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ジェネレーティブデザイン(GD)の普及でCAD技術はどう変わるのか

生成AIの登場により、AIの仕事は定型化されたデスクワークだけでなく、人間のクリエイティブな仕事の領域にまで広がりつつあります。

ただ、AIは人の仕事を奪うという危惧がある反面、うまく使いこなすことができれば既存のクリエイティブ業の質やスピードを飛躍的に向上できる可能性も秘めていることから、一層の理解が求められているとも言えるでしょう。

この記事では、建築設計やプロダクトデザインの現場で採用が進みつつある、生成AIを導入したジェネレーティブデザインの概要や、この技術がCAD運用に与える影響などについて、解説します。

目次:

  1. CAD運用の課題
  2. ジェネレーティブデザイン(GD)とは
  3. ジェネレーティブデザインのメリット
  4. ジェネレーティブデザインの普及がCADに与える影響
  5. ジェネレーティブデザインが使えるCADソフトは?

CAD運用の課題

CADはコンピュータを使った構造物の設計を行える技術で、2Dの図面設計に加え、3Dモデリング技術を駆使した立体的な設計が行える便利なソフトです。

設計業務が発生する現場においてはもはや当たり前になりつつあるこちらの技術ですが、CADさえあれば誰でもエリートクラスのクリエイターになれるわけではありません。

CADは設計業務を効率化してくれるとはいえ、設計そのものを行うのは人間であり、アイデアや作図作業を実行するためのスキルは依然として人間に求められています。

そのため、CADソフトを導入したからといって、スキルがゼロの状態からプロレベルのスキルをいきなり手にすることはできず、高度な技術を身につけるには何年にもわたって習得のために試行錯誤を繰り返さなければなりません。

ジェネレーティブデザイン(GD)とは

CADは便利な技術ではあるものの、肝心のクリエイティビティそのものは人間に委ねられていることから、業務の自動化・効率化には限界がありました。しかし新たに登場したジェネレーティブデザインと呼ばれる技術については、このような創造面での課題を解消してくれる可能性を秘めています。

ジェネレーティブデザイン(Generative Design、GD)は、生成AIの力を使ってゼロからアイデアを形にすることができる技術です。プロジェクトの設計にあたって、あらかじめ寸法や用途、素材などの条件をコンピュータにインプットすることで、その要件に当てはまるデザインを自動的に生成することができます。

ジェネレーティブデザインの優れた点は、そんな要件に基づくデザインを簡単に行える点にあります。

これまでの学習データに基づき、人の手を介さなくとも条件を指定するだけでその通りのデザイン案をいくつも提示してくれるので、ユーザーはその中から気になったアイデアをピックアップし、手直しをするだけで正式案として提出できます。

これまでアイデアをゼロから絞り出す工程は人間の仕事とされてきたものの、アイデア出しそのものもAIに任せられるようになりつつある現状は、デザインやものづくりの根底を大きく覆しかねない過渡期にあると言えるでしょう。

ジェネレーティブデザインのメリット

ジェネレーティブデザインを現場に採用することは、企業やデザイナーにとってどのようなメリットがあるのでしょうか。注目すべき点としては、以下の3点です。

生産性と品質の向上につながる

ジェネレーティブデザインの実装は、企業やデザイナーの生産性、及びクオリティの向上に大きく貢献する取り組みです。ジェネレーティブデザインならAIが条件に当てはまるアイデアを短時間でいくつも生成することができ、その工程にヒューマンエラーが入る余地はほぼありません。

人間なら一つのアイデアを考えるのに多くの時間を必要としますし、見落としが出てしまうリスクも残ります。ジェネレーティブデザインは、このような最も時間を必要とする工程をスキップして、アイデアの質を高めたり編集したりする時間をもたらしてくれるのです。

コスト削減に貢献する

コスト削減を実施する上でも、ジェネレーティブデザインは役に立ちます。デザインや設計業務に携わるリソースや時間を削減できるので、従来よりも少数精鋭での業務遂行が可能になるからです。

もちろん、ジェネレーティブデザインを扱うための設備や人材育成にお金をかける必要はあるものの、将来的には大幅なコスト削減を実現し、収益性向上に貢献するでしょう。

人材育成につながる

ジェネレーティブデザインの導入は、人材育成の観点からも有効です。AIによって生成されるデザインを正しく評価し、ブラッシュアップするスキルを身につけることで、デザインの良し悪しのセンスや判断基準を磨き上げ、高度なデザインプロジェクトに携われる用意が短期間で整うからです。

ジェネレーティブデザインの普及がCADに与える影響

このように、ジェネレーティブデザインの導入は企業やデザイナーに強力なメリットをもたらしてくれますが、その際に活躍するのはCADソフトです。

ジェネレーティブデザインは現在、一部のCADソフトの機能の一環として利用ができるテクノロジーという位置付けであり、単体での技術運用は一般化していません。

今後もCADソフトの機能の一つとしてジェネレーティブデザインは普及することが想像でき、CAD運用の効率化に貢献するでしょう。

ジェネレーティブデザインを積極的に活用することで、CADの製図機能を一から使いこなせる必要はなくなり、AIが生成した図面を修正するだけでアイデアを形にすることができます。

CADソフトは使いこなすのに時間がかかると言われますが、ジェネレーティブデザインありきでのCAD運用が浸透すれば、従来よりもスピーディに実践的な運用を行えるようになるはずです。

ジェネレーティブデザインが使えるCADソフトは?

現状、ジェネレーティブデザインが使えるCADソフトとして最も有名なのは、Autodesk社の提供するFusion360です。

このソフトはプロダクトデザインに特化したCADソフトとして人気のある製品で、プロダクト開発効率化につながるさまざまなツールを備えており、その一環としてジェネレーティブデザイン機能があります。

生成AIによるデザイン制作効率化の恩恵を受けつつ、CADとCAMが統合された3Dプリント運用や、デザインのシームレスなシミュレーションなど、ものづくりのプラットフォームとして強力なパフォーマンスを発揮できるサービスです*1。

また、Autodesk社のBIMソフトであるRevitも、部分的にジェネレーティブデザイン機能を備えています。

こちらはCADではなくBIMに焦点を当てたソフトではありますが、いずれのソフトもお互いに互換性を有していることから、併用によって高度なジェネレーティブデザインの運用において、高い相乗効果を発揮してくれるでしょう。

まとめ

この記事では、ジェネレーティブデザインがCAD運用に与える影響や今後の可能性について解説しました。ジェネレーティブデザインは未来の技術と考えられてきたものの、急速な生成AIの発展により今後数年でさらなる普及が期待されています。

ジェネレーティブデザインに対応しているCADソフトはまだ少ないものの、将来的には半ば標準装備されるような技術になっている可能性は非常に高いと言えるでしょう。

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出典:

*1 Autodesk「Fusion 360」

https://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overview?term=1-YEAR&tab=subscription

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