Revit 2024の動作環境について:インストール前に知っておくべきこと
「Autodesk Revit 2024」は、建築設計やエンジニアリングの分野で広く使用される強力なBIM(Building Information Modeling)ソフトウェアです。Revit 2024を使用するにあたっては、適切な動作環境を整えることが重要です。
この記事では、Revit 2024の動作環境について詳しく解説し、インストール前に注意すべきポイントをご紹介します。
この記事でわかること
- システム要件と推奨スペックについて
- ストレージとネットワークの要件
- インストールと初期設定の注意点とは
システム要件と推奨スペック
Revit 2024を円滑に動作させるためには、以下のシステム要件を満たしている必要があります。
まず、オペレーティングシステムは「Windows 10 64-bit」または「Windows 11 64-bit」が必要です。プロセッサについての最小要件はシングルコアですが、十分な性能を発揮しようと思えばマルチコアが欠かせません。3.0GHz以上のIntelまたはAMDプロセッサが推奨されます。
メモリに関しては、最低8GBが必要です。しかしメモリは、多ければ多いほど快適に作業できますので、少なくとも16GB以上、余裕があれば32GB以上を搭載したいものです。
大規模なプロジェクトを扱う場合は、さらに多くのメモリが必要になる場合もあります。
ディスプレイは、1280×1024の解像度が最低限必要ですが、これについてもできればFHD以上、4Kモニタなどを準備したいものです。
さらに3D機能を十分に活用したいのであれば、高性能グラフィックスカードが重要となります。DirectX 11対応の最低4GBのVRAMを持つカードなら十分でしょう。推奨されるのは「NVIDIA GeForce RTX 3060」や「AMD Radeon RX 6800」などのハイエンドGPUです。
Revit 2024のグラフィックス要求は、特に複雑な3Dモデリングやレンダリングを行う際に重要です。高性能なGPUは、リアルタイムレンダリングやビジュアライゼーションの品質を向上させ、設計プロセス全体をスムーズにします。
また、Revitの最新バージョンでは、マルチスレッド処理の効率が向上しているため、プロセッサのコア数とクロック速度が作業効率に大きく影響します。
Revit 2024では、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)との連携が強化されており、これに対応するための追加ハードウェアも考慮する必要があります。例えば、VRヘッドセットや高解像度のディスプレイを使用することで、設計の確認やプレゼンテーションがよりインタラクティブかつリアルに行えます。
ここまでハードウェア構成に関して説明してきました。
選択肢が多いという事は、ユーザーの要求に対して柔軟に構成できる反面、どの組み合わせにするか迷ってしまう場合もあるでしょう。しかし、実はそれほど難しいことではなく、ビジネスユースで販売されているPCであれば、CPUなどの基本性能はほぼクリアしています。
あとは予算の許すだけメモリを積んで、大容量のSSDを搭載すればOKです。グラフィックボードには多少注意する必要がありますが、代表的なPCメーカーであるDELL、HP、LenovoはRevitの動作テストをおこなっており、その結果を公式サイトで公開していますので、参考にすると良いでしょう。*注1
ストレージとネットワーク
Revit 2024をインストールするためには、ストレージに最低30GBの空き容量が必要です。しかし、プロジェクトデータやキャッシュファイルを保存するためには、追加のストレージが必要となるため、1TB以上のSSDが推奨されています。
データへのアクセススピードを考慮すると、HDではなくSSDが基本となるでしょう。SSDを使用することで、ソフトウェアの起動やデータの読み込み速度が大幅に向上します。
ネットワークについては、インターネット接続が必須です。特にクラウドベースのサービスやコラボレーション機能を使用する場合は、高速かつ安定したインターネット接続が重要です。
推奨されるネットワーク速度は、ダウンロード速度で50Mbps以上、アップロード速度で10Mbps以上です。また、ファイアウォールやアンチウイルスソフトウェアの設定を適切に行い、Revitの通信が妨げられないようにすることも大切です。
Revit 2024のクラウドサービスは、プロジェクトの共同作業を大幅に効率化します。クラウドストレージを利用することで、プロジェクトデータを安全に保管し、チームメンバーとリアルタイムで共有することが可能です。このことにより、複数の設計者やエンジニアが同時に同じプロジェクトにアクセスし、効率的に作業を進めることができます。
さらに、クラウドベースのレンダリングサービスを利用することで、高解像度のレンダリングを短時間で行うことができます。ローカルのハードウェア負荷を軽減し、デザインレビューやクライアント向けのビジュアライゼーションを迅速に提供することが可能となります。
他にも「.NET Framework バージョン 4.8以降」などが動作する環境が必要です。ハードウェアを揃えても、ネットワーク環境が不十分だと作業に支障が出ますので、このような点にも十分配慮した方が良いでしょう。
AUTODESKでは、Revitが動作する最小構成・価格と機能のバランスをとった構成・大規模モデルでの構成などに分けて、必要な動作環境をリスト化しています。以下にその内容を簡単にまとめておきますので、それぞれの目的やプロジェクトの規模に応じて環境を整備するとよいでしょう。*注2
Revit 2024 動作環境
カテゴリー | 最小モデル | バリュー | パフォーマンス |
---|---|---|---|
OS | 64-bit Windows 10 または Windows 11 | 64-bit Windows 10 または Windows 11 | 64-bit Windows 10 または Windows 11 |
CPU タイプ | シングルまたはマルチコア IntelR i-Series、XeonR、AMDR Ryzen、または同等品 | マルチコア IntelR i-Series、XeonR、AMDR Ryzen、または同等品。3.0GHz以上推奨 | 高パフォーマンスのマルチコア IntelR i-Series、XeonR、AMDR Ryzen、または同等品。クロックスピード3.5GHz以上推奨 |
メモリ | 8 GB RAM | 16 GB RAM | 32 GB RAM |
ディスプレイ解像度 | 1280 x 1024 最小 | 1920 x 1080 推奨 | 3840 x 2160 (4K) 推奨 |
ビデオ ディスプレイ アダプタ | 基本グラフィックス アクセラレーター | DirectX 11 対応、2 GB GPU、25 GB/sの帯域幅 | DirectX 11 対応、4 GB GPU、106 GB/sの帯域幅 |
ディスク空き容量 | 30 GB | 30 GB | 30 GB |
インターネット接続 | 必須(インストール、ライセンス認証、利用に必要) | 必須(インストール、ライセンス認証、利用に必要) | 必須(インストール、ライセンス認証、利用に必要) |
インストールと初期設定の注意点
Revit 2024をインストールする前に、既存のバージョンがインストールされている場合はアンインストールを行うか、アップデート手順に従ってください。また、インストール時には、管理者権限を持つアカウントでログインし、必要なディスク領域とシステムリソースを確保しておくことが重要です。
インストール後は、ソフトウェアの初期設定を行います。ユーザーインターフェースのカスタマイズ、必要なプラグインやアドオンのインストール、プロジェクトテンプレートの設定などを行い、作業環境を整えましょう。
また、Autodeskアカウントにログインして、最新のアップデートやサポート情報を確認することも忘れずに行いましょう。
初期設定には、ユーザーの作業スタイルに合わせたカスタマイズが含まれます。例えば、ショートカットキーの設定やツールバーの配置を調整することで、作業効率を大幅に向上させることができます。また、必要なプラグインやアドオンをインストールすることで、Revitの機能を拡張し、特定のニーズに対応することが可能です。
さらに、プロジェクトテンプレートの設定は、効率的なプロジェクト管理の鍵となります。標準的なテンプレートを使用することで、プロジェクトの初期設定やドキュメントの一貫性を保ち、作業時間を短縮することができます。
テンプレートには、一般的な設計要素やスタイルガイドラインを含めることができ、プロジェクトの品質を向上させます。
またセキュリティ対策として、定期的なデータバックアップを行うことが推奨されます。クラウドストレージやローカルストレージを活用して、重要なプロジェクトデータを安全に保管し、予期せぬデータ損失に備えることが重要です。
【まとめ】
Revit 2024を最大限に活用するためには、適切な動作環境を整えることが不可欠です。システム要件を満たしたハードウェアを用意し、ストレージやネットワーク環境を整えることで、スムーズな操作と高い生産性を実現することができます。
また、インストール後の初期設定をしっかりと行うことで、効率的な作業環境を構築できます。これからRevit 2024を導入する方は、ぜひこの記事を参考にして準備を進めてみてください。
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■参考文献
注1
DELLのISV認証取得済PC
https://www.dell.com/precision/ISVCertification/
HPのISV認証取得済PC
https://www.hp.com/us-en/workstations/isv-certifications/mcad-isv-certification.html
LenovoのISV認証取得済PC
https://www.thinkworkstations.com/isv-certifications/
注2
AUTODESK 「Revit 2024 製品の動作環境」
https://www.autodesk.co.jp/support/technical/article/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/System-requirements-for-Revit-2024-products.html