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設備設計に使えるBIMソフト3選|BIMにおける課題もご紹介します

設備設計は設計の中でも人の目に触れにくいものですが、建築において大変重要です。電気系統やガス設備、空調といった設計を担う設備分野は人手不足が特に深刻で、BIM/CIMによる生産性アップ・業務効率化が急務となっています。

しかし設備分野特有の課題があり、BIMの導入も簡単ではありません。「BIMが重要なのはわかっているけれど、なかなか対応できない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、設備設計にも対応しているおすすめBIMソフトをご紹介します。設備分野に関係している方は、ぜひ最後までお読みください。

この記事を読むと、以下の3つのことが分かります。

1.建築における設備設計の重要性
2.設備設計でおすすめのBIMツール
3.設備分野が抱えているBIMへの課題

建築物の機能性を大きく左右する「建築設備」

建物は構造・意匠・設備の3つで構成されており、設備は建築の内部を作る大変重要なものです。

建築設備といってもその種類は多く、空調や給排水、消火設備や防災設備、照明や搬送、ガスや電気などがあり、それぞれの技術を集結して設備設計を行っています。そのため建築物の機能性や品質については、設備分野が担っているといっても過言ではありません。

そんな設備分野を担う技術者は、複数の案件を抱えたり細かい部分まで設計したりと業務が増えがちです。止まらない人手不足や長時間労働を解消するために、建築業界ではBIM/CIMの導入が進んでいます。

設備設計にも対応しているBIMツールについて、次でご紹介します。

設備設計に使えるBIMソフト3選

設備設計に使えるBIMソフトとして、以下の3つをご紹介します。

Rebro(レブロ)
Tekla Structures (テクラストラクチャー)
Revit

それぞれについて、順番に紹介します。

Rebro(レブロ)

RebroはBIMに対応した建築設備専用のCADソフトです。シンプルかつ直感的なインターフェイスで使いやすく、高機能な3Dエンジンを搭載しています。

Rebroは設備系統の見える化ができ、この機能は「系統管理」として特許も取得しています。(※1)設計や施工だけでなく、企画や計画、維持管理や改修計画にも対応しており、シームレスな操作性が魅力です。

整合性の取れた3Dモデルを作成でき、「アラウンドビュー機能」を使うことで360度旋回させた状態で確認・作図・編集ができ、複雑な収まりにも対応しています。そのため狭小地での設備設計時にも使いやすくなっており、検討も容易です。

Rebroでは属性情報をユーザーが任意に登録できるので、技術計算や系統管理といった情報や設備設計で必要なデータも自由に入力できます。

BIMソフトはもちろん、積算ソフトや点群処理ソフト、iPadアプリとの連携によるデータ活用もでき、設備担当者の業務効率化・生産性アップに貢献してくれます。

Tekla Structures (テクラストラクチャー)

Tekla Structuresは構造系BIMソフトウェアで、基本設計はもちろん材質や構造形式にとらわれない構造設計や詳細設計が可能です。

BIMソフトウェアではLOD(Level Of Detail)として詳細度が既定されていますが、Tekla StructuresではLOD500レベルまで対応しています。(※2)一般的にLOD300あたりで設計が正確に設置され、LOD400になると取引スケジューリングまで設定され、最も細かいLOD500になると竣工時ステージまで進みます。

LOD500まで詳細になるとモデルにはすべての建物要素が含まれ、ダクトの設置などの詳細な数字もかなり正確です。

またモデルから図面や帳票・NCデータを自動生成できるので、設計期間を短縮したり変更に対応したり、図面不整合を撲滅したりできます。

Revit

Revitは、BIMソフトウェアをけん引するオートデスク社が提供するBIMツールです。BIM先進国でも高いシェア率を誇っており、代表的なソフトといえます。

Revitは、以下の特徴から設備BIMの分野でも支持されています。(※3)

  • 建築データと変換せずに連携できる
  • 複数人で同時作業ができる
  • 拡張性が高い

従来の設備CADでは建築のBIMツールと連携させるためにデータ変換が必要で、変換速度の遅さなどで工数が増える点が課題でした。しかしRevitなら外部参照のようにモデルをリンクできるため、変換の必要がありません。

また多くの設備CADでは1つのファイルにつき操作できる人数は1人のみの場合が多いですが、Revitなら複数人での同時作業が可能です。ファイルを分ける必要がなく、設備データも一貫性が保てます。

そしてRevitが公開しているAPIを使うことで、より自由なカスタマイズが可能です。すでに他メーカーから高機能なソフトや技術計算ツールとの連携も公開されており、企業のワークフローに沿った運用ができます。

建築設備が抱える課題

設備設計では、以下のような悩みがあります。

  • 建築業界の中でも人手不足が特に深刻
  • 設備設計におけるBIMの課題

それぞれについて、順番に解説します。

設計分野は建築業界の中でも人手不足が特に深刻

少子高齢化が進む日本では、どの業界でも人手不足が課題です。建築業界は技術者の高齢化や厳しい労働環境などの影響で早くから人手不足が問題視されており、生産性アップ・人手不足解消のためにもBIM/CIMを導入しようと進めている途中です。

建築業界の中でも設計分野は人手不足が特に深刻で、調査によると9割以上の設計事務所が人手不足による「受注機会の逸失」を懸念するほどです。

2022年度の設計事務所決算は、決して悪くありません。しかし「人材」をテーマに質問したところ、人材の不足・余剰感の状況については「不足感がある」という回答が47%、「どちらかといえば不足感がある」が44%であり、9割以上が不足していると回答しました。(※4)

さらに「適正である」という回答は9%、「余剰感がある」「どちらかといえば余剰感がある」という回答は「ゼロ」です。どの事務所も人が足りないと感じており、人手不足が浮き彫りになっています。

特に不足している職種として最も多かったのが「設備設計」で。割合は以下の通りです。

不足している職種

  • 設備設計…79%
  • 意匠設計…65%
  • 構造設計…46%
  • 工事監理…30%

上記の通り、圧倒的に設計分野の人材が足りていません。人材不足で懸念される影響としては、以下の通りです。

  • 受注機会の損失…83%
  • 残業時間の増大…66%
  • 外注増加による利益圧迫…45%

上記のように、人が足りないことで「手が回らない」と泣く泣く受注機会を諦めるという回答が8割を超えています。設計事務所は個人や少人数で運営していることもあり、マンパワーが足りていません。

特に人手不足な設計分野こそ、BIMによる生産性アップ・作業効率化が重要なのです。

設備領域におけるBIMの課題

設備領域のBIM導入では、以下のような設備特有の課題があります。(※5)

設備設計者のマンパワー問題

BIMといえば3Dモデリングを作り、そこから図面や必要な資料を抜き出すように効率よく作成できることが特徴です。しかし設備設計図は系統図的な意味合いが強く、BIMモデルとの置き換えが簡単ではありません。

その結果設備設計者は今まで通り設計図を作成し、そこから+αでBIMモデルを作る必要があります。特に人手不足が深刻な設備設計において、この業務負荷は大きな課題です。

電気設備のモデル構築における課題

電気設計の図面は回路図としての役割が大きいので、BIMモデルでの表現が難しいです。そのため時間をかけて作成しても、有用性が高くありません。

機械設計モデルなら構造との整合確認や施工モデルから施工図への展開などの有用性が高く、時間をかけて作成する価値があります。

しかし電気設計においては、照明などの機器や盤類やケーブルラックなど口径の大きい配管のモデル化が中心となり、さらに細かい部分はなかなかBIM化できません。

数量積算の課題

BIMでは建築物のすべてをデータ化することで、必要な部材をソフトが自動で計算できるという大きなメリットがあります。この積算業務の自動化は作業の効率化に大きく貢献するのですが、設計分野では活用しきれていません。

理由は、データ作成のタイミングと見積もり作成のタイミングが合わないことです。設計分野では設備設計図を作成した後でモデル作成することが多いので、見積もりと3Dモデルを別で作らなければなりません。

維持管理で必要な情報が付与されていない

BIMといえば1つ1つの部材に属性情報を付与でき、メーカーが提供している設備情報には設計に必要な機器能力や消費電力も記載されています。しかし、維持管理にメンテナンス周期や緊急時の連絡先といった情報は多くの場合含まれていません。

そこで設計者は、BIMで部材の1つ1つに必要な情報を後付けする必要があるのです。設計するものが多いほど設計者の負担であり、関連業界が標準化するなどの対策が必要とされています。

上記のように設備分野特有の課題もあり、これを踏まえてBIMを進めていかなければなりません。今回ご紹介したような設計領域も対応しているBIMソフトなどを活用し、企業にとってプラスとなるようにBIMを進めていきましょう。

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※1 https://www.nyk-systems.co.jp/product/feature

※2 https://www.archiexpo.com/ja/prod/tekla/product-60495-1818195.html

※3 https://bim-design.com/product/revit-mep/

※4 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/na/18/00219/090600001/

※5 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieiej/33/6/33_384/_pdf/-char/en P.386

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