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スマートシティの事例でわかる!成功するスマートシティの必須条件とは?

体調が悪いとき、無理して病院に行くのではなく、オンライン診療を受けられたらとても助かりますよね。
今朝注文した食材がその日のうちに家に届くなら、買い物に行きづらい地域に住んでいても、便利な暮らしを続けられます。

こういった最先端の技術を駆使した「スマートシティ」が実現すれば、市民がもっと暮らしやすいまちになります。
今回は、政府が推進する「デジタル田園都市国家構想」の一部である「スマートシティ」の事例をご紹介します。
スマートシティの事例や参入方法を探している方は、ぜひチェックしてみてください。

この記事を読むと以下の3つのことがわかります

1.スマートシティの成功事例
2.スマートシティの失敗事例
3.スマートシティを成功させるために必要なこと

スマートシティの成功事例

スマートシティは、全国の市町村や民間企業が連携して進めていく継続的な大型事業です。
まず最初に、成功している事例はどのようなものがあるのか見ていきましょう。

さいたま市「スマートシティさいたまモデル」

埼玉県さいたま市では、2015年から「スマートシティさいたまモデル」への取り組みを始めました。(*1)
健康、エネルギー、コミュニティなど、市民生活に欠かせない5つの分野を中心に新しいサービスを生み出しています。

エネルギー分野では、電線の地中化を実施し、市街地の景観の向上を実現しています。
EVカーシェアリングでは、マイカーを維持する負担を減らせるほか、二酸化炭素の排出を減らすことを目指しています。

さいたま市の取り組みの特徴は、スマートシティ構想を始めるにあたって、まず最初に拠点となる施設「アーバンデザインセンターみその」を開設したことです。

スマートシティの実現には、市民、自治体、民間企業など、さまざまな人の力が必要となります。
拠点施設ができたことで、市民への周知が進み、理解と協力が得られる体制づくりが自然と進められたのではないでしょうか。

横浜市「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」

神奈川県横浜市は、2010年から「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」の実証実験を進めてきました。(*2)
市街地でのエネルギーバランスの向上を目指し、太陽光発電の導入や新しい電気料金プランによる省エネ対策が行われています。

2014年までの実証実験で目標値を達成したため、2015年からは「実験」ではなく「実装」として新たな段階に取り組んでいます。

横浜市の特徴は、プロジェクトを市民のメリットに直結させたことでしょう。
実証実験への参加で「電気代を下げられるかもしれない」というメリットは、値上がりの続く現代の市民生活で大きな魅力となります。

こうして市民の参加を促し、理解と協力を得られたことで、結果的に成功を収めました。

加賀市の徹底したデジタル化「スマートシティ」

石川県加賀市は、2020年に市役所に「スマートシティ課」を設置しました。(*3)
スタート直後から30名以上の体制でスマートシティ事業に取り組んでいます。

加賀市のコンセプトは、「デジタル化への集中投資」です。
消滅可能性都市として人口減少の深刻化に悩む中で、公共サービスの効率化や観光業の立て直しを主な事業として推進しています。

加賀市は、2020年に全国で初めて独自の電子申請システムの運用をスタートしました。
スマホアプリとマイナンバーカードを使って、24時間いつでも行政手続きができるようになりました。

さらに、新しいことが苦手な市役所の意識を改革するため、思考法のセミナーを開いたりと、職員のマインドを変えるところから取り組んでいます。
こうしたスマートシティへの集中投資と体制の見直しにより、加賀市は全国のスマートシティの先駆けとして結果を出しています。

スマートシティの失敗事例

実現すれば三方よしのスマートシティですが、うまくいかない場合ももちろんあります。
ここでは、スマートシティの失敗事例を見ていきましょう。

カナダ・トロント市のスマートシティ事例

カナダにあるトロント市では、市民生活の向上を目的として、2017年からスマートシティ事業への取り組みを始めました。(4) 自動でゴミを仕分けるロボットや、エネルギー効率の高い住宅の建築を提案したのです。(5)
実現に向けて、まずは市内のあらゆる場所から情報を収集する計画を立てました。

依頼を受けた民間企業(Googleの連携会社)は、市内にセンサーを張り巡らせて、24時間のデータ収集を開始しました。
しかし、民間企業がそのデータを販売して利益を得ていたことが明らかになったのです。

それを知った住民はプライバシー侵害だと抗議し、スマートシティ事業は中止に追い込まれました。

ポルトガルのスマートシティ事例「プラニットバレー」

ポルトガルでは、ポルトガルのシリコンバレー「プラニットバレー」の誕生を目指したスマートシティ計画がありました。(*4)
シリコンバレーのように、最先端の企業が集まる世界的大都市を作るのが狙いでした。

しかし、市民の賛同が得られず、投資を集められなかったため、終了してしまいました。
賛同が得られなかった理由は、構想の中に市民にとってのメリットが確認できなかったためです。

スマートシティの目的である「市民サービスの向上」を実現するためには、市民の参加と協力が欠かせません。
市民にとってのメリットが保証できなければ、協力を得ることは難しいでしょう。

静岡県裾野市のスマートシティ事例「ウーブン・シティ」

静岡県裾野市では、2020年からトヨタ自動車と共同で進めてきた「ウーブン・シティ」構想がありました。(*6)
完全自動運転の自動車や水素エネルギーの利用によって、新しいまちづくりを進めるというスマートシティ構想です。

トヨタによる実証実験をくり返してきたものの、実用には遠く、2022年に市長が交代したこともきっかけとなり、市が打ち切りを発表しました。(*7)

未来的なスマートシティ構想は魅力的ですが、だからこそ実現は難しいものです。
実用がいつになるかわからないスマートシティ計画より、身近な生活問題を優先したいという裾野市の判断です。

スマートシティを成功させるために必要なこと

スマートシティの成功事例と失敗事例から、成功させるために必要なことを確認してみましょう。

スマートシティを成功させるためには、まず「事業開始後、すぐに得られる市民のメリット」が必要です。

スマホのアプリで行政手続きができるとなれば、マイナンバーの取得率はすぐに上がるはずです。
取得率が向上することで、自然とデータの収集やデジタル化も進められます。
また、「電気料金が下がる」などのわかりやすいメリットがあれば、実証実験への参加も自然と勢いづくでしょう。

スマートシティの目的は、市民生活の向上です。(*8)
「市民のために何ができるか」を事業の出発点とすれば、自然と成功につながる計画になっていくのではないでしょうか。

まとめ

スマートシティの事例では、電気、情報、通信など、さまざまな企業が参加していることがわかりました。
しかし、これからスマートシティ事業に参入するとしたら、どんなふうにアピールすればいいのでしょうか。

スマートシティ推進事業の最新情報を配信している「スマートシティ官民連携プラットフォーム」のHPでは、企業と自治体のマッチングを促すコンテンツ「スマートシティに関するニーズ・シーズ集」があります。(*9)

シーズ提案では、さまざまな企業が独自の技術をアピールしています。
ニーズ提案では、自治体が「こういった悩みを解決してほしい」と具体的な課題を公開しています。

提案は随時受付中となっていて、提案書を作成して送信することで応募できます。(*10)
スマートシティ実現のために、ぜひ自社の技術をアピールしてみてはいかがでしょうか。

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◆参考URL

*1 事業構想オンライン『スマートシティで発展 データ利活用による地域サービスを充実』

https://www.projectdesign.jp/articles/5ac8860a-6046-43b0-be68-d9e6a8916b1e

*2 NTT東日本『横浜市のスマートシティは、今どうなっているのか?』

https://business.ntt-east.co.jp/bizdrive/column/dr00093-004.html

*3 スマートシティ官民連携プラットフォーム『石川県加賀市インタビュー デジタル化に集中投資、市が変わることで地域がついてくる』

https://www.mlit.go.jp/scpf/efforts/docs/interview/R2_%E7%9F%B3%E5%B7%9D%E7%9C%8C%E5%8A%A0%E8%B3%80%E5%B8%82.pdf

*4 長崎県立大学東アジア研究所『東アジア評論』第 15号(2023.3)『スマートシティ構想の変化における失敗と成功要因の仮説検証』

http://reposit.sun.ac.jp/dspace/bitstream/10561/1910/1/v15p15_morokuni.pdf

*5 朝日新聞GLOBE+『グーグルの姉妹会社はなぜ撤退したか トロントで挫折したスマート・シティ』

https://globe.asahi.com/article/13756142

*6 静岡県裾野市『令和4年9月行政報告(SDCC構想の終了について)』

https://www.city.susono.shizuoka.jp/soshiki/3/4/1/2/17306.html

*7 東京新聞『デジタルの街構想終了 裾野市、実験多く実用化進まず』

https://www.tokyo-np.co.jp/article/201026

*8 スマートシティ官民連携プラットフォーム『スマートシティガイドブック第2版(2023年8月10日公開)』

https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/smartcity/guidebook.html

*9 スマートシティ官民連携プラットフォーム『スマートシティの取組み スマートシティに関するニーズ・シーズ集』

https://www.mlit.go.jp/scpf/efforts/index.html#efforts01

*10 スマートシティ官民連携プラットフォーム『官民連携プラットフォームとは 会員・オブザーバー募集』

https://www.mlit.go.jp/scpf/about/index.html

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