Revitにおける建築テンプレートと建設テンプレートの違いは?使い分けのポイントを解説
BIMモデリングソフトの代名詞とも言えるRevitは、あらゆる業務に対応する豊富な機能を備えていることで知られています。
ただ、その機能の豊富さが裏目に出て、あまりソフトを使った経験がない人にとっては余計な混乱を生む機会も少なくありません。
この記事では、そんなRevitにおけるテンプレート活用について、その概要を解説しながら、似たような役割を果たす建築テンプレートと建設テンプレートの違いを紹介します。
目次:
- Revitにおけるテンプレートとは
- テンプレート活用のメリット
- 建築と建設の違い
- 建築テンプレートの概要
- 建設テンプレートについて
- 建築テンプレートと建設テンプレートの違い
- テンプレートを自分で作成するには
Revitにおけるテンプレートとは
テンプレートという言葉はあらゆる領域で用いられており、主に何らかの作業に必要な機能や環境がひとまとまりになっているセットのことを指します。
これはRevitにおけるテンプレートも例外ではなく、同パッケージには様々な必要機能が、目的に応じてまとめて提供されています。
単位や線の太さといったビュー設定や、システムファミリやコンポーネントファミリなど、必要なものがテーマに応じてまとめられているのが便利なところです。
また、テンプレートは既存のものを使用するだけでなく、自社の都合に合わせてオリジナルのものを作成することも可能なため、柔軟に運用できる点も覚えておきましょう。
テンプレート活用のメリット
Revit上でテンプレートを有効活用することにより、以下のメリットが期待できます。
生産性向上につながる
テンプレートを使ってRevit上で作業をすることで、生産性の向上に大きく貢献します。
テンプレートを使用しないと、新しくプロジェクトを立ち上げるために各種要素を手動で設定する必要があるため、作業効率は思うように高まりません。
一方でテンプレートを使用すると、ある程度テーマに沿って必要な要件が固まった状態で作業をスタートできるため、余計な負担を回避しながら円滑に作業を進められるでしょう。
情報共有の円滑化に貢献する
テンプレートを使ったモデリングは、情報共有の面でも良い影響を与えます。Revitにおけるモデリングはユーザーごとに設定が異なるため、モデリングにチームで対応している場合、作業環境が異なりテンポよく作業が進まないことがあります。
一方でモデリングをテンプレートを使って進めることで、プロジェクトに関与しているすべてのユーザーが同じテンプレート環境で作業を実施できるため、運用環境にギャップが現れないというメリットが得られます。
そのため、モデルを扱う際の情報共有がスムーズになったり、パラメーターの言語が違ってしまうことによるヒューマンエラーを回避したりすることが可能です。
建築と建設の違い
Revitを効果的に運用する上では、基本的な用語への理解もある程度深めておくことが重要です。似て非なる単語が複数使われるBIMモデリングですが、代表的なものとしては建築と建設が挙げられます。
建築と建設の違いを簡単にまとめると、
- 建築:建物を建てたり改築すること
- 建設:建物以外の建築物を建てたり改築すること
となります。建築という言葉は、一般的に家やビルといった、建物を建てることを指す言葉です。一方、建設は建物以外の建築物、いわゆるダムやトンネル、橋といったインフラ関係の建物を建てる行為を指します。
Revitを扱う場合も、建築と建設ではそれぞれが異なる定義で用いられているため、自分がどのようなプロジェクトに関わるかによって、言葉の意味の違いに敏感になっておくことが大切です。
建築テンプレートの概要
Revitには様々な種類のテンプレートが用意されていますが、その中の一つに建築テンプレートがあります。
建築テンプレートは、主に建物を建てる際に必要な図面やBIMモデルを作成するための一連の設定が行われているテンプレートです。家やビルなどを設計するのに必要なファミリがあらかじめプリセットとして設定されているため、手動での設定負担を解消することができます。
Revitの特徴は、豊富なモデリングツールが各領域に合わせて用意されている点です。はじめてRevitを使用する際、どこにどんなツールがあるのかわからず使い方に困ってしまうというケースもあるものですが、建築テンプレートがあれば、家やビルの設計を迅速に進められます。
建設テンプレートについて
建設テンプレートは、建設設計に特化した設定があらかじめ整備されているテンプレートです。橋やダムといったインフラ関連の設計を行いたい場合、建設テンプレートを展開することで、必要な設定をスキップすることができます。
建設テンプレートは、主に土木やインフラ工事において必要な機能が揃っているテンプレートです。そのため、Civil 3DやInfraWorksとの併用を考えている場合、建設テンプレートの使い方に慣れておくと良いでしょう。
建築テンプレートと建設テンプレートの違い
建築テンプレートと建設テンプレートでは、その設定内容に大きな違いがあります。
上述の通り、建築と建設では言葉の定義が異なるため、前者は建物を設計するのに特化した設定が、後者はインフラ関連の設計に特化した設定になっています。
例えば建具関連のファミリは後者ではほぼ設定されていませんが、前者であれば豊富に用意されているため、圧倒的に前者の方が便利です。
建築と建設の言葉の違いを理解し、それぞれのテンプレートを使い分けられるのが理想です。
テンプレートを自分で作成するには
既存のテンプレートでは満足ができない場合、自分でテンプレートを作ってしまうのも一つの手です*1。
テンプレートの作り方は、まず「新規作成」をクリックして「プロジェクトの新規作成」から「テンプレートファイル」を選択します。
全くのゼロからテンプレートを作成する場合、ダイアログでは「なし」を選択し、既存のテンプレートをベースとする場合には「参照」を選びます。
続いて「プロジェクトテンプレート」を選んだら、任意の設定でテンプレートを構築し、ファイルタブから「保存」を選択しましょう。
その後表示される「プロジェクトの新規作成」ダイアログのテンプレートリストにてプロジェクトテンプレートを追加すれば、テンプレート作成は完了です。
まとめ
この記事では、Revitにおける建築テンプレートと建設テンプレートの違いについて解説しました。
テンプレート機能は生産性向上や情報共有の円滑化において効果的であるため、積極的に活用したい機能です。また、テンプレートは自身でも作成ができるため、業務の必要に応じてカスタマイズしてみることをおすすめします。
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出典:
*1 Autodesk「ヘルプ | プロジェクト テンプレートを作成する」
https://help.autodesk.com/view/RVT/2024/JPN/?guid=GUID-601F73FA-D583-48F7-B4DE-C2CA5E791A8E