VRヘッドセット「Pico Neo3 Link」が注目を集める理由とは
VRはエンターテイメントや産業の分野で注目を集めている技術ですが、課題とされているのがコストの問題です。一般に普及するためには安価なVR機器を市場に流通させ、VR技術への理解を深めることが求められていますが、そんな中でコスト面の解消を促すと期待されているのが「Pico Neo3 Link」です。
この記事では新型のVRヘッドセットであるPico Neo3 Linkについて、主な機能や注目の理由について、解説します。
目次:
- Pico Neo3 Linkの概要
- Pico Neo3 Linkの主な機能
- Pico Neo3 Linkが注目される理由
- Pico Neo3 LinkとMeta Quest2の比較ポイント
Pico Neo3 Linkの概要
Pico Neo3 Linkは、Pico社から2022年6月より販売が開始されている、新型のVRヘッドセットです。最新型とはいえ目新しい機能が搭載されているわけではありませんが、注目の理由はなんと言ってもその価格にあります。
性能としては現行のVRヘッドセットとはさほど変わらないものの、本体価格は5万円以内に収まっているなど、他社製品よりも安価に設定されているのが特徴です。
スマホを簡易VRデバイスとして運用できるVRキットなどはこれよりもはるかに安価ですが、コンピュータを内蔵し、高度なVR体験が実現するモデルとしては、Pico Neo3 Linkは十分に優れたコストパフォーマンスを発揮しています。
Pico Neo3 Linkの主な機能
Pico Neo3 Linkで注目すべき機能としては、まずはその画質にあります。LCDディスプレイとQualcomm Snapdragon XR2を搭載しているPico Neo3 Linkですが、解像度は3664×1920ピクセル、リフレッシュレートは最大120Hzと、現世代モデルとしては十分な性能を発揮しています*1。
いわゆる4K相当の画質を担保しているので、価格が安価だからといって、その画質の悪さに嘆く心配はなさそうです。
また、同じWi-Fiネットワーク下にあるPCに対して、VRディスプレイで表示している映像を共有することができる点も特徴です。リアルタイムでVRユーザーの状況を追いかけることができるので、エンターテイメントとしてはもちろん、なんらかのプレゼンの際にも進行役が映像を見ながら、適切な解説を加えることができるでしょう。
備え付けのDisplayPortを使ってPCと接続すれば、VRをPCでも楽しむことができるPCVR機能も搭載されています。VR体験をさまざまな形式で楽しめるのも、Pico Neo3 Linkの特徴です。
Pico Neo3 Linkが注目される理由
Pico Neo3 Linkはリーズナブルでありながら、標準的な性能を備え、ユーザーに「安かろう悪かろう」のような印象を与えない、優れたコストパフォーマンスを発揮するVRヘッドセットです。
そんなPico Neo3 Linkが今注目される理由としては、以下のような要因が考えられます。
Meta Quest2の値上がり
Pico Neo3 Linkの対抗馬であるとともに、VRヘッドセット市場で大きなシェアを確立していたMeta Quest2ですが、2022年7月に急遽値上げの発表がありました。同デバイスは最安価のモデルでも6万円弱になり、およそ60%もの値上げが行われたことで、消費者に大きな混乱を招いています*2。
このような渦中で救世主となっているのが、Pico Neo3 Linkです。同製品はMeta Quest2の旧価格と同じような値段で購入ができるだけでなく、その性能や使い勝手も似ていることから、こちらの製品へ多くの消費者が流れている状況です。
Pico Neo3 LinkとMeta Quest2は性能に大きな差がなかった分、ネームバリューから後者が選ばれる傾向にありましたが、今後は圧倒的なコストパフォーマンスを武器に、前者が選ばれるようになるでしょう。
業務用VRヘッドセットの大量導入が困難
VRヘッドセットの単価が重視される理由として、業務用の導入を考えている企業にとって死活問題である点が挙げられます。VRヘッドセットはエンタメだけではなく、建設や医療、製造、その他テクノロジー業界において、今後ますます重要性が高まるとされています。
VRを有効活用し、業務効率を高めるためには、とにかくVR運用のノウハウを蓄積することが必要です。そのためにはいち早く組織内にデバイスを普及させる必要がありますが、単価が高いとなると仕入れが難しくなるため、VRの導入は先送りとなってしまいます。
安価でそれなりの性能が担保されているPico Neo3 Linkであれば、このような企業のニーズにも応えてくれるでしょう。
VR技術の進歩
VR技術の進歩によって、VRの汎用性はますます高まっています。VRの使い道が増えれば増えるほど、予算を組んででもVRを導入した方が良いという気運が高まり、今はその過渡期にあると言えます。
今後VRの活躍機会が増えていく中、そのファーストステップとしてPico Neo3 Linkのような民間向けのVRデバイスが注目されています。
Pico Neo3 LinkとMeta Quest2の比較ポイント
Pico Neo3 LinkとMeta Quest2は似たような性能を持つデバイスですが、比較ポイントとしては以下の点が挙げられます。
価格
Pico Neo3 LinkとMeta Quest2の最大の違いは、やはりその価格設定です。前者は4万9,280円で購入ができるのに対し、後者は最安モデルでも5万9,400円と、1万円もの差があります*3。
コストパフォーマンスを重視するのであれば、間違いなく前者を選ぶべきでしょう。
ソフト
価格が高騰しているMeta Quest2ですが、それだけの値上げに踏み切れる理由もないわけではありません。
旧FacebookであるMetaの圧倒的なネームバリューはもちろん、同社が自社専用プラットフォームとして展開している「Questストア」があり、そこでしか利用できないソフトもあるため、これを利用したい人はMeta Quest2を選ばざるを得ないわけです。
性能面では大きな違いがない分、価格とアプリのどちらを選ぶか、というところに注目が集まります。
まとめ
Pico Neo3 Linkは、Meta Quest2の高騰に伴い、今最も注目されているVRヘッドセットのうちの一つとなりました。圧倒的なコストパフォーマンスで後者を圧倒する一方、ネームバリューやソフト面での優位性はMeta Quest2にあるため、この点に悩む人も出てくるでしょう。
ただ、産業面での普及を考えると価格面での優位性は無視できないものがあり、今後はあちこちでPico Neo3 Linkを目にする機会が増えるかもしれません。
大手ゼネコンBIM活用事例と 建設業界のDXについてまとめた ホワイトペーパー配布中!
❶大手ゼネコンのBIM活用事例
❷BIMを活かすためのツール紹介
❸DXレポートについて
❹建設業界におけるDX
▼キャパの公式Twitter・FacebookではITに関する情報を随時更新しています!
参考:
*1 MoguraVR「新型一体型VRヘッドセット「Pico Neo 3 Link」を体験 Meta Quest 2の対抗馬となり得るか?」
https://www.moguravr.com/pico-neo-3-link/
*2 Gamespark「VRに救世主?ハードとコスパが魅力の「Pico Neo3 Link」はQuest2の代替になるか?」
https://news.yahoo.co.jp/articles/f0c97b59cbf88dbc455e34061272b99b5c51c710
*3 *1*2に同じ