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建設DXで現場が変わる!建設DXの基礎や成功事例を徹底解説

建設業界では、働き方改革、デジタル技術の活用による業務効率化、人手不足など、多くの課題に直面しています。その解決策の1つとして、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が挙げられます。

とはいえ、「何から始めればよいのか分からない」「そもそもDXとは何か?」といった疑問を持つ方も少なくないでしょう。

この記事では、以下のポイントについて解説します。

建設DXを推進することの重要性
建設DXの推進で期待できる効果
建設DXを進める上で気をつけるポイント

この記事を通じて、建設DXの知識を深め、積極的なDX推進にお役立てください。

建設DXとは現場の課題解決と生産性向上を実現する最新技術

建設DXとは、デジタルの最新技術を活用して、現場における問題解決や生産性の向上を実現することをいいます。
国土交通省は、BIM/CIMによる3次元モデルを活用して、受発注者間の業務効率化・高度化の推進に取組中です。工事の計画、調査、設計、施工、管理の各段階において、BIM/CIMの活用は正確な情報共有を可能とします。
実際、BIMの導入によって、手戻りや調整の減少によるプロジェクトの円滑化や3次元モデルによる可視化による理解度の改善などがみられた企業もあるようです。

建設DXの重要性

少子高齢化によって、この先も日本の生産人口は減少が予測されます。それは、建設業においても例外ではありません。建設業就労者の年齢構成の推移(※1)を見ても、これまでの30年で急速に高齢化が進んでいることが分かります。

建設業就労者の年齢構成の推移29歳以下55歳以上
1990年17.021.0
2023年11.636.6

少子高齢化に伴う人手不足が深刻化する一方で、年々建設投資は増え続けています。このような問題を解決するためには、企業が積極的な建設DXに取り組み、新しい価値を生み出すことが求められます。

建設DXで変わる未来

建設DXの導入により、建設現場は大きく変わります。
IoT技術の活用で設備や資材の管理が容易となり、無駄なコストや時間の削減。ドローンや3Dモデリング活用による現場の可視化、正確な施工管理と迅速な判断を実現します。
AIによるデータ分析によって、プロジェクトの進行状況やリスクを予測し、対応策を講じることもできるでしょう。
実際、(株)植木組とNTT東日本が、他分野で取得したデータを舗装工事に活用して、準備工数を7割程度削減したという成功事例もあります。(※2)
このように建設DXを推進することで、「当たり前で手間」だった作業をなくし、新たな取り組みにリソースを注げるようになります。

建設DXの導入効果を最大化する3ステップ

企業が建設DXを導入したからといって、必ずしも新しい価値を創出できるわけではありません。正しいステップを踏み、明確なビジョンをもつことが大切です。
建設DXの導入効果を最大化するためには、以下のステップが重要となります。

  • 建設現場における課題の明確化
  • 最適なDXソリューションの選択
  • 導入と運用体制の構築

各ステップについて、詳細に説明しましょう。

建設現場における課題の明確化

DX導入の第一歩は、現場における課題を明確にすることです。人手不足や工期遅延、資材管理の不備など、建設現場で直面している問題を挙げ、その原因の特定をします。
その原因から、どの問題にDXを適用するべきか検討しましょう。実際に建設現場で働いている従業員の声を聞くことも効果的です。そういった声をあつめることで、建設現場のニーズに合った解決策を見つけられます。

最適なDXソリューションの選択

次に、明確化した問題を解決できる最適なDXソリューションを選びましょう。
例えば、資材管理にはRFID技術やクラウドベースの管理システム、作業進捗の管理にはIoTセンサーやドローン技術が効果的です。導入する技術が建設現場に適合するのか、既存システムと連携可能かなどの検討をすることで、より具体的な解決策が見つかるでしょう。
企業にとって「何が最重要事項か」を明らかにすることでより最適なソリューションを見つけられます。

導入と運用体制の構築

最後に、選定したソリューションを実際に導入し、運用体制を構築します。導入前に、従業員のトレーニングやシステムの試験運用を行い、本格導入に向けて準備を整えましょう。DX推進担当者を設置し、継続的な運用と改善に取り組める体制を整えることも重要です。
導入後の運用体制の整備とPDCAサイクルの確立によって、DXの導入効果の最大化に期待できます。

建設DXで業務改善した事例

建設DXの推進により業務改善を実現した事例を2つ紹介します。

  • AIを活用した危険予知活動支援システム|鹿島建設(株)
  • オンラインの導入支援サービスでBIM活用の基盤を構築|河本工業(株)

AIを活用した危険予知活動支援システム|鹿島建設(株)

鹿島セーフナビ(K-SAFE)は、鹿島が保有する約70,000件の災害事例をデータベース化し、AIで解析するシステムです。作業内容を入力すると、過去の類似事例を見える化し、災害原因や状況別にグラフ表示します。これにより、危険予知活動の精度を向上させ、施工前の検討会や安全パトロールなどさまざまな場面で安全対策を支援しています。(※3)

オンラインの導入支援サービスでBIM活用の基盤を構築|河本工業(株)

河本工業(株)は、BIM技術を積極的に導入し、建設業務の効率化を図っています。
「Autodesk Architecture Engineering & Construction」および「Revit」を採用し、オンライン講習のみで運用開始を実現しました。
2Dの設計図から3Dモデルへの移行が進み、関係者間の合意形成が容易となり、建築物の完成イメージを直感的に共有できるようになりました。BIMモデルをVR化して、安全管理のトレーニングにも活用しています。(※4)

建設DXで失敗しないためのポイントと注意点

「とりあえず建設現場でDXに取り組もう」という意識でいると失敗するおそれがあります。失敗しないためにも、現場DXに取り組む際のポイントと注意点をしっかり押さえておきましょう。

ポイント1:段階的なDX導入

建設現場のDX導入において、重要なのは段階的なアプローチを踏むことです。
従業員にとって、急激な業務の変化による負担が大きく、抵抗感を生むおそれがあります。既存の業務プロセスを詳細に分析し、デジタルツールを適用しやすい部分から改善していくのがよいでしょう。
例えば、現場の進捗管理や資材管理など、比較的シンプルな業務から着手し、従業員にデジタル化のメリットを実感してもらいます。企業として小さな成功体験を積むことが、段階的なDX導入には重要です。

ポイント2:データの利活用

建設現場におけるDXの核心は、データを有効活用することです。現場から収集されたデータは、プロジェクトの進行状況をリアルタイムで把握するだけでなく、将来の予測や意思決定にも役立ちます。
IoTデバイスやセンサーを活用したデータの収集・分析によって、建設現場の業務効率化にも繋がります。
データ活用するためのシステム導入には、初期費用がかかりますが、長期的には無駄の削減やリスク管理に効果的です。

ポイント3:DX推進担当者の設置・育成

建設現場DXを成功させるためには、専門のDX推進担当者を設置することが不可欠です。DX推進担当者には、新しい技術やツールの導入、従業員へのトレーニングやサポートをしてもらいます。効果的なDX推進にはリーダーシップとコミュニケーションスキルが求められます。
従業員への継続的な教育や外部研修の活用も重要です。担当者を育成し、組織全体でDX文化を根付かせることで、スムーズな移行と持続的な成長に期待できます。

注意点1:従業員の意識改革

建設現場のDXにおいて、従業員の意識改革は避けて通れません。新しいデジタル技術の導入に対する抵抗や不安を軽減するためには、定期的な情報提供とコミュニケーションが大切です。
定期的なワークショップやトレーニングを通じて、従業員が新しいツールやシステムに慣れる機会を提供し、疑問や不安を解消する環境を整えることが企業には求められます。

注意点2:費用対効果の事前検討

建設DXの推進には初期投資が伴う場合が多々あります。そのため、費用対効果の事前検討を行うことが重要です。
とくに、中小企業にとっては限られた予算内で最大の効果を引き出す必要があります。
具体的には、導入予定のデジタルツールやシステムのコストと、それによって得られる業務効率化の効果を比較し、投資の妥当性を評価します。ROIC(投下資本利益率)を明確にすることで、無駄な支出を避け、確実な成果に繋げましょう。(※5)

建設DXにおけるQ&A

建設DXでよくある質問と回答についてまとめています。

建設DXにかかるコストは平均どのくらいでしょうか?

建設現場のDX導入にかかるコストは企業の規模や導入する技術によって大きく異なります。一般的には、基本的なデジタルツールの導入から始める場合、数百万円程度の初期投資が必要です。
例えば、Autodesk社のRevit(※6)を導入する場合は、1年間のサブスクリプションで45万3,200円かかります。DXを推進する際、初期投資がかかる場合が多いため、しっかり検討したうえでの導入をおすすめします。

建設DXを導入する際に補助金などはありますか?

建設現場DXの導入に対しては、国や地方自治体からの補助金や助成金が利用可能です。経済産業省では、中小企業向けの「IT導入補助金」や「ものづくり補助金」などがあり、DX推進に必要な経費の一部を補助しています。
具体的な補助金の条件や申請方法については、各自治体のホームページや商工会議所の窓口で確認しましょう。また、国土交通省も建設業におけるDX推進を支援する施策を展開しています。これらの補助金を活用することで、初期投資の負担を軽減し、建設現場へのDX導入の実現を目指しましょう。

中小企業でも建設DXを進めるべきですか?

中小企業でも建設現場DXの導入は非常に有効です。人手不足や効率化のニーズが高まる中、DXを進めることで、業務の効率化やコスト削減が期待できます。
経済産業省の「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き(※7)」では、DXの段階的導入が推奨されています。初期投資を抑えつつ、効果的にデジタル化を進める方法が紹介されているので参考にしてみてください。
また、他の企業の成功事例を参考にすることで、自社に適したDX戦略を構築できます。中小企業ならではの柔軟性を活かし、迅速な意思決定と実行力でDXを推進することが重要です。

まとめ:建設DXで新たな建設現場を創造しよう

少子高齢化、多様な働き方などさまざまな問題に直面しています。とはいえ、企業価値を高めていくためにはDXの推進が欠かせません。とくに、建設現場ではアナログ業務が多いという特徴があります。
しかし、施工管理や図面のデジタル化、ドローン技術を活用した状況把握などの建設DXで新たな建設現場の創造が可能です。
弊社においても、建設DXとしてBIM/CIMの導入サポートやAIによる画像解析などの仕組みを構築しています。
建設DXにいますぐ取り組みたい方は、ぜひ以下URLより弊社にお問い合わせください。

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参考文献

※1

参考)令和6年版 国土交通省 p.6

https://www.mlit.go.jp/statistics/content/001751766.pdf

※2

参考)令和5年度 インフラDX大賞 受賞取組 概要

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/04jushougaiyou3.pdf

※3

参考)AIを活用した危険予知活動支援システム「鹿島セーフナビ®(K-SAFE®)」

https://www.kajima.co.jp/tech/c_ict/safety_eco/index.html#!body_05

※4

参考)オンラインの導入支援サービスでBIM活用の基盤を構築

https://www.cadjapan.com/special/bim-navi/case/pdf/komoto-01.pdf

※5

参考)デジタルトランスフォーメーション銘柄2024

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/dxstockreport-2024.pdf

※6

参考)オートデスク製品

https://www.autodesk.com/jp/products?page=2

※7

参考)中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-chushoguidebook/dxtebikihontai2.1.pdf

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