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AutoCADでハッチングできない時の対処方法は?原因も解説

AutoCADを使った図面作成における基本操作の一種に、ハッチングが挙げられます。図面の見やすさを高める上で重要な役割を果たすハッチングですが、場合によっては期待するような動作が得られないこともあるでしょう。

この記事では、そんなAutoCADにおけるハッチングが正しくできない時の対処方法について、その原因と合わせて詳しく解説します。

目次:

  1. AutoCADのハッチング機能について
  2. 基本のハッチング実施方法
  3. ハッチングの不具合を招く境界検出エラーとは
  4. 境界検出エラーでハッチングできない時の対処法
  5. その他のハッチングできない原因

AutoCADのハッチング機能について

AutoCADのハッチング機能は、いわゆる図形の内部に直線を引くことで色分けがしやすいよう加工するための機能です。

床の高さの違いや、製品の断面図を描くために使用される機能で、図面の可視性を高めることができます。

ハッチング機能を使わない場合、図形が複雑になったり立体的になったりすると、どこがどの部分を指しているのか、分かりづらくなることがあります。

こんなときに役立つのが、ハッチング機能です。直接図面に線を手動で引かなくとも、範囲を指定して一瞬で区分分けを行えます。

基本のハッチング実施方法

ハッチングをAutoCADで実行するには、ホームタブから[作成]パネルを展開し、[ハッチング]を選びます*1。

すると[ハッチング作成]タブを開けるので、[プロパティ]パネルからハッチングのタイプを選択し、パターンを決定しましょう。

最後にハッチングしたい境界をクリックすれば、作業は完了です。

ハッチングの不具合を招く境界検出エラーとは

ハッチングは簡単な操作でいつでも行える機能ですが、場合によっては正しく図面にハッチングができないケースもあります。

ハッチングができない原因にはいくつかの理由が考えられますが、最も原因が境界検出に関するエラーです。境界検出エラーには複数の理由があり、以下の問題が発生していないかを確認しましょう。

図形が閉じていない

AutoCAD上でハッチングができない時の最も多くの原因は、図形が閉じていないことです。ハッチングは指定された境界の中で実行するための機能であるため、その境界が曖昧な場合、処理は正しく行われません。

例え一見すると境界が正しく閉じられているように見えても、ズームインしてみると閉じられていないというケースは珍しくありません。ハッチングができない時は、まずこの点を確認してみましょう。

異なる境界の高度が検出されている

ハッチングの境界が何らかの理由で異なる高度で定義されている場合、境界検出のエラーの原因となります。

二次元では重なっているように見えても、高度が異なると閉じた図形と認識されません。高度情報を確認し同じ高度になるよう設定しましょう。

境界が重複している

複数の境界が重なっている場合、ハッチングが正しく行われません。オブジェクトが重なっていると境界も重なってしまい、ハッチングの範囲指定を行うことができないからです。

片方のオブジェクトを削除するなどして、境界の重複を解消しましょう。

境界が画面内に収まっていない

境界の条件が正しく成立していていても、画面内に境界が全て収まっていないと正しくハッチングは実行されません。

これは図面をズームインしすぎていることで発生するエラーです。ズームアウトして図形を正しく画面の中に収まるよう調整し、再度ハッチングを実行してみましょう。

境界検出エラーでハッチングできない時の対処法

境界検出エラーが発生した場合、上述の問題に対処するため以下の手続きをとることが大切です。

エラーの原因を特定し、適切な対処法を試してみましょう。エラーの原因が不透明な場合は、総当たりで以下の対処法を試してみるのも有効です。

ギャップ許容差を調整する

図形が閉じておらずハッチングができない場合は、実行しようとすると閉じていない部分が表示されます。その部分を調整することでも対処は可能ですが、もう一つ便利な方法としてギャップ許容差の調整が挙げられます。

ギャップ許容差を調整することで、多少の図形の開きなどは無視してハッチングを実行してもらえるようになるため、便利です。あまりにハッチングの判定が厳しい時は、この方法を試しましょう。

ギャップ許容差の設定は[ハッチング]を選択し、[ハッチング作成]から[オプションパネル]で[ハッチングとグラデーションダイアログ]をクリックします。

すると[ギャップ許容値]の項目があるので、そこから任意の値を入力しましょう。何度かハッチングを試してみて、ちょうど良い値を見つけることができれば完了です。

オブジェクトの高度を変更する

境界の高度が原因でハッチングができない場合、オブジェクトの高度を調整します。高度の調整はコマンドラインにて[CHANGE]と入力し、[オブジェクトを選択]から指定のオブジェクトを選ぶことで実行可能です。

オブジェクトを選択したら[変更位置を指定]で[p]を入力します。それから変更するプロパティとして[色]と[高度]を選び、いずれも[0]を選びましょう。

その後Enterで確定すれば、オブジェクトの変更は完了です。

重複オブジェクトを削除する

重複したオブジェクトの削除は、コマンドラインから[OVERKILL]を入力して実行できます。対象のオブジェクトを選択し、ダイアログでオプションを確認の上、処理しましょう。

ダイアログでは許容差や、除外するプロパティの指定も可能です。

その他のハッチングできない原因

境界エラー以外のエラーが原因でハッチングが行えない場合、以下の原因も考えられます。それぞれの対処法についても把握しておきましょう。

システム変数の値が誤っている

ハッチング関連のシステム変数に問題があると、エラーが発生します。ハッチングに関連するシステム変数は複数あります。例えばハッチングの表示・非表示を司る[FILLMODE]は、値が0ならハッチングが表示されません。

また[HPMAXLINE]はハッチングで生成される最大の線の数を表します。値が少ないと正しくハッチングが実行されているように見えないため、注意が必要です。

[TRANSPARENCYDISPLAY]は、ハッチングの透過性についてのシステム変数です。値が0の場合ハッチングが表示されないため、この点も確認しましょう。

ハッチングパターンそのものに問題がある

ハッチングパターンが外部からダウンロードしたものであるなどの場合、パターンが複雑すぎたり、そもそもデータが破損していたりすることがあります。

一度デフォルトのハッチングパターンを試して、正しく動作するかを試してみましょう。

まとめ

この記事では、AutoCADでハッチングができない時の主な原因や、その対処法について解説しました。ハッチングが正しく行われないときは、一つずつその原因を確認の上、対処法を検討することが大切です。

ハッチングエラーへの理解を深め、スムーズに解消できるよう備えましょう。

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出典:

*1 AutoCAD「ハッチングまたは塗り潰しオブジェクトまたは領域を使用するには」

https://help.autodesk.com/view/ACD/2022/JPN/?guid=GUID-EFAAB5F6-FE3C-4052-9E04-560AE6A8B814

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