Revitにおける土量計算の手順|土量計算時に注意したいポイントも解説
Autodesk社が提供しているRevitは編集した地形図から切土および盛土の土量を容易に算出できます。そのため、建築業に携わる企業が多く使用しています。しかし、Revitで土量の算出を行いたいものの、操作手順がよく分からないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
本記事ではRevitにおける土量計算の手順を分かりやすく解説します。また、土量計算で注意したいポイントと対応方法にもふれていくため、ぜひ参考にしてください。
この記事を読むと、以下のことが分かります。
1.Revitにおける土量計算の手順
2.Revitの土量計算時に注意したいポイントと対応方法
Revitで操作できる土量計算とは
RevitとはAutodesk社が提供しているBIM/CIMに対応したCADソフトです。Autodesk社のソフトの中では、とくに建築構造物の3次元CAD生成に特化している点が特徴です。作成した3Dモデルにあらゆる属性情報を付与したBIM/CIMモデルを作成できます。BIM/CIMモデルに付与された部材の基本情報や建築コストおよび施工期間などを参考に、簡易的な土量の算出や積算を行えるようになります。
プロジェクトの協議において、顧客に切土量や盛土量などの概算を容易に提示できるようになり、協議の進行を進めやすくなるでしょう。
Revitにおける土量計算の手順
Revitは編集した地形の切土および盛土を集計できます。切土と盛土の定義は次のとおりです。
切土 | 傾斜地にある土を削り、地盤面を低くする |
盛土 | 傾斜地にある土地に土を盛り、地面を高くする |
Revitでは具体的に次の数値を集計し、地形面集計表にリストアップできます。
・切土値
・盛土値
・正味切土および盛土の値
切土および盛土の編集をする前に元の地形を保存しておきたい場合、「整地」を実行し既存地形データのコピーを行いましょう。操作完了後、プロパティパレットに切土および盛土のプロパティが表示されるようになります。(*1)
1.タブ「管理」のパネル「フェーズ」を選択
2.ダイアログボックス「フェーズ作成」が画面上に表示される
3.ダイアログボックス「フェーズ作成」内の「プロジェクト フェーズ」に「既存」と「新しい建設」の項目があるかを確認する
4.対象となる地形を選択し、プロパティ内の「作成されたフェーズ」の項目を「既存」に設定する
5.タブ「マス&外構」内にある「外構を変更」から「整地」を選択する
6.ダイアログボックス「整地を編集」が表示されるため、ボックス内の「既存の地形面とまったく同じ新しい地形面を作成」を選択する
7.対象となる地形をクリックする
8.パネル「サーフェス」内にある「地形面を終了」を選択する
次に集計表の作成手順をみていきましょう。
1.タブ「表示」内にあるパネル「作成」から「集計」選択する
2.「集計表/数量」を選択する
3.ダイアログボックス「新しい集計表」が画面上に表示される
4.カテゴリの「地形」を選択し、「OK」をクリックする
5.ダイアログボックス「集計表プロパティ」が表示されたら、「集計済みのフィールド(順に)」に次の項目を追加する
・名前
・切土
・盛土
・正味切土/盛土
・作成されたフェーズ
・解体されたフェーズ
6.「集計表プロパティ」内のタブ「並べ替え/グループ化」の下部にある「合計」のチェック欄にチェックを入れる
7.「集計表プロパティ」内のタブ「書式」にある「合計を計算」にチェックを入れて、「OK」をクリックする
操作完了後、コピーした地形面を把握しやすいように名前の変更を行いましょう。名前の変更は地形集計表から行います。
道路舗装の追加する手順
Revitでは道路もしくは建築舗装を追加し、切土量と盛土量を表示する方法があります。操作手順は次のとおりです。
1.タブ「マス&外構」内にある「外構を作成」から「道路舗装※」を選択する
2.描画ツールで道路の形状を編集する
3.パネル「モード」の「編集モードを終了」を選択する
Revit2015以前を使用している場合、「道路舗装」ではなく「建築舗装」と表示されているため、「建築舗装」をクリックしましょう。
Revitにおける土量計算時に注意したいポイント
Revitで土量を算出する場合、次の注意点を事前に把握しておきましょう。
・計画地形図は既存の地形図の範囲に収めなければならない
・精度はプラスマイナス1~2%
・不正確な切土と盛土の値が表示されるケースもある
ここでは、注意点と対処方法を解説します。
計画地形図は既存の地形図の範囲に収めなければならない
切土および盛土の値を算出する地形図(計画地形図)は既存の地形図の範囲に収める必要があります。既存の地形図を参照に新たに計画地形図を描画する場合、次の手順で操作を行いましょう。具体例として正方形の計画地形図を作成します。
1.タブ「注釈」内にあるパネル「詳細」から「詳細線分」を選択する
2.長方形のツールを使用し、既存の地形図に収まるように正方形を作成する
3.タブ「マス&外構」のパネル「外構作成」から「地形」を選択する
4.地盤の高さを設定し、プロパティから名前を入力する
精度はプラスマイナス1~2%
Revitで算出される切土および盛土の値の精度はプラスマイナス1~2%です。あくまで概算である点を把握しておきましょう。
顧客によって数値算出の基準が異なる可能性も想定しておかなければなりません。とくに公共事業の工事の場合、より精度の高い算出が求められるケースもあります。そういった場合、高精度の算出に対応したBIM/CIM用のシステムの導入を推奨します。
不正確な切土と盛土の値が表示されるケースもある(*2)
Revitで編集した地形図で切土や盛土の値を算出すると、不正確な値が表示されるケースも少なくありません。地形図が大きな領域である場合に問題が発生しやすいため、次の2つの方法で対応しましょう。
・「形状編集」により、地形図のジオメトリの再描画を行う
・ツール「分割」を使用し、地形図をより小さく分割する
まとめ
Revitでは既存の地形図から切土および盛土の土量を計算できます。工事により切土や盛土を行う可能性がある場合、Revitの土量計算により関係者間で数値の共有がしやすくなるでしょう。土量計算の精度はあくまで概算です。精度はプラスマイナス1~2%であるため、「精度に基準がある」「より高い精度で算出したい」場合は計算に特化したシステムを導入しましょう。
切土や盛土の土量を簡易的に算出したい場合、Revitの土量計算の手順を参考に実行してみましょう。
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*1
「Autodesk Revit 2016 ヘルプ|切土容積と盛土容積を表示する」
https://help.autodesk.com/view/RVT/2016/JPN/?guid=GUID-96E50D3B-2CF9-4F47-9C40-B689D114C521
*2
「Autodesk Revit LT 2025|Revitで整地された大きな領域の地盤面を持つ場合、切土と盛土の土量が不正確になる」