AutoCADの図面に謎の線が表示された場合の3つの対処法を解説
AutoCADで保存した図面ファイルを開くと、図面上に謎の線が表示されているケースも珍しくありません。謎の線が表示される原因はさまざまで、対処法も異なります。そのため、どのような手順で謎の線を削除したらよいのか分からず、解決できないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
本記事ではAutoCADの図面に表示される謎の線への対処法を解説します。また、印刷時に図面上に謎の線が表示されてしまった事例と対処法にもふれていくため、ぜひ参考にしてみてください。
この記事を読むと、以下のことが分かります。
1.AutoCADの図面中に謎の線が表示された場合の対処法
2.印刷時に図面に謎の線が表示された場合の対処法
AutoCADの図面中に謎の線が表示された場合の3つの対処法
図面ビューを開くと、図面に作図していない謎の線が大量に表示されてしまった事例があります。AutoCAD 2015以降のバージョンで図面ビューを開くと謎の線が表示されるケースが多くあります。対処法は次の3つです。(*1)
・ハードウェアアクセラレーションを無効に切り替える
・スムーズライン表示を無効に切り替える
・使用中のグラフィックスハードウェアが認定されているかを確認
ここでは、3つの対処法を詳しくみていきましょう。
ハードウェアアクセラレーションの設定を無効に切り替える
ハードウェアアクセラレーションの設定をオンに切り替えると、グラフィックスのパフォーマンスおよび作業性の向上が図れるため、プロジェクト全体において高いパフォーマンスを発揮できます。しかし、作図中に問題が発生している場合、ハードウェアアクセラレーションの無効化により、問題解決につながる可能性があります。無効に切り替える方法は次の4つのいずれかを実行しましょう。(*2)
・コマンド「GRAPHICSCONFIG」を入力>ボタン「ハードウェア構成」をクリック
・コマンド「3DCONFIG」を入力>ボタン「ハードウェア構成」をクリック
・AutoCADアプリケーションウィンドウにあるボタン「GRAPHICSCONFIGパフォーマンス」をクリック
・コマンド「OPTIONS」を入力>ダイアログボックス「オプション」を表示する※
4つ目の方法でダイアログボックス「オプション」が表示されたら、タブ「システム」にある「グラフィックス パフォーマンス」のボタンを選択します。ボタン「ハードウェア アクセラレーション」を選択し、無効に切り替えます。
スムーズライン表示を無効に切り替える
スムーズライン表示が無効になっているかを確認しましょう。スムーズライン表示を無効に切り替える手順は次のとおりです。
1.図面ビューを開く
2.コマンド「GRAPHICSCONFIG」または「3DCONFIG」を実行する
3.ダイアログボックス「グラフィックスパフォーマンス」が画面上に表示される
4.「効果の設定」にある「スムーズライン表示」のチェックを外し、無効に切り替える
5.「OK」をクリックする
使用中のグラフィックスハードウェアが認定かを確認する
認定グラフィックスハードウェアとはAutodesk社の製品チームによるテストを受けた結果、Autodeskの製品の機能に対応可能であると診断されたハードウェアです。認定グラフィックスハードウェアではない場合、謎の線の発生だけでなく、さまざまな問題が発生する可能性も否定できません。そのため、使用中のハードウェアが認定グラフィックスハードウェアかを確認し、必要に応じてドライバーの変更を行いましょう。認定ハードウェアの例は次のとおりです。(*3)
・3ds Max
・Flame
・Alias
・Inventor
・Maya/Arnold/Motionbuilder/Mudbox
・VRED
詳しくは公式サイトからご確認ください。
AutoCADの図面を印刷した際に謎の線が表示された場合の対処法
図面を印刷した際に謎の線が表示されてしまう事例も発生しています。そういった場合、複数の対処方法があります。ここでは、2つの対処法を詳しくみていきましょう。
最新の更新プログラムかを確認する
プログラムが最新のバージョンではない場合、謎の線が表示されるケースがあります。バージョンを確認し、最新プログラムへの更新を実行しましょう。更新の手順は次のとおりです。(*4)
【Autodeskアカウントから更新を行う】
1.manage.autodesk.comにアクセスし、Autodeskアカウントでサインインする
2.「製品とサービス」を開き、ページ「製品の更新」でリリース日を指定する
3.指定した期間内にリリースされた更新プログラムが表示される
3.対象となる最新の更新プログラムを指定し、「ダウンロード」を選択する
また、WindowsではAutodesk Accessの利用により、更新プログラムのリリースごとに通知を受け取れます。製品のプログラムの更新を欠かさず行いたい場合、Autodesk Accessの利用を検討しましょう。
プリンタードライバーをアンインストールする
原因の1つにプリンタードライバーの破損もしくは互換できない可能性が想定できます。プリンタードライバーをアンインストールし、再度インストールを実行しましょう。アンインストールするためには、まずプリンタードライバーファイルの削除が必要です。プリンタードライバーファイルの削除を含めたアンインストールの手順をみていきましょう。(*5)
1.「プログラムと機能」から対象となるプリンタードライバーと関係のあるプログラムを全てアンインストールする
2.「デバイスとプリンター」を表示する
3.対象となるプリンタードライバーが一覧に表示されている場合、「デバイスの削除」を実行する
4.ダイアログウィンドウ「プリントサーバーのプロパティ」を開く※
5.アンインストールの対象となるプリンタードライバーを指定する
6.ボタン「削除」を選択する
7.「ドライバーとパッケージを削除する」をクリックする
8.「OK」をクリックし、アンインストールが完了する
手順4においてダイアログウィンドウ「プリントサーバーのプロパティ」を開くためには、次の4つの操作からいずれかを実行します。
・メニュー「スタート」>フィールド「検索」に「printui /s /t2」と入力
・キーボードで「Windows」と「R」を押す>ウィンドウ「フィル名を指定して実行」>「printui /s /t2」を入力
・キーボードで「Windows」を押す>画面「スタート」>「printui /s /t2」を入力
・メニュー「スタート」>「デバイスとプリンター」>対象のプリンターを指定>「プリントサーバープロパティ」>タブ「ドライバー」をクリック
アンインストールの操作の実行中に「アクセスが拒否されました」「プリンターは使用中です」などのメッセージが画面上に表示され、アンインストールの対象となるドライバーやプログラムを指定できない可能性があります。そういった場合、パソコンを再起動し、再度アンインストールの操作を実行しましょう。
まとめ
本記事ではAutoCADの図面内に謎の線が表示された場合の対処法、印刷時に図面に謎の線が表示された場合の対処法を解説しました。図面内に表示された場合、ハードウェアアクセラレーションまたはスムーズライン表示を無効に切り替える必要があります。また、使用中のハードウェアがAutodesk社に認定されているグラフィックスハードウェアかを確認しましょう。認定されていない場合、謎の線に加え、さまざまな問題が発生する可能性も否定できません。認定グラフィックスハードウェアへの切り替えを推奨します。
謎の線が表示される原因はさまざまです。対処法を1つずつ試し解決を目指しましょう。
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*1
「Autodesk|図面を開くと選択できない線が大量に表示されてしまう」
*2
「Autodesk|AutoCADでハードウェアアクセラレーションを有効または無効にするには」
*3
「Autodesk|認定グラフィックスハードウェア」
https://www.autodesk.com/jp/support/system-requirements/certified-graphics-hardware
*4
「Autodesk|ソフトウェアを更新する」
https://www.autodesk.com/jp/support/download-install/individuals/manage/update-your-software
*5
「Autodesk|Windowsでプリンタドライバを手動でアンインストールする方法」