Revitで床に勾配を与える方法は?傾斜サーフェスの作り方を紹介
AutodeskのRevitは強力な機能をいくつも備えたBIMソフトとして知られており、それぞれの使い方を正しく理解しておくことで、複雑なプロジェクトでも効果的に運用することができます。
この記事では、そんなRevitを使って床に勾配を与えたい時の方法について、関連の機能などと合わせながら解説します。
目次:
- Revitの強み
- Revitで床に勾配を与える方法
- 勾配のついた床の活用シーン
- 勾配のある床へ水平な底面を与えるには
- Revitでランプウェイスロープを作る方法
Revitの強み
Revitが高く評価されている理由としては、
- 互換性が高い
- クラウド機能が豊富
- 各種ツールが揃っている
といった点が挙げられます。業界最大手のAutodeskが提供するRevitは、国内外を問わず多くのデザイナーや設計者に採用されているため、BIMが必要な場合はRevitの仕様に準拠して作業が進められるものです。
そのためRevitを使っていてデータの共有ができないなどのトラブルに見舞われることは少なく、安心して運用ができます。
また、BIMの強みである情報共有能力の高さを独自のクラウドサービスを使い、さらに向上させられます。業務上必要なコミュニケーションのコストを最小限に抑え、複雑なプロジェクトでも質の高い仕上がりを得られるでしょう。
もちろん、Revitは多くの機能を備え、初心者からプロまでも満足させられるポテンシャルの高さも魅力です。各種機能を使いこなせるようになれば、Revitを使ってあらゆる表現が可能になります。
Revitで床に勾配を与える方法
Revitを使った床の作成は、建物関連のプロジェクトを扱う場合には必ずといって良いほど必要になる作業ですが、もう一つ頻出のタスクとして、勾配のある床の作成が挙げられます。
通常であれば水平に広がる床に角度を与えることで、より柔軟性の高い表現をBIMモデルにもたらすことができます。
通常、Revitを使って床に勾配を与える場合には、
- 床を作成する
- 「勾配矢印」を選択する
- プロパティを設定する
- 編集完了により勾配が適用される
という手順で行います。ただ、Revitにはもう一つ勾配を作成する方法があり、それは
- 既存の床オブジェクトを選択する
- 「サブ要素を修正」を選ぶ
- 高さを入力し勾配を適用する
というもので、どちらの方法でも正確に勾配を適用する上で便利な方法です。以下では、それぞれの方法についてより詳細に解説します。
「勾配矢印」を使用する場合
「勾配矢印」は、どっちからどっちに向かって勾配が与えられるのかを指定した上で、床オブジェクトに傾斜をつけることができるツールです。
「勾配矢印」を使用するには、まず通常の方法で床オブジェクトを作成します。続いて「描画」パネルを選ぶと「矢印勾配」が現れるので、これを選択しましょう。
すると選択している床オブジェクトに矢尻と矢先を表示させられるので、クリック操作で傾斜を与えたい箇所を選択します。
選択した状態から「プロパティ」を選び、そこから「拘束」を設定します。ここでは矢尻と矢先のレベルを指定でき、レベルを変更することで傾斜の具合を調整することが可能です。
求める数値に設定することができたら編集を完了し、設定を適用します。これで床に勾配を与えることができます。
「サブ要素を修正」を使用する場合
もう一つの方法は「サブ要素を修正」という機能を使用するものです。まず、勾配を設定したい床オブジェクトを作成するか、すでにある場合はそれを改めて選択します。
選択した状態で「修正:床」を選び「形状編集」パネルから「サブ要素を修正」を選びましょう。続いて勾配を設定したい箇所の頂点をクリックし、勾配の頂点部分の高さを数値入力します。
この操作は「サブ要素を修正」パネルから高さ基準を設定することでも、実行が可能です。高さを入力し適用すれば、床に勾配を与えることができます。
勾配のついた床の活用シーン
勾配のついた床は少しトリッキーなようにも思えますが、実際にはさまざまな建物に備えられている機能であるため、活用シーンは多岐にわたります。例えばバリアフリースロープを実装したい時は、間違いなく必要になる機能です。
劇場や映画館にも、設計の都合上勾配のついた床を実装する必要があるでしょう。座席を段々畑のように配置したい場合、床部分には勾配が与えられているからです。
そのため、何らかの方法で勾配を与えるための方法をあらかじめ知っておくことをおすすめします。
勾配のある床へ水平な底面を与えるには
床に勾配を与えるための方法は上で紹介した通りですが、このままでは斜めにベニヤ板を立てかけたような状態であり、底面が斜めの状態で宙に浮いてしまっています。
このような状況を解消するためには、新たに床へ水平な底面を与えてやる必要があります。水平な底面を設定するには、まず先ほども使用した「サブ要素を修正」を展開しましょう。
するとプロパティに「タイプ編集」と呼ばれる項目があるのでこれを選びます。タイププロパティを開いたらダイアログボックスの「構成」から「構造」を選び、さらに展開される「アセンブリを編集」ダイアログボックスにて、編集したいレイヤの「変数」にチェックを入れましょう。
正しい構造レイヤにチェックを入れることができていれば、勾配のある床に水平な底面が現れます。
Revitでランプウェイスロープを作る方法
Revitチュートリアルサイトの「Revit Peeler」では、ランプウェイに勾配を与え、スロープにする方法も紹介されています*1。ランプウェイを作成したのち、まずは勾配を緩和勾配と車路勾配の2種類を用意し、タイププロパティから適用します。
またここで使用するのが「階段」プロパティにある「スロープ」ツールで、上で紹介した床に勾配を与える方法とは異なる点に注意が必要です。
スロープツールはなだらかな坂道を作成するのに役に立つツールであり、ランプウェイスロープを作成する際にも重宝します。通常の路面では床や階段のように傾斜を与えることができないのですが、スロープツールを使えばそれが可能です。
詳しい作成方法については「Revit Peeler」を参考にしてみてください。
まとめ
この記事では、Revitを使って床に勾配を与える方法を紹介しました。普段は水平な床に勾配を与えることで、より立体的な構造物のデザインに役立てることができます。勾配を与える方法には複数の方法があり、場合や好みに応じて使い分けられるよう、それぞれを覚えておくと便利でしょう。
勾配機能を最大限活用し、複雑なプロジェクトの設計に携われるスキルを身につけられるのが理想です。
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❷BIMを活かすためのツール紹介
❸DXレポートについて
❹建設業界におけるDX
出典:
*1 Revit Peeler「スロープ」