジタルによる変革

3つ目は、デジタルによる変革です。デジタル技術を使ってライフスタイルに変化をもたらし、デジタル技術ありきの新しい生活様式の構築に携わることが求められます。

ソフトウェア・ファースト

2つ目のキーワードは、ソフトウェア・ファーストです。ソフトはビジネスを支援するためのものではなく、ソフトがビジネスを創出するという考え方を根付かせることで、デジタル化を進められます。

また、ソフトウェアはハードウェアよりも進化のスピードが速いことにも注目し、ソフトとハードを分離して捉え、ハードの進化スピードに囚われることなくソフトの活用を進めるべきだともしています。

アジャイル

3つ目のキーワードは、アジャイルです。ユーザーが満足する製品を、手戻りなく開発するための仕組みづくりを実行するとともに、現場主義的な実行力と対話を重視する文化を育てることが重視されています。

製造業において成功しているアジャイル開発のあり方として、デンソーはトヨタ生産方式を例に挙げています。すでに成功している事例を自社でも実践し、自分なりにアレンジを加えていくことの重要性に注目が集まります。

デンソーが新たに設立した「デジタルイノベーション室」の役割

デンソーでは上記のようなDX実現に向け、2017年より新たにデジタルイノベーション室を社内に設置し、デジタル文化の構築に努めています*3。同部門では、主に以下の3つの役割を担います。

デザイン思考やサービスデザインの創出

1つ目の役割は、デザイン思考やサービスデザインの創出です。ゼロイチでアイデアや製品を創出する力を養い、ユーザーにとって優れた変革の手段を提供します。

「早く、安く作る」基盤の創出

2つ目の役割は、早く、そして安く作るための基盤の創出です。製造業を悩ませる要因の一つに、製造コストの増加が挙げられます。原材料費の高騰や人件費の高騰により、以前に比べて安くものを作ることが難しくなっており、利益率を維持するためには生産量を高める必要も出ています。

デンソーではクラウドネイティブなプラットフォームを整備し、オンラインで作業が可能な環境へと移行するとともに、オープンソースを使ったクリエイティブで新規性の高い技術活用を推進することで、より生産力があり、安く製造できる体制の整備に力を入れています。

「作りながら考え、顧客とともに創る」土壌の創出

3つ目の役割は、「作りながら考え、顧客とともに創る」土壌の創出です。ただ設計書通りに製品を量産するのではなく、ユーザーとの対話を重ね、製品に対する熟慮を重ねることで、より良いプロダクトの開発に取り組むことが求められています。

また、このような共創とクリエイティビティを継続して発揮するためには、社内に文化レベルで定着させることも必要です。フルリモートでの研修プログラムやワークショップを積極的に実施することで、DXに求められる基礎やマインドセットの全社的な習熟に努めています。

まとめ

製造業はDXの余地が大きい領域とされていますが、すでに大企業を中心に抜本的なデジタル化が進められています。デンソーの事例を見ていると、中小企業でも取り組みやすい、規模の小さな施策も多く含まれているため、できる範囲でDX施策を実行に移すことが大切です。

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参考:
*1 ビジネス+IT「デンソー 成迫氏が語る「ニューノーマル」のDX、“完全リモート”で開発速度が上がったワケ」
https://www.sbbit.jp/article/bitsp/41563
*2   TECH+「製造業におけるDXの本質とは? – デンソー成迫氏が解説 (1)」
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20220426-2324354/
*3 *1に同じ

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