【2024年】CADとは何?CAM・CAE・BIMの違いや将来性を解説
「よく耳にするCADとは何?」
「CADは何ができるの?需要はあるの?」
とお悩みの方へ。コンピューターで様々なものを設計するCADという技術は、1960年代頃から登場しました。それまで紙とペンで設計図を書いていたものがPCで出来るようになり、より効率的に設計ができるようになったのです。
「CADに興味があるけれど、頑張って勉強しても需要がなければどうしよう」と悩んでいる方もいるかもしれません。簡単な設計はAIが代行するかもしれませんが、CADと+αの知識を伸ばすことで人材としての価値が上がり、長くCADと関われるようになります。
この記事では初心者の方に向けて、CADの基礎知識や将来性を解説します。ものづくりやCADオペレーターに興味がある方は、ぜひ最後までお読みください。
この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。
1.「CADとは?」という基本概念について
2.2DCADと3DCADの違い
3.CADとBIMの違い
今さら聞けない「CADとは何?」
CADとはComputer Aided Designの略であり、コンピューター上で製図を行うことを指します。
CADには大きく分けて「専用CAD」と「汎用CAD」という2つの分野があります。
専用CADは水道工事、電気、建築、機械設計など専門性の高いものの設計を指します。特定の分野に特化した機能や部品がプラスされており、汎用CADのオプション扱いとなっているケースも多いものです。
汎用CADは文字通り汎用的に使えるCADツールで、設計にあたって基本となる機能が搭載されています。
CADオペレーターはどんな仕事?
CADオペレーターはCADを使って仕事をする人のことで、製品の仕様書や説明書の作成などを行います。電化製品や家具などを購入すると組立の説明書が同封されますが、これらの書類作成もCADオペレーターの業務の1つです。
その他にも建築・機械・電気製品について設計図を作成することがCADオペレーターの主な仕事です。
CADオペレーターは設計図を作成することがお仕事であり、設計そのものは行いません。仕様を設計するのは設計士の仕事で、CADオペレーターは設計図を整えることが役割です。
自分が図面作成にかかわったものが完成した時の感動や達成感はひとしおです。CADオペレーターは人前に出る仕事ではありませんが、縁の下の力持ちとして設計士やデザイナーにとって欠かせない存在です。
CADオペレーターは基本的にデスクワークが中心で、肉体労働の要素はほとんどありません。そのため女性も働きやすく、結婚や出産といったライフスタイルの変化に合わせて仕事が続けられる点は大きなメリットです。
CADでよく使われるソフトウェア
国内で人気のCADツールでは、以下が挙げられます。
AutoCAD
SOLIDWORKS
Vectorworks
オートデスクが提供する「AutoCAD」は国内でも定番のCADツールです。オートデスク社は製造や建築・土木分野に特化したソフトを開発しており、建築設計の実務や機械設計で利用されています。拡張性があり機能を追加しやすく、また2DCADと3DCADの両方が使える高性能なソフトです。
フランスにあるダッソー・システムズが提供する「SOLIDWORKS」は、建築や産業設備、医療機器など幅広い業界で採用されているソフトです。3DCADツールの中でも価格の低さと使いやすさが評価されており、初心者の方にもおすすめです。
Vectorworks社が開発している「Vectorworks」は、デザイン事務所などでよく使われています。もとは汎用CADツールでしたが、今では2DCADや3DCAD機能を搭載したりBIM機能を搭載したりと多機能なツールとなっています。
2DCADと3DCADの違い
CADには2DCADと3DCADがあります。この2つは平面と立体の違いであり、それぞれでメリット・デメリットがあります。
2DCADは紙とペンで作図していた平面図の作成ができるソフトで、図面作成が主な用途です。三角法に基づきX,Y,Zの視点から書かれる2DCADはソフトウェアが安価で導入しやすく、操作性もシンプルでわかりやすいものが多くあります。
3DCADは立体で構成されるので奥行きがあり、物の形を瞬時に捉えられる点が魅力です。より視覚的に表現できるので、図面の専門知識を持っていない人でも理解しやすく、情報をスムーズに共有できます。
3DCADデータがあればそこから2Dの図面を切り出すこともでき、資料作成に多くの時間を要しません。しかし2DCADよりも複雑になるので操作に慣れるまで時間がかかり、ツールも高額です。
昨今では、2DCADよりもできることが多い3DCADを使うケースが増えています。CADを仕事にしたい方は、3DCADも学んでおいて損はないでしょう。
CADとCAM・CAEの違い
CADと似た言葉でCAMやCAEがあります。
CAM(キャム)はComputer Aided Manufacturingの略で、CADで作成したデータを工作機械に必要なデータに変換するツールです。Manufacturingとは「製造業」という意味で、生産の準備全般をコンピューター上で行うことをいいます。
CADで作成した図面データは、そのまま機械工作ツールに取り込むことができません。そこでCAMと呼ばれるツールでCADのデータを変換して、データを取り込めるようにするのです。
CAE(シーエーイー)はComputer Aided Engineeringの略で、コンピューター上でシミュレーションを行うツールです。シミュレーションを行うことで、CADで作成した設計図に不備や問題がないかを解析できます。
CAEがあることで、シミュレーションのために試作品を作る必要がありません。そのためより早く製品を作ることができますし、現実で確認が難しい環境(氷点下など)のシミュレーションも容易です。
CADとBIMの違い
建築業界でもCADが盛んに使われていますが、昨今では業務効率化の目的などから「BIM」の導入が進んでいます。BIMは専用ツールで3Dモデリングを作成したり関係者とデータを共有したりしますが、BIM=3DCADではありません。
まずBIMの場合、建築物をモデリングする時に最初から3Dでデータを作ります。そして図面が必要になれば、3Dモデリングから2Dデータを抜き出して作成します。つまりBIMでは3Dデータが1番であり、2Dデータは2番目なのです。
対して3DCADは、2DCADのデータから作ります。つまり2Dデータが1番で、3Dデータは2番目です。CADとBIMでは、この2Dと3Dの順番がまず違います。
そしてBIMの場合は壁紙や扉、床材や梁といった各パーツに寸法や型番といった属性情報を付与できますが、CADではできません。
建築業界でCADを使って仕事をしたいなら、このBIMに関する知識も必要です。建築業界はBIMの導入で大きな過渡期を迎えていますから、BIMの知識があるCADオペレーターは重宝されるでしょう。
CADがよく使われる業界
様々な設計ができるCADは、以下のような業界でよく使われています。
建築業界(土木含む)
インテリア
自動車・航空機
アパレル
上記の通り多くの業界でCADが使われており、製造業ではオペレーターが欠かせません。ものづくりが好きな方や集中力がある方は、CADオペレーターとして楽しく働けるでしょう。
CADオペレーターになるには?
CADオペレーターに特定の資格は必要ありません。しかしCADのスキルを証明する資格はいくつかあり、就職や転職に有利です。
CADの資格は、以下が挙げられます。
3次元CAD利用技術者試験
2次元CAD利用技術者試験
オートデスク認定資格プログラム
CADデザインマスター認定試験
3次元CAD利用技術者試験は一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催する資格で、1級・準1級・2級の3段階があります。2次元CAD利用技術者試験も同協会が主催しており、基礎試験・2級・1級の3段階に分かれています。
オートデスク認定資格プログラムはオートデスク社が主催しており、学生・初級向けと中・上級向けの2種類があります。AutoCADをメインとしたオートデスク製品はシェア率が高いので、就職・転職にもおすすめです。
CADデザインマスター認定試験は日本デザインプランナー協会が主催しており、CADソフトとして人気のAutoCADやJWCADを使います。土木や建築、電気や設備といった多くのジャンルをカバーしているので、幅広い業界の知識を得られます。
CADについて、基本情報やできること、おすすめツールをご紹介しました。CADを使っている業界は多く、AIの導入が進んでもオペレーターの仕事がゼロになることはほぼありません。興味がある方は、ぜひCADを勉強してみてください。
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