Inventorとは?機能から相性の良い製品まで、特徴やメリットのご紹介
製造業や建設業で、今では主流であるCAD技術。様々なCADソフトウェアを発売し、世界的に有名な企業の一つであるAutodesk社が、製造業向け3D CADとして最も力を入れている製品がInventorです。
今回、Inventorの概要やどのような機能を備えているのか、メリット、相性が良いAutodesk製品の紹介とInventorについて多くのことを紹介していきます。
目次
- 3D CADについて
- Autodeskについて
- Inventorとは
- Inventorのライセンス・価格
- Inventorのメリット
- Inventorの機能
- Inventorを利用するための環境
- Product Design & Manufacturing Collectionについて
- Inventorと名前がつく製品
- InventorとAutocad
- InventorとFusion360
- Inventorの勉強方法
3D CADについて
CADとは、「Computer Aided Designed」の頭文字をとった略語で、コンピュータを用いて設計をすることができるツールのことです。
CADには、2次元データの製図を行う2D CADと3次元データの製図を行う3D CADがあり、3D CADはコンピュータ上の仮想空間に、立体的なモデルを作成することができるため、具体的なイメージを持つことができるメリットがあります。また、平面図や断面図といった二次元データを見ることが可能というメリットもあります。
3D CAD ソフトウェア
CADは、ソフトウェアによって製造業向けのものや建築業向けのものなどに分けることができます。
それぞれ、向いている業種用のコマンドが用意されており専門性のあるソフトウェアとなっています。中には、製造業から建築業、土木などあらゆる業種でも活用することのできる汎用CADがあります。
製造業向けのものとしては、「Inventor」や「Fusion360」、「SolidWorks」等、建築業向けのものとしては、「Revit」や「ArchiCAD」、「Vectorworks」等があります。汎用CADとしては「AutoCAD」が多く活用されています。
これらのCADソフトウェアの多くはAutodesk社が開発したものです。
Autodeskについて
3D技術を使ったデザイン・設計、エンジニアリング、エンターテインメント向けソフトウェアのリーディング企業です。(*1)
1982年に設立、アメリカに本社があり日本にも日本法人のオートデスク株式会社があります。
まだ、 CADが一般的ではなかった1980年代にAutoCADをリリースし、ソフトウェア市場に新たな分野を確立しました。その後、各業界に向けた様々な機能の搭載や新製品のリリースなど市場の拡大に成功するなどとCAD市場を牽引しています。
Autodeskが開発した主な製品
AutoCAD、Inventor、Fusion 360、Revit、Maya、Civil3D、3DSMAX等(*2)
今回は、その中でも製造業向けで機械設計に強いAutodesk Inventorについて紹介していきます。
Inventorとは
Inventorは、機械設計や図面作成、製品シュミレーションのツールが搭載された、Autodesk社が開発したプロフェッショナル向けの3D CADソフトウェアです。パラメトリックモデリングやダイレクトモデリングなどのパワフルな設計機能の他に、シートメタルやフレーム設計、チューブ&パイプ、ケーブル&ハーネス、プレゼンテーション、レンダリング、シミュレーション、機械設計など、多彩な用途に対応する統合ツールを兼ね備えています。(*3)Inventorは統合ツールを兼ね備えているからこそ、機械設計はもちろん製品開発にも用いられています。
Inventorは1999年にリリースされましたが、当時はまだ2次元図面の需要が高くAutodesk Mechanical Desktopとの併売となっていました。また、3次元としては強いものの機能の弱さや他の製品との連携が取れないことから販売が全く伸びずにいました。それにより、3次元化が進むCAD市場でも他社製品との優位性を取れずにいました。しかし、機能の見直しやAutoCADにほぼ対応できるようになったなどから、他社製品と対等に競争できるようになり、今ではAutodeskの製造業向けCAD製品の中心となっています。(*4)
Inventorのライセンス・価格
ライセンス期間 | 1ヶ月 | 1年 | 3年 |
価格(税込) | 46,200円 | 367,400円 | 1,047,200円 |
概要 | Autodeskで直接購入時のみ選択可能 契約不要オプション Autodesk Accountよりいつでも1年契約または3年契約に変更可能 | 最も人気のオプション 1年間制限なく利用可能 1年契約のサブスクリプションなら1ヶ月契約と比較すると月額34%節約 | アクセス権の失効の心配がなく、中断のないワークフローの実現 製品の自動更新により常に最新バージョン 3年契約のサブスクリプションなら1ヶ月契約と比較すると月額37%節約 |
(*3)
他にもAutodesk製品のライセンスを購入すると受けられるサービスや特典があります。
・3年契約だとお得
3年契約の場合、価格変更なしで最新バージョンを常に利用可能になります。
・最長30日間の返金保証
Autodesk製品をリスクなしで30日間無償でお試しすることができ、満足いかない場合には1年契約または3年契約の全額を返金が可能なサービスです。
・購入前にエキスパートに相談
サブスクリプションを購入する前にAutodeskのエキスパートに相談することで、自身に適した製品、オプションを選択できるようにサポートしていただけるサービスです。
Inventor導入のメリット
リリースされてから数年は、機能が貧弱なこともありメリットと呼べるものも少なかったInventorですが、機能の改善をしAutodeskの製造業向けCAD製品の中心となった今では、製品パフォーマンス改善、業務効率化、他のソフトウェアとのコラボレーションと多くのメリットを提供してくれます。
製品パフォーマンス改善と業務効率化
Inventorはパワフルな機能を搭載しており、それにより3D モデリングとシミュレーションの設計を行うことで、製品のパフォーマンス、性能を最適化することが可能です。
iLogicの機能により、設計のプロセスを標準化・自動化でプログラムの書き換えをし、カスタマイズ可能な設計構成を作成することができ、業務効率化をすることが可能となっています。(*3)(*5)
コラボレーション
Inventorは、他の環境やソフトウェアとコラボレーションすることが可能です。安全なクラウド環境で、顧客からのデータと設計データを連携させて共有することが可能です。
AutoCADなどのAutodesk社のCADソフトウェアと連携することが可能であり、連携して使うことでよりお互いの強みを活かし補完し合うことで活躍します。
また、Revitとも対応しており、それによりBIMとの相互運用性もあります。(*3)(*5)
Inventorと他のCADソフトウェアの連携については、後ほど紹介します。
Inventorの機能
先述した通り、Inventorにはパラメトリックモデリングやダイレクトモデリングなどのパワフルな設計機能の他に、シートメタルやフレーム設計、チューブ&パイプ、ケーブル&ハーネス、プレゼンテーション、レンダリング、シミュレーション、機械設計など、多彩な用途に対応する統合ツールを兼ね備えています。(*6)
主な機能
製品設計
パラメトリックモデリングやアセンブリモデリング、製造に適した正確でわかりやすい詳細な図面を迅速に作成することのできる図面作成の機能が備わっています。
パラメトリックモデリングとは、寸法値として定義された変数の値や拘束条件を指定して3Dモデルを作成・編集する方法のことです。また、変数の値を変更するだけでモデルの類似形状を容易に作成できるため、既存製品のデータを改良し、新規設計を行うことが可能であり、製品設計では便利な機能です。
モデリングした製品(部品)を組み立てることを「アセンブリ(組み立て品)」といい、アセンブリモデリングとは、コンピュータ上で製品のアセンブリとしてのモデルの適合性やパフォーマンスの確認が可能となることです。
コラボレーション
関係者があらゆるデバイスから設計にアクセスしコラボレーションのできる共有ビュー、他のCADシステムで作成された設計をデータ形式を変換する必要もなく、直接アクセスできる機能、BIMプロジェクトで、Revitデータの読み込みや作成を行えるBIMとの相互運用性の機能があります。
設計の自動化
iLogicを使用して、設計の構成を素早く新規作成でき3Dモデリングが迅速に行える設計の構成の機能、溶接フレーム設計の3Dモデルを素早く作成、シミュレーションを行えるフレーム設計の自動化、複雑なシートメタル製品を設計、製造用に準備できる機能があります。
モデリング
下流工程でも活用できるモデルベースの定義、包括的なコンテンツを取り揃えたライブラリから、標準コンポーネントを選択できるコンテンツセンター、高性能な設計案を短時間で作成できるシェイプジェネレータ、作業ごとに3DモデルをCAD上引っ張ったり押したりと、組み合わせるのではなく自らの手で形を作るダイレクトモデリングやボックスや平面、円柱、球などの豊富な種類の中から作成したいモデルに近いものをベースとして選択し、直接的な操作で視覚的にも魅力的な曲線状のモデリングが可能なフリーフォームモデリングなど、最適なモデリングツールを使用できます。他にも、直接DWGファイルを開き3Dモデルのベースとして使用することが可能になることや内臓のカリキュレータによる共通ジョイントの設計を通知、チューブトパイプの配管を自動化ツールとフルコントロール機能を使用して作成できるなどの機能があります。
シミュレーション
設計の動きや速度、加速度の状態を評価できるダイナミックシミュレーション、製造工程において、どの段階でもパーツにかかる応力を素早く確認したり、製品全体の詳細な解析を実施したりすることが可能な応力解析、複雑なアセンブリの分解図やアニメーションを製品のドキュメントやマニュアル、組み立て手順書に組み込むことのできるビジュアライゼーションの機能などがあります。
他にも、電子設計と機械設計の情報の統合や製品開発の効率化のためのデータ管理の機能があります。(*6)
Inventor 2023の新機能
Inventorでは、ユーザの声に応じた新たな機能の追加、機能の強化を行い最新版をリリースします。Inventor2023でも、新機能や強化機能があり活躍すること間違いなしの機能なので紹介します。
- Fusion 360の相互運用性
Inventorから素早くアクセスできるようになります。Fusion 360との連携については後ほど紹介します。
- Revitにおけるデータ交換の強化機能
BIMと機械CADの機能強化によって、シームレスな相互運用性が実現しRevitとInventorの間でデータを安全に共有が可能になりました。
- パーツモデリングの機能強化
新たにマークコマンドやシートメタルエクスポート機能、寸法許容差のサポート機能、設計の準備機能が追加されました。
- アセンブリモデリングの機能強化
管理機能が強化され、グラフィックスや大規模アセンブリのパフォーマンスと生産性が向上しました。
- ドキュメント作成の強化機能
製造プロセスに引き渡す設計について、明確に把握できるような機能がアップデートされました。
*6
Inventorを利用するための環境
Inventorを利用するには、適した環境を用意する必要があります。今回は、Autodesk社公式のInventorの動作環境のサイトに記載されているものを参考に、Autodesk Inventor 2023(Windows版)の動作環境を紹介します。
Autodeskの公式サイトでは、推奨している動作環境と最小でもこのくらいは必要ということを記載しています。(https://knowledge.autodesk.com/ja/support/inventor-products/learn-explore/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/System-requirements-for-Autodesk-Inventor-2023.html)
基本的には、2021年版や2022年版と動作環境の推奨などは変更はなく、以前から利用している方もそのままの環境でアップデートをし最新版を利用することが可能です。また、複雑なモデル、複雑な金型アセンブリ、大規模なアセンブリで使用する場合の推奨CPUやメモリ、グラフィックスも公式サイトに記載されているため、初めてInventorを利用する方はそちらを参考にしPCなどの環境準備を行うことをお勧めします。
Macで利用するには
InventorにはMac対応のものはありません。しかし、Macで作業をするからどうしてもInventorを使用できるようにしたいという方向けに、MacでもInventorが使用できる方法があります。
- BootCampを使用する
Windowsをインストールして使用する方法で、WindowsをインストールするためInventorを使用できるようになります。デメリットとしてはデバイスのハードディスクには64GB以上が必要であることやmacOSからWindows、WindowsからmacOSと切り替えるたびにデバイスを再起動する必要があります。(*7)
- 仮想マシンを介して実行する
仮想化ソフトウェアを使用して、WindowsやInventorがインストールされている仮想ハードウェア環境を作成することができ、実行することが可能になります。仮想化ソフトウェアの主なものとしては、ParallelsやVMware Fusionがあります。
Parallelsは、DirectXとGPUを完全にサポートするMacでのWindows仮想化用ソフトウェアであり、数回クリックするだけでMacにWindowsをインストールできます。また、BootCampと違いmacOSとWindowsを切り替える際、再起動せず即座に切り替えることが可能です。
VMware Fusionは、Windowsに限らずLinuxやNetWare、Solarisなどの仮想マシンを作成することが可能です。
これらを用いた方法の注意点としては、仮想マシン上でInventorを実行する場合のパフォーマンスは、ハードウェア(Windows搭載機器)上で直接実行した場合と比較して低下することです。(*7)
- リモートアクセス
他のWindowsシステム(Windows Remote Desktop、Citrixなど)にアクセスできる場合、それらのシステムをリモートアクセスソフトウェアを用いて、Macを通して使用することができ、Inventorも使用可能になります。(*7)
リモートアクセスソフトウェアには、主にTeamViewerがあります。
これらの方法を用いることで、MacでもInventorを使用することが可能になります。
Product Design & Manufacturing Collectionについて
Product Design & Manufacturing Collectionとは、Inventorの機能を他の製品との連携で拡張することが可能となるコレクションです。
プロフェッショナルレベルのアプリケーションを取り揃えた統合ソリューションであり、概念設計から生産までの全工程を網羅するツールであり、全関係者が連携することができ、製品開発プロセスを効率よく進めることができるものとなっています。Autodeskの人気製品もいくつかコレクションに含まれています。(*3)(*8)
- 含まれる製品
・Inventor
・AutoCAD Plus
・Fusion 360
・Inventor Tolerance Analysis
・Navisworks Manage
・Factory Design Utilities
・Inventor Nesting など
上記に書いている製品の他にも多数の製品が含まれています。
- 価格
ライセンス期間 | 1ヶ月 | 1年 | 3年 |
価格(税込) | 60,500円 | 479,600円 | 1,367,300円 |
一年契約で、主要製品(Inventor、AutoCAD Plus、Fusion360、Navisworks Manage)を単体購入した場合、合計金額が1,062,600円/年であり583,000円もお得に購入することができます。(*8)
コレクションに含まれる製品の中で、特に人気製品であるAutoCAD PlusとFusion 360についての概要、InventorとAutoCADの連携、Fusion 360との比較については後ほど紹介します。また、Inventorと製品名に含まれているものがいくつかあります。今回、Inventorについて紹介しているので、Inventorと名前のつく製品も紹介していきます。
Inventorと名前がつく製品
Product Design & Manufacturing Collectionに含まれる製品の中で、まずはInventorと名前がつくものでどのようなものがあるのか紹介していきます。
Inventor Tolerance Analysis
Inventor Tolerance Analysisは、CAD対応の1D公差解析ソフトウェアであり、製造公差の設定や十分な情報に基づいた意思決定、累積された寸法の変化に基づいて機械的適合性とパフォーマンスの影響をはっきりと理解するために役立ちます。
- 主な機能の概要
公差スタックアップ解析のループに含まれるモデル全ての幾何学的寸法と公差の累積効果を正確に計算することが可能
設計の初期段階から、パーツの最大互換性や一貫したはめあいを実現する製造公差の検証
製造製造・品質管理エンジニアと共に、コスト管理方法や解析結果についてコミュニケーションをとることが可能
- メリット
製造コストを最小限に削減するための最適な公差を決定する
Inventorに完全統合されたツールでアセンブリのコンポーネント間のはめあいを検証
自動レポートでコラボレーションが効率化
*9
Inventor Nastran
Inventor Nastranとは、設計者と解析担当者向けの有限要素解析(FEA)ツールです。Inventorに完全統合しているため、設計しながら解析を行うことが可能で、設計プロセスを迅速化、効率化することに役立ちます。
また、工学解析コミュニティのための機関であり、有限要素解析(FEA)や計算流体力学(CED)などのCAE技術に特化した世界で唯一の独立系機関であるNAFEMSの包括的な検証プログラムとドキュメントセットによる高度なテストを実施しています。
- 主な機能の概要
基本的な有限要素解析から、高度な有限要素解析まで対応しているだけでなく、自動落下試験や自動衝撃解析、モデルの最適化など、様々な機能を搭載しています。
様々なシミュレーションの解析に対応(疲労、熱伝導、熱応力、非線形、線形静など)しています。
- メリット
包括的なシミュレーション解析により設計の最適化、製品パフォーマンスの改善が可能
線形静解析や疲労解析により、継続的な荷重による影響を解析でき、保証の問題の低減
早期からInventor内で設計解析を行えるため、物理的なプロトタイプの数を削減でき、市場投入までの時間を短縮可能
(*10)
Inventor Nesting
Inventor Nestingは、平らな原材料の切断位置を調整し、歩留まりを最適化できる統合ソフトウェアです。複数の材料と梱包オプションを設定し、単一のスタディで複数のシートネストを生成が可能です。様々なネストスタディに関連する効率性とコストを比較して、作業の収益性を最大化することにも役立ちます。
- 主な機能の概要
複数のシートメタルに基づいてネスティングデータを生成し、原材料の無駄を削減できることや切断操作における材料の使用率の最適化が可能となる、ネスティングの自動化
この後紹介するInventor CAMとの連携で、スムーズなワークフローを実現し、切断パスを作成可能
- メリット
ネスティングの自動化により、廃棄物や材料費、エンジニアリング時間の最小化
Inventorの使い慣れたインターフェイスで、シームレスにネスティング作成が可能
ネストスタディ結果を詳細なレポートに出力し、コラボレーションの改善につなげる
(*11)
Inventor CAM
Inventor CAMは2.5軸から5軸フライス加工、旋盤加工、複合加工用の機能を搭載したCAD組み込みソフトウェアであり、機械加工の様々なワークフローをシンプルにすることが可能となるものです。
- 主な機能の概要
フライス加工において、傾斜や複合軸輪郭、スワーフなどの複雑なモデル加工に、同時4軸~5軸機能で対応することが可能
旋盤加工、フェイシング、溝切り、ボーリングなどの標準機能における生産性の向上やリアルタイムで複合加工の工具設定が可能となる機能
- メリット
負荷制御という粗取り加工機能で効率的に切削が可能となり、切削時間を削減
加工サイクル全体の最大工具負荷を維持することで、工具寿命の延長が可能
Inventorで3Dモデルに変更が加えられると。ツールパスが自動で調整、更新
(*12)
ここまで紹介してきた製品が、Product Design & Manufacturing Collectionに含まれるInventorと名前がつく製品です。どれもInventorで連携することでより機能を発揮し、活躍するものばかりです。
では、Product Design & Manufacturing Collectionに含まれる製品の中で、単体としても人気のあるAutoCADはInventorと連携することでどのような活躍が可能となるのか紹介していきます。
InventorとAutoCAD
AutoCADとは
AutoCADは、CADソフトの中でも世界的に人気の高い、著名なサービスの一つです。Autodesk社から提供されているAutoCADは、建設から製造、土木など、あらゆる領域において活躍する、汎用性の高いCADソフトです。(*13)
- 価格
ライセンス期間 | 1ヶ月 | 1年 | 3年 |
AutoCAD | 8,800円 | 71,500円 | 203,500円 |
AutoCAD Plus | 28,600円 | 231,000円 | 658,900円 |
AutoCADについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
徹底解説!AutoCADの利用に当たって知っておくべき特徴や機能
連携によるメリット
Product Design & Manufacturing Collectionに含まれているInventorとAutoCAD。この二つを連携することで2Dと3Dのワークフローを繋ぎ、CADソフトウェアとしての機能を最大限発揮し、設計作業の効率化を図ることが可能となります。連携によるメリットは5つあります。(*14)
- 既存の図面から3Dモデルを作成
AutoCADで作成した2Dジオメトリに関連づけられた3DパーツをInventorで作成すると、高度なシミュレーションや衝突チェック、レンダリング、NCツールパスを活用可能であることの他にも様々な形で3Dモデルを活用することが可能となります。
- 電気系統と機械系統を同時に設計
AutoCAD ElectricalとInventorの連携により、わずか2ステップでプロジェクトファイルのリンク設定と関連づけを行うことが可能です。また、AutoCAD ElectricalとInventorの間では設計変更が自動的に同期されます。
- ネイティブDWGファイルのライブラリおよび図面の作成
DWGファイルはプラットフォームを超えて作業が可能であるため、図面ビューやライブラリをAutoCADで3Dモデルから簡単に作成できるほか、Inventorデータ表示や印刷、計測もAutoCADないで行うことが可能です。モデルに変更を加えた際も関連づけられたパーツやアセンブリと連動して更新されます。
- InventorとAutoCADで図面テンプレートの共有
両方で図面テンプレートを共有することで生産性の向上が可能となります。
- 2Dの工場レイアウトを3Dで表現
Factory Design Utilitiesを使用すると、AutoCADで既存の設備レイアウトを開き、図面にファクトリ情報を追加することが可能です。追加された情報は、レイアウトの解析とレポートの作成、Inventorの3Dレイアウトを配置する際に使用することが可能となります。2DのAutoCAD図面と3Dレイアウトの間にリンク設定がされているので、プラットフォームを超えてデータを常に同期します。
InventorとAutoCADの連携は、お互いの強みを存分に活かすことができ、連携させることでより作業の効率化や生産性の向上など現場で活躍することが期待できます。
ここまではInvendorと連携することで、より活躍できるソフトウェアを紹介してきました。これらのソフトウェアは全てProduct Design & Manufacturing Collectionに含まれています。ぜひ、機械設計・製品設計向けのものを探している方は、上述したInventorと連携のできるこのパッケージのご購入を検討されてみてはいかがでしょうか。
InventorとFusion 360
Product Design & Manufacturing Collectionに含まれており、どちらも製造業向けの3DソフトウェアであるInventorとFusion 360について比較していきます。
Fusion 360について
製造業のための全く新しいプラットフォームという位置づけであり、3DCAD機能やCAM機能、CAE、CG機能を持ち合わせており、対応できる範囲が幅広いのが特徴です。また、最大の特徴はCADソフトでは珍しいクラウドベースで動くCADソフトです。
- 価格
ライセンス期間 | 1ヶ月 | 1年 | 3年 |
価格(税込) | 7,700円 | 61,600円 | 176,000円 |
(*15)
InventorとFusion 360の比較
Inventorは、大規模なアセンブリ設計に対応可能であることや機械設計、製品設計においてより専門的な分野の機能が備わっています。それに対し、Fusion 360は部品数が少ない(目安として1,000個以下)アセンブリ設計に対応可能であり、専門的ではないがInventorと同じく解析機能があり、CAM機能はInventorにはない機能です。クラウド環境に関しては、どちらも対応可能であるが、Inventorはローカル環境でも行えます。
- 価格
Inventorは、Fusion 360と比べて6倍近く高い。
ライセンス期間 | 1ヶ月 | 1年 | 3年 |
Inventor | 46,200円 | 367,400円 | 1,047,200円 |
Fusion 360 | 7,700円 | 61,600円 | 176,000円 |
- 適した設計分野、人
Inventor:機械設計、製品設計、部品設計、チーム設計、BIM向けのモデル作成
Fusion 360:製品設計、機械装置の構想設計、部品設計・加工、一人での設計
Inventor:より専門的な分野の方、企業向け
Fusion 360:個人向け
Fusion 360が個人向けであり、幅広く対応できるようにというのに対して、Inventorはより機械設計・製品設計を効率化、生産性向上のための専門的な分野の機能が搭載されていることが、今回のこの比較によりわかったと思います。
Inventorの勉強方法
Inventorを利用するにあたって、スキルアップをしたい際の勉強方法はいくつかあります。その中でも自分にあった勉強方法を実践することが良いと思います。
- Autodesk社の公式チュートリアル
Autodesk社は、入門者向けのチュートリアル動画を公開しており、Inventorを初めて使う方がはじめの一歩として学ぶことが可能です。Inventorのチュートリアル動画は第10回まであります。また、動画内で使用しているデータをダウンロードすることも可能なため、利用して動画を視聴することで学習の手助けとなります。その期間は、30日間の無償体験版を利用すればお金もかかりません。
しかし、入門者向けのものであり基本が固まっている人には向きません。(*16)
- Inventorを学べるスクール
CADを学べる専門学校やオンラインスクールが多数存在します。講師の授業として受けられるものから自分で学習プログラムに沿って勉強していくもの、対面、オンラインと様々な形態のものがあるため、自分自身にあった環境を選択すると良いと思います。
- 実務経験
実際に職業として、とにかく触れることでスキルアップにつなげられることもあります。今では、本業としてだけでなく、副業としても3DCADに触れられる仕事は存在するため、働きながらスキルアップを図ることができます。
まとめ
今回は、機械設計・製品設計向けの3DCADソフトウェアのInventorの概要や関連するソフトウェアについて紹介しました。
Inventorは、Inventorのみでも活躍することが可能ですが、既存のAutodesk製品と連携することでよりお互いの強みを引き出し活躍することが可能な製品です。Inventorを含む、多くの製品が含まれているパッケージ製品のProduct Design & Manufacturing Collectionの購入も検討してみてはいかがでしょうか。
今回の本記事が少しでも理解を深める、決断をする一助になれば良いです。
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参考:
*1:Autodesk, https://www.autodesk.co.jp/company
*2:Autodesk, https://www.autodesk.co.jp/products
*3:Autodesk, https://www.autodesk.co.jp/products/inventor/
*4:Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/wiki/Autodesk_Inventor
*5:ReCADemy, https://recademy.jp/knowhow/4376
*6:Autodesk, https://www.autodesk.co.jp/products/inventor/features
Autodesk, https://knowledge.autodesk.com/ja/support/inventor-products/learn-explore/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/System-requirements-for-Autodesk-Inventor-2023.html
*7:Autodesk, https://knowledge.autodesk.com/ja/support/inventor/troubleshooting/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/Can-I-install-Autodesk-Inventor-on-a-Mac.html
AppsOnMac, https://apps-on-mac.com/ja/how-to-run-autodesk-inventor-on-mac/
*8:Autodesk, https://www.autodesk.co.jp/collections/product-design-manufacturing/overview?term=1-YEAR&tab=subscription
*9:Autodesk, https://www.autodesk.co.jp/products/inventor-tolerance-analysis/
https://knowledge.autodesk.com/ja/support/inventor/learn-explore/caas/CloudHelp/cloudhelp/2023/JP
*10:Autodesk, https://www.autodesk.co.jp/products/inventor-nastran/
https://cad-kenkyujo.com/inventor-nastran/
*11:Autodesk, https://www.autodesk.co.jp/products/inventor-nesting/
*12:Autodesk, https://www.autodesk.co.jp/products/inventor-cam/
*13:CAPA, https://docs.google.com/document/d/16oEQoQJIMRx9AktS4qkRnTdTGh8TerhrnVmJ2U4iQHU/edit#
*14:Autodesk, https://www.autodesk.co.jp/campaigns/article-top-reasons-autocad-inventor
*15:Autodesk, https://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/
*16:Autodesk, https://www.autodesk.co.jp/campaigns/inventor-tutorials-beginner