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CADは絶対安全?設計ミスによる事故の事例と予防策について

CADは多様な業界における設計業務を支える、重要な技術です。CADを使った設計は高い正確性を誇ることから、質の高い業務を進める上では必ず使いこなせなければなりません。

ただCADを現場に導入すれば絶対に安全というわけではないのも知っておくべきでしょう。過去にはCAD設計のミスが原因で事故に発展しているケースもあるため、なぜ事故が起きたいのか、どうすれば回避できるのかを理解しておきましょう。

この記事では、CADを使った設計に伴うリスクや、リスクを回避するための方法について、解説します。

目次:

  1. CADは絶対安全?
  2. CADの設計ミスがもたらすリスク
  3. なぜCADの設計ミスが起きるのか
  4. CADの設計ミスに起因する主な事故の事例
  5. CADの設計ミスを回避するための予防策

CADは絶対安全?

CADは手動での設計と比較し、はるかに正確な図面作成が行える点が評価されている技術です。そのため、手作業よりも効率的かつ正確な仕事ができることは間違いありません。

ただ、CADを使えばミスなく、100%正確な仕事ができるかといえばそうとは限らないのも事実です。CADを使っていたとしても、設計図面にミスが現れることはあるため、過度にCADソフトを信頼することは厳禁です。

CADの設計ミスがもたらすリスク

CADの設計ミスは、具体的にどのようなリスクをもたらすのでしょうか。知っておくべきリスクとしては、

  • 設計ミスに伴う重大事故の発生
  • ミスの修正に伴う納期の遅れ
  • 現場の生産性低下

の3つです。

CADの設計ミスは、最悪の場合重大事故の発生に発展する可能性があります。設計図面通りに工事を行ったら、ガス管に衝突して爆発が起きた、倒壊事故が発生したなど、生命の危険をもたらす可能性もあるため、決して軽視してはいけません。

また、設計ミスが施工前に発覚したとしても、そのための修正作業に現場は追われることとなります。この結果プロジェクトに遅れが発生し、余計なコストの発生につながることがあります。

また、設計ミスの修正にリソースを割かれ、残業の発生や休日出勤の発生など、パフォーマンスの低下に伴う人件費の増大も懸念されるでしょう。

なぜCADの設計ミスが起きるのか

CADを使っていて設計ミスが起きるのは、基本的にはヒューマンエラーによるものです。正しく数値を入力できていなかった、誤ったコマンドを実行してしまっていたなど、設計ミスにつながる事故の要因は至る所に存在します。

また、CADソフトそのもののエラーによる設計ミスも、可能性はゼロとは言えません。ソフトウェアそのものが正しく処理されなかったり、ハードウェアに問題を抱えていて、処理が実行されなかったりすることが考えられるでしょう。

結局のところ、正確な操作ができるCADであっても操作するのは人間であるため、ミスのリスクをゼロにすることはできません。そのことを踏まえて設計業務を遂行しないと、重大な事故に発展する可能性があります。

CADの設計ミスに起因する主な事故の事例

近年明らかになっている、CADを使った際の設計ミスが発覚した事故の事例として、有名なのが東京外かく環状道路(外環道)トンネル工事におけるシールド機破損事故です*1。

トンネル掘削のため、掘削重機であるシールド機があらかじめ設計された通りに掘削を行っていたところ、設計上では存在しなかった鉄骨にシールドが接触し、破損してしまいました。

図面通りの施工であったのにも関わらず事故が起きたのには、CAD設計の手順にミスがあったためです。図面作成を担当したコンサルタント会社において、CAD操作を誤り最大で90センチものズレが発生していたということでした。

このようなミスが起きたのには、プロジェクトが大規模であるためにチェックに不備が生じたことが原因として挙げられています。受発注に携わる関係者が増えると、このような設計ミスの問題が起きやすくなるという、典型的な事例と言えるでしょう。

CADの設計ミスを回避するための予防策

このように、例え正確な設計が可能なCADをあらゆる業務で活用していても、設計ミスのような初歩的なミスはいつでも起きる可能性があることは知っておかなければなりません。

設計ミスを少しでも少なくしてインシデントのリスクを小さくするには、以下のポイントを押さえた業務プロセスを構築するべきでしょう。

セルフチェックのルールを整備する

CADの設計ミス回避において、まず大切なのがセルフチェックです。設計者自身が作成したデータを確認し、指示書通りに図面が作成されているか、確認を行いましょう。

セルフチェックはなんとなく確認するのではなく、あらかじめ確認事項をルール化した上で実施するのが有効です。確認事項にチェックを入れるようにしながら、セルフチェックを行いミスのリスクを最小限に抑えます。

ダブルチェックを実施する

CAD図面のチェックを行うのが一人だけの場合、確認漏れが発生するリスクを拭うことができません。第三者にチェックを依頼する仕組みを整えておくことで、ケアレスミスの発生をゼロに近づけることができます。

セルフチェックの時に気づかなかった問題を発見し、品質向上に努められるでしょう。

一度紙に出力する

設計図のチェックを行う際、一度紙に出力してみることで間違いに気づくこともあります。ディスプレイ上で図面を見ていては気づかない、微妙なミスを発見できたり、以前のバージョンと重ねて透かしにかけることで、ミスを洗い出しやすくなります。

関係者間でチェックルールを共有する

図面のチェックプロセスは、関係者間で共有しておくことで、ミスのリスクを減らせます。特に関係者が増える場合は各々で別個のチェックプロセスに則り作業を行うリスクも出てきますが、チェックルールを統一することにより、確認漏れを回避できます。

設計ミスがもたらす重大な事故やパフォーマンスの低下といったリスクを鑑みると、設計ミスを回避するための確認作業は過剰なほど行っておいても損をすることはありません。

まとめ

この記事では、CADによる設計ミスの発生リスクや、設計ミスを回避するためにはどんな方法でアプローチすれば良いのかについて、解説しました。

CADを使っていても、ヒューマンエラーやなんらかの問題が重なることで、普段はあり得ないような設計ミスが発生してしまうことがあります。このようなミスを回避するためには、チェック体制を強化し、そのリスクを抑える取り組みが大切です。

最近もCADの設計ミスに由来する重大事故が発生しました。このようなアクシデントに見舞われないよう、リスクの正しい評価とリスク回避のための取り組みに目を向けましょう。

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出典:

*1 

日経XTech「設計ミス見過ごしシールド機破損、難工事で生じたチェックの不備」

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/ncr/18/00172/101200003/

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