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建築BOMとはどんなもの?種類や役割、管理方法の基礎を解説

建築設計業務はDXの余地が大きいと言われていますが、近年活用が進んでいるのがBOMです。建築や土木建設のみならず、製造業界などでも採用されているBOMは、具体的にどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。

この記事では、建築BOMとはどのようなものなのか、そのメリットや作り方、管理方法に触れながら解説します。

目次:

  1. BOMとは
  2. BOMの種類
  3. 建築BOMのメリット
  4. BOMを作るには
  5. BOMの管理方法

BOMとは

BOMとは「Bill Of Materials」の略称で、和訳すると「部品表」や「部品構成表」となります。

プロジェクトを構成するのに必要な、全ての部品や部材をリストアップし、番号で管理するための仕組みです。

全ての部材の数量や種類、仕様といった基本情報を網羅しているだけでなく、1ユニットを作成するために必要な部材総数、そしてコストやサプライヤーなども記録します。

建設業界において、部材の正確な管理は必要な業務でありながら、その業務プロセスの複雑さからどうしてもミスやギャップが生まれてしまうことは珍しくありませんでした。

そこで活躍するのがBOMで、正しく部材を管理することにより、業務の生産性向上や品質向上に多大な影響を与えます。

BOMの種類

BOMはその利便性から様々な業界で利用されており、様々な管理業務の効率化に役立っています。主な種類としては、以下のようなものが挙げられます。

製造BOM

元々BOMは、製造業界で広く採用されていたことから他の業界でも導入されるようになった概念です。そのため製造BOMの中だけで複数種類存在し、

  • EBOM(Engineering)
  • MBOM(Manufacturing)
  • SBOM(Service)
  • PBOM(Purchasing)

といったものがあります。

EBOMは製品設計部門に導入するBOMで、図面や仕様書の情報が記録されています。MBOMは製造部門で使用されており、製品の組み立て工程や材料手配、部品の配置などについての情報が記録されます。

SBOMはメンテナンスや修理サービスについてのBOMで、保守管理をはじめとするアフターサポートのために用いられます。PBOMは製品の調達や生産段階で用いられ、価格や納期などが記録されるBOMです。

これらを細かく使い分けながら、製造業は多大な生産性向上を実現しています。

建築BOM

建築BOMは、建築設計などに特化したBOMです。建物の建設の際に必要な情報をまとめて管理できるこの概念は、設計から施工、そして維持管理に至るまで、広く使用されるのが特徴です。

ソフト開発BOM

ソフトウェア開発の現場においても、近年はBOMの導入が盛んです。ソフトウェアの開発に欠かせないコンポーネントやライブラリ、そして他社製品の情報などが、まとめてBOMで管理されています。

近年のサイバー攻撃の増加に伴い、BOMをセキュリティ上の脆弱性を特定・記録し対策を検討するために使用する機会も増えてきているのが特徴です。

建築BOMのメリット

建築BOMを使用することは、具体的にどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。ポイントとしては、以下の3つの利点が挙げられます。

円滑な情報共有を実現できる

建築BOMの導入は、社内で複数部門にまたがり情報共有を行う上で効率化を促します。情報を一元管理し同じフォーマットでの編集を実現するので、迅速な状況確認や意思の疎通が可能です。

ヒューマンエラーを削減できる

ヒューマンエラーを削減して、業務の正確性を高めることができるのも建築BOMのメリットです。紙媒体での情報管理はもちろん、Excelによる情報管理からも脱却し、手作業での記録や編集の必要性を小さくして、正確な部材情報の記録を実現できます。

他のシステムとの連携強化が可能

建築BOMは単体での運用でも一定の効果を期待できますが、他のシステムの連携によって、相乗効果を得られる点も見逃せません。

BOMとの高い連携効果が期待できるのが、ERPやPLMといったシステムです。すでにこれらのシステムを導入している、あるいはこれから導入する予定がある場合、BOMとの互換性を加味することで、全体のプロセス最適化が進むでしょう。

すでに大林組のような大手建設会社でも、BOMを活用したPLMシステムを独自に構築しているなど、ますます同様のケースが増えていくことが期待されます*1。

建築BOMを作るには

建築BOMを作成する場合、作り方には以下の2つの方法があります。それぞれでどのような手順の違いがあるのか、確認しましょう。

手動で作成する

BOMはExcelシートなどを使って、手動で作成することができます。その際の工程は、

  1. 部材のリストアップ
  2. 部材の選別
  3. 階層構造の定義
  4. リスト作成

といったものになります。

手動で作成する場合、手軽に始められるのはメリットである一方、最大の難点となるのが各プロセスにおける作業負担が非常に大きいことです。

ゼロから新たに部材に番号を振り分けたり、仕様などを確認したりしなければならず、そのための膨大な時間がかかります。ヒューマンエラーが発生するリスクもあるため、ダブルチェックの仕組みを整備するなどして対処する必要があるでしょう。

専用ソフトで作成する

もう一つの方法が、専用ソフトを使ったBOM作成です。専用ソフトを使用する場合、その工程は

  1. ソフトの選定・導入
  2. 部材情報の入力
  3. 階層構造の設定
  4. レポートの作成

といったステップで完結できます。

専用ソフトの導入にはコストがかかりますが、情報入力の負担を大幅に解消できるのが非常に便利です。フォーマットも自動で作成してくれるので、ユーザーは部材情報を加えていくだけで、簡単にBOMを作成できるでしょう。

BOMの管理方法

BOMを正しく管理する上では、

  • サマリ型
  • ストラクチャ型

の2種類からアプローチを選ぶことも重要です。

サマリ型は、構成部材の情報を並列的にリストアップした管理方法です。基本情報にフォーカスした管理方法のため、コスト管理の効率化や、構成の把握を円滑にする上で役に立ちます。

ストラクチャ型は、階層構造で部材情報をまとめたアプローチです。親の部材と子の部材の関係がわかりやすく整理されているため、組み立て手順を迅速に把握する上で役に立つまとめ方と言えます。

このように、BOMは管理方法によって使い勝手が大きく異なります。業務に合わせた管理方法を選び、効率化を進めることが大切です。

まとめ

この記事では建築BOMとは何かについて、具体的なメリットや種類に触れながら解説しました。

BOMは元々製造業界で普及した概念ですが、近年は建設業界においても採用が進んでいます。作成方法や管理方法についての理解を深めることで、よりBOM導入の効果を高めることができるでしょう。

紙やExcelによる管理の脱却やDXを推進する上では、重要な取り組みです。

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