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エアコンの室内機の情報は構造図ではなく設備図|設備図でよく使用する記号も解説

建築物の設計において、エアコンの室内機の情報を記載する図面は構造図ではありません。設備図に情報が記載されています。設計図面は意匠・設備・構造の3つの図面に分かれます。設備図とは設備機器に関する情報を示す図面です。基本的に構造図には構造部材の情報しかありません。

しかし、3つの図面にはどのような情報が細かく記載されているのかよく分からないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

本記事ではエアコンの室内機の情報を記載する設備図の概要と意匠図および構造図との違いをみていきましょう。また、設備図でよく使用される記号にもふれていくため、ぜひ参考にしてください。

この記事を読むと、以下のことが分かります。
1.3つの設計図の概要
2.設備図の詳細
3.図面に記載されている記号

エアコンの室内機は構造図ではなく「設備図」に記載

建築設計図面の作成において、エアコンの室内機に関する情報を記入する図面は構造図ではなく、設備図です。では、構造図と設備図はどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、構造図と設備図の違いにふれつつ、設備図の概要を解説します。

設計図は意匠図・構造図・設備図の3種類に分かれる

建築物を設計する図面は意匠図・構造図・設備図の3つに大きく分類されます。3つの図面と概要は次のとおりです。

・意匠図:建築物の完成のイメージを表現する
・構造図:建築物の骨組みの情報を示す
・設備図:建築物に設置する設備機器の情報を示す

建築主との打ち合わせを行い、建築物の基本的な設計図面である意匠図を作成します。基本の図面となる平面図や断面図、立面図などは意匠図になります。意匠図を作成し、建築物の骨組みや設備機器に関する情報を構造図と設備図で提示します。エアコンの室内機は設備機器に分類されるため、設備図の対象です。

設備図とは

設備図とは建築物に設置される設備機器の情報を記載する図面です。設備図は電気設備図と機械設備図の2つの図面に分かれます。電気設備図に記載される情報は電気機器関係の設備の位置や形状などです。コンセントやブレーカー、照明、分電盤などの位置・形状・数量・配線などの情報を確認可能です。電気設備図は複数の書類や図面で構成されます。

・電気設備特記仕様書
・受変電設備図
・電灯コンセント設備図
・弱電設備図
・自動火災報知設備図

機械設備図では空調設備や給排水衛生設備などに関する情報を共有できます。エアコンの室内機・室外機やダクト、ボイラーなどの空調設備、給排水管や給湯機器などの給排水設備の位置や配管経路を確認可能です。

エアコンの室内機は機械設備図の対象

エアコンの室内機および室外機は機械設備図の対象となります。ここでは、エアコンを含む機械設備図で確認できる対象設備と構成される図面の種類を詳しくみていきましょう。

機械設備図で示される対象設備

機械設備図で確認できる対象設備は次のとおりです。

空調設備・エアコンの室内機および室外機・エアフィルター・ダクト など
給排水衛生設備・給湯機器・給排水管 など
消火設備・消火栓・スプリンクラー など
ガス設備・ガス栓・ガス管 など

対象設備に対し、それぞれの詳しい情報を共有できる図面を作成します。

機械設備図の図面の種類

建築物によって必要な機械設備図は異なります。代表的な書類および図面をみていきましょう。

書類または図面の名称概要
機械設備特記仕様書機械設備工事の概要や仕様を確認できる書類
空調設備図エアコンの室内機および室外機、換気扇、ダクトなどの空調設備の配置や経路を確認できる図面
給排水衛生設備図給排水の配置や経路、衛生設備の配置を確認できる図面
ガス設備図ガスに関係のある設備機器の配置や経路を確認できる図面
消火設備図消火栓などの消火設備の配置や引き込み経路を確認できる図面

エアコンの室内機を設備図で示す際に使用する記号

設備に関する全ての情報を文章で記載すると膨大な量になってしまうため、より簡易的に表現できるように記号を使用します。図面を読み取るためには記号と記号の意味を知っておく必要があります。

記号は国土交通省が公表している「公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)」(*1)を参考にみていきましょう。

全ての設備共通の記号

次の記号は設備図面をはじめとした建築設計図面で頻繁に使用されます。

記号意味
H/h高さ
W/w
L/l長さ
S縮尺
D/d奥行
WL水位
間隔・ピッチ
GL地盤面
FL基準床面
EL基準水平面

空調設備の記号

エアコン室内機を含む空調設備で頻繁に使用される記号をみていきましょう。

記号概要
ーSー蒸気管の送り(必要に応じ、使用圧を記載する)
ーSRー蒸気管の返り
ーCDー冷却水管の送り
ーCDRー冷却水管の返り
ーCー冷水管の送り
ーCRー冷水管の返り
ーRー※冷媒管の送り
ーRRー※冷媒管の返り
ーBーブライン管の送り
ーBRーブライン管の返り
ーHー温水管の送り
ーHRー温水管の返り
ーCHー冷温水管の送り
ーCHRー冷温水管の返り
ーDードレン管
ーEー膨張管
ーOー油管の送り
ーORー油管の返り
ーOVー油管の通気管

冷媒管の送り管と返り管は「ーR・RRー」と同一線でも表現できます。

エアコン室内機を含む機械設備図を作成する際の注意点

図面を作成・確認する際には寸法と縮尺に注目しましょう。寸法と縮尺は図面にある情報を正確に読み取るために必要です。

寸法

機械設備図を含む設計図面において、高さ・幅などの寸法はmm(ミリメートル)で示します。ただし、図面には寸法の数値のみ記載し、基本的に単位は示しません。例えば、天井までの高さが4.0mの場合、「CH4,000」と記載します。幅が0.7mの場合、「W700」と記載します。

縮尺

基本的に図面の縮尺は100分の1が適用されます。縮尺とは実寸の大きさを縮小して示す場合の比率です。図面によって、500分の1、200分の1、50分の1などの縮尺で描かれている場合もあります。図面に描かれた建築物のサイズを正確に把握するためには、まず縮尺を確認しましょう。

まとめ

本記事ではエアコンの室内機の情報が記載されている設備図について解説しました。エアコンの室内機の配置や経路などの情報は設計図面の構造図ではなく、設備図で確認できます。設備図は給排水衛生やガス、消火設備の情報も把握できる図面です。一般的に配管の種類や送り・返りは記号で記載されているため、記号と意味を把握しておかなければなりません。

しかし、正確に読み取るためには知識や時間が必要になり、負担に感じてしまう人もいるでしょう。そういった場合、AutoCADなどのCADソフトの利用を推奨します。AutoCADではPDFの図面を読み込み、自由に編集ができるようになります。図面の読み取りを手間に感じている場合、AutoCADの利用を検討しましょう。

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*1

「国土交通省|公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)」

https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001472443.pdf

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