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ディスプレイ内指紋認証のしくみとは?スマホの認証方式を解説

スマートフォンの普及やセキュリティ需要の高まりから、様々な生体認証技術が登場しています。

ディスプレイ内指紋認証はスマートフォンに搭載されている生体認証技術のひとつであり、ディスプレイ内指紋認証にもいくつか方法があります。

この記事では生体認証の概要とスマートフォン向けの指紋認証技術のしくみや新技術の開発事例についてご紹介します。

スマートフォンはセキュリティ対策が重要

スマートフォンは、年々保有率が増加しており、令和2年の情報通信白書によると83.4%の世帯が保有しています。*1

多くの人が便利に活用している一方で、電話帳や各アプリのログインID、パスワードなど重要な情報が登録されているため、しっかりとしたセキュリティ対策が欠かせません。*2

実際にスマートフォンを狙う架空請求詐欺や個人情報の不正収集といった被害が起こっていることから、以下のようなセキュリティ対策が重要です。

  • OSのアップデートなどを行い、スマートフォンを最新の状態に保つ
  • 提供元が不明なアプリはインストールしない
  • セキュリティ対策ソフトを導入して、フィッシングサイトへのアクセスやマルウェア、ウィルスの侵入を予防する
  • 破られにくいパスワードを使用する
  • 紛失・盗難に備えて、画面ロックの設定や遠隔ロック・位置検索などを活用する
  • フィッシング詐欺に備え指紋・顔認証によるログインや2段階認証の設定を行い、リンク先のURLに不審なドメインが含まれる場合はクリックしない
  • 公衆Wi-Fiを利用する場合は、接続前に安全性をよく確認する
  • プライバシー情報の利用方法で不必要なデータ収集が行われていないか確認する

生体認証は高度なセキュリティ対策に用いられている

生体認証とは、指紋や顔など人により異なる身体的な特徴を事前に登録して、本人の認証に用いるしくみです。

生体認証が活用されるシーンには以下のようなものがあります。*3

  • スマホアプリ・ブラウザログイン
  • コールセンター本人確認
  • 店舗での本人確認

生体認証の種類

生体認証には、以下のようなものがあります。

  • 指紋
  • 手のひら全体の掌紋
  • 手や指の内側にある静脈
  • 声紋
  • 目の虹彩
  • 眼球血管
  • 耳の形状
  • 耳の穴内の反響音
  • DNA

身体的な特徴は複製が難しいため、高度なセキュリティ情報です。

しかし認識精度は機器や環境の条件により異なります。

例えば、指紋や掌紋は手荒れなどにより上手く認識できなかったり、顔や虹彩などは周囲の明るさや照明の向きなどの影響を受けます。

完全に正確な情報を取り出そうとすると、DNAのように調べれば100%に近い認証ができるものの調査結果の確認に時間とコストがかかります。

そのため、認証自体の技術革新はもちろん、開発時点で生体認証に使える条件を見極めて導入方法を検討するのです。

スマートフォンのディスプレイ内指紋認証のしくみ

スマートフォンでは、汎用カメラやマイク、指紋センサーなどが搭載されているモデルがあり、それぞれ顔認証や声紋認証、指紋認証が行えます。

ここでは生体認証のうち、指紋を用いた認証方法について掘り下げてご紹介します。

指紋認証というと、従来はハードキーのセンサーを用いた方式が主流でしたが、昨今は指紋を認識する面積を広げるために光や超音波を用いる端末も登場しています。

タッチセンサー式静電容量方式のしくみ

スマートフォンに搭載されることが多い指紋認証のしくみは静電容量方式です。

静電容量方式の指紋認証の場合、ホームボタンなど特定のセンサーを触りスマートフォンの画面ロックの解除などを行います。

ホームボタンの内側には電極が埋め込まれていて、指の表面にある凹凸を読み込むのです。

指は電気を通す性質があり、指紋の凸部では電荷が多く貯まり凹部ではあまり電荷が貯まりません。

静電容量方式は、この性質をもとに何万個もの電極で各々の場所の電位を読み取り指紋の画像を作成して認証するしくみです。

つまり静電容量方式の場合、センサーが情報を読み取るスペースを確保しなければなりません。

静電容量方式の指紋認証は、読み取り装置が小型で導入コストも比較的割安です。

通常のパスワードなどに比べれば強固なセキュリティ対策が可能だといえます。

ただし、手荒れや汗、乾燥といった指の状態が認識精度に影響します。

スマートフォンのロックが解除できなくなる場合を考慮して、ログインパスワードの管理も欠かせません。

光学式ディスプレイ内指紋認証のしくみ

光学式指紋認証センサーは、指を2次元画像として認識する方式です。

光源から光を照射して指の表面の凹凸部分を検出するしくみのため、製造コストが抑えられる点が特徴です。

認識エリアが限られているのと、超音波方式に比べると認識精度が低く、認識速度も遅くなります。

また実物の指でなくても高解像度な写真があれば、他人でも認証が突破できてしまうかもしれません。

超音波式ディスプレイ内指紋認証のしくみ

超音波方式は指に直接超音波を当てて跳ね返りの強度で指紋を検出するしくみです。

超音波を発するモジュールの搭載が必要でコストがかかるため、普及率は光学式に比べると高くありません。

しかし認識精度や読み取り精度が高く、認識エリアも広げられます。

ディスプレイ内指紋認証の新しい技術動向

指紋認証の読み取り範囲や精度は日々拡大をしています。

ここではスマートフォンなどのデバイス向けに開発されている技術をピックアップしてご紹介します。

ディスプレイ内すべてを指紋認証可能な領域に

ジャパンディスプレイ(JDI)は、2020年に静電容量式のタッチパネル全体で指紋認証が可能となるデバイスを開発しています。

ディスプレイ内指紋認証として任意の場所を触るとそれだけで指紋が認証可能です。

このタッチパネルセンサーによるディスプレイ内指紋認証は、位置を検知する電極をX方向Y方向のメッシュ状に配置しています。

試作時点では、170.5mm×151.6mmの認識範囲のなかで解像度313ppi(pixels per inch)を実現していて、非常に細かいメッシュに区切っていることがわかります。

ディスプレイ内指紋認証の場合、電源キーにセンサーを設ける場合と異なり認識範囲は部品サイズの影響を受けにくくなっています。

複数指の認証に対応しているため、5本の指で画面に触れれば5本の指の指紋が同時に読みとれます。

ソフトウェア側で事前に登録しておけば、複数の指を組み合わせたパターンの指紋認証も可能です。

さらに、スマートウオッチなど小型のウェアラブル端末や駅の券売機、ATMなどタッチパネルを用いた様々な決済機器に盛り込んだり、ジェスチャーを組み合わせた新しいインターフェースとして活用する可能性もあります。

Appleは光ファイバー方式の指紋認証特許を取得

2022年にAppleは、ディスプレイ内に複数の光ファイバーを搭載したディスプレイ内指紋認証の特許を取得しています。

これは自分から光を発して指紋を読み取るしくみのため、照明の影響を受ける光学式の指紋認証よりも正確な情報が取得可能です。

指紋や顔認証のセンサーや投光イルミネーター・受光部などで構成されています。

この特許は、次世代のTouch ID機能のひとつとされ、すでに導入されているFace ID同様に生体認証方式の一つとして期待が寄せられています。

まとめ

スマートフォンの指紋認証のしくみは、一般的にタッチセンサーを用いた静電容量方式です。

しかしセキュリティ対策への需要の増加にともない、今後はディスプレイ内指紋認証も拡大していく見込みです。

光学式や超音波式のディスプレイ内指紋認証に加え光ファイバーを用いたりディスプレイ内の認識範囲を拡大したりと各社さまざまな技術開発を行っています。

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参考
*1:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd252110.html
*2:https://www.kddi.com/corporate/kddi/public/security-portal/security-sp/
*3:https://www.polarify.co.jp/business/biometric/about/
https://wisdom.nec.com/ja/feature/biometrics/2020032301/index.html#anc-02
https://time-space.kddi.com/ict-keywords/kaisetsu/20160601/
https://www.m-commercekk.jp/main/techno.html
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63721950R10C20A9000000/
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/04565/
https://iphone-mania.jp/news-454281/
https://iphone-mania.jp/news-273907/

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