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Metaが提供するメタバースプラットフォーム「Horizon Worlds」とは何か

 なんのバックグランドもない一人の大学生が起業し、あっという間にAppleやマイクロソフトと肩を並べる世界企業となった「Meta(旧Facebook)」。アメリカンドリームの象徴としても、SNSという新しい文化を創造し定着させた功績の面でも、まず名前があげられる企業です。

 今回は「Meta」が社運をかけて取り組んでいる、メタバース事業の核となる「Horizon Worlds」について少しまとめてみましょう。

この記事でわかること

 ・Horizon Worldsについて

 ・メタバースの歴史と現状について

 ・なぜMetaはメタバースへと進んでいくのか

「Horizon World」とは何か

 「Horizon Worlds」は、Metaが開発・運営しているメタバースの一つです。Metaは現在、Horizon Worlds以外にも、オンラインミーティングに特化した「Horizon Workspace」や、仮想空間内でのバーチャルイベントの運営ができる「Horizon Venes」を提供しています。

 このようなサービスの中でも「Horizon Worlds」は、今後のメタバース事業での中核となるものであり、facebookが進化した形としてMetaが特に力を入れています。

 Hrizon Worldsでは、ユーザーが独自に「World」と呼ばれる空間を作成し、そこでコミュニティを形成することができます。

 ユーザーは独自のゲームをプログラミングしてミニゲームを運営したり、イベントの開催やアート作品の販売など、さまざまな活動ができます。

 先行するサービスとしては、VR空間内でRoomと呼ばれる独自空間を作り、ミニゲームなどを楽しむことができるVRアプリ「Rec Room」があります。2021年時点で1200万ものユーザーによって作成されたRoomが存在しており、急速に成長しているサービスです。*注1

 Horizon Worldsは、2021年12月にアメリカ・カナダで先行してリリースされました。VRヘッドセットの「Meta Quest 2」などを使い、3Dモデリングされたアバターを使ってバーチャル空間で様々なアクティビティをすることができます。

 2022年4月からは、ユーザーが作成したアイテムを販売できるようになるアップデートが発表されています。*注2

 Horizon Worlds内において、アイテムの販売手数料の体系は以下のようになっています。

 ・アイテムを販売するMeta Questストアの手数料が30%

 ・残額の70%分に対してHorizon Worldsが25%を徴収

 具体的に計算すると次のようになります。

  販売金額が1000円の場合、販売手数料としてMeta Questストアに300円を支払います。そして残額である700円の25%にあたる175円をプラットフォームであるHorizon Wroldsに支払い、最終的に525円がクリエーターに入ります。

 手数料の合計が47.5%となり、約半分が徴収される計算となります。

 現在は、Meta QuestストアもHorizon WorldsもMetaが運営していますので、全ての手数料は結果的にMetaが徴収することになり、やや高いように思えます。

 しかし将来的には、アイテム販売が外部でもできるようになることを想定しているため、一見複雑とも言える手数料体系の設計になっているようです。

 例えばアイテム販売はスマホキャリアが行い、プラットフォームはMetaが運営するようなケースの場合、ユーザーの支払額は同じですがMetaには全体の17.5%分しか入ってこないことになります。

 「Horizon Workrooms」や「Horizon Venes」は、オンラインミーティングやイベント開催・運営に特化したVRサービスです。基本的にはMetaがサービスを提供し、ユーザーはそれを利用するという形であり、サービスの質や機能はMetaが設計し提供しなければいけません。

 それに対して「Horizon Worlds」はVRプラットフォームであり、ユーザーがサービスやアイテムの提供側になることもできます。課金システムが導入されたことにより、多くのクリエーターにとって魅力的なフィールドになることが期待されます。

 先行する「Rec Room」が急速に成長していることから、この分野のサービスは今後大きな可能性を持っていることは確実でしょう。

メタバースの歴史と現状

 ここで少し「そもそもメタバースとは何か」「なぜMetaは社運をかけてメタバースに取り組んでいるか」について確認しておきましょう。

 メタバースとは「3Dモデリングされたアバターを使い、VR空間内で複数のユーザーが同時アクセスしマルチプレイできるオンラインサービス」または「そのVR空間そのもの」のことです。 

 メタバースには明確な定義がある訳ではなく、これはあくまで筆者がまとめたものですが、共通認識としては間違ってはいないでしょう。

 一番古いメタバースの例としては「Second Life」が有名です。「Second Life」のサービス提供開始は2003年であり、その後2007年ごろから多くのメディアに取り上げられ、最盛期を迎えました。

 しかし期待されたほど「面白くない」ことがわかり、急速にユーザーが離脱しています。

 離脱した原因として

 ・当時の技術力と通信環境が貧弱であり、とても快適と言える操作ができない。

 ・何をするにも課金中心であり、フリーで遊べる余地が少ない。

 ・注目された割にはアクティブユーザーが少なく、宣伝目的の企業ばかりが目立ち、「右も左も広告だらけ」となってしまった。

 これらのことが挙げられ、多くの点で問題があったことで結果的には普及には至りませんでした。

 同時期にSNSが登場し急速にユーザー数を拡大したことも、Second Lifeには逆風となりました。

 気軽に登録して利用でき、オンライン上でコミュニケーションが取れるSNSという新しいサービスに人々は熱中していきます。

 そのSNSの代表がfacebookであり、現在はMetaと社名を変えてSecond Lifeが失敗したメタバースへと注力しているというのは、やや感慨深いものがあります。

 2011年登場の「Mine Craft」や、2017年登場し「Apple税」に関する闘争でも有名となった「フォートナイト」などのオンラインゲームも、メタバースにカテゴライズされます。

 日本国内であれば、2008年の「Play Station Home」や2020年の「あつまれどうぶつの森」などがあげられます。

 フォートナイトでは有名アーティストがバーチャルイベントを開催するなど、もはや単なるオンラインゲームとは言えない「様々なアクティビティが楽しめるVR空間」として成長しています。

 ここまでの例は、それほど明確に「メタバース」として認識されている訳ではありませんでした。

 現在は、VRサービスにブロックチェーン技術が融合し、サービス内でのアイテムに固有性が保証されるようになったことで、にわかに注目されるようになりました。

 アイテムに固有性を確保できるようになったのは、「NFT(Non Fungible Token)」日本語では「非代替性トークン」と呼ばれる、「デジタルデータなのにオリジナルを保証できる仕組み」ができたからです。

 デジタルデータはコピペすることで、オリジナルと全く同じコピーを大量に生成することが可能です。NFT登場前までは、オリジナルとコピー品を区別することはとても困難でした。

 それがブロックチェーン技術を応用することで、明確にオリジナルを特定できるようになったという点が非常に画期的です。このことにより、クリエーターが創造するデジタルコンテンツに「オリジナル」という価値が付加され、現実空間での絵画などのアート作品などと同等に取り扱うことができるようになります。

 メタバース内では、アート作品に限らずVR空間内での土地などの「不動産」から、ゲーム内で使われるアイテムやグッズまで、幅広いコンテンツに利用することができます。

 NFTの登場により、メタバース内でのさまざまなコンテンツに対して投資対象としての価値を見出し資金が流入するなど、やや加熱気味な動きが起こっています。*注3

 このようなブロックチェーン技術を導入しているメタバースの例として、以下のようなサービスがあります。

 ・The Sandbox  (イーサリアム)

 ・Decentraland (イーサリアム)

 ・Enjin Craft  (Enjin)

 ・Axielnfinity (Rorin)

 The Sandboxは、スクウェア・エニックスから出資を受けたり、Coincheck NFTと連携するなど、国内企業とも深く関わりがあります。

 Enjin Craftは、前述したMine CraftをEnjinブロックチェーンに接続したサービスであり、母体となるMine Craftが世界中に多くのユーザーを持っていることから、ポテンシャルに期待されています。

 AxieInfinityはモンスター育成・対戦ゲームですが、サービス内の「ランド」が150万ドルで取引されたことが話題になりました。

 このように、VR仮想空間内でのオンラインゲームとブロックチェーン技術が癒合することで、デジタル空間内で実社会と同程度の信頼を有する市場が形成されつつあります。このことが、現在メタバースが注目されている大きな理由となっています。*注4

 オンラインゲームを中心として発展してきたメタバースですが、ビジネスユースでも確実に導入が拡大しています。

 Metaの提供するHorizon Workroomsに刺激されたのか、マイクロソフトでも自社のオンラインミーティングサービスである「Teams」を、VR対応させることが発表されました。 「Mesh for Microsoft Teams」という名称で、2022年から提供が開始される予定です。*注5

なぜMetaはメタバースへと進んでいくのか

 Metaは、自社の主力サービスであるfacebookが「古臭く、つまらない」ものであることに危機感を抱いています。

 元々は大学生限定で「恋人探し」という側面を色濃く持っていたfacebookですが、優れたUIとエッジランキングという画期的なシステムによって、急速に普及していきました。

 実名登録であることから、信頼性の高いユーザーのアクティビティを収集・分析することができ、企業のマーケティングにも非常に有効であったため、広告媒体としての価値が高まりました。このようなビジネスモデルによって、facebookはSNSの王として君臨することになります。

 しかしサービス開始から20年が経過し、当時の大学生は今や中年世代へと突入。facebook以外にも魅力的なSNSが多数登場し、若い世代にとっては「古臭く、たいして面白くない」サービスになりつつあります。

 例えば、匿名アカウントで多少過激な内容でも気軽に投稿したいなら「Twitter」があります。Twitterは、スピードや拡散性においてfacebookよりも優秀であり、メッセンジャー代わりとしても活用することができます。

 ハイセンスなファッションや美しい景色、おいしそうなスイーツを見たいなら「インスタグラム」や「ピンタレスト」が最適です。

 他にも「TikTok」や「YouTube」など、例を挙げるとキリがありません。実際、これらのサービスをリストにして「何が一番面白い?」と聞いた時、facebookを一番にあげる若い人はそれほどいないのではないでしょうか。

 10代から20代の若者にとって実名登録が必須のfacebookは、就活先や親から見られても困らないような投稿しかできないオフィシャルなサービスです。

 Linkedinと同じで、かしこまった使い方しかできないものの「年上の人」ともつながることができるため、仕方なく登録しているだけという人も多いでしょう。

 今や、facebookは中年世代のSNSになりつつあります。

 インターネットサービスが一般ユーザーを惹きつけるためには、「面白いこと」「便利なこと」が不可欠です。

 しかしメタバース内で、運営側が多くのユーザーを惹きつける「面白い」コンテンツ、例えばゲームなどを作り続けるのはなかなか大変です。そこで、クリエーターが自由にコンテンツを作成し提供することで、収益を得る仕組みを構築することができれば、運営側はプラットフォームの維持だけに注力すれば良いはずです。

 YouTubeの面白さは、世界中のユーザーが投稿する動画にあります。YouTubeは、利用しやすいプラットフォームを構築し、投稿者が収益を得られる仕組みを設計することに集中しています。コンテンツの制作はユーザーが行い、YouTube自体が関与することはありません。

 さまざまなクリエーターが豊富なコンテンツを提供することで、YouTubeは「面白い」サービスへと成長しています。

 Metaは、メタバースにYouTubeのような可能性を見出し、将来的にはfacebookに代わる進化したSNSになると捉えています。メタバースが成功するためには、クリエーターコミュニティを育成し、十分な収益が得られる仕組みを確立することが必須です。

 今回のアップデートによってアイテム販売の仕組みが導入されたことで、着実に一歩を踏み出したと言えるでしょう。

 さらに単なるホビーユースとしてだけでなく、オンラインミーティングやイベント開催などビジネスユースとしても利用できることで、より広いユーザーへ訴求することが可能です。

 世界的なコロナ禍の影響により、オンラインミーティング・コラボレーション・リモートワークなどにそれほど違和感がなくなっていることも、Metaの戦略を後押ししています。

まとめ

 Metaの新たな取り組みは、まだ始まったばかりです。Metaの取り組みが、メタバース分野で優位を確保できるかどうかはまだわかりません。

 確実に言えることは、Second Life当時に比べて周辺環境や技術ははるかに向上し、ユーザー側の認識も十分整っていると言うことです。

 後は本当に使いやすく、便利で面白いサービスが登場すれば、爆発的に普及するポテンシャルは十分にあるでしょう。

 まだまだ北米限定のテストサービス段階ですが、今後のエリア拡大に期待したいところです。


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■参考文献
注1 
cnet Japan 「ソーシャルVRゲームのRec Room、約165億円を調達–コロナ禍で急成長」
https://japan.cnet.com/article/35181140/
注2 
AUTOMATON 「Metaが展開するメタバース「Horizon Worlds」バーチャルアイテムの販売手数料は47.5%に。クリエイターが受け取れるのは約半額」
https://automaton-media.com/articles/newsjp/20220414-199130/
注3
CAPA 「NFTとは何か|はじめかたをわかりやすく簡単に!ゲームで生活費を稼ぐ?」
https://www.capa.co.jp/archives/39680
注4 Media Argo 「メタバース(仮想空間)とは?意味と仮想通貨・NFTとの関連性や投資方法を徹底解説!」
https://www.fisco.co.jp/media/crypto/metaverse-about/
注5
Microsoft 「Mesh for Microsoft Teams が目指す、「メタバース」空間でのより楽しく、よりパーソナルなコラボレーション
https://news.microsoft.com/ja-jp/2021/11/04/211104-mesh-for-microsoft-teams/

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