BIM開発会社選びのポイント(株式会社竹中工務店様)
株式会社キャパのお客さまインタビューは、弊社がシステム開発に携わらせていただいた企業の皆様にお話をお伺いし、弊社との関わりをはじめ、システム開発の際に大切にしているところ、開発業者の選定のポイントなどまで、さまざまな角度から、忌憚のない意見を交換しております。
さて、今回のインタビューは、日本を代表するスーパーゼネコンの一社である、株式会社竹中工務店様にインタビューに応じていただきました。お忙しい中、誠にありがとうございました。進行は、営業部の小林、および開発部の廣瀬が務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(キャパ小林) 本日はお時間を頂戴しまして、大変ありがとうございます。本日は私と開発部の廣瀬からお尋ねさせていただければと考えております。
(竹中工務店様) はい。よろしくお願いいたします。
竹中工務店のBIM活用推進とは
(キャパ 小林) まずは、本プロジェクトの主幹部門であった「BIM推進室」について、業務の概要をお聞かせいただければと思います。
(竹中工務店 山崎氏) 正式には生産本部の生産BIM推進グループ、という名前になります。生産領域のBIMツールの展開や、その業務に必要なツールの開発などを行っています。
今ある部門に対して、兼務なども含めて全社横断的に関わることで、いち早く情報を展開しやすい状態を作っています。
(キャパ小林) 各部門から人が集まってくるイメージ、と考えてよろしいでしょうか。
(竹中工務店 山崎氏) そうですね、そう考えていただいて良いと思います。全国に渡って、かなり多くの人が任命され、携わっています。
(キャパ 小林) 先程、主たる業務がBIMツールの展開や、その業務に必要なツールの開発というお話をいただきましたが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。
(竹中工務店 山崎氏) もともとは開発というよりは、業務の中でどのようにBIMを活用していくのか、という話から始まりました。もっと単純に言えば、CADをBIMに置き換えていく、という話ですね。
置き換えにはそれなりの理由や効果が必要ですから、まずはBIMの成果を小さく実証しながら、それを横展開していく、段階的に広げていく、という仕事です。
そういう中で、「ちょっと機能が足りない」「ちょっと機能を足したい」という話が出てきますので、アドオン的に開発をしてきました。
(キャパ 小林) 先程、BIMへの置き換えは「理由」が必要、とおっしゃっていましたが、具体的にはどのような理由から置き換えが必要だったのでしょう。
(竹中工務店 山崎氏) 人も労働時間も減ってくる中で、生産性の抜本的な改善が必要だからです。そのために何ができるのか、という模索の中の一つだと理解しています。
BIMを使うことで図面を作る時間を少なくしたり、実際の現場の作業を軽くしたり、今回のプロジェクトもまさにそこに目的がありました。
(キャパ 小林) 生産性向上をすることで、労務費やその他のコストに直接影響があるのでしょうか?
(竹中工務店 山崎氏) 生産性というのは、労働生産性と付加価値生産性の2つがあります。国に求められている労働時間の話などは、前者に関わる話ですが、それだけではなく後者をクローズアップして、無駄な工事や作業を減らすことで、利益に結びつけるわけです。
(キャパ 小林) BIM推進室で現在、それに関わるミッションなどをお持ちなのでしょうか。
(竹中工務店 山崎氏) 存在しています。様々なところで発表されています。例えば、以下のような「竹中新生産システム」のフロー推進ですね。
実践事例も、弊社のウェブサイトに掲載されていますから、ご参照いただければとおもいます。
最近ではこのフローを全てのプロジェクトに適用することになっていますから、状況はだいぶ変わってきているように感じます。もちろん、プロジェクトリーダーによって温度差はありますが(笑)。
(出典:https://www.takenaka.co.jp/solution/shinseisan/concept.html)
(キャパ 小林) 職人気質のかたも多いのでしょうか。社内展開は大変そうに感じます。
(竹中工務店 山崎氏) 多いですよ(笑)でも現場に行って、話をして懐に入って、きちんとサポートをやるのが大事だな、と思っています。
研究所ではロボットを活用したBIMデータの活用推進
(キャパ 廣瀬) 宮口さんの部署ではどのような取り組みをしているのでしょうか?
(竹中工務店 宮口氏) 技術研究所では、BIMの3Dデータを、紙に出力することなく、現場の職人さんがそのままつかえるように、ロボットを活用するしくみをつくっています。今回の墨出しロボットの開発も、その一環です。
(出典:自走式墨出しロボット https://www.takenaka.co.jp/solution/kensetsu_dx/dx_sheet/05/index.html)
(キャパ 廣瀬) では、ちょうど今お話をいただいた、墨出しロボットの開発の経緯をお話しいただけないでしょうか。
(竹中工務店 宮口氏) ちょうど当時、私の部下だった人物が、現場の中を測量するロボットを作りたい、という希望を持っていました。
それが面白そうだったので、一緒に検討しようかということで「墨出しなら可能なのでは」と、始めました。
というのも、「ロボット活用がどの分野で可能か」という調査を社内で行ったことがあるのですが、4分野が挙げられていたからです。それが、「運搬」「墨出し」「検査・記録」「清掃」でした。
実は30年前には、建設業界で塗装や左官などもロボット活用の分野として流行っていたことがあるのですが、どれも普及には至りませんでした。
その原因の一つが、「専門特化」でした。例えば左官ロボットだと、左官屋さんしか使わない。溶接ロボットだと、溶接にしか使えない。
汎用性が低すぎて、建築工事全体としてはあまり大きな生産性の改善につながらないのです。
それに対して「運搬」「墨出し」「検査・記録」「清掃」はみんながやりますから、ロボットがやることで、大きな改善が見込まれるのです。
(キャパ 廣瀬) 墨出しは作業量として多いのですか?
(竹中工務店 宮口氏) 多いというより、すべての基本となる作業ですね。床にここに何がつく、ここから何ミリ向こうに、何が配置されるなどそういう情報をすべて、図面から書き写す作業です。また、図面のまま書くわけではなく、作業している人がわかりやすいように変換して書かねばなりません。
(出典:自走式墨出しロボット https://www.takenaka.co.jp/solution/kensetsu_dx/dx_sheet/05/index.html)
(キャパ 廣瀬) 非常にハードルの高い技術だと感じます。
(竹中工務店 宮口氏) なので、キャパさんにお願いしたのです(笑)。で、調べてみると、墨出しや運搬、清掃などの作業は、職種にもよりますが、全体でみれば作業量の半分くらいを占めているんです。
(キャパ 廣瀬) かなりの量ですね。
(竹中工務店 宮口氏) その作業量を減らせば、左官屋さんなどの、職人さんたちの生産性はかなり向上しますよね。向上した分の一部で、うちのロボットを使ってもらえれば良いと考えています。この話は先日のロボット学会での「ロボット工学セミナー」でもさせていただきました。
BIM開発ベンダーは技術力と実績で選ぶ
(キャパ 廣瀬) 今回の「墨出しロボット」も含めてなのですが、こうした案件に係る開発ベンダーの選定条件や、弊社にご発注をいただいた際に、どこを評価していただいたのかなど、お話をいただけないでしょうか。
(竹中工務店 大東氏) CAD技術、そしてBIM技術の両方に精通されていたので、キャパさんを選定させていただきました。カスタマイズの実績が豊富で、墨出しロボットが動くためのマップのもとになる図面、BIMデータを扱う技術をお持ちでした。
そしてもう一つポイントだったのが特定のCADソフトやBIMソフトに依存したくないツールにしたくない、という要件がありましたので、キャパさんがwebアプリケーションの開発実績も豊富にある、というのも評価の高いポイントでした。
もちろん、複数の開発会社からの提案内容を見たのですが、コスト面も含めて弊社の要件を満たすのは、総合的に評価してキャパさんだったと思います。
(キャパ 廣瀬) 記憶に残っている提案上のやり取りなど、ございましたでしょうか?
(竹中工務店 大東氏) 精力的に提案をしていただいた印象を持っています。営業の方にこちらの要望を積極的にかなえた提案書を提示頂きました。また、CADやBIMは「ものづくり」に直結しているので、ベンダーさんにはものづくりの知識も必要だと思いますが、その点も満たしていました。
墨出しロボットの開発では、非常に不具合が少なかった
(キャパ 廣瀬) 実際に弊社のほうで墨出しロボットの開発をやらせていただきましたが、その所感などをお聞かせいただけないでしょうか。
(竹中工務店 石川氏) 何よりよかったな、と思うのは不具合が非常に少なかった点です。ちゃんとテスト期間をとっていらっしゃいましたが、まさに必要だったのだな、と実感しました。
品質は非常に高かったと思います。AWSのテクノロジーにも精通していました。
要件定義からレビュー作業を丁寧に進めていただいたことで、最初のイメージから乖離の少ないものができたので、満足しています。
(キャパ 廣瀬) いわゆるウォーターフォールでの開発でしたが、非常に品質管理に力を入れていましたので、成果が出てよかったと思います。
本日は、お時間を頂戴しまして、誠にありがとうございました。
(竹中工務店様) ありがとうございました。
大手ゼネコンBIM活用事例と 建設業界のDXについてまとめた ホワイトペーパー配布中!
❶大手ゼネコンのBIM活用事例
❷BIMを活かすためのツール紹介
❸DXレポートについて
❹建設業界におけるDX
▼キャパの公式Twitter・FacebookではITに関する情報を随時更新しています!