トヨタも導入するUnity Prespectiveがデジタルツインの実現に貢献できる理由
デジタルトランスフォーメーション(DX)の実践においては、最新のソフト・ハードウェアの活用が欠かせません。特に3Dモデリングにおける近年の技術革新は著しく、世界の名だたる企業がデジタルツインへの参入を実現しています。
国内におけるデジタルツインの実践事例は少ないものの、トヨタをはじめとする大手メーカーがUnity Prespectiveを導入するなど、参考になるであろうケースも増えています。
今回はデジタルツインの概要や、Unityの新サービスであるPrespectiveがどのような効果をもたらしてくれるのかについて、ご紹介します。
目次:
- Unity Prespectiveについて
- Unity Prespectiveでできること
- デジタルツインとは
- デジタルツインのメリット
- Unity Prespectiveはデジタルツインへどのよう貢献するのか
Unity Prespectiveについて
Unity Prespectiveは、3Dエンジンとして広く世界で採用されているUnityがプラグインとして提供している、最新のサービスです。リアルタイム3D技術を活用し、外部データと3Dモデルをリアルタイムで連動させることにより、従来の3Dモデルよりも現実のオブジェクトに近しいパフォーマンスを実現することができます。
これまで、3Dモデルはあくまで数値情報をもとに作成された、現実の構造物とは切り離された存在でした。しかしリアルタイム3D技術を実装することで、3Dモデルに対して極めて正確な質量の概念や大きさ、素材の概念を付与し、実物と同じような挙動ができるモデルへとアップグレードできるようになります。
トヨタも導入済みの最新システム
Unity Prespectiveは最新の技術ということもあり、まだ国内における導入事例は決して多くはありません。一方で、国内最大の自動車メーカーであるトヨタではすでにPrespectiveの実装が発表されており、具体的な成果が同社から発表されれば、国内でも導入企業は増えていくと期待できます*1。
Unity Prespectiveでできること
既存のUnityプラットフォームに対して、Prespectiveを新たに導入することで、多様な機能拡張効果が得られます。
リアルタイム3D技術を活用したビジュアライズ
例えば、リアルタイム3D技術を活用した3Dモデルのビジュアライズです。データとリアルタイムでリンクし、現実同様のクオリティを発揮できる3Dモデルを情報共有の際に活用できることで、細部までを正確に再現し、共通認識を短時間で深めることができます。
これまで意思決定に時間がかかっていた、納得感を創出するための工夫に悩まされていたという会社では、Unity Prespectiveの導入が非常に効果的です。
迅速なデータ接続
積極的にデータを3Dモデルに反映するリアルタイム3D技術を有効活用する上では、データとの接続スピードが重要です。Unity Prespectiveは独自のアセットライブラリを実装し、データ連携のスピードアップに貢献します。また、同プラグインはオープンプラットフォームとして公開されているため、幅広いデータソースをシミュレーションに接続し、質の高い結果をもたらします。
TCOの削減
Total Cost of Ownership、いわゆるTCOの削減にも、Unity Prespectiveは活躍します。3Dモデリング運用に必要なプロセスの多くを同プラグイン上で標準化し、エラーを回避することで、余計な負担の解消を進めます。
コスト削減の限界に達しており、これ以上削ることができないと悩んでいた組織にとって、優れたソリューションとなることが期待できます。
デジタルツインとは
Unity Prespectiveが注目されている最大の理由は、デジタルツインの実現へ大いに貢献するためです。デジタルツインは、現実世界に存在するモノや環境情報をデータ化し、仮想空間に再現することで、現実世界と仮想空間を連動させる技術です。
現実世界では大掛かりになるシミュレーションなども、現実空間が完璧に再現された仮想空間で実施することにより、短期間かつ省コストで実現します。
デジタルツインのメリット
デジタルツインの実現によって、多様なメリットが期待できます。
製品の保全コスト削減
例えば、製品の保全コストの削減です。商用ビルなどの建築物は定期的にメンテナンスと点検、補修作業を必要としますが、デジタルツインに対応した建物であれば、最適なタイミングと最適な素材を用意の上、短期間で保全作業を完了できます。
建物の劣化状況を分析しながら、無駄のないタイミングでメンテナンスを行い、確実に効果が出る部分にのみ補修作業を限定し、余計な補修費用を抑える働きが期待できます。
品質の向上
2つ目は、製品の品質向上です。デジタルツインを活用した高度なシミュレーションを何度も行うことで、まるで本物の製品で試したような完成度のプロダクトを低コストで実現できるため、ものづくりの技術を底上げすることができます。
訴求力の向上による販売力の強化
3つ目は、訴求力の向上です。デジタルツインで再現した3Dモデルは、もはや現実世界のそれと遜色がないレベルに到達できます。この3Dモデルを活用し、ターゲットへと共有することで、高い納得感と消費の喚起を期待できます。
Unity Prespectiveはデジタルツインへどのよう貢献するのか
Unity Prespectiveは、このようなデジタルツインの実現に対して、どのように貢献できる技術なのでしょうか。
スループット分析による質の高いシミュレーション結果の提供
まず、Unity Prespectiveはスループット分析と呼ばれる、高度な分析手法を手軽に行える機能を持ち合わせています。いわゆる負荷試験のような手法を使って、実際の製品に多様な負荷をかけ、そのクオリティを確かめる方法ですが、現実で行うよりも早く、正確に、かつお金をかけずに行えるため、非常に高度な成果と改善施策の検討が期待出来ます。
AR/VRの活用促進
Unity Prespectiveによる3Dモデリングの活用機会増加は、ARやVRといった最新の資格技術の活用にも役立ちます。極めて正確にモデリングされたAR/VR映像を関係者や消費者はデジタルツインによって体験できるため、製品への理解を一段と深め、需要を喚起できます。
まとめ
Unity Prespectiveは、まだ日本では広く普及していない技術ではあるものの、デジタルツイン分野においてUnityの存在感を大きくさせる可能性を持った、魅力的なプラグインです。早い段階から試験的に導入を進め、活用可能性を探っておくことをおすすめします。
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参考:
*1 Prespective “Prespective Digital Twin Software: Merging virtual & physical worlds ”
https://prespective-software.com/