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点群処理とは?点群データを処理する流れと活用シーンをご紹介

点群処理とは、点群データという無数の点で構成されるデータを処理することを指します。点群処理のほとんどは専用のソフトを使い、ノイズを除去したり分析したりして使える状態のデータに整えます。

この記事では点群データの取得方法や点群処理の基本的な流れ、点群データの活用事例をご紹介します。今後業務に活かそうかとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。

この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。

1.点群データの基本
2.点群処理の流れ
3.点群データが活用される主なシーン

点群処理の基本

点群データは「クラウドポイント」と呼ばれることもあり、3次元空間上の物体の形状を無数の点で表したものです。

一見するとただの点の集まりに見える点群データですが、たいへん高精度な情報を持っており、建築物のモデリングや設計、解析などさまざまな活用方法があります。

まずは点群データや点群処理について、その基本的な情報からご紹介します。

点群データとは

点群データとは、X、Y、Zの3次元座標値と、R・G・Bといった色情報を持った点の集合データを3次元上に表現したものです。ファイル形式はさまざまで、テキスト形式(.txt)などもあります。

点群データの取得方法は後述しますが、自然物や建築物、景観などあらゆるものを取得できます。そのためモデリングなどの可視化や設計、解析など多くの分野で活用されているデータです。

点群データについては、点群データとは?収集する仕組みと建築業界でも注目される理由をご紹介でもご紹介しておりますのでぜひご参照ください。

点群データを取得する方法

点群データの取得には、以下のような器材が必要です。

3Dレーザースキャナー
移動型測量システム(MMS)
無人航空機やドローンなどの航空レーザー測量

3Dレーザースキャナーでは、対象物にレーザーを照射してその跳ね返りで点群データを収集します。

移動型測量システム(MMS)は自動車にスキャナーを搭載した機器で、一般車の様に道路を走行しながら点群データを取得します。無人航空機やドローンにスキャナーを搭載すれば、人や車が走行できないエリアも空からデータ収集することもできるのです。

そのほか水中で計測できるものなどもあり、点群データを取得したいエリアの特性に応じた機器を使うことで、さまざまな場所の計測ができます。

点群データは文字通り無数の「点」が集まって構成されており、その量は膨大です。必要のない余分な点やノイズも含まれており、そのままデータを解析に使うことはできません。

そこで必要となるのが「点群処理」という工程です。不要な点を除去したり圧縮したりして必要な点群データのみを残し、扱いやすい状態にする必要があります。

点群処理が行われる流れ

膨大な量である点群データを分析できる状態にするには、「点群処理」が必要です。

点群処理を行うためには専用のソフトを使う方法と手動の2種類に大別されます。点群処理に慣れていない場合は、点群処理ができるソフトの導入が一般的です。

ソフトを使った一般的な点群処理の流れは以下の通りです。

点群処理の専用ソフトに点群データを取り込む
前処理(位置合わせ・ノイズの除去)
点群処理ソフトが解析を行う
点群処理ソフトがモデリングを行う
処理が終わった点群データを出力する

まずは取得したままの膨大な量の点群データをソフトウェアに取り込みます。すると点群処理ソフトが「前処理」として、合成や位置合わせといった処理を始めます。

点群データは対象物をさまざまな角度から撮影しているため重複データが多く、位置合わせが必要です。この位置合わせができたら「ノイズ」と呼ばれる不要なデータの削除などを行い「前処理」は完了です。

前処理によって点群データを扱える状態に整えたら、点群処理ソフトはデータを解析します。この解析は各点群データの寸法を計測したり、干渉チェックをしたりといった作業です。

点群データの解析が終わったら、次は「モデリング」に移ります。建築物の場合は配管や設備といった3Dモデルを作成したり、メッシュデータを作成したりします。

メッシュデータとは形状データの1つで、ポリゴンデータとも呼ばれます。点群のそれぞれの点を頂点として、それらを辺と面で接続したものです。

メッシュデータはCGなどでも使われますし、3Dプリンタで出力する場合もメッシュ形式のデータが必要です。点群処理ソフトを使えば、メッシュデータの知識がなくても自動で出力してくれるので心配ありません。

点群データの処理を進めてメッシュデータ作成まで終われば、最後は指示したフォーマット形式でデータを出力してくれます。

上記が、点群処理ソフトを使った一般的な点群データの処理方法です。

点群処理の精度を高めるポイント

点群処理の精度はソフトによってばらつきがあります。より点群処理の精度を高めるためには、以下のポイントをチェックしてソフトを選ぶといいでしょう。

データの処理能力が高い
点群処理をワンストップで行える
必要なデータ形式で出力してくれる

まず点群データは膨大な点のデータが集まって構成されており、対象となるものが大きかったり広範囲であったりするほど、その容量は大規模になります。ソフトを選ぶときは、処理できるデータの上限やどれだけスムーズに処理してくれるかをチェックしてください。

また前述の通り点群処理には前処理や解析・モデリングといった流れがあります。点群処理ソフトの中には、一部の処理に特化しておりすべてをカバーできないものもあるのでよくチェックしておきましょう。

点群処理ソフトで処理をしたデータは、その後目的によって別のソフトに取り込みます。点群データにはさまざまな形式があるので、自社が必要としている形式に変換できるソフトであることが大前提です。

たとえば建築業界で導入が進むBIM/CIM分野においても、点群データが活躍します。BIMやCADツールとして世界的なシェアを持つAutodesk社の場合、AutoCADの図面に使うなら.dwgや.dxfといった形式が必要です。

点群データが活用される4つのシーン

最後に、点群データが実際に活用されている4つのシーンをご紹介します。

構造物の点検

構造物の点検でも点群データが活躍しています。正確な現状データの取得ができる点群データであれば、構造物の位置も正確に把握できます。

そのため設備や機材を入れ替えたり搬出したりする時、点群データによって既存の機器と干渉しないかなどのチェックができるのです。

老朽化が進み人の立ち入りが危険な構造物も、ドローンなどで点群データを取得することで安全性を確保できます。

災害時の被害確認

国内でもさまざまな災害が起きています。災害でビルや都市が被害を受けてしまった際も、点群データを取得することで現場を保存でき、さまざまな検証が可能になるのです。

たとえば工場で火災が起きた場合は、火災当時の点群データを取得することで過去の事例として教訓にすることができます。

また地震や土砂崩れといった大規模な災害が起きた際も、広範囲で点群データを取得することで、全体の状況をスムーズに把握できるのです。

重要文化財

重要文化財に指定されている建造物は数百年~数千年前の古いものが多く、図面がない場合がほとんどです。そこで点群データを取得することで内部の詳細な部分まで把握し、図面化することもできます。

過去には奈良県東大寺にある「執金剛神立像」という仏像の3Dデータを取得し、当時の鮮やかな色彩や形状を復元した事例もあります。(※1)神社仏閣が建てられた当時の姿を再現した事例もあり、点群データは需要文化財の保護にも有効です。

データの共有が簡単

点群データは紙と異なりオンラインで共有できます。無料のビューアを使えば誰でも閲覧できるので、たとえば注文住宅の施工主である個人のお客さまにも簡単に共有できるのです。

プレゼン用としてわざわざ資料を作ることもありますが、データの共有ができれば説明資料も必要ありません。プレゼンにかかる工数も大幅に減らせるので、業務効率化に直結します。

点群処理について、点群データの基本や処理の流れ、精度を高めるポイントをご紹介しました。広範囲のデータも取得できる点群データは活用シーンも幅広く、世界規模で活用が進んでいます。

今回の記事がお役に立てれば幸いです。

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参照サイト:
※1 
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/shuppanbutsu/sentan_handbook/pdf/92099501_02.pdf P.27

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