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BIMソフトで.stbを読み込むには?対応ソフトと設定手順を解説

1. はじめに

近年、建築設計や土木インフラの現場では、BIM(Building Information Modeling)の活用が進んでいます。BIMは、建物や構造物に関する情報を3Dモデルに集約し、設計から施工、維持管理までを一貫して管理できる新しい手法です。2D CADや3D CADと組み合わせて使うことで、図面作成の効率化や設計のミス削減にも大きく貢献します。

BIM環境でスムーズな図面管理や印刷設定を行うには、印刷スタイルを一元化する「.stbファイル」の活用が欠かせません。.stbファイルは、線の太さや色などの印刷設定を「スタイル」として管理できるファイル形式で、特にAutoCADやCivil 3Dといった設計ソフトでよく使われています。

しかし、BIMソフト上でこの.stbファイルをうまく扱えず、印刷スタイルの統一や設定に悩むケースも少なくありません。.ctbファイルとの違いや、DWG互換性に戸惑う設計者・BIM担当者も多いのが現状です。

本記事では、そうした悩みを持つ方に向けて、BIMソフトで.stbファイルを読み込む方法や設定手順、トラブル時の対処法、運用のコツをわかりやすく解説します。.stbファイルを活用できるようになることで、図面の品質管理が向上し、チーム内で統一された設計スタイルを実現できるはずです。

2. .stbファイルの基本とBIMソフトの関連性

ここでは、.stbファイルの基本的な役割や、よく混同されやすい.ctbファイルとの違い、そしてBIM環境において.stbファイルがどのような意味を持つのかについて、順を追って解説します。

.stbファイル(スタイルベースのプロッタ設定)は、図面の線の太さや色などを「スタイル」として定義し、一元的に管理できるファイル形式です。この仕組みにより、図面の見た目や印刷品質を安定して保つことができ、2D CADや3D CADにおける図面スタイルの標準化に大きく貢献します。

とくにBIMを活用している企業では、既存のAutoCADやCivil 3Dの設計データを引き継ぎながら、新しいプロジェクト環境に活用したいというニーズが高まっています。このようなケースでは、複数のソフトウェアをまたいでDWGデータを扱うため、印刷スタイルや線の見た目にバラつきが生じやすくなります。.stbファイルを使えば、それらのばらつきを防ぎ、図面の品質や印刷形状を安定して管理することが可能になります。

以下では、.stbファイルの基本的な仕組みから、.ctbファイルとの違い、BIM環境での実用的な意義までを順に見ていきましょう。

2.1. .stbファイルとは何か?

引用:https://help.autodesk.com/view/ACD/2026/JPN/?guid=GUID-EA164540-48C9-4C85-8EDB-55975D89F22A

.stbファイルは「Style Table(スタイルテーブル)」の略で、主にAutoCAD系のCADソフトウェアで使用される、スタイルベースの印刷設定ファイルです。従来のCADでは、線の太さや色を「色番号」によって管理するのが一般的でしたが、.stbファイルでは「スタイル名」を基準に、線の色や太さを定義します。

このスタイルベース方式により、図面全体を一定のルールに基づいて制御しやすくなります。たとえば、「建具関係の線はすべて太さ0.3mm・灰色に統一」「梁はすべて太めの黒線で表現」など、目的ごとにスタイルを作成しておけば、要素を個別に設定することなく自動的に反映されます。

また、.stbファイルは複数の設計者が同じスタイル設定で作業する際にも便利です。共通のスタイルを共有フォルダなどで管理すれば、図面の表記や印刷結果のバラつきを最小限に抑えることができ、設計チーム全体での統一感や生産性向上につながります。

2.2. .ctbとの違いとは?

.stbファイルとよく比較されるのが、.ctbファイル(Color-dependent Plot Style)です。.ctbファイルは、図面内の「色番号」に応じて線の太さや印刷スタイルを設定する形式で、長年にわたって多くのAutoCADユーザーに利用されてきました。

一方で、.stbファイルは「スタイル名」によって印刷設定を管理します。つまり、.ctbは色がルールの中心となるのに対し、.stbはスタイルという論理的なカテゴリで制御する点が大きな違いです。

.stbファイルのメリットは、図面データの色と印刷スタイルを切り離して管理できることです。これにより、たとえば設計段階ではカラーで作図し、印刷時にはモノクロの太線に自動変換するなど、より柔軟なスタイル設計が可能になります。また、設計チーム内でのルール共有や図面の再利用にも適しており、プロジェクトの規模が大きくなるほど、その利点が発揮されやすくなります。

2.3. BIM環境での.stbファイルの重要性

BIMソフトでは、建物や構造物の3Dモデルをもとに、必要な2D図面(平面図、立面図、断面図など)を自動的に生成する機能があります。こうした図面においても、印刷品質や表現の統一は欠かせません。

特に、AutoCADやCivil 3DなどのBIM対応ソフトでは、.stbファイルを使って線の太さや色のルールをあらかじめ設定しておくことで、2D図面出力時の品質を安定させることができます。BIMと2D図面の連携(いわゆるCAD/BIM連携)において、こうしたスタイルの共通化は非常に効果的です。

また、プロジェクトごとに異なるチームや外部協力会社と共同作業を行う際にも、.stbファイルを用いたスタイルの統一は重要です。スタイルがバラバラだと、同じDWGデータでも表示や印刷の見た目が異なるため、図面レビューや承認プロセスに混乱が生じやすくなります。.stbを活用することで、こうした不一致を防ぎ、プロジェクト全体の作業効率と品質を高めることができるのです。

3. .stbファイルをサポートする主要BIMソフトウェア

ここでは、.stbファイルに対応している代表的なBIM対応ソフトウェアについて紹介します。.stbの直接利用が可能なソフトから、間接的な利用にとどまるソフトまで、それぞれの特性と注意点を整理しておくことは、スムーズな運用に欠かせません。

特にAutoCADやCivil 3DのようなAutodesk系のソフトは、.stbファイルのフル対応が可能であり、設計・出力の標準化を進める上で非常に有用です。一方で、Revitのように.stbファイルを直接扱うことができないソフトもあり、運用方法に工夫が求められます。

また、実際のBIMプロジェクトでは、複数のソフトウェアを組み合わせて作業が行われることが一般的です。そのため、図面スタイルや印刷設定を一貫させるために、.stbファイルを中心にした共通の管理方法を整備しておくことが、設計業務全体の効率向上につながります。

以下では、AutoCAD、Revit、その他の主要BIMソフトにおける.stbファイルの取り扱いについて、それぞれのポイントを詳しく見ていきます。

3.1. AutoCADでの.stbファイルの取り扱い

AutoCADは、.stbファイルをネイティブにサポートする代表的な2D/3D CADソフトウェアです。図面の印刷設定やスタイル管理において、.ctbファイルと並んで.stbファイルの使用が可能であり、どちらを選ぶかはプロジェクト方針や社内ルールによって決定されます。

AutoCADでは「ページ設定マネージャー」を使って、各図面レイアウトに.stbファイルを割り当てることができます。また、印刷スタイルエディタを利用すれば、スタイルごとの線の太さや色を細かくカスタマイズすることができ、柔軟な運用が可能です。

さらに、AutoCADをベースとする土木設計向けソフト「Civil 3D」でも、同様に.stbファイルが活用できます。これにより、構造物やインフラ設計などのBIMプロジェクトにおいても、図面スタイルの統一と品質管理が効率よく行えるようになります。

AutoCADで.stbファイルを扱う場合、スタイル設定ファイルを社内共有フォルダなどで管理しておくと、複数人による図面作成でもスタイルのズレを防ぎやすくなります。印刷結果の再現性を保つうえでも、このような運用ルールの整備は欠かせません。

3.2. Revitでの.stbファイルの間接的利用

Revitは、建築・構造・設備分野に特化したBIMソフトウェアですが、.stbファイルを直接読み込んで利用することはできません。Revit内部には独自の線種や表示スタイルの管理機能があり、AutoCADのように外部スタイルファイルを直接適用する方式とは異なる設計思想に基づいています。

ただし、Revitで作成した図面ビューをDWG形式でエクスポートし、そのDWGファイルをAutoCADやCivil 3Dで開いてから.stbファイルを適用するという間接的な利用方法は可能です。この運用を活用すれば、Revitから出力された図面に対して、AutoCAD側で印刷スタイルを設定し、一定の見た目や表現の統一を図ることができます。

また、スタイルの完全な一致は難しいものの、Revitのエクスポート設定にて、線種やレイヤー名のマッピングを事前に調整しておくことで、AutoCADでの.stb適用後のズレを最小限に抑えることが可能です。

一部のプラグインや外部ツールを使えば、Revit内での線の見た目を.stbで定義した内容に近づけるといった補助的な設定支援も可能ですが、.stbファイルそのものをRevitで直接読み込むことはできません。そのため、印刷スタイルの適用を含む作業フローでは、AutoCAD側にその役割を割り当てるよう、あらかじめチーム内で方針を共有しておくことが重要です。

3.3. その他のBIMソフトウェアと.stbファイル

AutoCADやRevit以外にも、ArchiCADやVectorworksといった主要なBIMソフトウェアがありますが、これらのソフトでは.stbファイルを直接読み込むことは基本的にできません。各ソフトにはそれぞれ独自のスタイル管理機能があり、印刷や表示の制御もソフト内部の設定で完結するように設計されています。

とはいえ、プロジェクトによっては、ArchiCADやVectorworksで作成した図面データをDWG形式で出力し、AutoCADで開いて印刷するというケースもあります。そのような場合には、AutoCAD側で.stbファイルを使って印刷スタイルを適用することができるため、間接的なスタイル統一が可能になります。

このように、.stbファイルの活用は、単に特定ソフト内で完結するものではなく、複数ソフト間の連携(相互運用)をスムーズに行うための橋渡し的な役割を果たします。とくに、設計部門と施工部門で使うソフトが異なる場合や、社外パートナーとDWGデータを共有するプロジェクトでは、AutoCADやCivil 3Dを中核に据えた.stbスタイル管理が非常に有効です。

こうした観点からも、BIMプロジェクトにおいては.stbファイルの扱いを前提とした図面出力体制を構築しておくことが、全体の設計品質と作業効率を高めるポイントになります。

4. .stbファイルの具体的な読み込み手順

このセクションでは、.stbファイルを実際にBIMソフトウェアで取り扱う際の流れについて、わかりやすく説明します。ここでは主に、.stbに完全対応しているAutoCADと、間接的な利用が可能なRevitを取り上げ、それぞれの操作手順や注意点を具体的に紹介します。

BIM担当者や設計チームのリーダーは、プロジェクトの初期段階で共通の.stbファイルをチーム全体に周知・共有しておくことが非常に重要です。プロジェクトの途中でスタイルを変更すると、既存図面の再調整が必要となり、大幅な手戻りが発生するリスクもあるため、あらかじめワークフローや使用ツール、ファイル配置ルールなどを明確にしておくことが推奨されます。

以下の小見出しでは、AutoCADでの.stbファイル適用方法と、Revitでの間接的な運用方法について、初心者でも実践しやすいようにステップごとに整理して説明します。印刷スタイルの一貫性を保つためには、初期設定をしっかり行うことが不可欠です。スタイルファイルの場所や印刷設定のミスに注意しながら、確実に反映されるよう丁寧に設定を進めましょう。

4.1. AutoCADでの.stbファイルの適用手順

AutoCADで.stbファイルを使用するには、以下の4つのステップを順に実行することで、スムーズにスタイル設定を反映させることができます。

手順1:.stbファイルの準備
まずは、使用する.stbファイルを準備しましょう。社内で共通利用されている標準ファイルや、プロジェクト専用に作成されたスタイルファイルなどが該当します。これらのファイルは、チーム全員がアクセスできる共有フォルダなどに保存しておくと、設定の統一と運用の効率化につながります。

手順2:ページ設定マネージャーで.stbを選択
次に、AutoCADの「ページ設定マネージャー」を開きます。新規作成または既存の設定を編集する際に、「印刷スタイルテーブル(Plot Style)」の項目で、使用したい.stbファイルを選択します。この設定により、対象の図面レイアウトに.stbベースのスタイル設定が適用されます。

手順3:印刷スタイル設定で詳細を調整
必要に応じて、「印刷スタイルマネージャー」や「スタイルエディタ」を使って、スタイルごとの色、線の太さ、出力の種類などを微調整することができます。スタイルのカスタマイズ内容は、保存した.stbファイルに反映され、次回以降も同じ設定を適用することが可能です。

手順4:印刷プレビューで適用確認
設定が完了したら、印刷プレビュー機能を使って、スタイルが正しく適用されているかを確認します。想定した線の太さや色になっているか、不要なスタイルが含まれていないかなどをチェックし、問題がなければ通常の図面出力に進んで構いません。

このように、AutoCADでは.stbファイルを使った印刷スタイルの管理が標準機能として整備されており、適切に設定すれば図面の表現を安定して保つことができます。

4.2. Revitでの.stbファイルの取り扱い方法

Revitは.stbファイルを直接読み込んで使用することはできませんが、DWGファイルへのエクスポートを介して間接的に.stbを活用する方法があります。以下に、代表的な流れを3つのステップで解説します。

(1) RevitからDWGへエクスポート
まず、Revitの「エクスポート」メニューから「CAD形式(DWGなど)」を選びます。エクスポート設定のダイアログボックスが開いたら、「レイヤー」や「線種マッピング」のタブを確認し、各図面要素がどのように変換されるかを指定します。事前にエクスポート設定ファイル(.txtや.xml)を用意しておくと、変換の精度が高まります。

(2) AutoCADで.stbを適用して印刷スタイルを調整
Revitから出力したDWGファイルをAutoCADで開き、先述の方法と同様に「ページ設定マネージャー」などを使って.stbファイルを指定します。こうすることで、Revit由来の図面にも.stbベースの印刷スタイルが適用され、線幅や色をプロジェクトのルール通りに整えることができます。

(3) 社内での連携とルールの徹底
RevitとAutoCADを併用するプロジェクトでは、どの工程で.stbファイルを適用するかを明確にしておくことが重要です。たとえば、出力時はすべてAutoCADで印刷処理を行うという方針を定めれば、チーム内の混乱を防げます。併せて、.stbファイルの保管場所や改定権限、命名ルールなども文書化しておくと、継続的な運用がスムーズになります。

このように、Revit単体では.stbを直接扱うことはできませんが、AutoCADとの連携を前提とすれば、印刷スタイルの統一は十分に実現可能です。プロジェクト全体の効率化と品質向上のためにも、こうした連携体制を早い段階で整えておくことをおすすめします。

5. トラブルシューティング:.stbファイルの一般的な問題と解決策

.stbファイルを運用する際には、思いがけないトラブルが発生することがあります。特に、複数のBIMソフトやCADソフトを連携させながら図面を作成・管理している現場では、ファイルの互換性や設定ミスによって、期待した印刷結果が得られないことも少なくありません。

よくある問題の一つに、スタイルファイルの保存場所が統一されていないケースがあります。この場合、メンバーによって適用されている.stbファイルが異なり、同じ図面を開いても線の色や太さがバラバラに表示されてしまうことがあります。また、.ctbファイルとの混同により、意図しないスタイル設定で出力され、すべての線が同じ太さで印刷されてしまうといったトラブルも多く見受けられます。

さらに、RevitからエクスポートしたDWGファイルに対して、.stbファイルによる印刷スタイルを適用しようとした際に、エクスポート設定の不備やレイヤー変換の誤りによって、線種や色が想定通りに再現されないといった問題も起こりがちです。このような不一致が生じると、図面の可読性が損なわれたり、納品先で再調整が必要になったりするリスクがあります。

このような問題を回避するには、まずは基本的な設定項目を一つひとつ丁寧に確認することが重要です。以下に、.stbファイル関連のトラブルが発生した場合にチェックすべきポイントを整理しました:

  • 使用しているソフトウェアのバージョンが適切か、最新かどうか
  • 「ページ設定マネージャー」で指定された.stbファイルのパスが正しいか
  • .stbファイル自体が破損していないか、保存ミスがないか
  • .stbと.ctbのファイルを誤って使い分けていないか
  • エクスポートやレイヤー設定の際、要素変換が正しく行われているか

これらを一通り確認したうえで問題が解消しない場合は、使用しているBIM/CADソフトのサポート窓口に問い合わせる、あるいは社内のBIM管理者や設計リーダーに相談して、スタイル設定の見直しやファイルの再配布を検討すると良いでしょう。

トラブルを未然に防ぐためにも、プロジェクト開始時に.stbファイルの運用ルールを文書化し、社内で共通認識を持つことが大切です。誰がファイルを管理し、どのタイミングでどのソフトに適用するかまでを明確にしておけば、後々の混乱を最小限に抑えることができます。

6. BIM環境で.stbファイルを上手に活用するためのヒント

BIMを導入する際には、3Dモデルの作成や属性情報の管理だけでなく、2D図面の出力や印刷品質の統一も重要なポイントとなります。.stbファイルは、そうした図面管理の品質を担保するための有力な手段であり、スタイルの標準化を通じてプロジェクトの作業効率と見栄えの一貫性を大きく向上させることができます。

たとえば、AutoCADで定義したスタイルベースの設定を社内標準として確立し、それをRevitなどのBIMソフトで出力する2D DWG図面にも共通して適用することで、線の太さや色、表現スタイルに一貫性を持たせることが可能になります。このように、BIMとCADを横断したスタイルの統一運用は、図面の再調整や出力ミスの防止につながり、結果としてチーム全体の作業効率を高める効果があります。

さらに、図面の可読性や管理のしやすさを向上させるために、.stbファイル内で使用するスタイル名にも工夫を加えるとよいでしょう。たとえば、「壁_外部」「柱_構造」「設備_空調」など、カテゴリを明示したスタイル名を使うことで、誰が見ても内容がひと目でわかりやすくなり、設定ミスや編集時の混乱を防ぐことができます。これにより、プロジェクトメンバー間でのコミュニケーションも円滑になります。

また、スタイル設定だけでなく、社内での運用ルールの整備も非常に重要です。.stbファイルの保存先フォルダを明確にし、どのプロジェクトでどのファイルを使用するか、誰が編集・管理の責任を持つのかといったルールをあらかじめ決めておきましょう。これにより、BIM担当者や設計担当者が共通の基準のもとで作業を進められるようになり、プロジェクト全体のクオリティコントロールが容易になります。

さらに、BIMを本格的に活用するためには、スタイルファイルの適用タイミングや運用方法についても、明確なフローを設けておくことが大切です。たとえば、Revitで作成した図面をDWG形式にエクスポートした際には、必ずAutoCADで.stbファイルを適用して印刷チェックを行うといった手順を標準化しておけば、印刷のばらつきを防げます。

このように、BIM環境で.stbファイルを効果的に活用するには、ツールや形式の違いを超えて「チームで共有できるルールと設計思想」を持つことが欠かせません。.stbファイルを単なる印刷設定ファイルと捉えるのではなく、BIMプロジェクト全体を通じた設計品質と運用効率を支える「基盤」として位置づけることが、長期的に見ても大きなメリットを生み出すことにつながるでしょう。

7. まとめ

BIM環境において、.stbファイルは単なる印刷設定ファイルではなく、図面品質の標準化やチーム内の設計ルールの統一を実現するための重要なツールです。とくに、AutoCADやCivil 3DなどのCADソフトとBIMツールを併用する場面では、.stbファイルを活用することで、2D図面と3Dモデルの間に整合性の取れた設計・印刷環境を構築できます。

本記事では、.stbファイルの基本から.ctbとの違い、BIMソフトごとの対応状況、具体的な読み込み手順、さらにはトラブル時の対応や運用のヒントまで、実務で役立つポイントを丁寧に解説しました。とくにRevitのようなBIMソフトでは直接読み込めない制約があるものの、AutoCADを経由した連携運用をうまく取り入れることで、.stbファイルを活かした品質管理が可能になります。

.stbファイルを正しく運用するためには、社内でのファイル管理ルールの整備や、スタイル命名の工夫、プロジェクトごとの適用手順の明確化が欠かせません。こうした取り組みを通じて、設計プロセスの効率化だけでなく、社内全体での図面の見た目や印刷品質の均一化を図ることができるでしょう。

BIMの導入が進む今だからこそ、.stbファイルの効果的な活用は、設計チーム全体のスキル底上げやプロジェクト成功の鍵となります。この記事をきっかけに、自社やチームでの運用体制を見直し、BIMとCADをつなぐスタイル管理の最適化にぜひ取り組んでみてください。

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<参考文献>

AutoCAD 2026 Developer and ObjectARX ヘルプ | 概要 – プロッタの環境設定と印刷スタイル | Autodesk

https://help.autodesk.com/view/OARX/2026/JPN/?guid=GUID-1FB1C1F5-82CD-4912-8549-84FF7DD91EBB

AutoCAD 2026 ヘルプ | 概要 – 印刷スタイル テーブル | Autodesk

https://help.autodesk.com/view/ACD/2026/JPN/?guid=GUID-2FD01085-DDD8-49D2-A910-E63EA45A7FED

ヘルプ | CAD 形式への書き出しについて | Autodesk

https://help.autodesk.com/view/RVT/2026/JPN/?guid=GUID-EA2B51E1-C28A-4410-AF01-836377581968

DWG/DXFファイルを開く(ARCHICAD 22 ヘルプ)

https://help.graphisoft.com/AC/22/JPN/_AC22_Help/110_Interoperability/110_Interoperability-23.htm

サポート|製品仕様・技術情報(Vectorworks Japan)

https://www.vectorworks.co.jp/Support/tips/dxfdwg.html

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